iPadの電源ボタンを押しても画面が真っ暗なまま…そんな経験はありませんか?
昨日まで普通に使えていたiPadが突然起動しなくなると、本当に焦りますよね。大切なデータや仕事の資料が見られないと困ってしまいます。
でも慌てないでください。iPadの電源が入らない問題は、多くの場合、簡単な対処法で解決できるんです。
この記事では、iPadが起動しない原因を詳しく解説し、自分でできる具体的な対処法を9つご紹介します。
iPadの電源が入らない主な症状

まず、どのような症状が出ているか確認しましょう。症状によって原因と対処法が異なります。
パターン1:完全に反応しない(真っ黒な画面)
電源ボタンを押しても、画面がまったく点灯しない状態です。
充電マークも表示されず、何の反応もありません。
パターン2:Appleロゴで止まる(リンゴループ)
電源を入れるとAppleのロゴマークが表示されるものの、そこから先に進まずフリーズしてしまいます。
何度も再起動を繰り返すこともあります。
パターン3:充電マークは出るが起動しない
充電器に接続すると充電中のマークは表示されるけれど、電源ボタンを押しても起動しない状態です。
パターン4:起動途中で画面が赤色や青色になる
起動時に赤や青の画面が表示されて、そこから先に進まなくなります。
これはシステムに深刻な問題がある可能性があります。
iPadの電源が入らない7つの原因
なぜiPadが起動しなくなるのか、主な原因を見ていきましょう。
1. バッテリーの完全放電
最も多い原因がこれです。
バッテリーが完全に空になってしまうと、充電器に接続してもすぐには反応しません。完全放電の状態から復帰するには、ある程度の充電時間が必要なんです。
2. 充電器やケーブルの不具合
充電器本体、ケーブル、または充電ポートに問題があると、正常に充電できません。
よくあるトラブル:
- ケーブルの断線(見た目ではわからないこともある)
- 充電ポートにホコリやゴミが詰まっている
- 非純正の充電器を使っている
- コンセントが正常に機能していない
3. iPadOSのシステムエラー
OSのアップデート失敗や、システムファイルの破損が原因で起動できなくなることがあります。
典型的な症状:
- Appleロゴで固まる
- リンゴループ(再起動を繰り返す)
- 画面が真っ暗なまま
4. 温度の問題
iPadには動作温度範囲があります。
高温の場合:
- 直射日光の下に長時間放置
- 車内に置きっぱなし
- 充電しながら負荷の高い作業を続けた
低温の場合:
- 冬場の屋外で長時間使用
- 冷えた場所に保管していた
極端な温度環境ではバッテリーが正常に機能しなくなります。
5. 物理的な損傷
落下や衝撃によって内部が損傷すると、起動できなくなることがあります。
- 画面のひび割れ
- 本体の変形
- 電源ボタンの故障
- 内部基板の損傷
6. 水没や液体の浸入
少量の水分でも、iPadの内部に入り込むと故障の原因になります。
完全に水没させていなくても、飲み物をこぼしたり、湿気の多い場所に長時間置いたりするだけで影響が出ることがあります。
7. バッテリーの劣化
iPadのバッテリー寿命は通常2〜3年です。
それ以上使っている場合、バッテリーが劣化して十分な電力を供給できなくなっている可能性があります。
【解決法1】まずは1時間しっかり充電する
電源が入らない場合、最初に試すべきは長時間の充電です。
充電の手順
- 純正の充電器とケーブルを使用する
- 確実に機能しているコンセントに接続
- 最低1時間はそのまま充電を続ける
- できれば2〜3時間充電する
重要なポイント:
- パソコンのUSBポートからの充電は避ける(電力が不足)
- 充電中はiPadを操作しない
- 充電中にiPadが少し温かくなるのは正常
充電マークの確認
正常に充電されている場合:
- 画面に稲妻マークが表示される
- または大きなバッテリーアイコンが表示される
何も表示されない場合は、充電器やケーブルに問題がある可能性があります。
【解決法2】充電器とケーブルを確認・交換する

充電に問題がありそうな場合は、アクセサリーをチェックしましょう。
ケーブルの確認ポイント
目視で確認:
- ケーブルに傷や折れ曲がりがないか
- コネクタ部分が変形していないか
- 被覆が破れていないか
機能確認:
- 別のApple製品で充電できるか試す
- 予備のケーブルがあれば交換して試す
充電ポートの掃除
iPadの充電ポートにゴミやホコリが詰まっている可能性があります。
掃除の方法:
- iPadの電源を完全に切る
- 懐中電灯で充電ポート内を照らして確認
- 爪楊枝や柔らかいブラシで優しく汚れを取り除く
- エアダスターで吹き飛ばす(あれば)
注意: 金属製のピンなどは使わないでください。端子を傷つける恐れがあります。
純正充電器の重要性
非純正の充電器は、iPadOSアップデート後に使えなくなることがあります。
また、出力が不足している充電器では正常に充電できません。純正品またはApple認定(MFi認証)製品を使いましょう。
【解決法3】強制再起動を試す
システムの一時的な不具合なら、強制再起動で解決することが多いです。
ホームボタンがないiPad(2018年以降のほとんどのモデル)
iPad Pro、iPad Air(第4世代以降)、iPad mini(第6世代以降):
- 音量上ボタンを押してすぐに離す
- 音量下ボタンを押してすぐに離す
- 電源ボタン(トップボタン)を長押し
- Appleロゴが表示されたら指を離す
ポイント: ボタンを押す動作は素早く行います。1、2、3のリズムで!
