「iPadのホームボタンを押しても反応しない…」
「ホーム画面に戻れなくて困っている」
「何回か押さないと反応しなくなった」
iPadのホームボタンは使用頻度が非常に高いため、反応しなくなると大変不便です。しかし、必ずしも故障とは限りません。ソフトウェアの問題や設定が原因の場合、自分で解決できることも多いです。
この記事では、iPadのホームボタンが反応しない原因と対処法を詳しく解説します。
ホームボタンとは?

基本的な説明
ホームボタンは、iPad下部の中央にある丸いボタンです。
搭載モデル:
- iPad(第9世代以前)
- iPad mini(第5世代以前)
- iPad Air(第3世代以前)
- iPad Pro 12.9インチ(第2世代以前)
- iPad Pro 10.5インチ、9.7インチ
非搭載モデル(ホームボタンなし):
- iPad(第10世代以降)
- iPad mini(第6世代以降)
- iPad Air(第4世代以降)
- iPad Pro 11インチ(全世代)
- iPad Pro 12.9インチ(第3世代以降)
重要:
2022年以降、AppleはiPadからホームボタンを段階的に廃止しています。最新モデルはジェスチャー操作が標準です。
ホームボタンの主な機能
1. ホーム画面に戻る
- 1回押す:ホーム画面に戻る
- アプリ使用中でも即座に戻れる
2. アプリスイッチャーの表示
- 2回素早く押す:最近使ったアプリが表示される
- アプリ間の切り替えが簡単
3. Siriの起動
- 長押し:Siriが起動(設定で有効にしている場合)
4. Touch ID(指紋認証)
- Touch ID搭載モデル:ロック解除、App Storeでの購入認証、Apple Payなど
5. スクリーンショット撮影
- 電源ボタン+ホームボタン同時押し
6. 強制再起動
- ホームボタン+電源ボタンを長押し(10秒程度)
ホームボタンが反応しない原因
原因は大きく3つに分類できます。
原因1:ソフトウェアの問題
1-1. iPadOSのバージョンが古い
古いバージョンのiPadOSには不具合が含まれている場合があります。最新版にアップデートすることで解決することが多いです。
1-2. アップデート直後の一時的な不具合
iPadOSをアップデートした直後は、内部で環境の整理が行われるため、一時的に動作が不安定になることがあります。
1-3. ストレージ容量不足
ストレージの空き容量が極端に少ないと、処理能力が低下し、ホームボタンの反応が悪くなったり、フリーズしたりします。
1-4. アプリの不具合
特定のアプリが原因で、ホームボタンが反応しなくなることがあります。
1-5. アクセスガイド機能が有効
この機能が有効だと、ホームボタンが意図的に無効化されます。
原因2:ハードウェアの問題
2-1. 物理的な損傷・陥没
- ホームボタンを強く押しすぎた
- 押す方向が悪かった(斜めに押すなど)
- 落下の衝撃でボタンが陥没
- 経年劣化によるバネの不具合
2-2. 内部ケーブルの断線
ホームボタンは細いケーブルでフロントパネルに接続されています。落下や強い衝撃でケーブルが断線すると、完全に反応しなくなります。
2-3. 金属接点の劣化
ホームボタンは内部の金属板に触れることで反応します。この金属板が劣化すると、反応が悪くなります。
2-4. 水没・浸水
- 水に浸かった
- 雨に濡れた
- 洗面所で水が飛び散った
- 結露による内部の水分
原因3:外部要因
3-1. 汚れ・ホコリ
ホームボタンの周囲にホコリや皮脂汚れが溜まり、ボタンの動作を妨げることがあります。
3-2. 保護ケース
厚みのある保護ケースがホームボタンを覆い、押しにくくしている可能性があります。
3-3. 保護フィルム
ホームボタン部分の保護フィルムが適切にカットされておらず、ボタンの動作を妨げている場合があります。
自分でできる対処法
対処法1:再起動する
最も基本的で効果的な方法です。一時的なソフトウェアの不具合はこれで解決することが多いです。
通常の再起動:
- 電源ボタン(トップボタンまたはサイドボタン)を長押し
- 「スライドで電源オフ」が表示されたらスライド
- 電源が切れるまで30秒ほど待つ
- 再度電源ボタンを長押ししてAppleロゴが表示されるまで待つ
強制再起動:
ホームボタンが全く反応せず、通常の方法で再起動できない場合に使います。
手順(ホームボタン搭載iPad):
- ホームボタンと電源ボタンを同時に押し続ける
- 画面が暗くなっても押し続ける
- Appleロゴが表示されたら両方のボタンを離す
注意:
- 強制再起動は最終手段として使用
- データが失われることはありませんが、保存していない作業は失われる可能性あり
対処法2:AssistiveTouch(仮想ホームボタン)を使う
ホームボタンが反応しない場合、画面上に仮想のホームボタンを表示できます。
AssistiveTouchとは?
