iPhoneの設定画面で「主回線」「副回線」という言葉を見て、「これって何?」と思ったことはありませんか?
実は、これはiPhoneの「デュアルSIM機能」に関する用語です。1台のiPhoneで2つの電話番号や通信プランを使い分けられる便利な機能なんです。
この記事では、iPhoneの主回線とは何か、デュアルSIMの基本から設定方法、使いこなすコツまで詳しく解説します。
デュアルSIMとは?

1台で2つの回線が使える
デュアルSIMとは、1台のスマートフォンで2つのSIMカード(通信契約)を同時に使える機能です。
できること
- 2つの電話番号を1台で管理
- 仕事用とプライベート用を使い分け
- 通話用とデータ通信用で別々の契約を利用
- 海外旅行時に現地SIMと日本のSIMを併用
iPhoneのデュアルSIMの種類
iPhoneでは、以下の組み合わせでデュアルSIMが使えます。
対応している組み合わせ
- 物理SIM + eSIM(iPhone XS/XR以降)
- eSIM + eSIM(iPhone 13以降、iPhone SE第3世代)
注意点
- 日本で販売されているiPhoneは物理SIM 2枚には非対応
- 物理SIM 2枚が使えるのは中国・香港・マカオで販売されている一部モデルのみ
主回線と副回線とは?
単なる「名前」にすぎない
結論から言うと、主回線と副回線は単なる呼び名です。
仕組み
- 最初に使っていたSIM → 自動的に「主回線」と表示
- 後から追加したSIM → 自動的に「副回線」と表示
これは便宜上の名称であって、「主回線の方が優先される」「副回線は補助的」といった意味はありません。
どちらをメインで使うかは自由
主回線・副回線という名前にかかわらず、実際にメインで使う回線は自由に設定できます。
例
- 主回線:docomo(後からあまり使わなくなった)
- 副回線:楽天モバイル(実際にはこちらをメインで使用)
この場合、「副回線」である楽天モバイルをデフォルト(メイン)として設定すればOKです。
名前も変更可能
「主回線」「副回線」という名前自体も変更できます。
変更例
- 主回線 → 「仕事用」
- 副回線 → 「プライベート」
または
- 主回線 → 「docomo」
- 副回線 → 「楽天モバイル」
分かりやすい名前に変更しておくと、管理がしやすくなります。
デュアルSIM対応機種
対応しているiPhoneモデル
以下のモデルでデュアルSIMが利用できます。
iPhone XS / XR(2018年)以降
- iPhone XS / XS Max
- iPhone XR
- iPhone 11 / 11 Pro / 11 Pro Max
- iPhone SE(第2世代)
- iPhone 12 / 12 mini / 12 Pro / 12 Pro Max
- iPhone SE(第3世代)
- iPhone 13 / 13 mini / 13 Pro / 13 Pro Max
- iPhone 14 / 14 Plus / 14 Pro / 14 Pro Max
- iPhone 15 / 15 Plus / 15 Pro / 15 Pro Max
- iPhone 16 / 16 Plus / 16 Pro / 16 Pro Max
非対応機種
- iPhone X以前の機種
- iPhone SE(第1世代)
eSIM 2枚に対応している機種
iPhone 13以降(2021年)
- iPhone 13シリーズ
- iPhone SE(第3世代)
- iPhone 14シリーズ
- iPhone 15シリーズ
- iPhone 16シリーズ
これらの機種では、物理SIMを使わずにeSIM 2枚だけでデュアルSIMを利用できます。
主回線・副回線の確認方法
現在の設定を確認する手順です。
確認手順
手順
- 「設定」アプリを開く
- 「モバイル通信」をタップ
- 「SIM」の項目に主回線と副回線が表示される
ここで、どのSIMが主回線で、どのSIMが副回線かが分かります。
表示内容
表示例
- 主回線:povo2.0
- 副回線:mineo
または
