iPhoneで電話をかけたり、ボイスメモを録音したり、ビデオ通話をしたりするとき、マイクは欠かせない存在です。でも「アプリでマイクが使えない」「相手に声が聞こえないと言われた」「マイクの設定がどこにあるかわからない」といった悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
実は、iPhoneのマイク設定は意外と奥が深くて、アプリごとのアクセス許可設定、マイクモードの選択、音声入力の設定など、知っておくと便利な機能がたくさんあるんです。
この記事では、iPhoneのマイク設定について基本から応用まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。マイクが使えなくて困っている人も、より快適にマイクを使いたい人も、ぜひ参考にしてくださいね。
iPhoneのマイクの基本知識

まずはiPhoneのマイクについて基本的なことを理解しておきましょう。
iPhoneに搭載されているマイクの位置
iPhoneには複数のマイクが搭載されています。
主なマイクの位置:
- 底面マイク: iPhoneの下部(Lightningポート/USB-Cポートの横)
- 前面マイク: 画面側の上部(インカメラの近く)
- 背面マイク: iPhoneの背面、カメラの近く
それぞれのマイクが異なる役割を持っていて、状況に応じて使い分けられています。
マイクの役割:
- 通話時: 主に底面マイクが使われる
- 動画撮影時: 背面マイクと底面マイクが使われる
- FaceTime通話時: 前面マイクが使われる
- ノイズキャンセリング: 複数のマイクが協力して周囲の雑音を除去
マイクを使うアプリ
以下のようなアプリでマイクが使われます。
- 電話・FaceTime
- ボイスメモ
- カメラ(動画撮影)
- Siri
- メッセージ(音声メッセージ)
- Zoom、Teams、LINEなどのビデオ通話アプリ
- 音声入力機能を使うすべてのアプリ
マイクアクセスの許可について
iPhoneでは、プライバシー保護のため、アプリがマイクを使う前に必ず許可を求められます。
初めてアプリがマイクを使おうとすると、「〇〇がマイクへのアクセスを求めています」というポップアップが表示されます。
ここで「許可」を選ぶとそのアプリでマイクが使えるようになり、「許可しない」を選ぶとマイクは使えません。後から設定を変更することもできますよ。
アプリごとのマイクアクセス許可設定
アプリにマイクの使用を許可したり、拒否したりする方法です。
マイクアクセス許可の確認・変更方法
Step 1: 設定アプリを開く
ホーム画面から「設定」アプリをタップします。
Step 2: プライバシーとセキュリティを選択
下にスクロールして「プライバシーとセキュリティ」をタップします。
Step 3: マイクを選択
「マイク」という項目をタップします。
Step 4: アプリごとに設定
マイクへのアクセスを要求したことがあるアプリの一覧が表示されます。
各アプリの右側にあるスイッチで、マイクアクセスのオン/オフを切り替えられます。
- 緑色(オン): アプリはマイクを使用できる
- グレー(オフ): アプリはマイクを使用できない
アプリが一覧に表示されない場合
「マイクアクセスを要求したアプリがここに表示されます」というメッセージだけで、使いたいアプリが表示されない場合があります。
原因と対処法:
原因1: アプリがまだマイクを使おうとしていない
アプリを開いて、実際にマイクを使う機能を試してみてください。すると許可のポップアップが表示され、その後一覧に追加されます。
原因2: スクリーンタイムで制限されている
スクリーンタイムの設定で、マイクの変更が制限されている可能性があります。後ほど詳しく解説します。
原因3: アプリの不具合
アプリに問題がある場合、以下を試してみましょう。
- アプリを完全に終了して再起動する
- iPhoneを再起動する
- アプリを削除して再インストールする
再インストール後、アプリを開いて、マイクを使う機能を試してみてください。
個別アプリの設定からマイクアクセスを変更する
別の方法として、アプリ個別の設定画面から変更することもできます。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 下にスクロールして、設定を変更したいアプリを見つける
- アプリ名をタップ
- 「マイク」のスイッチをオン/オフに切り替える
ただし、すべてのアプリでこの方法が使えるわけではありません。
マイクモードの設定(声を分離・ワイドスペクトル)
iOS 15以降では、通話中や録音中にマイクモードを切り替えられます。
マイクモードとは?