画面上にタッチ操作できる仮想ボタンを表示する機能です。ホームボタンの代わりに使用できます。
設定方法:
- 「設定」アプリを開く
- 「アクセシビリティ」をタップ
- 「タッチ」をタップ
- 「AssistiveTouch」をタップ
- スイッチをオン(緑色)にする
使い方:
画面右下(または設定した位置)に白い丸ボタンが表示されます。
ボタンをタップすると表示されるメニュー:
- ホーム: ホーム画面に戻る
- デバイス: 音量調整、画面ロック、回転ロックなど
- コントロールセンター: コントロールセンターを開く
- 通知センター: 通知センターを開く
- Siri: Siriを起動
- カスタム: 自分で機能を割り当て
仮想ホームボタンの位置変更:
白い丸ボタンを長押しして、画面上の好きな場所にドラッグできます。
制限事項:
- Touch ID(指紋認証)は使用できない
- 強制再起動はできない
- あくまで応急処置
対処法3:アクセスガイドをオフにする
アクセスガイドが有効になっていると、ホームボタンが使えなくなります。
アクセスガイドとは?
使用中のアプリから他のアプリやホーム画面への移動を制限する機能です。子供にiPadを使わせるときなどに便利ですが、意図せず有効になっていることがあります。
確認・オフにする方法:
- 「設定」→「アクセシビリティ」を開く
- 「アクセスガイド」をタップ
- スイッチがオン(緑色)になっていたらオフにする
アクセスガイド実行中の解除方法:
- ホームボタンを3回素早く押す(トリプルクリック)
- パスコードを入力
- 「終了」をタップ
対処法4:iPadOSを最新版にアップデート
古いバージョンのiPadOSには不具合が含まれている可能性があります。
確認・アップデート方法:
- 「設定」→「一般」を開く
- 「ソフトウェア・アップデート」をタップ
- アップデートが利用可能な場合は「ダウンロードしてインストール」をタップ
- 画面の指示に従う
アップデート前の準備:
- バックアップを取る(iCloudまたはiTunes/Finder)
- Wi-Fiに接続
- 充電しておく(または充電器に接続)
対処法5:ストレージ容量を確保する
ストレージ容量が不足していると、処理能力が低下します。
容量の確認方法:
- 「設定」→「一般」を開く
- 「iPadストレージ」をタップ
- 使用状況を確認
推奨:
- 空き容量は最低でも10%以上確保
- できれば20%以上が理想
容量を増やす方法:
- 不要なアプリを削除
- 写真・動画をiCloudや外部ストレージに移動
- Safariのキャッシュを削除
- 「iPadストレージ」の「おすすめ」を実行
対処法6:ホームボタンを清掃する
汚れやホコリが原因の場合があります。
清掃方法:
- iPadの電源を切る
- 柔らかい布(メガネ拭きなど)を少し湿らせる
- ホームボタンとその周辺を優しく拭く
- 乾いた布で水分を拭き取る
- 完全に乾いてから電源を入れる
注意:
- 水を直接かけない
- 綿棒やつまようじで隙間を掃除しない(内部を傷つける恐れ)
- アルコールや洗剤は使わない
対処法7:保護ケース・フィルムを外す
ケースやフィルムがホームボタンを妨げている可能性があります。
確認方法:
- 保護ケースを外す
- ホームボタンが正常に動作するか確認
- 動作する場合、ケースがホームボタンを覆っていないか確認
- 保護フィルムもホームボタン部分がきれいにカットされているか確認
対処法8:キャリブレーション(調整)を試す
※この方法は効果がある場合とない場合があります。
