iPadの画面に突然、ケーブルとパソコンのアイコンが表示されて、どうしていいか分からず困っていませんか?
これは「リカバリーモード」という特別な状態です。アップデート中にエラーが起きたり、システムに不具合が発生したりすると、iPadが自動的にこのモードに入ることがあります。
でも安心してください。リカバリーモードは故障ではありません。正しい手順を踏めば、ほとんどの場合は元の状態に戻せます。
この記事では、iPadのリカバリーモードを解除する方法を、初心者の方でも分かりやすく解説していきます。
リカバリーモードって何?なぜこうなるの?

まず基本から確認しましょう。
リカバリーモードとは
- iPadのシステムに重大なエラーが起きたときの「緊急モード」
- システムの修復や初期化を行うための特別な状態
- 画面には「ケーブルとパソコン(またはiTunes)のアイコン」が表示される
普通に使っている分には、このモードに遭遇することはほとんどありません。
でも、以下のような状況でリカバリーモードに入ってしまうことがあります:
よくあるケース
- iPadOSのアップデート中にエラーが発生した
- システムの復元作業が途中で止まった
- 何度も再起動を繰り返している(リンゴループ)
- 誤った操作でリカバリーモードに入ってしまった
- パスコードを忘れて何度も間違えた
「アップデート中に充電が切れた」「途中でケーブルを抜いてしまった」などのトラブルが原因になることが多いです。
【最優先】まず試すべき解除方法:強制再起動
リカバリーモードを解除するには、いくつかの方法がありますが、最初に試すべきは強制再起動です。
この方法なら:
- パソコン不要
- データも消えない
- 所要時間は約1分
成功率も高いので、まずはこれを試してみてください。
ホームボタンがないiPadの場合
最近のiPad Pro、iPad Air、iPad mini(第6世代以降)などが該当します。
手順:
- 音量アップボタンを押してすぐ離す
- 音量ダウンボタンを押してすぐ離す
- 電源ボタン(トップボタン)を長押し
- Appleロゴが表示されるまで押し続ける
ポイントは「素早く」です。音量ボタンは押してすぐ離し、電源ボタンだけを長押しします。
10秒ほど押し続けると、画面が真っ暗になってからAppleロゴが表示されます。ロゴが出たら成功です。
ホームボタンがあるiPadの場合
iPad(第9世代以前)、古いiPad Pro、iPad Airなどが該当します。
手順:
- ホームボタンと電源ボタンを同時に長押し
- Appleロゴが表示されるまで押し続ける
- 両方のボタンを離す
こちらも10秒程度で画面が変わります。Appleロゴが出たら成功のサインです。
強制再起動のコツと注意点
うまくいかない場合:
- ボタンの組み合わせが間違っている可能性がある
- 押す時間が短すぎる
- バッテリーが完全に切れている
注意してほしいこと:
- 何度も繰り返すとiPadに負担がかかる
- 2〜3回試してダメなら、次の方法に進む
- 充電が20%以上あることを確認
強制再起動でリカバリーモードが解除できれば、そのまま普通に使えるようになります。
パソコンを使った解除方法【iTunesまたはFinder】
強制再起動でもダメだった場合、パソコンを使った方法を試しましょう。
この方法では、iPadのシステムを「アップデート」または「復元」することでリカバリーモードから抜け出します。
必要なもの
- Mac または Windows パソコン
- USBケーブル(Lightning または USB-C)
- 最新のiTunesまたはFinder(macOS Catalina以降)
重要な違い:
- アップデート:データが残る
- 復元:データが全部消える
まずは「アップデート」を試してください。それでダメなら「復元」しか選択肢がありません。
Macでの操作手順(macOS Catalina 以降)
- Finderを開く
- iPadをケーブルでMacに接続
- 左側のサイドバーに表示されるiPadをクリック
- 「アップデート」または「復元」のボタンが表示される
- まず「アップデート」を選択
- これでデータを保持したまま修復できる
- 最新のiPadOSがダウンロードされる
- 15分以上かかることもある
- その間リカバリーモード画面が消えても、ダウンロードが終わるまで待つ