- 主回線:090-1234-5678
- 副回線:080-9876-5432
契約内容や設定によって表示が異なります。
主回線・副回線の名前を変更する
分かりやすい名前に変更しましょう。
変更手順
手順
- 「設定」→「モバイル通信」を開く
- 「SIM」の項目で名前を変更したい回線をタップ
- 「モバイル通信プランの名称」をタップ
- 好きな名前を入力
- 「完了」をタップ
おすすめの名前例
- 仕事用 / プライベート
- 通話用 / データ用
- docomo / 楽天モバイル
- メイン / サブ
- 日本 / 海外
自分が分かりやすい名前を付けましょう。
デフォルト回線の設定
実際にメインで使う回線を設定します。
デフォルト音声回線(電話・SMS用)
電話をかける時やSMSを送る時に、どちらの回線を使うかを設定します。
設定手順
- 「設定」→「モバイル通信」
- 「デフォルトの音声回線」をタップ
- 主回線または副回線を選択
ここで選んだ回線が、電話・SMSのデフォルトになります。
ポイント
- 電話をかける時、毎回この回線が使われる
- もちろん、電話をかける時に別の回線に切り替えることも可能
モバイルデータ通信(インターネット用)
インターネットを使う時に、どちらの回線を使うかを設定します。
設定手順
- 「設定」→「モバイル通信」
- 「モバイルデータ通信」をタップ
- 主回線または副回線を選択
ここで選んだ回線が、インターネット接続のデフォルトになります。
使い分けの例
- 主回線:通話用(かけ放題プラン)
- 副回線:データ通信用(大容量プラン)
このように、用途によって回線を使い分けると節約になります。
モバイルデータ通信の切替を許可
便利な自動切替機能もあります。
機能
- デフォルトの回線の電波が弱い時、自動的にもう一方の回線に切り替える
- 片方の回線で通話中、もう一方の回線でデータ通信を使える
設定方法
- 「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」
- 「モバイルデータ通信の切替を許可」をオン
オンにすると、より安定した通信が可能になります。
電話をかける時の回線切り替え

電話をかける時、その都度回線を選ぶこともできます。
連絡先から電話をかける場合
手順
- 連絡先アプリまたは電話アプリを開く
- 電話をかけたい人を選択
- 電話番号をタップする前に、下に表示されている回線名を確認
- 回線名をタップすると、使用する回線を変更できる
- 希望の回線を選択してから電話番号をタップ
電話アプリから直接かける場合
手順
- 電話アプリで番号を入力
- 発信ボタンを長押し
- 使用したい回線を選択
iMessageとFaceTimeの設定
iMessageやFaceTimeでも、どちらの回線を使うか設定できます。
iMessage / FaceTime用の回線設定
設定手順
- 「設定」→「モバイル通信」
- 下にスクロールして「iMessage / FaceTime用連絡先情報」をタップ
- 使用したい回線を選択
発信者番号の設定
設定手順
- 「設定」→「電話」
- 「発信者番号」をタップ
- 使用したい回線を選択
相手に表示される電話番号が、ここで設定した回線の番号になります。
コントロールセンターでの表示
デュアルSIM使用時、コントロールセンターに2つの回線の状態が表示されます。
表示の見方
配置
- 上:モバイルデータ通信で使用中の回線
- 下:もう一方の回線
注意点
- 常に主回線が上、副回線が下というわけではない
- モバイルデータ通信に設定した回線が上に表示される
デュアルSIMのメリット
1. 仕事とプライベートを分けられる
使い方例
- 主回線:仕事用の電話番号
- 副回線:プライベート用の電話番号
1台のiPhoneで2つの番号を管理できます。
2. 通信費を節約できる
使い方例
- 主回線:通話かけ放題プラン(通話用)
- 副回線:大容量データプラン(ネット用)
それぞれの長所を活かして組み合わせることで、月額料金を抑えられます。
3. 海外で便利
使い方例
- 主回線:日本のSIM(日本の電話番号を維持)