手順:
- 純正アプリ(時計、カレンダーなど)を開く
- 電源ボタンを長押しして「スライドで電源オフ」を表示
- 電源を切らずに、ホームボタンを長押し
- アプリが終了してホーム画面に戻ればキャリブレーション完了
修理が必要な場合

以下の場合は、自分で対処するのは難しいため、修理が必要です。
修理が必要な症状
- ホームボタンが陥没している
- 何をしても全く反応しない
- 数回に1回しか反応しない
- 強く押さないと反応しない
- 「パキッ」「ガリガリ」など異音がする
- 水没した
- 落下して画面が割れた
修理前の準備
1. バックアップを取る
修理に出すと、データが消える可能性があります。必ずバックアップを取ってください。
iCloudバックアップ:
- 「設定」→「自分の名前」→「iCloud」→「iCloudバックアップ」→「今すぐバックアップ」
パソコンでのバックアップ:
- Mac(Catalina以降):Finderで接続
- Mac(Mojave以前)・Windows:iTunesで接続
2. 「iPadを探す」をオフにする
修理に出す前に必須です。
- 「設定」→「自分の名前」→「探す」→「iPadを探す」→オフ
3. Apple IDとパスワードを確認
修理後の初期設定に必要です。
修理方法の選択肢
選択肢1:Apple正規サービス(推奨)
方法:
- Apple Store Genius Barに予約
- Apple正規サービスプロバイダ(カメラのキタムラなど)に持ち込み
- 配送修理(Apple公式サイトから申し込み)
メリット:
- 純正部品を使用
- 確実な修理
- 保証期間内なら無償の場合あり
デメリット:
- 費用が高い(保証外の場合)
- 修理に時間がかかる場合がある
修理料金の目安:
- AppleCare+加入:3,700円〜
- 保証外:30,000円〜50,000円程度(モデルにより異なる)
選択肢2:非正規修理店
メリット:
- 費用が安い
- 即日修理可能な場合が多い
デメリット:
- Appleの保証が無効になる
- 非純正部品を使用
- 品質にばらつきがある
注意:
非正規修理店で修理した場合、以降Apple正規サービスでの修理を受けられなくなる可能性があります。
修理か買い替えか?
修理がおすすめ:
- 比較的新しいモデル(購入から2〜3年以内)
- 他の部分は正常に動作している
- AppleCare+に加入している
買い替えがおすすめ:
- 古いモデル(購入から4〜5年以上)
- 他にも不具合が多い
- 修理費用が本体価格の50%以上
参考:
最新のiPadはホームボタンがなく、ジェスチャー操作です。買い替えの場合、操作方法が変わることを考慮してください。
よくある質問
Q1. ホームボタンが完全に反応しなくなりました。iPadを操作できますか?
A: AssistiveTouchを有効にすれば、ホームボタンなしでも基本的な操作は可能です。
ただし、Touch ID(指紋認証)は使えなくなるため、パスコード入力が必要になります。また、強制再起動もできません。
Q2. AssistiveTouchを有効にしたいのですが、設定アプリを開けません
A: Siriを使って設定できます。
- Siriを起動(電源ボタン長押しまたは「Hey Siri」)
- 「AssistiveTouchをオンにして」と話しかける
または、パソコンのiTunes/Finderから「アクセシビリティ」設定を変更することも可能です。
Q3. ホームボタンの反応が悪いですが、まだ使えます。修理すべきですか?