- アップデートが完了したら、iPadが再起動する
Windowsパソコンでの操作手順
- 最新のiTunesをインストール
- Apple Devicesアプリ(Windows 11以降)でもOK
- iTunesを起動
- iPadをケーブルでパソコンに接続
- 「iPadがリカバリーモードです」というメッセージが表示される
- 「アップデート」または「復元」を選択
- 画面の指示に従って進める
手順はMacとほぼ同じです。まずは必ず「アップデート」を試してください。
「復元」を選ぶ前に知っておくべきこと
「アップデート」でも解除できない場合、最終手段として「復元」があります。
復元するとこうなる:
- iPadが工場出荷時の状態に戻る
- すべてのデータが消える
- 写真、動画、アプリ、設定など全部消える
- バックアップがあれば、後から復元できる
バックアップがない場合:
- データは完全に失われる
- 取り戻す方法はない
「復元」は本当に最後の手段です。実行前にもう一度、他の方法を試すことをおすすめします。
リカバリーモードに入った原因別の対処法
リカバリーモードになってしまった原因によって、最適な対処法が変わります。
アップデート中にトラブルが起きた
症状:
- iPadOSのアップデート中に固まった
- 進行バーが全く動かない
- 突然リカバリーモード画面になった
対処法:
- 強制再起動を試す
- ダメならパソコンで「アップデート」を実行
- 最新のiPadOSをインストールし直す
アップデートの失敗が原因なら、「アップデート」操作だけで解決することが多いです。
パスコードを何度も間違えた
症状:
- 「iPadは使用できません」と表示
- 何度試してもロック解除できない
- リカバリーモードに入るよう指示される
対処法:
- パソコンでiPadを「復元」する
- バックアップから復元する
- 新しいiPadとして設定する
この場合は残念ながら、データを残したまま解除する方法はありません。セキュリティ上の仕様です。
誤った操作でリカバリーモードに入った
症状:
- ボタン操作を間違えてリカバリーモードに
- 特に不具合はなかった
- 突然この画面になった
対処法:
- 強制再起動だけで解決する可能性が高い
- それでもダメなら「アップデート」
誤操作が原因なら、ほぼ確実に強制再起動で戻ります。
何度も再起動を繰り返している(リンゴループ)
症状:
- Appleロゴが表示されては消える
- 起動が完了しない
- 最終的にリカバリーモード画面に
対処法:
- 強制再起動を試す
- パソコンで「アップデート」
- それでもダメなら「復元」
リンゴループは深刻なシステムエラーです。「復元」が必要になる可能性が高いです。
リカバリーモードが解除できないときの最終手段
上記の方法を全て試してもダメな場合、以下を確認してください。
パソコン側の問題をチェック
iTunesまたはFinderが最新版か確認
- 古いバージョンだと認識しない
- アップデートしてから再度試す
USBケーブルを変えてみる
- 純正ケーブルを使う
- 別のケーブルで試す
- ケーブルの断線が原因のことも
別のUSBポートを試す
- パソコンの別のポートに差し替える
- USB-Cハブを使っている場合は直接接続
別のパソコンで試す
- 友人や家族のパソコンを借りる
- MacとWindowsの両方試す
iPad本体の問題を疑う
充電してから試す
- バッテリーが完全に切れている可能性
- 30分以上充電してから再試行
ボタンが故障している可能性
- 電源ボタンや音量ボタンが反応しない
- この場合は修理が必要
水濡れや落下のダメージ
- 過去に水没したことがある
- 落としてから調子が悪い
- 物理的な故障の可能性
それでもダメならAppleサポートへ
自力での解決が難しい場合:
Appleサポートに連絡
- 電話:0120-277-535
- オンラインチャット:support.apple.com/ja-jp
- 近くのApple Store
修理が必要なケース
- ハードウェアの故障
- 水濡れによる基板の損傷
- ボタンの物理的な破損
保証期間内なら無償修理の可能性もあります。AppleCare+に加入していれば、さらに安心です。
リカバリーモードとDFUモードの違い
たまに「DFUモード」という言葉を聞くことがあるかもしれません。
