「あれ?iPadのパスコードが思い出せない…」
普段はFace IDやTouch IDで画面ロックを解除しているから、数字のパスコードを入力する機会がほとんどない。でも、iPadを再起動したときや生体認証が効かないときは、どうしてもパスコードが必要になるんです。
この記事では、iPadのパスコードを忘れてしまった場合の解除方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
最初に知っておくべき重要なこと:
残念ながら、忘れたパスコードそのものを「思い出す」方法はありません。パスコードを忘れた場合、iPadを使えるようにするには初期化が必要です。
ただし、事前にバックアップを取っていれば、初期化後にデータを復元できます。この点が非常に重要なので、覚えておいてください。
パスコードを何度も間違えるとどうなる?

iPadのパスコードを間違えて入力すると、セキュリティのために段階的にロックがかかります。
入力ミス回数とロック時間:
- 5回失敗:1分間ロック
- 6回失敗:5分間ロック
- 7回失敗:15分間ロック
- 8回失敗:60分間ロック
- 10回失敗:「iPadは使用できません」と表示され、完全にロック
10回間違えてしまうと、もうパスコード入力もできなくなり、iPadを復旧させるには初期化が必須になります。
注意: 設定で「データを消去」をオンにしている場合、10回の入力ミスでiPad内のすべてのデータが自動的に消去されます。
iPadのパスコードを忘れた時の解除方法
それでは、具体的な解除方法を見ていきましょう。状況に応じて最適な方法を選んでください。
方法1:iPadOS 17以降の「パスコードリセット」機能を使う
iPadOS 17以降を搭載したiPadなら、最近パスコードを変更した場合に限り、古いパスコードで一時的にアクセスできる機能があります。
使える条件:
- iPadOS 17以降が搭載されている
- パスコードを変更してから72時間以内
- Wi-Fiまたはモバイルデータ通信に接続している
手順:
- パスコードを5回間違えて入力する
- 「iPadは使用できません」画面が表示される
- 画面下部の「パスコードをお忘れですか?」をタップ
- 「以前のパスコードを入力」をタップ
- 古いパスコード(変更前のもの)を入力
- 画面の案内に従って新しいパスコードを設定
この方法なら、データを失うことなくパスコードをリセットできます。ただし、古いパスコードも覚えていない場合は使えません。
方法2:iPad本体から直接消去する(iPadOS 15.2以降)
iPadOS 15.2以降を搭載したiPadで、以下の条件を満たしていれば、iPad本体だけで初期化できます。
使える条件:
- iPadOS 15.2以降が搭載されている
- 「探す」機能がオンになっている
- Wi-Fiまたはモバイルデータ通信に接続している
- Apple IDとパスワードを覚えている
手順:
- パスコードを何度か間違えて入力する
- 「iPadは使用できません」または「セキュリティロックアウト」画面が表示される
- 画面下部の「iPadを消去」をタップ
- もう一度「iPadを消去」をタップして確認
- Apple IDのパスワードを入力してサインアウト
- 「iPadを消去」をタップして、すべてのデータを削除
- iPadが再起動するまで待つ
- 初期設定を行い、バックアップから復元または新しいiPadとして設定
この方法の良いところは、パソコンがなくてもiPad単体で解決できる点です。
方法3:パソコンとリカバリーモードを使う(確実な方法)
パソコンを持っている場合、この方法が最も確実です。すべてのiPadモデルとiPadOSバージョンで使えます。
必要なもの:
- Windows PC(iTunesまたはAppleデバイスアプリ)
- またはMac(macOS Catalina以降はFinder、それ以前はiTunes)
- USBケーブル
手順:
ステップ1:iPadをパソコンから切り離す
すでに接続されている場合は、ケーブルを外します。
ステップ2:iPadの電源を切る
iPadのモデルに応じた方法で電源を切ります。
ステップ3:iPadをリカバリーモードにする
iPadをUSBケーブルでパソコンに接続しながら、次のボタン操作を行います。
ホームボタンがないiPad(iPad Pro、iPad Air第4世代以降など):
- 音量を上げるボタンを押してすぐ離す
- 音量を下げるボタンを押してすぐ離す
- トップボタンを長押しする
- パソコンとケーブルの画面が表示されるまで押し続ける
ホームボタンがあるiPad:
- ホームボタンとトップボタン(またはサイドボタン)を同時に長押し
- パソコンとケーブルの画面が表示されるまで押し続ける
