「JupyterLabとJupyter Notebookって何が違うの?」
「どっちを使えばいいか分からない…」
Pythonでデータ分析を始めようとすると、この2つのツールの名前を目にしますよね。
名前が似ているので混乱しやすいですが、実はこの2つ、けっこう違いがあるんです。
この記事では、JupyterLabとJupyter Notebookの違いを、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。それぞれの特徴や使い分け方、どちらを選ぶべきかまで、丁寧にご紹介しますね。
そもそもJupyterって何?基本を理解しよう

まず「Jupyter」というプロジェクト全体について、簡単に説明しておきましょう。
Jupyterは、Webブラウザ上で動くプログラミング環境です。コードを書いて、その場で実行結果を確認できる「対話型」の開発環境として、世界中のデータサイエンティストや研究者に使われています。
Jupyterという名前の由来
実は「Jupyter」という名前は、3つのプログラミング言語の頭文字を組み合わせたものなんです。
- Julia(ジュリア)
- Python(パイソン)
- R(アール)
とはいえ、実際にはPythonで使われることが圧倒的に多いですね。
オープンソースで無料
Jupyterはオープンソースプロジェクトなので、誰でも無料で使えます。商用利用も制限なくOKです。
Jupyter Notebookとは?特徴と歴史
Jupyter Notebookは、2011年に登場した歴史あるツールです。元々は「IPython Notebook」という名前でPython専用だったものが、2014年にJupyter Notebookとして生まれ変わりました。
Jupyter Notebookの基本的な特徴
Jupyter Notebookでは、「ノートブック」と呼ばれるファイル(.ipynb形式)にコードを書いていきます。
このノートブックは「セル」という単位で構成されていて、各セルに:
- コード(プログラム)
- マークダウン(文章や見出し)
- 実行結果(グラフや表など)
を混在させることができます。
つまり、プログラムのコードと説明文、そして実行結果を1つのドキュメントにまとめられるんですね。
シンプルで分かりやすいインターフェース
Jupyter Notebookの最大の特徴は、そのシンプルさです。
画面の構成は:
- 上部にメニューバーとツールバー
- 下にセルが縦に並ぶ
という非常にシンプルなレイアウト。初心者でも迷わず使い始められる設計になっています。
線形のワークフロー
Jupyter Notebookは、上から下に向かって順番にコードを実行していく「線形ワークフロー」を前提としています。
1つのノートブックで、1つのタスクや分析を完結させるような使い方に適していますね。
JupyterLabとは?次世代インターフェースの登場
JupyterLabは、2018年に正式リリースされた、Jupyter Notebookの「次世代版」です。
JupyterLabは後継機
JupyterLabは、Jupyter Notebookを置き換えることを目的に開発されました。Jupyter Notebookでできることはすべてできる上に、さらに多くの機能が追加されています。
IDE(統合開発環境)のようなインターフェース
JupyterLabの大きな違いは、VSCodeやPyCharmのようなIDEに近いインターフェースを持っていることです。
画面構成は:
- 左側にファイルブラウザ
- 中央にメインのワークエリア(タブで複数のファイルを開ける)
- 必要に応じてターミナルやコンソールも表示できる
という、より本格的な開発環境になっています。
柔軟で拡張性の高い設計
JupyterLabは「モジュール式」の設計になっていて、パネルやタブを自由に配置したり、様々な拡張機能を追加したりできます。
複雑なプロジェクトや、複数のファイルを同時に扱う作業に向いていますね。
JupyterLabとJupyter Notebookの主な違い
それでは、具体的にどんな違いがあるのか、項目ごとに見ていきましょう。
1. ユーザーインターフェースの違い
Jupyter Notebook:シンプルで一直線
- 1つのノートブックを1つのブラウザタブで開く
- セルが縦に並んでいるだけのシンプルな画面
- 別のノートブックを開くと、新しいブラウザタブが開く
JupyterLab:多機能でIDE的
- 1つのブラウザタブの中で、複数のノートブックやファイルをタブとして開ける
- 画面を分割して、複数のファイルを並べて表示できる
- ファイルブラウザ、ターミナル、テキストエディタなどが統合されている
これが一番大きな違いですね。Jupyter Notebookでは複数のノートブックを開くとブラウザのタブがどんどん増えていきますが、JupyterLabでは1つのタブ内で完結します。
2. 画面分割・マルチタスク機能
Jupyter Notebook
画面分割はできません。別のノートブックを見たいときは、ブラウザのタブを切り替える必要があります。
JupyterLab
画面を自由に分割して、複数のノートブック、テキストファイル、ターミナルなどを同時に表示できます。
例えば:
- 左側でコードを書く
- 右側でデータの確認や実行結果を見る
- 下部でターミナルを開いてパッケージをインストールする
といった作業が、1つの画面で完結します。
データを見ながらコードを書いたり、別のノートブックを参照したりする作業が、格段に楽になりますよ。
3. ファイル管理機能
Jupyter Notebook
最初に開くページに、ディレクトリ内のファイル一覧が表示されます。ただし、ノートブックを開いている間は、別のウィンドウやタブに戻らないとファイルを確認できません。
JupyterLab
左側のサイドバーに常にファイルブラウザが表示されています。
ノートブックで作業しながら、いつでもファイルの作成、削除、名前変更、移動ができます。ファイルをダブルクリックすればすぐに開けるので、複数のファイルを行き来する作業がスムーズです。
