「iPhoneのフォントを自分好みに変えたい」と思ったことはありませんか?
実は、iPhoneのフォント変更には大きな誤解があります。システム全体のフォント(設定画面やアプリ名の文字)を自由に変更することは、標準機能ではできません。しかし、フォントサイズや太さの調整、特定のアプリ内でのフォント変更は可能です。
この記事では、iPhoneでフォントについて「できること」と「できないこと」を明確にし、実際にできるカスタマイズ方法を初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
iPhoneのフォント変更:できること・できないこと

まず、混乱を避けるために、iPhoneのフォントについて「できること」と「できないこと」を整理しましょう。
できないこと
❌ システム全体のフォントの種類を変更
- 設定画面の文字
- ホーム画面のアプリ名
- メッセージアプリの文字
- Safariの表示
- メモアプリの文字
- その他、システム標準の文字
これらのフォント種類(明朝体、ゴシック体など)を変更することは、標準機能ではできません。
できること
✅ フォントサイズの変更
文字を大きくしたり小さくしたりできます。
✅ フォントの太さを変更
文字を太字(ボールド)にできます。
✅ 対応アプリ内でのフォント変更
Pages、Keynote、Numbersなどの対応アプリ内では、インストールしたカスタムフォントを使用できます。
✅ メールアプリの一部フォント変更
標準メールアプリでは、プリインストールされているフォントへの変更が可能です。
✅ LINEやInstagramでの装飾文字
特殊文字を使った装飾は、一部のアプリで可能です(ただし、相手にも同じフォントで見えるわけではありません)。
iPhoneのデフォルトフォントは何?
iPhoneが採用している標準フォントは、時代とともに変化してきました。
歴史的変遷
- iPhone 〜 iPhone 3GS:Helvetica
- iPhone 4 以降:Helvetica Neue
- iOS 9 以降:San Francisco(サンフランシスコ)
- iOS 11 以降:SF Pro(開発者向けガイドラインでの呼称)
現在のiPhoneでは、日本語と欧文(英語や数字)で異なるフォントが採用されています。
日本語:ヒラギノ角ゴシック系
欧文(英数字):San Francisco(SF Pro)
このフォントは、可読性が高く、画面サイズに応じて最適化されるよう設計されています。
フォントサイズを変更する方法
システム全体のフォント種類は変更できませんが、サイズは自由に調整できます。
基本的なサイズ変更
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「画面表示と明るさ」をタップ
- 「文字サイズを変更」をタップ
- スライダーをドラッグして好みのサイズに調整
この設定は、メール、連絡先、カレンダー、電話、メモなど、Dynamic Type対応アプリで反映されます。
さらに大きな文字サイズにする
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「アクセシビリティ」をタップ
- 「画面表示とテキストサイズ」をタップ
- 「さらに大きな文字」をタップ
- スイッチをオンにする
- スライダーをドラッグして、通常よりさらに大きいサイズを選択
注意点:
文字を大きくしすぎると、ボタンやその他の機能がタップしづらくなることがあります。使いにくい場合は、サイズを調整し直しましょう。
フォントを太字にする方法
文字を太字(ボールド)にすることで、視認性を高められます。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「アクセシビリティ」をタップ
- 「画面表示とテキストサイズ」をタップ
- 「文字を太くする」をオンにする
- 確認画面が表示されるので「続ける」をタップ
- iPhoneが再起動される
再起動後、システム全体の文字が太字で表示されるようになります。
注意点:
この設定を変更すると、iPhoneが再起動されます。作業中のデータは保存してから設定を変更しましょう。
カスタムフォントをインストールする方法(iOS 13以降)
iOS 13以降では、App Storeからフォントアプリをダウンロードして、対応アプリ内でカスタムフォントを使用できます。
カスタムフォントの仕組み
重要な前提:
- カスタムフォントは「システム全体」には適用されません
- Pages、Keynote、Numbers、一部のメールアプリなど、「対応アプリ内」でのみ使用可能
- ホーム画面やメッセージアプリの文字は変わりません
おすすめフォントアプリ
FontInstall.app
- 明朝やゴシックなど定番フォントが豊富
- ドットや手書き風のフォントもあり
- 試し書き機能で確認できる
AnyFont
- TTF、OTF、TTC形式のフォントファイルに対応
- 外部からフォントをインポート可能
- App Storeで1.99ドル(有料)
iFont
- 豊富なフォントライブラリ