ステップ4:パソコンでiPadを復元する
- Windows PC: iTunesまたはAppleデバイスアプリを起動
- Mac: Finder(macOS Catalina以降)またはiTunes(それ以前)を起動
パソコンがiPadを検出すると、「復元」または「アップデート」の選択肢が表示されます。
「復元」を選択します。
ステップ5:復元が完了するまで待つ
パソコンがiPad用のソフトウェアをダウンロードし、復元プロセスが始まります。15分以上かかる場合もあるので、気長に待ちましょう。
ステップ6:iPadを設定する
復元が完了すると、iPadに「こんにちは」画面が表示されます。画面の案内に従って、iPadを設定してください。
方法4:iCloudの「探す」機能を使う
別のAppleデバイス(iPhoneなど)を持っている場合、遠隔でiPadを初期化できます。
使える条件:
- iPadで「探す」機能がオンになっている
- Apple IDとパスワードを覚えている
- 別のiOSデバイスまたはパソコンでiCloud.comにアクセスできる
手順(別のiPhoneやiPadから):
- 別のiOS端末で「探す」アプリを開く
- 下部の「デバイス」タブをタップ
- パスコードを忘れたiPadを選択
- 「このデバイスを消去」をタップ
- Apple IDのパスワードを入力して確認
- iPadが消去されるまで待つ
- 初期設定を行い、バックアップから復元
手順(パソコンのブラウザから):
- iCloud.com にアクセス
- Apple IDでサインイン
- 「探す」をクリック
- 「すべてのデバイス」からiPadを選択
- 「iPadを消去」をクリック
- Apple IDのパスワードを入力して確認
この方法は、iPadが手元にない場合や、リカバリーモードがうまくいかない場合に便利です。
初期化後のデータ復元方法
iPadを初期化すると、すべてのデータが消去されます。でも、バックアップがあれば大丈夫!
iCloudバックアップから復元する
手順:
- 初期設定で「Appとデータ」画面まで進む
- 「iCloudバックアップから復元」を選択
- Apple IDでサインイン
- 復元したいバックアップを選択
- 復元が完了するまで待つ(Wi-Fi接続必須)
復元には数十分から数時間かかることがあります。Wi-Fiに接続したまま、電源に繋いでおきましょう。
パソコンのバックアップから復元する
手順:
- iPadをパソコンに接続
- iTunesまたはFinderを起動
- iPadのアイコンを選択
- 「バックアップを復元」をクリック
- 復元したいバックアップを選択
- 「復元」をクリック
- 復元が完了するまで待つ
パソコンのバックアップには、iCloudに保存されていないデータも含まれている場合があるので、より完全な復元ができることがあります。
バックアップがない場合はどうなる?
残念ながら、バックアップを取っていなかった場合、初期化するとすべてのデータが完全に失われます。
消えてしまうもの:
- 写真や動画
- メッセージやメールの履歴
- アプリとそのデータ
- 連絡先(iCloudに同期していない場合)
- メモ(iCloudに同期していない場合)
- 設定情報
ただし、以下のデータは再ダウンロードまたは復元できる可能性があります:
復元できる可能性があるもの:
- App Storeで購入したアプリ(再ダウンロード可能)
- Apple Musicの曲(再同期可能)
- iCloudに同期している連絡先、カレンダー、メモ
- iCloud写真に保存している写真や動画
このように、バックアップの有無で大きな差が出るので、定期的なバックアップが本当に重要なんです。
Apple IDのパスワードも忘れた場合

iPadの初期化には、多くの場合Apple IDのパスワードが必要です。これも忘れてしまった場合は、先にパスワードをリセットしましょう。
Apple IDパスワードのリセット方法
方法1:別のAppleデバイスから
- 別のiPhoneやiPadで「設定」を開く
- 一番上のApple IDをタップ
- 「パスワードとセキュリティ」をタップ
- 「パスワードの変更」をタップ
- 画面の案内に従ってパスワードをリセット
方法2:iforgot.apple.com から
- ブラウザで iforgot.apple.com にアクセス
- Apple IDを入力
- 電話番号または信頼できるメールアドレスで本人確認
- 新しいパスワードを設定
信頼できる電話番号や回復用メールアドレスにアクセスできない場合は、Appleサポートに連絡する必要があります。
アクティベーションロックについて
初期化後、iPadを再設定する際に「アクティベーションロック」が表示されることがあります。
アクティベーションロックとは?