マイクモードは、マイクが音を拾う方法を変更する機能です。
利用可能なモード:
標準:
通常のマイク動作です。周囲の音もすべて拾います。
声を分離:
自分の声だけを優先的に拾い、周囲の雑音を遮断します。カフェや騒がしい場所での通話に最適です。
ワイドスペクトル:
周囲の音も含めて広範囲の音を拾います。音楽を共有したり、周囲の状況を伝えたいときに便利です。
自動:
通話や録音の種類に応じて、最適なマイクモードを自動で選択します。
マイクモードの切り替え方法
Step 1: 通話中または録音中にコントロールセンターを開く
画面の右上隅から下にスワイプします(ホームボタン搭載機種は下から上にスワイプ)。
Step 2: アプリコントロールをタップ
「[アプリ名]コントロール」と表示されている部分をタップします。
たとえば、FaceTime通話中なら「FaceTimeコントロール」と表示されます。
Step 3: マイクモードを選択
「オーディオとビデオ」セクションで、希望のマイクモードをタップして選択します。
対応機種
マイクモード機能が使えるのは以下の機種です。
iPhone:
- iPhone XR以降のすべてのモデル
iPad:
- iPad(第8世代)以降
- iPad Pro 11インチ(全モデル)
- iPad Pro 12.9インチ(第3世代)以降
- iPad Pro 13インチ(M4)
- iPad Air(第3世代)以降
- iPad mini(第5世代)以降
どのモードを使うべき?
声を分離がおすすめの場面:
- カフェや駅など騒がしい場所での通話
- 自分の声だけをクリアに伝えたいとき
- リモート会議やオンライン授業
ワイドスペクトルがおすすめの場面:
- 音楽を一緒に聴きながら通話したいとき
- 周囲の雰囲気も伝えたいとき(コンサート会場など)
- 複数人での会話を録音するとき
標準または自動がおすすめの場面:
- 静かな室内での通話
- 特に問題がない普通の状況
音声入力の設定
キーボードの代わりに音声でテキストを入力する機能の設定です。
音声入力を有効にする方法
Step 1: 設定アプリを開く
ホーム画面から「設定」をタップします。
Step 2: 一般を選択
「一般」をタップします。
Step 3: キーボードを選択
「キーボード」をタップします。
Step 4: 音声入力をオンにする
「音声入力」のスイッチをオン(緑色)にします。
これで、キーボード上にマイクアイコンが表示されるようになります。
音声入力の使い方
Step 1: キーボードを表示
メモやメッセージなど、テキストを入力できるアプリでキーボードを表示します。
Step 2: マイクアイコンをタップ
キーボードの下部にあるマイクアイコンをタップします。
Step 3: 話す
マイクがハイライト表示されている状態で話すと、音声が自動的にテキストに変換されます。
Step 4: 入力を停止
もう一度マイクアイコンをタップすると、音声入力が停止します。
音声入力の言語を変更する
音声入力で使用する言語を切り替えられます。
方法1: カーソルから切り替え
- 音声入力中、カーソル上の言語表示(「あ」など)をタップ
- 使用可能な言語の一覧が表示される
- 希望の言語を選択
方法2: キーボードを切り替える
- 地球儀アイコンをタップしてキーボードを切り替える
- 使いたい言語のキーボードに変更
- マイクアイコンをタップして音声入力開始
音声入力言語の追加
手順:
- 「設定」→「一般」→「キーボード」を開く
- 「音声入力言語」をタップ
- 追加したい言語にチェックマークを付ける
複数の言語を有効にしておくと、簡単に切り替えられて便利です。
スクリーンタイムでのマイク制限
お子さんのiPhoneなど、マイクの使用を制限したい場合の設定です。
マイクアクセスを制限する方法
Step 1: 設定アプリを開く
ホーム画面から「設定」をタップします。
Step 2: スクリーンタイムを選択
「スクリーンタイム」をタップします。
Step 3: コンテンツとプライバシーの制限を選択
「コンテンツとプライバシーの制限」をタップします。
オフになっている場合は、オンに切り替えます。
Step 4: マイクを選択
下にスクロールして「マイク」をタップします。
Step 5: 制限を設定
以下の3つから選択できます。
- 許可: すべてのアプリがマイクを使用できる
- 変更を許可しない: 現在の設定を変更できなくする
- 許可しない: すべてのアプリでマイクを使用不可にする
制限がかかっているときの解除方法
スクリーンタイムでマイクが制限されていると、プライバシー設定のマイク一覧が変更できなくなります。
解除手順:
- 「設定」→「スクリーンタイム」を開く
- 「コンテンツとプライバシーの制限」をタップ
- スクリーンタイムパスコードを入力(設定している場合)
- 「マイク」をタップ
- 「変更を許可」を選択