A: 以下の場合は早めの修理をおすすめします:
- 強く押さないと反応しない
- 数回に1回しか反応しない
- 「パキッ」など異音がする
症状が悪化すると完全に使えなくなる可能性があります。また、陥没したホームボタンの隙間から水分やホコリが入り、内部の基板を損傷する恐れもあります。
Q4. AssistiveTouchの白い丸ボタンが邪魔です
A: 以下の方法で対処できます:
透明度を下げる:
- 「設定」→「アクセシビリティ」→「タッチ」→「AssistiveTouch」→「待機状態時の不透明度」を調整
自動的に隠す:
- iOS 15以降:「設定」→「アクセシビリティ」→「タッチ」→「AssistiveTouch」→「待機状態時は常に表示」をオフ
位置を変える:
- ボタンを長押しして画面の端にドラッグ
Q5. 水没させてしまいました。ホームボタンが反応しません
A: 以下の手順を実行してください:
- すぐに電源を切る(ショートを防ぐため)
- 水分を柔らかい布で拭き取る
- 絶対にやってはいけないこと:
- ドライヤーで乾かす
- 充電する
- 電源を入れる
- 乾燥剤(シリカゲル)と一緒に密閉容器に入れて24〜48時間放置
- それでも動作しない場合は修理に出す
重要:
水没の場合、時間が経つほど内部が腐食し、修理不可能になる可能性が高まります。できるだけ早く修理に出してください。
Q6. ホームボタンが反応しない以外は問題ありません。買い替えるべきですか?
A: いいえ、AssistiveTouchで十分使用できます。
ホームボタンが反応しないだけなら、仮想ホームボタン(AssistiveTouch)で問題なく使えます。修理費用が高額な場合や、iPadが古い場合は、買い替えまでAssistiveTouchで対応するのも一つの選択肢です。
Q7. 保証期間内ですが、落として壊れました。無償修理できますか?
A: 通常の保証では対象外ですが、AppleCare+に加入していれば対象になります。
- AppleCare+未加入:過失による損傷は有償修理
- AppleCare+加入:サービス料(3,700円)で修理可能
Q8. 中古で購入したiPadですが、修理できますか?
A: はい、修理可能です。
ただし、以下を確認してください:
- アクティベーションロックが解除されているか
- 「iPadを探す」がオフになっているか
- 前の所有者のApple IDが削除されているか
これらが設定されたままだと、修理を断られる可能性があります。
まとめ
iPadのホームボタンが反応しない問題について解説しました。
重要なポイントをおさらいします:
ホームボタンの機能:
- ホーム画面に戻る
- アプリスイッチャー表示
- Touch ID(指紋認証)
- スクリーンショット撮影
- 強制再起動
主な原因:
- ソフトウェア:iPadOSが古い、ストレージ不足、アクセスガイド有効
- ハードウェア:物理的損傷、ケーブル断線、金属接点の劣化、水没
- 外部要因:汚れ・ホコリ、保護ケース、保護フィルム
自分でできる対処法:
- 再起動(通常・強制)
- AssistiveTouchを有効にする(仮想ホームボタン)
- アクセスガイドをオフにする
- iPadOSを最新版にアップデート
- ストレージ容量を確保
- ホームボタンを清掃
- 保護ケース・フィルムを外す
- キャリブレーション
修理が必要な場合:
- ホームボタンが陥没
- 全く反応しない
- 異音がする
- 水没・落下による損傷
修理前の準備:
- バックアップを取る
- 「iPadを探す」をオフ
- Apple IDとパスワードを確認
修理の選択肢:
- Apple正規サービス:純正部品、確実だが高額
- 非正規修理店:安価・即日修理だが保証無効のリスク
応急処置:
- AssistiveTouchで仮想ホームボタンを使用
- Touch ID以外の機能は代替可能
- 修理や買い替えまでの一時的な対応として有効
ホームボタンが反応しなくなっても、AssistiveTouchを使えば基本的な操作は問題なくできます。
この記事を参考に、まずは自分でできる対処法を試してみてください。それでも解決しない場合は、早めに修理を検討することをおすすめします!

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