iPhoneを充電していて「このアクセサリは低速充電の可能性があります」という通知が表示されたことはありませんか?急いでいるときに充電が遅いと、本当にストレスですよね。
実は、iPhoneの低速充電には様々な原因があって、ほとんどの場合は簡単な方法で解除できます。この記事では、低速充電が起こる理由から、すぐに試せる解除方法まで詳しく解説していきます。
低速充電とは?なぜ起こるの?

低速充電の基本知識
低速充電とは、iPhoneの充電速度が通常よりも遅くなっている状態のこと。通常なら1〜2時間でフル充電できるところが、3時間以上かかってしまうような状況です。
iOS 18以降では、「低速充電」というメッセージがロック画面や「設定」→「バッテリー」に表示されるようになりました。このメッセージは、より高出力の充電器を使えば充電速度が改善できる可能性があることを教えてくれています。
ただし、このメッセージが表示されても、iPhone本体や充電器が故障しているわけではありません。単純に「もっと速く充電できるよ」というお知らせなんです。
低速充電と高速充電の違い
| 項目 | 低速充電 | 高速充電 |
|---|---|---|
| 充電速度 | 5〜10W | 18〜30W |
| 0%→50%までの時間 | 約1.5〜2時間 | 約30分 |
| 0%→100%までの時間 | 3時間以上 | 約1.5〜2時間 |
| バッテリーへの負担 | 少ない | やや多い |
| 発熱 | 少ない | やや高め |
iPhone 8以降のモデルは高速充電に対応していて、適切な充電器を使えば30分で約50%まで充電できます。一方、古い5W充電器を使うと、同じ充電量に1.5時間以上かかることも。
低速充電のメリット・デメリット
メリット
- バッテリーの劣化を抑えられる
- 発熱が少なく、本体に優しい
- 就寝時など時間に余裕があるときに最適
- 過充電によるダメージを防げる
デメリット
- 充電に時間がかかる
- 急いでいるときには不便
- 外出前の短時間充電には向かない
iPhoneが低速充電になる9つの原因
1. 充電器の出力不足
最も多い原因が、充電器の出力が低いこと。古い5W充電器や、純正ではない低出力の充電器を使っていると、低速充電になります。
iPhone 15以降をUSB-A充電器で充電すると、最大7.5Wまでしか出ません。これでは高速充電できないんです。
確認方法:
充電器の側面や底面に記載されている「出力」の数値をチェックしましょう。「5V/1A(5W)」と書かれていたら、それが低速充電の原因です。
必要な出力の目安:
- iPhone 8〜iPhone 13:18〜20W以上
- iPhone 14以降:20W以上
- iPhone 15以降:最大27〜30W
2. バッテリー充電の最適化機能
iOS 13以降に搭載された「バッテリー充電の最適化」という機能が、意図的に充電速度を落としている場合があります。
この機能は、iPhoneがあなたの充電パターンを学習して、80%までは高速充電し、それ以降はあなたがiPhoneを使い始める時間まで低速充電するというもの。バッテリーの劣化を防ぐための賢い機能なんです。
特に深夜に充電することが多い人は、朝の起床時間に合わせて充電が完了するよう、自動的に低速充電になります。
3. 充電ケーブルの劣化・破損
見た目は問題なくても、ケーブル内部で断線していたり、接触不良を起こしていたりすることがあります。
長年使っているケーブルは性能が落ちていることが多く、特に折れ曲がりやすい部分(端子の付け根)は要注意。
また、MFi認証を取得していない非純正ケーブルは、安全のために充電速度が制限されることがあります。
4. 本体の温度が高い・低い
iPhoneは本体温度が0〜35℃の範囲を超えると、バッテリー保護のために自動的に充電速度を制限します。
高温時の例:
- 直射日光の当たる場所での充電
- 夏場の車内
- 充電しながらゲームをプレイ
- 厚手のケースをつけたまま充電
低温時の例:
- 冬場の屋外
- エアコンの効いた寒い部屋
5. 充電ポートの汚れ・ホコリ
充電ポートにホコリやゴミが溜まっていると、ケーブルとの接触が悪くなり、充電速度が落ちます。
ポケットやバッグに入れて持ち歩くことが多い人は、特に汚れやすいので要注意。小さなホコリでも、充電の妨げになることがあるんです。
6. バックグラウンドアプリや通信機能
Wi-Fi、Bluetooth、GPS、モバイルデータ通信などが常時稼働していると、バッテリーを消費し続けるため、充電速度が遅くなります。
バックグラウンドでアプリが動いていると、充電しながらもバッテリーを使っている状態になるので、充電の効率が悪くなるんです。
7. バッテリーの劣化
バッテリーの最大容量が80%を下回ると、充電性能が低下します。