ホームボタンがあるiPad
iPad(第9世代まで)、iPad Air(第3世代まで)、iPad mini(第5世代まで):
- 電源ボタンとホームボタンを同時に長押し
- 10〜15秒ほど押し続ける
- Appleロゴが表示されたら両方のボタンを離す
画面に「スライドで電源オフ」が表示されても、そのまま押し続けてください。
強制再起動の注意点
- データは消えません(安心してください)
- 何度も繰り返すとシステムファイルが破損する恐れがある
- 1〜2回試して改善しなければ他の方法を試す
【解決法4】適切な温度環境に置く
温度が原因で起動しない場合の対処法です。
高温の場合
- iPadを涼しい場所に移動
- ケースを外して放熱する
- 30分〜1時間室温で休ませる
- 扇風機やエアコンで冷やすのはOK
- 冷蔵庫や冷凍庫は絶対にNG(結露で故障)
低温の場合
- iPadを暖かい場所に移動
- 室温(20〜25℃)になるまで待つ
- ポケットに入れたり手で温めたりするのも効果的
- ヒーターやドライヤーで直接温めるのはNG
適正温度範囲
iPadの動作温度は0℃〜35℃です。
この範囲外では正常に動作しないことがあります。
【解決法5】iTunesまたはFinderに接続する
充電しても強制再起動しても起動しない場合は、パソコンに接続してみましょう。
接続方法
Windows、またはmacOS Mojave以前のMac:
- 最新版のiTunesをインストール
- iPadをパソコンに接続
- iTunesが自動的に開く
- iTunesがiPadを認識するか確認
macOS Catalina以降のMac:
- Finderを開く
- iPadをMacに接続
- サイドバーに「デバイス」としてiPadが表示されるか確認
パソコン接続で起動することがある理由
電源ボタンが故障している場合でも、パソコンに接続すると起動するケースがあります。
また、パソコンからの電力供給で起動に必要な最低限の充電ができることもあります。
【解決法6】リカバリーモードで復元する
ソフトウェアの問題が疑われる場合は、リカバリーモードでの復元を試します。
警告: この方法はiPad内のデータがすべて消去される可能性があります。
リカバリーモードの手順
ホームボタンがないiPad:
- iPadをパソコンに接続
- 音量上ボタンを押してすぐ離す
- 音量下ボタンを押してすぐ離す
- 電源ボタンを長押し
- 「リカバリーモード」画面が表示されるまで押し続ける
- iTunes/Finderで「復元」を選択
ホームボタンがあるiPad:
- iPadをパソコンに接続
- 電源ボタンとホームボタンを同時に長押し
- 「リカバリーモード」画面が表示されるまで押し続ける
- iTunes/Finderで「復元」を選択
リカバリーモード画面とは
画面に以下が表示されます:
- パソコンのアイコン
- ケーブルのアイコン
- 「iTunesに接続」または「support.apple.com/ipad/restore」のメッセージ
復元の注意点
- 復元には15分〜1時間かかることがある
- 途中でケーブルを抜かない
- パソコンのバッテリー残量を確認
- 安定したインターネット接続が必要
【解決法7】DFUモードで完全復元する(上級者向け)
リカバリーモードでも解決しない場合の最終手段です。
重要: DFUモードでの復元は、iPadを工場出荷時の状態に戻します。すべてのデータが消去されます。
DFUモードとは
Device Firmware Update(デバイスファームウェアアップデート)の略です。
通常の起動プロセスを完全にバイパスして、最も深いレベルで復元を行います。
DFUモードの手順
ホームボタンがないiPad:
- iPadをパソコンに接続
- 電源ボタンを3秒押し続ける
- 電源ボタンを押したまま、音量下ボタンを追加で10秒押す
- 電源ボタンだけ離し、音量下ボタンは押し続ける
- 画面が完全に真っ黒なままならDFUモード成功
- iTunes/Finderが復元を促す
ホームボタンがあるiPad:
- iPadをパソコンに接続
- 電源ボタンを3秒押し続ける
- 電源ボタンを押したまま、ホームボタンを追加で10秒押す
- 電源ボタンだけ離し、ホームボタンは押し続ける
- 画面が完全に真っ黒ならDFUモード成功
- iTunes/Finderが復元を促す
DFUモードの確認
成功すると:
- iPad画面は完全に真っ黒(何も表示されない)
- パソコンが「iPadを検出しました」と表示
- iTunes/Finderに「復元が必要」というメッセージ
【解決法8】水没の場合の対処法

iPadを水に濡らしてしまった場合は、特別な対応が必要です。
やってはいけないこと(重要!)