4. ターミナル・コンソール機能
Jupyter Notebook
ターミナルを開くこともできますが、別のブラウザタブで開かれます。
JupyterLab
ターミナルを画面の一部に表示できます。
例えば画面の下半分にターミナルを表示して、上半分でノートブックを開いたまま、パッケージのインストールやGitコマンドを実行するといったことが可能です。
コンソール(対話型のPythonシェル)も簡単に開けるので、ちょっとしたコードの動作確認がすぐにできますね。
5. セルの操作性
Jupyter Notebook
セルの順番を変えるには、ツールバーのボタンを何度もクリックする必要があります。
JupyterLab
セルの左側をドラッグ&ドロップするだけで、簡単に順番を入れ替えられます。
別のノートブックへのコピー&ペーストも、ドラッグで直感的に行えます。長いノートブックを整理するときに、この機能はとても便利です。
6. マークダウンのプレビュー機能
Jupyter Notebook
マークダウンセルを実行すると、レンダリング(表示)されます。拡張機能を入れないと、リアルタイムプレビューはできません。
JupyterLab
マークダウンファイル(.md)を開くと、自動的にプレビューが表示されます。
編集画面とプレビューを並べて表示できるので、ドキュメント作成がしやすいです。シンタックスハイライト(色分け)も標準で効くので、マークダウンの構文が見やすくなっています。
7. 目次機能
Jupyter Notebook
標準では目次機能がありません。拡張機能をインストールすれば追加できます。
JupyterLab
左側のサイドバーに目次パネルがあります。
ノートブック内の見出し(マークダウンの#で書いた部分)を自動的に抽出して、クリックするとその場所にジャンプできます。長いノートブックの構造を把握したり、特定のセクションにすぐに移動したりするのに便利ですよ。
8. テーマ・外観のカスタマイズ
Jupyter Notebook
デフォルトでは明るい(ライト)テーマのみです。ダークテーマを使いたい場合は、拡張機能のインストールと設定が必要になります。
JupyterLab
メニューの「Settings」から簡単にダークテーマに切り替えられます。
手順は:
- 「Settings」をクリック
- 「Theme」を選択
- 「JupyterLab Dark」を選択
これだけです。目に優しいダークモードで作業したい方には嬉しい機能ですね。
9. 拡張機能の統合性
Jupyter Notebook
拡張機能(extensions)は豊富に存在しますが、それぞれ独立していて、統合感は低めです。
JupyterLab
拡張機能が画面やワークフローにより深く統合されています。
例えば:
- Git連携(jupyterlab-git)
- 変数インスペクター(jupyterlab-variableInspector)
- コードフォーマッター(jupyterlab-code-formatter)
などの拡張機能を入れると、サイドバーやメニューに機能が追加されて、シームレスに使えます。
拡張機能マネージャーも内蔵されているので、インストールや管理も簡単です。
10. リアルタイムコラボレーション
Jupyter Notebook
リアルタイムでの共同編集機能はありません。複数人で作業する場合は、ファイルをやり取りする必要があります。
JupyterLab
バージョン4.0以降では、「jupyter-collaboration」という拡張機能を使うことで、リアルタイムで複数人が同時に編集できます。
Google Docsのように、他の人のカーソル位置が見えたり、同時に編集したりできるようになります。ただし、細かい権限設定や監査ログのような機能はまだ限定的です。
チームでデータ分析をする場合には、この機能が役立ちますね。
11. パフォーマンス
Jupyter Notebook
軽量でシンプルなので、古いパソコンでもサクサク動きます。
JupyterLab
多機能な分、JavaScriptの読み込みが多く、やや重めです。特に大きなノートブックや多くの拡張機能を入れると、動作が遅くなることがあります。
とはいえ、最近のパソコンであれば、ほとんど問題なく動くでしょう。
12. ファイル形式のサポート
Jupyter Notebook
基本的にはノートブック(.ipynb)専用です。
JupyterLab
ノートブック以外にも、様々なファイル形式に対応しています:
- マークダウン(.md)
- Python(.py)
- JSON(.json)
- CSV(.csv)
- HTML(.html)
- JavaScript(.js)
- CSS(.css)
これらのファイルを開いて編集したり、プレビューしたりできます。
CSVファイルを表形式で確認したり、JSONファイルをきれいに整形して表示したりできるのは便利ですよ。
JupyterLabとJupyter Notebookの互換性

「じゃあ、JupyterLabに移行したら、今までのノートブックは使えなくなるの?」
安心してください。完全に互換性があります。
同じファイル形式(.ipynb)を使用
JupyterLabとJupyter Notebookは、どちらも同じ.ipynb形式のノートブックファイルを使います。
つまり:
- Jupyter Notebookで作ったファイルを、JupyterLabで開ける
- JupyterLabで作ったファイルを、Jupyter Notebookで開ける
どちらで作業しても、ファイルには互換性があるので安心です。
簡単に切り替えられる
もっと言えば、Jupyter NotebookからJupyterLabへの切り替えは超簡単です。
切り替え方法:
- Jupyter Notebookを起動する
- ブラウザのURLを見る(末尾が「/tree」になっているはず)
- 「/tree」を「/lab」に変更する
- Enterキーを押す
これだけです!