「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で、最大容量を確認できます。80%未満になっている場合は、バッテリー交換を検討する時期かもしれません。
8. ワイヤレス充電の使用
ワイヤレス充電は便利ですが、有線充電と比べて充電速度が遅く、発熱も多くなります。
- 標準的なQi充電器: 最大7.5W
- MagSafe充電器: 最大15W
- 有線充電(USB-C): 最大20〜30W
急いで充電したいときは、有線充電に切り替えるのがおすすめ。
9. PCやUSBハブからの充電
パソコンのUSBポートや車のUSBポート、USBハブからの充電は、専用の充電器よりもかなり遅くなります。
一般的なUSBポートの出力は5W程度なので、最新のiPhoneを充電するには力不足なんです。
低速充電を解除する9つの方法

方法1:バッテリー充電の最適化をオフにする
急いで充電したいときは、この機能を一時的にオフにできます。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「バッテリー」をタップ
- 「バッテリーの状態と充電」をタップ
- 「バッテリー充電の最適化」をオフにする
ただし、バッテリーの長寿命化のためには、普段はオンにしておくことをおすすめします。急ぐときだけオフにして、充電後は再びオンに戻しましょう。
注意点:
この機能は充電上限を100%に設定している場合にのみ有効です。80%制限にしている場合は、この設定は表示されません。
方法2:高出力の充電器に交換する
低出力の充電器を使っているなら、20W以上の高出力充電器に交換しましょう。
おすすめの充電器:
- Apple純正20W USB-C電源アダプタ
- Apple純正30W USB-C電源アダプタ
- Anker、Belkinなど信頼できるメーカーの20W以上の充電器
選び方のポイント:
- USB-C端子付き
- 出力が20W以上
- USB Power Delivery(USB-PD)対応
- 信頼できるメーカー製
iPhone 15以降はUSB-Cポートなので、USB-C to USB-Cケーブルと組み合わせて使います。iPhone 14以前はLightningケーブルを使用。
方法3:ケーブルを交換する
充電器だけでなく、ケーブルも重要です。古いケーブルや粗悪な非純正ケーブルは、高速充電の妨げになります。
推奨ケーブル:
- Apple純正ケーブル
- MFi認証取得済みのケーブル(パッケージに「Made for iPhone」のマークがある)
買い替えのサイン:
- 端子部分が変色している
- ケーブルが折れ曲がりやすくなった
- 接続が不安定
- 2年以上使用している
方法4:充電ポートを清掃する
ホコリやゴミを取り除くことで、接続が改善されます。
清掃手順:
- iPhoneの電源を切る
- 木製または プラスチック製の爪楊枝を使う(金属製は絶対NG)
- 充電ポート内のホコリをそっと掻き出す
- エアダスターで吹き飛ばす(あれば)
- 綿棒で優しく拭く
注意:
- 金属製の道具は使わない(ピンが破損する恐れ)
- 強く押し込まない
- 水や液体を使わない
- 自信がない場合は、Appleストアやキャリアショップで清掃してもらう
方法5:機内モードをオンにする
充電中に機内モードをオンにすると、Wi-Fi、Bluetooth、モバイルデータ通信が一斉にオフになり、バッテリー消費が抑えられます。
手順:
- コントロールセンターを開く
- 飛行機マークのアイコンをタップ
または
- 「設定」アプリを開く
- 「機内モード」をオンにする
電源を完全にオフにすると、さらに充電速度がアップします。
方法6:充電中はiPhoneを使わない
充電中にゲームをしたり動画を見たりすると、充電しながらバッテリーを消費することになり、充電効率が大幅に低下します。
充電を遅くする行為:
- ゲームアプリの使用
- 動画のストリーミング再生
- カメラアプリの使用
- 画面の輝度を最大にする
急いで充電したいときは、iPhoneを放置して充電だけに専念させましょう。
方法7:適切な温度環境で充電する
本体が熱くなっている場合の対処法:
- 充電を一時中止する
- iPhoneケースを外す
- 直射日光を避け、涼しい場所に置く
- 扇風機などで緩やかに冷却する(急冷は避ける)
絶対にやってはいけないこと:
- 冷蔵庫や冷凍庫に入れる
- 保冷剤で急速に冷やす
- 水をかける
急激な温度変化は結露を引き起こし、内部を損傷させる危険があります。
本体が冷たくなっている場合は、室温に戻してから充電を開始しましょう。
方法8:iPhoneを再起動する
システムの一時的な不具合で低速充電になっている場合、再起動で解決することがあります。
iPhone X以降の再起動方法:
- 音量上ボタンを押してすぐ離す
- 音量下ボタンを押してすぐ離す
- サイドボタンを長押し
- Appleロゴが表示されたら離す
iPhone 8以前の再起動方法:
- 電源ボタン(またはサイドボタン)を長押し
- 「スライドで電源オフ」が表示されたらスライド
- 電源が切れたら、再び電源ボタンを長押し
方法9:iOSを最新バージョンにアップデート
古いバージョンのiOSにはバグがあり、充電速度に影響することがあります。
アップデート手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「ソフトウェアアップデート」をタップ
- 利用可能なアップデートがあればインストール
アップデート前に、必ずバックアップを取っておきましょう。
【モデル別】iPhoneの推奨充電環境
iPhone 15以降(USB-C搭載モデル)
推奨充電器:
- 20W以上のUSB-C電源アダプタ
- USB Power Delivery(USB-PD)対応
推奨ケーブル:
- USB-C to USB-Cケーブル
- Apple純正またはMFi認証品
最大充電速度:
- iPhone 15/15 Plus:最大27W
- iPhone 15 Pro/Pro Max:最大27W
- iPhone 16シリーズ:最大30W
iPhone 8〜iPhone 14(Lightning搭載モデル)
推奨充電器:
- 18〜20W以上のUSB-C電源アダプタ
推奨ケーブル:
- USB-C to Lightningケーブル
- Apple純正またはMFi認証品
最大充電速度:
- iPhone 8〜iPhone 13:最大18〜20W
- iPhone 14シリーズ:最大20〜27W
iPhone 7以前
推奨充電器:
- 5〜12W USB-A電源アダプタ
推奨ケーブル:
- USB-A to Lightningケーブル
これらのモデルは高速充電に対応していないため、純正の5W充電器で十分です。
低速充電が解除できない場合の対処法
1. すべての対策を順番に試す
一つの方法だけでなく、複数の対策を組み合わせると効果的です。
チェックリスト:
- [ ] 充電器の出力を確認(20W以上か?)
- [ ] ケーブルの状態を確認(破損・劣化はないか?)
- [ ] 充電ポートを清掃
- [ ] バッテリー充電の最適化をオフ
- [ ] 機内モードをオン
- [ ] 充電中は使用を控える
- [ ] 適切な温度環境で充電
- [ ] 再起動を実行
- [ ] iOSを最新版にアップデート
2. バッテリーの状態を確認
「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で、最大容量が80%未満になっている場合は、バッテリー交換を検討しましょう。
バッテリーが劣化していると、新しい充電器を使っても改善しないことがあります。
3. 異なる充電器・ケーブルで試す
友人や家族の充電器を借りて試してみましょう。それで充電速度が改善すれば、あなたの充電器やケーブルに問題があることが分かります。
4. Apple公式サポートに相談
上記すべてを試しても改善しない場合は、本体の故障の可能性があります。
相談先:
- Appleサポートアプリ
- Apple公式サイトのサポートページ
- Apple Store(予約推奨)
- 正規サービスプロバイダ
5. 非正規修理店を利用する場合の注意
正規店より安価ですが、以下のリスクがあります。
デメリット:
- 非純正パーツを使用する場合がある
- Apple保証が無効になる可能性
- 修理後に不具合が出る可能性
信頼できる店舗を選び、事前に評判を確認することが大切です。
低速充電を防ぐための日常的な習慣

充電器・ケーブルの選び方
必須条件:
- Apple純正またはMFi認証品
- 適切な出力(20W以上推奨)
- USB-PD対応
避けるべきもの:
- 出所不明の激安品
- MFi認証のない非純正品
- ダメージのある中古品
適切な充電環境
- 直射日光を避ける
- 通気性の良い場所で充電
- 厚手のケースは充電時に外す
- 布団やソファの上で充電しない
- 適切な室温(20〜25℃程度)を保つ
バッテリーに優しい充電習慣
- 0%まで使い切らない(20%程度で充電開始)
- 100%で長時間放置しない
- 充電しながらの長時間使用を避ける
- 就寝時は「バッテリー充電の最適化」をオンに
- 定期的な再起動でシステムをリフレッシュ
充電器・ケーブルのメンテナンス
- 定期的に端子部分を乾いた布で拭く
- ケーブルを強く曲げない
- 抜き差しは端子部分を持って行う
- 使わないときは巻き取って保管
- 2年を目安に買い替えを検討
FAQ:よくある質問
Q1:低速充電とバッテリー劣化、どちらを優先すべき?
