iPhoneの調子が悪い、売却したい、機種変更する…そんな時に必要になるのが「リセット」です。
でも「リセット」「初期化」「再起動」って、何がどう違うの?と混乱していませんか?
この記事では、iPhoneのリセット方法の種類と、それぞれの正しい手順を分かりやすく解説していきます。状況に合わせた最適な方法が選べるようになりますよ。
iPhoneの「リセット」には3種類ある
実は、iPhoneの「リセット」には大きく分けて3つの種類があります。
それぞれ目的も効果も違うので、まずは基本を理解しておきましょう。
1. 再起動(ソフトリセット)
電源を一度切って、再び入れ直す操作です。
データは一切消えません。動作が重くなった時や、ちょっとした不具合を解消したい時に使います。
2. 設定のリセット
特定の設定だけを初期状態に戻す操作です。
写真やアプリなどのデータは残ります。Wi-Fiの接続がおかしい時や、キーボードの変換学習をリセットしたい時などに便利です。
3. 初期化(完全リセット)
iPhoneを工場出荷時の状態に戻す操作です。
すべてのデータと設定が削除されます。売却や譲渡する時、または深刻な不具合がある時に実行します。
【基本】iPhoneを再起動する方法
まずは一番シンプルな再起動から見ていきましょう。
動作が重い、アプリが固まった、といった軽い不具合なら、再起動で解決することが多いです。
通常の再起動(電源オフ→オン)
iPhone X以降(Face ID搭載機種)の場合:
- サイドボタンと音量ボタン(上または下)を同時に長押し
- 「スライドで電源オフ」が表示されたら、スライドして電源を切る
- 画面が真っ暗になったら、サイドボタンを長押しして再起動
iPhone 8以前(ホームボタン搭載機種)の場合:
- サイドボタン(または上部ボタン)を長押し
- 「スライドで電源オフ」が表示されたら、スライドして電源を切る
- 画面が真っ暗になったら、同じボタンを長押しして再起動
これだけで、多くの軽い不具合は解消されます。
強制再起動(ハードリセット)
画面が固まって操作できない時は、強制再起動が必要です。
iPhone 8以降の場合:
- 音量上ボタンを素早く押して離す
- 音量下ボタンを素早く押して離す
- サイドボタンを、Appleロゴが表示されるまで長押し
iPhone 7シリーズの場合:
- 音量下ボタンとサイドボタンを同時に長押し
- Appleロゴが表示されるまで押し続ける
iPhone 6s以前の場合:
- ホームボタンとサイドボタン(または上部ボタン)を同時に長押し
- Appleロゴが表示されるまで押し続ける
強制再起動でもデータは消えないので安心してください。
【中級】設定だけをリセットする方法
データを残したまま、特定の設定を初期状態に戻せます。
問題のある設定だけをリセットできるので、とても便利な機能です。
リセットできる項目一覧
iPhoneでは、次の項目を個別にリセットできます。
- すべての設定をリセット
- ネットワーク設定をリセット
- キーボードの変換学習をリセット
- ホーム画面のレイアウトをリセット
- 位置情報とプライバシーをリセット
- すべてのeSIMを削除
リセットの基本手順
設定のリセットは、以下の手順で行います。
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「転送またはiPhoneをリセット」をタップ
- 「リセット」をタップ
- リセットしたい項目を選択
- パスコードを入力
これで選択した設定が初期状態に戻ります。
すべての設定をリセット
ネットワーク設定、キーボードの変換学習、位置情報の設定など、すべての設定が初期状態に戻ります。
ただし、写真やアプリ、音楽などのデータは削除されません。不具合が起きている時に試してみる価値があります。
ネットワーク設定をリセット
Wi-Fiが頻繁に切れる、Bluetoothがうまくつながらない、といった通信関係のトラブルに効果的です。
リセットすると、保存されているWi-Fiのパスワードが削除されるので、再接続時に入力し直す必要があります。
キーボードの変換学習をリセット
入力中に表示される予測変換がおかしくなった時に使います。
自分で追加した単語だけが削除され、標準の辞書は残ります。
ホーム画面のレイアウトをリセット
ホーム画面のアプリ配置を、購入時の状態に戻せます。
整理し直したい時や、標準の配置に戻したい時に便利です。
【上級】iPhoneを完全初期化する方法
売却や譲渡する時、または深刻な不具合がある時は、完全初期化が必要です。
すべてのデータが削除されるので、必ず事前準備をしてから実行しましょう。
初期化前に必ずやるべき5つのこと
初期化は取り返しがつかない操作です。以下の準備を必ず済ませてください。
1. データのバックアップを取る
写真、連絡先、アプリのデータなど、大切な情報を保存しておきましょう。
iCloudでバックアップする方法:
- Wi-Fiに接続する
- 「設定」→自分の名前→「iCloud」をタップ
- 「iCloudバックアップ」をタップ
- 「今すぐバックアップを作成」をタップ
容量が足りない場合は、有料プラン「iCloud+」へのアップグレードを検討しましょう。
2. iCloudからサインアウトする
iPhoneを手放す場合は、必ずiCloudからサインアウトしてください。
サインアウトすると、「iPhoneを探す」機能も自動的にオフになります。
3. Apple Watchのペアリングを解除する
Apple Watchを使っている場合は、ペアリングを解除しておきます。
Watchアプリを開いて、「すべてのWatchを表示」から解除できます。
4. iMessageの登録を解除する(Androidに機種変更する場合)
iPhoneからAndroidに乗り換える場合は、iMessageの登録解除が必要です。
これをしないと、他のiPhoneユーザーからのメッセージが届かなくなる可能性があります。
「設定」→「メッセージ」で、iMessageをオフにしましょう。
5. eSIMの扱いを決める