「探す」機能がオンになっていた場合、初期化してもApple IDとパスワードの入力が求められます。これは盗難防止のためのセキュリティ機能です。
解除方法:
iPadに紐付けられたApple IDとパスワードを入力するしかありません。
もし中古で購入したiPadにアクティベーションロックがかかっている場合は、前の持ち主にロックを解除してもらう必要があります。Appleサポートに連絡しても、所有権を証明する購入証明書などがなければ解除してもらえません。
パスコードを忘れないための予防策
二度と同じトラブルに遭わないために、次の対策を実践しましょう。
1. 覚えやすいパスコードを設定する
推奨:
- 自分の誕生日の一部を組み合わせる
- 家族の記念日を使う
- 語呂合わせで覚えられる数字にする
避けるべき:
- 0000、1234などの単純な数字
- 完全にランダムな数字
セキュリティと覚えやすさのバランスが大切です。
2. パスコードをメモしておく
安全な保管方法:
- 紙に書いて金庫や引き出しに保管
- パスワード管理アプリに保存(1Password、LastPassなど)
- 信頼できる家族に教えておく
避けるべき:
- iPad本体に貼り付ける
- スマホのメモアプリに「iPadのパスコード:○○○○」と書く
- SNSやメールで送る
3. 定期的にバックアップを取る
iCloudバックアップの自動設定:
- 「設定」→「Apple ID」→「iCloud」を開く
- 「iCloudバックアップ」をタップ
- 「iCloudバックアップ」をオンにする
条件を満たせば、毎日自動的にバックアップされます:
- iPadが電源に接続されている
- iPadがWi-Fiに接続されている
- iPadの画面がロックされている
- iCloudに十分な空き容量がある
パソコンでのバックアップも併用:
月に1回程度、パソコンでもバックアップを取っておくと、より安心です。
4. Face IDやTouch IDを活用する
生体認証を設定しておけば、パスコードを入力する機会が減ります。ただし、再起動後や数日間使わなかった後はパスコードが必要なので、完全に忘れないように注意しましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1:パスコードを初期化せずに解除する裏技はありますか?
A:公式には存在しません。
ネット上では「Siriを使った裏技」や「特定のソフトウェアで解除できる」という情報が出回っていますが、現在のiPadOSではほとんど機能しません。
唯一の例外は、iPadOS 17以降で72時間以内に古いパスコードを使える「パスコードリセット」機能だけです。
Q2:Appleサポートに持っていけば解除してもらえますか?
A:いいえ、Appleスタッフもパスコードを解除できません。
Apple Store や正規サービスプロバイダに持ち込んでも、できることは同じリカバリーモードでの初期化だけです。
ただし、操作が不安な方は、スタッフに手伝ってもらいながら初期化・復元作業を進めることができます。
Q3:パスコードを何回まで試せますか?
A:実質的には10回までです。
10回間違えると、iPadが完全にロックされ、初期化が必須になります。ただし、6回目以降はロック時間が長くなるので、実際には数回しか試せないと考えた方が良いでしょう。
Q4:初期化するとApple IDも消えますか?
A:いいえ、Apple IDは消えません。
初期化してもApple IDとiCloudのデータは消えません。再設定時に同じApple IDでサインインすれば、iCloudに保存されているデータ(連絡先、カレンダー、写真など)は再び同期されます。
Q5:「データを消去」機能とは何ですか?
A:10回の入力ミスで自動的にiPadを初期化する機能です。
「設定」→「Face IDとパスコード」(または「Touch IDとパスコード」)→「データを消去」で設定できます。
セキュリティは高まりますが、子どもがいたずらで押してしまうリスクもあるので、慎重に設定しましょう。デフォルトではオフになっています。
Q6:初期化にどれくらい時間がかかりますか?
A:20分〜1時間程度です。
実際の時間は、以下の要因で変わります:
- インターネット接続速度
- iPadのモデル
- 復元するバックアップのサイズ
バックアップから復元する場合は、さらに時間がかかることがあります。
まとめ|忘れる前に備えよう
iPadのパスコードを忘れてしまった場合の解除方法について、詳しく解説してきました。
この記事の重要ポイント:
- パスコードを忘れたら、初期化が必須
- iPadOS 17以降は「パスコードリセット」機能が使える場合がある
- 初期化方法は複数あるが、どれも結局はデータ消去が伴う
- バックアップがあれば、初期化後にデータを復元できる
- 定期的なバックアップが最大の予防策
パスコードを忘れてしまうと、大切なデータを失うリスクがあります。でも、この記事で紹介した方法を使えば、iPadを再び使えるようにすることができます。
今すぐできること:
- iPadのバックアップが最近取れているか確認する
- iCloudの自動バックアップをオンにする
- パスコードを安全な場所にメモしておく
「まさか自分がパスコードを忘れるなんて」と思うかもしれませんが、実際に忘れてから後悔する前に、今のうちに備えておきましょう!


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