A: 状況によって使い分けるのが賢い選択です。
低速充電を優先する場面:
- 就寝時の充電
- 時間に余裕があるとき
- バッテリー寿命を延ばしたいとき
高速充電を優先する場面:
- 外出前の短時間充電
- 急いでいるとき
- 日中の継ぎ足し充電
基本的には「バッテリー充電の最適化」をオンにしておき、急ぐときだけ一時的にオフにするのがおすすめです。
Q2:充電しながらiPhoneを使うのは本当に悪い?
A: バッテリーへの負担が大きくなります。
充電しながらの使用、特にゲームや動画視聴は以下の問題があります:
- 発熱が増加してバッテリーが劣化しやすくなる
- 充電速度が大幅に低下する
- 充電サイクルが無駄に消費される
どうしても使いたい場合は、軽い作業(メッセージ、メール確認など)に留めましょう。
Q3:オレンジ色の充電マークは何?
A: iOS 18以降で表示される「低速充電」のサインです。
オレンジ色のバッテリーマークは、より高出力の充電器を使えば充電速度が改善できることを示しています。故障ではないので安心してください。
緑色のマークに変わるまで、充電器やケーブルを確認してみましょう。
Q4:純正充電器じゃないとダメ?
A: MFi認証品なら大丈夫です。
必ずしもApple純正である必要はありませんが、以下の条件を満たすものを選びましょう:
- MFi(Made for iPhone)認証取得
- 信頼できるメーカー(Anker、Belkin、Elecomなど)
- 適切な出力
- 安全規格適合
逆に、認証のない激安品は充電速度が遅いだけでなく、発火などの危険もあるので避けてください。
Q5:ワイヤレス充電は常に低速?
A: 有線より遅いですが、MagSafeなら実用的な速度です。
- 標準Qi充電器: 最大7.5W(かなり遅い)
- MagSafe充電器: 最大15W(実用レベル)
- Qi2対応充電器: 最大15W(実用レベル)
- 有線USB-C充電: 最大20〜30W(最速)
急ぐときは有線、利便性重視ならMagSafeと使い分けるのがおすすめ。
Q6:モバイルバッテリーでも高速充電できる?
A: 出力が十分なモデルなら可能です。
高速充電対応のモバイルバッテリーの条件:
- USB-PD対応
- 出力が18W以上(20W以上推奨)
- USB-Cポート搭載
ただし、安価なモバイルバッテリーは出力が低い(5〜10W)ことが多いので、スペックを確認してから購入しましょう。
Q7:充電が80%で止まるのは故障?
A: 「バッテリー充電の最適化」が働いています。
これは故障ではなく、バッテリー寿命を延ばすための機能です。iPhoneがあなたの使用パターンを学習し、使い始める時間に合わせて100%になるよう調整しています。
今すぐ100%にしたい場合は:
- ロック画面の充電表示を長押し
- 「今すぐ充電」をタップ
または、設定でこの機能をオフにできます。
Q8:バッテリー交換の目安は?
A: 最大容量が80%未満、または充電の持ちが明らかに悪くなったとき。
交換を検討すべきサイン:
- 最大容量が80%未満
- 1日持たなくなった
- 充電速度が極端に遅い
- 突然シャットダウンする
- バッテリーが膨張している
バッテリーの状態は「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で確認できます。
まとめ:低速充電は解除できる!
iPhoneの低速充電は、ほとんどの場合、簡単な方法で解除できます。
すぐに試せる対策:
- 20W以上の高出力充電器に交換
- バッテリー充電の最適化をオフ
- 機内モードをオン
- 充電ポートを清掃
- 適切な温度環境で充電
長期的な対策:
- 純正またはMFi認証品を使用
- 定期的なメンテナンス
- バッテリーに優しい充電習慣
- 2年ごとに充電器・ケーブルを見直し
低速充電には、バッテリーの劣化を防ぐというメリットもあります。時間に余裕があるときは低速充電、急ぐときは高速充電と、状況に応じて使い分けることで、iPhoneを長く快適に使えるようになりますよ。
それでも改善しない場合は、バッテリーの劣化や本体の故障が考えられるので、Apple公式サポートに相談してみてくださいね。

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