- 副回線:現地のeSIM(現地でのデータ通信用)
日本の番号を残したまま、現地の安いデータプランを使えます。
4. 通信障害に強い
使い方例
- 主回線:docomo
- 副回線:楽天モバイル
片方のキャリアで通信障害が起きても、もう片方で通信できます。
5. 電話番号を2つ持てる
使い方例
- 主回線:メインの電話番号
- 副回線:サブの電話番号(ネットサービス登録用など)
プライバシー保護にも役立ちます。
デュアルSIMの注意点
バッテリー消費
2つの回線を同時に使うため、通常よりもバッテリー消費が増えます。
目安
- 通常の使用と比べて5〜10%程度増加
こまめな充電や、モバイルバッテリーの携帯をおすすめします。
SMS送受信の回線
SMS(ショートメッセージ)は、デフォルトの音声回線で送受信されます。
注意点
- 一度SMSの会話を始めたら、その会話で使う回線は変更できない
- 別の回線で送りたい場合は、会話を削除して新しく開始する必要がある
料金が2回線分かかる
当然ですが、2つの契約をするので料金も2回線分かかります。
節約のコツ
- 片方は安い格安SIMを使う
- データ専用プランを活用
- 通話専用の低価格プランを組み合わせる
SIMロック解除が必要な場合も
2つの異なるキャリアを使う場合、SIMロック解除が必要です。
確認方法
- 「設定」→「一般」→「情報」
- 「SIMロック」の項目を確認
- 「SIMロックなし」と表示されていればOK
※2021年10月以降に購入したiPhoneは最初からSIMロックなし
よくある質問
主回線と副回線、どちらが優先される?
どちらも同等です。優先順位はありません。
デフォルト設定で、どちらをメインで使うかを自分で決められます。
名前を変更しないとダメ?
いいえ、変更しなくても問題ありません。
ただし、分かりやすい名前にしておくと管理しやすくなります。
主回線を副回線に変更できる?
名前の入れ替えはできますが、最初に設定した順番を入れ替えることはできません。
ただし、これは単なる表示上の問題なので、デフォルト設定で実際にメインで使う回線を指定すればOKです。
デュアルSIMにするのに追加料金は?
iPhone本体の機能なので、追加料金はかかりません。
ただし、2つ目の通信契約(SIM)を新規契約する費用は別途必要です。
両方の回線で同時に通話できる?
いいえ、できません。
一方の回線で通話中は、もう一方の回線で着信を受けることはできますが、同時に2つの通話はできません。
※Wi-Fi通話がオンの場合のみ、片方で通話中にもう片方で着信可能
eSIMってどうやって契約する?
各携帯電話会社のWebサイトやアプリから契約できます。
契約するとQRコードが発行されるので、iPhoneのカメラで読み取るだけで設定完了です。
まとめ:主回線・副回線を理解してデュアルSIMを活用しよう
iPhoneの「主回線」とは、デュアルSIM機能で2つのSIMを使う時の呼び名です。
重要なポイント
- 主回線・副回線は単なる「名前」
- どちらをメインで使うかは自由に設定可能
- 名前も自由に変更できる
- デフォルトの音声回線とデータ通信回線を個別に設定可能
対応機種
- iPhone XS / XR以降のモデル
- 物理SIM + eSIM、またはeSIM 2枚
設定場所
- 「設定」→「モバイル通信」
主な使い道
- 仕事とプライベートの使い分け
- 通話用とデータ用で別プラン
- 海外旅行時の現地SIM併用
- 通信障害対策
デフォルト回線の設定
- デフォルトの音声回線:電話・SMS用
- モバイルデータ通信:インターネット用
デュアルSIMを活用すれば、通信費の節約や利便性の向上が期待できます。仕事とプライベートを1台で管理したい人、海外に行く機会が多い人、通信障害が心配な人には特におすすめです。
最初は設定が複雑に感じるかもしれませんが、一度設定してしまえば、後は自動的に使い分けてくれるので便利ですよ。ぜひ、あなたの用途に合わせてデュアルSIMを活用してみてください!

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