これで、アプリごとのマイク設定が変更できるようになります。
マイクが機能しない場合のトラブルシューティング

マイクがうまく動作しない場合の対処法です。
基本的なチェック項目
まずは以下を確認しましょう。
1. 通話中の消音モードを確認
電話中に相手に声が聞こえない場合、消音モードになっていることがあります。
通話画面の左下にマイクアイコンがあり、斜線が入っていたらオン(消音)になっています。タップしてオフにしましょう。
2. マイクの穴が塞がれていないか確認
- 保護フィルムやケースがマイクの穴を塞いでいないか
- ゴミやホコリが詰まっていないか
- iPhone購入時の保護シートが残っていないか
つまようじや柔らかいブラシで、優しく掃除してみてください。
3. Bluetooth接続を確認
Bluetoothイヤホンやヘッドセットがつながっていると、そちらのマイクが優先されます。
「設定」→「Bluetooth」でオフにするか、Bluetooth機器の接続を解除してみましょう。
ボイスメモでマイクをテストする
マイクが正常に動作するか確認する方法です。
Step 1: ボイスメモアプリを開く
iPhoneに標準で入っている「ボイスメモ」アプリを開きます。
Step 2: 録音する
赤い録音ボタンをタップし、iPhoneの底面に向かって話します。
Step 3: 停止して再生
停止ボタンをタップし、録音した音声を再生します。
確認ポイント:
- 音声がクリアに聞こえる → マイクは正常
- 音声が小さい、こもっている、聞こえない → マイクに問題がある可能性
カメラアプリでマイクをテストする
動画撮影時のマイクを確認します。
Step 1: カメラアプリで動画撮影
- カメラアプリを開く
- 「ビデオ」モードに切り替える
- 録画ボタンをタップ
- iPhoneの底面に向かって話す
- 停止ボタンをタップ
Step 2: カメラを切り替えて再テスト
- カメラ切り替えボタンをタップ
- フロントカメラ(インカメラ)に切り替える
- 再度動画を撮影
- iPhoneの上部に向かって話す
Step 3: 動画を再生
両方の動画を再生して、音声が正常に録音されているか確認します。
アプリのアクセス許可を再確認
手順:
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「マイク」を開く
- 問題のあるアプリが有効(緑色)になっているか確認
- オフになっていたらオンに切り替える
アプリが一覧に表示されない場合は、アプリを開いてマイクを使う機能を試してみましょう。
iPhoneを再起動する
一時的な不具合なら、再起動で解決することがあります。
Face ID搭載iPhone:
- 音量ボタン(どちらか)とサイドボタンを同時に長押し
- 「スライドで電源オフ」が表示されたらスライド
- 電源が切れたら、サイドボタンを長押しして起動
ホームボタン搭載iPhone:
- サイドボタン(または上部ボタン)を長押し
- 「スライドで電源オフ」をスライド
- 電源が切れたら、同じボタンを長押しして起動
iOSを最新バージョンに更新
古いバージョンのiOSにバグがある場合、アップデートで解決することがあります。
手順:
- 「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」を開く
- 利用可能なアップデートがあれば「ダウンロードしてインストール」をタップ
- 指示に従ってアップデート
すべての設定をリセット(最終手段)
上記すべてを試しても解決しない場合の最終手段です。
手順:
- 「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」を開く
- 「リセット」をタップ
- 「すべての設定をリセット」を選択
- パスコードを入力して確認
注意:
この操作では、Wi-Fiパスワード、壁紙、通知設定などがリセットされますが、データ(写真、アプリなど)は削除されません。
マイク使用中のインジケーター
iOS 14以降では、マイクやカメラが使用されているとインジケーターが表示されます。
インジケーターの種類
オレンジ色の点:
マイクが使用されていることを示します。画面右上に小さなオレンジ色の点が表示されます。
緑色の点:
カメラ、またはカメラとマイクの両方が使用されていることを示します。
インジケーターの確認方法
オレンジ色や緑色の点が表示されたら、コントロールセンターを開くと、どのアプリがマイクやカメラを使っているか確認できます。
画面の右上から下にスワイプすると、最近マイクやカメラを使ったアプリが表示されます。
プライバシー保護に役立つ
このインジケーターのおかげで、知らない間にアプリがマイクを使っていることに気づけます。
怪しいアプリがマイクを使っていたら、すぐにマイクアクセスをオフにしましょう。
よくある質問
Q: マイクの音量を調整できる?