- 電源を入れようとする
- 充電する
- ドライヤーで乾かす
- 電子レンジや冷凍庫に入れる
- 振って水を出そうとする
正しい応急処置
- すぐに電源を切る(入っている場合)
- ケースやアクセサリーをすべて外す
- 表面の水分を柔らかい布で拭き取る
- 充電ポート側を下にして立てかけ、重力で水を排出
- 風通しの良い場所に最低48時間置く
- 乾燥剤やシリカゲルと一緒に密閉容器に入れる(あれば)
専門店への相談
水没の場合、内部の腐食が進行する前に専門店で分解清掃してもらうのが最善です。
Appleサポートや修理専門店に早めに相談しましょう。
【解決法9】Appleサポートや修理店に相談する
上記の方法をすべて試しても起動しない場合は、ハードウェアの故障が考えられます。
Appleサポートへの連絡方法
1. Appleサポートアプリを使う
- 別のiOS端末でアプリをダウンロード
- 症状を選択してチャット相談
- 修理の予約も可能
2. Appleサポート公式サイト
- support.apple.com/ja-jp にアクセス
- 「iPad」→「修理とサービス」を選択
3. Apple Storeに直接行く
- Genius Barを予約
- 持ち込んで診断してもらう
修理にかかる費用
Apple Care+加入の場合:
- 画面損傷:4,400円
- その他の損傷:4,400円
Apple Care+未加入の場合:
- 機種によって異なる
- iPad Pro:50,000円〜90,000円程度
- iPad Air:40,000円〜60,000円程度
- 無印iPad:30,000円〜50,000円程度
注意: 水没や重大な損傷の場合、修理不可で本体交換になることがあります。
サードパーティ修理店の選択肢
Apple正規サービスより費用を抑えられることがありますが:
メリット:
- 修理費用が安い
- 即日対応が多い
デメリット:
- Apple保証が無効になる
- 純正部品でない可能性
- データ保証がない
データが心配な場合の注意点
iPadが起動しない状態でも、データ復旧の可能性はあります。
やってはいけないこと
修理に出す前に:
- 何度も強制再起動を繰り返す
- 複数の復元を試みる
- 分解しようとする
これらの行為はデータ破損のリスクを高めます。
データ復旧専門業者
データが最優先の場合:
- まずデータ復旧専門業者に相談
- データを取り出してもらう
- その後、修理を依頼
修理では通常、データは初期化されてしまいます。
日頃からのバックアップが重要
定期的なバックアップで、万が一の時も安心です。
iCloudバックアップ:
- 設定→Apple ID→iCloud→iCloudバックアップ
- Wi-Fi接続時に自動バックアップ
パソコンへのバックアップ:
- iTunes/Finderで定期的にバックアップ
- より完全なバックアップが可能
予防策:iPadを長持ちさせるコツ
今後同じトラブルを避けるための予防策です。
バッテリーの適切な管理
- 完全放電させない(20%以下にならないよう充電)
- 高温環境での使用・充電を避ける
- 長期間使わない場合は50%程度充電して保管
純正アクセサリーの使用
- Apple純正またはMFi認証製品を使う
- 安価な非純正品は避ける
- ケーブルの扱いに注意(無理に曲げない)
定期的なメンテナンス
- 月に1回は再起動する
- iPadOSを常に最新に保つ
- 充電ポートを定期的に清掃
物理的な保護
- 保護ケースを使用
- 落下に注意
- 水回りでの使用は避ける
まとめ:iPadの電源が入らない時の対処手順
iPadの電源が入らなくなったら、以下の順番で試してみてください。
基本的な対処(まずこれを試す)
- 1時間以上充電する(純正充電器で)
- 充電ケーブル・アダプタを確認
- 強制再起動を試す
- 適切な温度環境に置く
それでもダメなら
- パソコンに接続してみる
- リカバリーモードで復元
- Appleサポートに相談
ほとんどの場合、1〜4の基本対処で解決できます。
特に「充電不足」と「一時的なシステムエラー」が原因であることが多いので、焦らずに対処しましょう。
それでも解決しない場合は、ハードウェアの故障が考えられるため、早めに専門家に相談することをおすすめします。
大切なデータが入っている場合は、無理に自分で対処せず、データ復旧サービスも検討してくださいね。


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