逆に、JupyterLabから「/lab」を「/tree」に変えれば、Jupyter Notebookに戻れます。
つまり、同じサーバーで両方使い分けることもできるんですね。
それぞれのメリット・デメリット
ここで、JupyterLabとJupyter Notebookそれぞれの長所と短所を整理しておきましょう。
Jupyter Notebookのメリット
シンプルで学習コストが低い
初心者でもすぐに使い始められます。機能が限られている分、迷うことが少ないですね。
軽量で動作が速い
古いパソコンやスペックの低い環境でも、サクサク動きます。
実績と安定性
2011年から使われている実績があり、非常に安定しています。
教育用途に最適
プログラミングを学ぶときや、講義で使うときなど、シンプルな方が混乱しません。
Jupyter Notebookのデメリット
複数ファイルの操作が面倒
ブラウザのタブが増えまくって、管理が大変です。
画面分割ができない
データを見ながらコードを書く、といった作業がやりにくいです。
ファイル管理機能が弱い
ノートブックを開いている間は、ファイルブラウザに戻らないとファイル操作ができません。
拡張機能の統合性が低い
便利な拡張機能はありますが、バラバラで一貫性がない感じです。
JupyterLabのメリット
多機能で効率的
画面分割、タブ、ターミナル統合など、作業効率を上げる機能が満載です。
IDE的な作業環境
本格的な開発やデータ分析に適した環境が整っています。
ファイル管理が楽
ファイルブラウザが常に表示されているので、ファイル操作がスムーズです。
拡張性が高い
様々な拡張機能を追加して、自分好みの環境にカスタマイズできます。
将来性がある
Jupyterプロジェクトが今後注力していくのはJupyterLabなので、新機能はこちらに追加されていきます。
チーム作業に向いている
リアルタイムコラボレーション機能もあり、複数人での作業がしやすいです。
JupyterLabのデメリット
学習コストがやや高い
機能が多い分、最初は戸惑うかもしれません。
やや重い
Jupyter Notebookに比べると、動作がやや重めです。
初心者には複雑に見える
シンプルさを求める初心者には、機能が多すぎると感じるかもしれません。
どちらを選ぶべき?使い分けのポイント
「結局、どっちを使えばいいの?」という疑問にお答えします。
Jupyter Notebookがおすすめの人
こんな人に向いています:
- プログラミングやデータ分析を始めたばかりの初心者
- シンプルで分かりやすいツールが好きな人
- 1つのノートブックで完結する小規模な分析をする人
- 古いパソコンやスペックの低い環境で作業する人
- 教育現場で学生に教える先生
- すぐに使い始めたい人(学習コストをかけたくない)
具体的な使用例:
- データ分析の勉強をする
- Kaggleのチュートリアルをやってみる
- 簡単なデータの可視化を試す
- プログラミングの授業で使う
- ちょっとしたデータの確認や集計
JupyterLabがおすすめの人
こんな人に向いています:
- データ分析やプログラミングに慣れてきた中級者以上
- 複数のファイルを同時に扱う複雑なプロジェクトをする人
- チームで共同作業をする人
- より効率的な作業環境を求める人
- Pythonスクリプトやデータファイルも一緒に扱う人
- 将来性のあるツールを使いたい人
具体的な使用例:
- 本格的な機械学習プロジェクト
- 複数のデータソースを扱う分析
- データの前処理からモデル構築までの一連の作業
- Pythonスクリプトとノートブックを併用する開発
- チームでのデータ分析プロジェクト
両方使い分けるのもあり
実は、状況に応じて両方を使い分けるのもおすすめです。
例えば:
- ちょっとした確認や実験: Jupyter Notebook
- 本格的なプロジェクト作業: JupyterLab
このように使い分けると、それぞれの良いところを活かせますね。
インストール方法と起動方法
「使ってみたい!」と思った方のために、簡単にインストール方法もご紹介します。
インストール方法
どちらもPythonのパッケージとして提供されているので、pipやcondaでインストールできます。
pipを使う場合:
# Jupyter Notebookのインストール
pip install notebook
# JupyterLabのインストール
pip install jupyterlab
Anaconda/Minicondaを使う場合:
# Jupyter Notebookのインストール
conda install notebook
# JupyterLabのインストール
conda install jupyterlab
起動方法
インストール後は、コマンドラインから起動します。
Jupyter Notebookの起動:
jupyter notebook
JupyterLabの起動:
jupyter lab
どちらも、コマンドを実行すると自動的にブラウザが開いて、画面が表示されます。
仮想環境での使用をおすすめ
プロジェクトごとに仮想環境を作って、その中でJupyterを使うのがおすすめです。
venvを使う場合:
# 仮想環境の作成
python -m venv myenv
# 仮想環境の有効化(Windows)
myenv\Scripts\activate
# 仮想環境の有効化(Mac/Linux)
source myenv/bin/activate
# Jupyterのインストール
pip install jupyterlab
# 起動
jupyter lab
これで、パッケージの競合を避けつつ、クリーンな環境で作業できます。
よくある質問
Q1. JupyterLabに移行すると、Jupyter Notebookは使えなくなる?
いいえ、両方とも同時にインストールして使えます。状況に応じて使い分けることもできますよ。
Q2. JupyterLabの方が将来性がある?
はい。Jupyterプロジェクトチームは、JupyterLabを今後のメインのインターフェースとして開発しています。新機能はJupyterLabに追加されていく予定です。
Q3. 既存のJupyter Notebookファイルは、JupyterLabでそのまま使える?
はい、完全に互換性があります。同じ.ipynb形式なので、どちらでも開いて編集できます。
Q4. JupyterLabは重くて遅い?
多機能な分、Jupyter Notebookよりは若干重めですが、最近のパソコンであればほとんど問題ありません。大量の拡張機能を入れすぎると遅くなることはあります。
Q5. Google ColabやKaggle Kernelsとの関係は?
Google ColabやKaggle Kernelsは、Jupyter Notebookをベースにしたクラウドサービスです。ローカルで動かすJupyterLabやJupyter Notebookとは別物ですが、基本的な使い方は似ています。
Q6. VSCodeでもJupyterが使えるって本当?
本当です。Visual Studio Code(VSCode)には、Jupyterの拡張機能があります。VSCodeでノートブックを開いて編集・実行できるので、VSCodeに慣れている人にはこちらも選択肢になりますね。
Q7. 初心者は絶対Jupyter Notebookから始めるべき?
必ずしもそうではありません。最初から本格的にデータ分析を学びたいなら、JupyterLabから始めても大丈夫です。ただし、シンプルさを重視するなら、Jupyter Notebookの方が取っ付きやすいでしょう。
まとめ:自分に合ったツールを選ぼう
JupyterLabとJupyter Notebookの違いについて、詳しく見てきました。
重要なポイントをおさらい:
- JupyterLabは、Jupyter Notebookの次世代版・後継機
- 主な違いは、インターフェースと機能の豊富さ
- Jupyter Notebookはシンプルで軽量、初心者向き
- JupyterLabは多機能でIDE的、複雑なプロジェクト向き
- どちらも同じ.ipynbファイルを使うので互換性がある
- URL変更だけで簡単に切り替えられる
どちらが「良い」「悪い」ということではなく、それぞれに適した用途があります。
選び方の基本:
- 初心者、シンプルな作業 → Jupyter Notebook
- 中級者以上、複雑なプロジェクト → JupyterLab
迷ったら、まずは両方試してみるのがおすすめです。どちらも無料ですし、インストールも簡単ですからね。
実際に使ってみて、自分の作業スタイルに合う方を選びましょう。また、最初はJupyter Notebookで始めて、慣れてきたらJupyterLabに移行するというのも良い選択です。
データ分析やPythonプログラミングを楽しむために、自分にぴったりのツールを見つけてくださいね!

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