eSIMを使っている場合、削除するか保持するかを選べます。
同じiPhoneを引き続き使う場合は保持、手放す場合は削除を選択してください。削除すると、通信会社への再発行手続きが必要になります。
初期化の基本手順
準備が整ったら、いよいよ初期化を実行します。
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「転送またはiPhoneをリセット」をタップ
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」をタップ
- 「続ける」をタップ
- eSIMを使っている場合、削除するか保持するか選択
- 「iPhoneを消去」をタップ
- パスコードを入力
- 「アップロードを完了してから消去」または「今すぐ消去」を選択
- Apple IDのパスワードを入力して「オフにする」をタップ
数分で初期化が完了し、「こんにちは」という画面が表示されます。
パスコードを忘れた場合の初期化方法
パスコードが分からなくても、iPhoneは初期化できます。
パソコンを使わない方法(iOS 15.2以降):
- パスコードを何度も間違えて入力する
- 「iPhoneは使用できません」と表示されたら、「パスコードをお忘れですか?」をタップ
- 「iPhoneのリセットを開始」をタップ
- Apple IDのパスワードを入力
- 画面の指示に従って初期化を完了
パソコンを使う方法:
WindowsならiTunes、MacならFinderを使って、リカバリーモードから初期化できます。ただし、この方法は少し複雑なので、Apple公式サポートページを参照してください。
初期化後のデータ復元方法
初期化したiPhoneにデータを戻す方法を説明します。
iCloudバックアップから復元する
初期設定の途中で復元できます。
- 「こんにちは」画面から初期設定を進める
- 「Appとデータ」画面で「iCloudバックアップから復元」を選択
- Apple IDでサインイン
- 復元したいバックアップを選択
Wi-Fi環境で行うと、スムーズに復元できます。
新しいiPhoneとして設定する
まっさらな状態から始めたい場合は、「新しいiPhoneとして設定」を選びましょう。
アプリは自分で再インストールし、設定も一から行う必要がありますが、クリーンな状態でスタートできます。
初期化できない時の対処法
初期化がうまくいかない場合の解決方法です。
iOSを最新版にアップデートする
古いバージョンのiOSだと、初期化が正常に動作しないことがあります。
「設定」→「一般」→「ソフトウェア・アップデート」で最新版にしてから、もう一度試してみましょう。
ストレージ容量を確保する
容量がいっぱいだと初期化できない場合があります。
不要な写真やアプリを削除して、空き容量を作ってから実行してください。
充電しながら実行する
バッテリー残量が少ないと、途中で中断される可能性があります。
電源に接続した状態で初期化を行いましょう。
Appleサポートに相談する
何度試してもうまくいかない場合は、Appleの公式サポートに問い合わせてください。
専門のスタッフが適切な解決方法を案内してくれます。
どのリセット方法を選ぶべき?
状況別に、最適なリセット方法をまとめました。
アプリが固まった・動作が重い
おすすめ: 通常の再起動または強制再起動
データは消えないので、気軽に試せます。
Wi-FiやBluetoothがつながらない
おすすめ: ネットワーク設定をリセット
通信関係のトラブルは、これで解決することが多いです。
予測変換がおかしい
おすすめ: キーボードの変換学習をリセット
変な予測変換が出なくなります。
設定をミスして戻したい
おすすめ: すべての設定をリセット
写真やアプリは残るので安心です。
iPhoneを売却・譲渡する
おすすめ: すべてのコンテンツと設定を消去(完全初期化)
個人情報を守るため、必ず実行してください。
深刻な不具合があって直らない
おすすめ: すべてのコンテンツと設定を消去(完全初期化)
バックアップを取ってから実行し、その後復元すれば、クリーンな状態で使えます。
よくある質問
iPhoneのリセットについて、よく寄せられる質問に答えます。
Q. 初期化するとどのくらい時間がかかる?
通常は5〜10分程度です。
ただし、ストレージ容量やiPhoneの状態によって、もう少し時間がかかる場合もあります。
Q. 初期化を途中でキャンセルできる?
できません。
一度開始すると中断できないので、必ず事前準備を完了させてから実行しましょう。
Q. SIMカードのデータも消える?
物理的なSIMカードの情報は消えません。
ただし、eSIMの場合は削除を選択すると消去されます。
Q. LINEのトーク履歴も消える?
iPhoneから削除されます。
LINEのトーク履歴を残したい場合は、LINE内でバックアップを取っておく必要があります。
Q. 初期化後に前の状態に戻せる?
バックアップがあれば復元できます。
バックアップがない場合、データを取り戻すことはできません。
Q. 初期化してもApple IDは残る?
Apple IDのアカウント自体は削除されません。
ただし、iPhoneからはサインアウトした状態になります。
Q. 中古で買ったiPhoneが初期化できない
前の持ち主がアクティベーションロックをオフにしていない可能性があります。
前の持ち主に連絡して、ロックを解除してもらう必要があります。
まとめ
iPhoneのリセットには、再起動・設定のリセット・完全初期化の3種類があります。
軽い不具合なら再起動、特定の設定に問題があるなら部分的なリセット、売却や深刻なトラブルなら完全初期化を選びましょう。
完全初期化する際は、必ずバックアップを取ることを忘れないでください。データが消えてからでは手遅れです。
この記事を参考に、状況に合った最適なリセット方法を選んで、iPhoneを快適に使い続けてくださいね。


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