- アプリ内で直接フォントを検索・インストール
- 日本語フォントにも対応
LETTY
- 筆記体や丸文字など、かわいいデザインのフォントが20種類
- 無料で使える
フォントくん
- 入力した文字を自動で別のフォントに変換
- 一文字ずつ異なるフォントの組み合わせも可能
フォントをインストールする手順
例:FontInstall.appを使う場合
- App Storeで「FontInstall.app」を検索してダウンロード
- アプリを起動
- 右上の「+」アイコンをタップ
- 使いたいフォントを選択
- 「インストール」をタップ
- プロファイルのインストール画面が表示される
- 「設定」アプリに移動
- 「プロファイルがダウンロードされました」をタップ
- 「インストール」をタップ
- パスコードを入力(要求された場合)
- 「インストール」をタップして完了
インストールしたフォントを確認する
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「フォント」をタップ
- インストール済みのフォントが一覧表示される
ここで、各フォントの詳細を確認したり、不要なフォントを削除したりできます。
インストールしたフォントを使う方法
インストールしたカスタムフォントは、対応アプリ内で使用できます。
Pagesでフォントを変更する
手順:
- Pagesアプリを起動
- 書類を開く、または新規作成
- 上部のブラシマーク(🖌️)をタップ
- 「テキスト」をタップ
- フォント名をタップ
- インストールしたフォントを選択
Keynoteでフォントを変更する
手順:
- Keynoteアプリを起動
- プレゼンテーションを開く、または新規作成
- テキストボックスを選択
- 上部のブラシマークをタップ
- 「テキスト」タブを選択
- フォント名をタップ
- インストールしたフォントを選択
Numbersでフォントを変更する
手順:
- Numbersアプリを起動
- スプレッドシートを開く、または新規作成
- セルを選択
- 上部のブラシマークをタップ
- 「セル」タブを選択
- フォント名をタップ
- インストールしたフォントを選択
メールアプリでフォントを変更する
標準メールアプリでは、カスタムフォントではなく、プリインストールされているフォントへの変更が可能です。
手順:
- メールアプリを開く
- 右下の「新規メッセージ」をタップ
- 本文入力欄をタップ
- 本文を入力
- 入力したテキストを選択(長押しして範囲選択)
- 表示されるバーから「Aa」をタップ
- 利用可能なフォントから選択
インストールしたフォントを削除する方法
不要になったカスタムフォントは、簡単に削除できます。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「フォント」をタップ
- 削除したいフォントをタップ
- 右上の「削除」をタップ
- 確認画面で「削除」をタップ
これで、フォントとそのプロファイルが削除されます。
LINEやInstagramで文字を装飾する方法
LINEやInstagramでは、システムフォントを変更するのではなく、特殊文字や装飾文字を使うことができます。
注意点
重要:
これらの方法で変更したフォントは、自分の画面で見た時のみ変わります。相手の画面では、相手のフォント設定で表示されるため、送った相手には通常のフォントで表示されます。
特殊文字変換アプリを使う
「フォントくん」などのアプリを使う方法:
- アプリで文字を入力
- 好みのスタイルに変換
- コピーして、LINEやInstagramに貼り付け
これにより、筆記体風や太字風の特殊文字を使えます。
LINEでのフォント設定
LINEアプリ自体の表示フォントは、以下の方法で変更できます(自分の画面のみ)。
手順:
- LINEアプリを開く
- 右下の「ホーム」をタップ
- 右上の歯車アイコン(設定)をタップ
- 「トーク」をタップ
- 「フォントサイズ」で大きさを調整
ただし、フォントの種類(明朝体など)は変更できません。
システムフォント変更は脱獄が必要(非推奨)
iPhone全体のシステムフォントを完全に変更するには、「脱獄(Jailbreak)」という手法が必要です。
脱獄とは
脱獄とは、Appleが設定しているソフトウェアの制限を解除し、通常はできないカスタマイズを可能にする手法です。
脱獄のリスク
❌ 保証が無効になる
Appleの保証が受けられなくなります。
❌ セキュリティリスク
iOSのセキュリティ機能が弱まり、マルウェアの危険性が高まります。
❌ アップデートができない
公式のiOSアップデートが適用できなくなります。
❌ アプリが動作しなくなる可能性
一部のアプリが正常に動作しなくなることがあります。
❌ データ損失のリスク
失敗すると、データが消失する可能性があります。
結論
脱獄は推奨しません。リスクが高く、通常の使用では必要ありません。フォントサイズの調整や、対応アプリ内でのカスタムフォント使用で十分に個性を出せます。
よくある質問
Q1. 設定アプリの「一般」→「フォント」にあるフォントは何ですか?