A: iPhoneのマイクには音量調整機能はありません。マイクは自動的に最適な音量で録音します。ただし、通話相手が聞く音量は、相手側のボリューム設定で調整できます。
Q: すべてのアプリのマイクアクセスを一度にオフにできる?
A: スクリーンタイムの「コンテンツとプライバシーの制限」→「マイク」で「許可しない」を選択すれば、すべてのアプリでマイクが使えなくなります。ただし、これにより電話やSiriも使えなくなるので注意が必要です。
Q: マイクが故障しているか確認する方法は?
A: ボイスメモアプリで録音して再生してみましょう。音声が正常に録音されていればマイクは故障していません。録音できない、または音が小さい・こもっている場合は、故障の可能性があります。
Q: 外部マイクをiPhoneに接続できる?
A: はい、Lightningポート(または USB-Cポート)やBluetooth経由で外部マイクを接続できます。高音質な録音をしたい場合におすすめです。
Q: 「マイクへのアクセスを求めています」のポップアップを間違えて「許可しない」にしてしまった
A: 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「マイク」から、そのアプリをオンにすれば使えるようになります。
Q: マイクモードはどのアプリでも使える?
A: 電話、FaceTime、カメラ、ボイスメモなど、一部の標準アプリや対応するサードパーティアプリで使えます。すべてのアプリで使えるわけではありません。
Q: 音声入力とSiriの違いは?
A: 音声入力はテキストを入力する機能で、Siriは音声アシスタントです。音声入力はキーボードのマイクアイコンから使い、Siriは「Hey Siri」または サイドボタン長押しで起動します。
Q: マイクの掃除方法は?
A: 柔らかいブラシ(歯ブラシなど)や、つまようじで優しくゴミを取り除きます。強く押し込んだり、水や液体を使ったりしないでください。
Q: 通話時に相手の声は聞こえるが、相手に自分の声が聞こえないと言われる
A: マイクの問題です。ボイスメモで録音テストをし、マイクの穴が塞がれていないか確認し、iPhoneを再起動してみましょう。
まとめ
iPhoneのマイク設定をまとめます。
基本的なマイク設定:
- アプリごとのアクセス許可: 設定→プライバシーとセキュリティ→マイク
- 音声入力: 設定→一般→キーボード→音声入力
- マイクモード: 通話中にコントロールセンター→アプリコントロール→マイクモード選択
マイクモードの使い分け:
- 声を分離: 騒がしい場所での通話、クリアな音声を伝えたいとき
- ワイドスペクトル: 音楽共有、周囲の音も伝えたいとき
- 標準/自動: 通常の通話、特に問題がない場合
マイクが機能しない場合:
- 消音モードがオフになっているか確認
- マイクの穴が塞がれていないか確認
- Bluetooth機器が接続されていないか確認
- ボイスメモアプリでマイクをテスト
- アプリのマイクアクセス許可を確認
- iPhoneを再起動
- iOSを最新版に更新
プライバシー保護:
- オレンジ色の点でマイク使用中がわかる
- 不要なアプリのマイクアクセスはオフにする
- スクリーンタイムで子供のマイク使用を制限できる
アプリが一覧に表示されない場合:
- アプリでマイクを使う機能を試す
- スクリーンタイムの制限を確認
- アプリを再インストール
iPhoneのマイク設定をきちんと理解しておけば、通話やビデオ会議がより快適になりますし、プライバシーも守れます。
マイクが使えなくて困っている場合は、まずボイスメモアプリでテストしてみましょう。それでも解決しない場合は、Appleサポートに相談することをおすすめします。
設定を見直して、iPhoneのマイク機能を最大限に活用してくださいね!

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