A. これは「インストール済みのカスタムフォント」を管理する場所です。ここにフォントが表示されているだけでは、システム全体のフォントは変わりません。Pages、Keynoteなどの対応アプリ内で、手動で選択して使用する必要があります。
Q2. iOS 18の「システムフォント」一覧は何のためにあるのですか?
A. iOS 18の設定に表示される「システムフォント」一覧は、iPhoneに元々インストールされているフォントを確認するためのものです。これらのフォントは、対応アプリ内で使用できますが、一覧を見ているだけでシステム全体のフォントが変わるわけではありません。
Q3. メッセージアプリのフォントを変更できますか?
A. 標準のメッセージアプリでは、フォントの種類を変更することはできません。サイズと太さの調整のみ可能です。特殊文字を使った装飾は可能ですが、相手の画面では通常のフォントで表示されます。
Q4. ホーム画面のアプリ名のフォントを変更できますか?
A. 標準機能では変更できません。ホーム画面のアプリ名は、システムフォントで固定されています。変更するには脱獄が必要ですが、リスクが高いため推奨しません。
Q5. 時計のフォントを変更できますか?
A. ロック画面の時計フォントは、標準機能では変更できません。iOS 16以降では、ロック画面のカスタマイズ機能が追加されましたが、フォントの種類変更は含まれていません。サードパーティのウィジェットアプリ(Widgetsmithなど)を使えば、ホーム画面に表示する時計ウィジェットのフォントは変更できます。
Q6. カスタムフォントをインストールすると容量を使いますか?
A. はい、フォントファイルはストレージ容量を消費します。フォントによってサイズは異なりますが、通常は数MBから数十MB程度です。不要なフォントは削除して、容量を節約しましょう。
Q7. フォントアプリは無料ですか?
A. 無料のアプリもあれば、有料のアプリもあります。FontInstall、iFont、LETTYなどは無料で使えるフォントが多いです。AnyFontは1.99ドルの有料アプリですが、外部フォントのインポート機能が充実しています。
Q8. インストールしたフォントはiPadでも使えますか?
A. はい、同じApple IDでサインインしていれば、iPadでも使用できます。ただし、各デバイスで個別にフォントアプリをインストールし、フォントを設定する必要があります。
まとめ
iPhoneのフォント変更について、重要なポイントをまとめます。
できないこと:
- システム全体のフォント種類の変更(設定画面、ホーム画面、メッセージアプリなど)
- これらを変更するには脱獄が必要(非推奨)
できること:
- フォントサイズの変更(設定 > 画面表示と明るさ > 文字サイズを変更)
- フォントの太さを変更(設定 > アクセシビリティ > 文字を太くする)
- 対応アプリ内でのカスタムフォント使用(Pages、Keynote、Numbersなど)
- メールアプリでのプリインストールフォント変更
カスタムフォントの使い方:
- App Storeからフォントアプリをダウンロード(FontInstall、iFont、AnyFontなど)
- アプリ内でフォントをインストール
- 設定 > 一般 > フォントで確認
- 対応アプリ内で手動で選択して使用
iPhoneでは、Androidのようにシステム全体のフォントを自由に変更することはできませんが、サイズや太さの調整、対応アプリ内でのカスタマイズは可能です。
自分の好みに合わせてフォントサイズを調整したり、Pages や Keynote で作る書類にお気に入りのフォントを使ったりして、iPhoneをより快適に使いこなしましょう。
「システムフォント全体を変えたい」という要望は多いですが、現時点ではAppleは対応していません。将来のiOSアップデートで、より柔軟なフォントカスタマイズが可能になることを期待しましょう。

コメント