リカバリーモード
- 画面にケーブルとパソコンのアイコンが表示される
- iTunesやFinderで復元やアップデートができる
- 比較的軽度の問題に対応
DFUモード(Device Firmware Update Mode)
- 画面が完全に真っ暗
- より深刻なシステムエラーに対応
- ファームウェアレベルでの復元が可能
- より強力だが、リスクも高い
リカバリーモードで解決できない場合の最終手段がDFUモードです。ただし、一般ユーザーが使う必要はほとんどありません。
今後リカバリーモードにならないための予防策

リカバリーモードは予期せず起こることが多いですが、ある程度予防できます。
定期的なバックアップを取る
iCloudバックアップの設定
- 「設定」→ 自分の名前 → 「iCloud」
- 「iCloudバックアップ」をオンにする
- Wi-Fi接続中、充電中に自動バックアップされる
パソコンへのバックアップ
- FinderまたはiTunesで定期的にバックアップ
- データの完全な複製が作れる
- 復元も高速
バックアップさえあれば、万が一「復元」が必要になってもデータを取り戻せます。
アップデートは慎重に
アップデート前のチェックリスト
- バッテリーが50%以上ある
- 安定したWi-Fi環境
- バックアップを取っておく
- 時間に余裕があるとき
避けるべきタイミング
- バッテリーが少ないとき
- 急いでいるとき
- 不安定なWi-Fi環境
アップデートの失敗がリカバリーモードの最大の原因です。落ち着いた環境で実行しましょう。
怪しいアプリは入れない
注意すべきこと
- 非公式アプリストアからのインストール
- Jailbreak(脱獄)
- 怪しいプロファイルのインストール
公式App Store以外からアプリを入れると、システムが不安定になることがあります。
物理的なダメージを避ける
大切にする基本
- ケースやカバーを使う
- 水濡れに注意
- 高い場所から落とさない
- 極端な温度環境を避ける
物理的な故障が原因でリカバリーモードに入ることもあります。
よくある質問
Q1:リカバリーモードの解除にどれくらい時間がかかる?
A: 方法によって異なります:
- 強制再起動:約1分
- アップデート:15分〜1時間
- 復元:30分〜2時間
ダウンロード速度や、iPadのモデルによっても変わります。
Q2:データは消えてしまうの?
A: 方法によります:
- 強制再起動:データは残る
- アップデート:データは残る
- 復元:すべて消える
まずはデータが残る方法から試してください。
Q3:リカバリーモードはどのくらい放置しても大丈夫?
A: 基本的に問題ありませんが:
- バッテリーが切れるまで放置は避ける
- 長時間そのままにしても自動では解除されない
- できるだけ早く対処した方が良い
数時間〜1日程度なら問題ありませんが、何日も放置するのは避けましょう。
Q4:パソコンがない場合はどうすればいい?
A: いくつか選択肢があります:
- 強制再起動を繰り返し試す
- 友人や家族のパソコンを借りる
- Apple Storeに持ち込む
- 家電量販店のサポートを利用
パソコンなしでの解除は難しいため、どうにかパソコンを確保することをおすすめします。
Q5:リカバリーモードと初期化は違うの?
A: はい、違います:
- リカバリーモード:システム修復のための「状態」
- 初期化:データを完全に消去する「操作」
リカバリーモードは初期化の一つの手段ですが、必ずしも初期化が必要なわけではありません。
まとめ:落ち着いて対処すれば解決できる
最後に、この記事の重要ポイントをまとめます。
リカバリーモードの基本
- システムに問題があるときの緊急モード
- 故障ではなく、ほとんどの場合は解決できる
- 画面にケーブルとパソコンのアイコンが表示される
解除の手順(優先順)
- まず強制再起動を試す(データが残る)
- ダメならパソコンで「アップデート」(データが残る)
- それでもダメなら「復元」(データは消える)
- 最終手段はAppleサポートへ
予防のために
- 定期的にバックアップを取る
- アップデートは慎重に行う
- iPadを丁寧に扱う
困ったときの連絡先
- Appleサポート:0120-277-535
- オンラインサポート:support.apple.com/ja-jp
リカバリーモードに入ってしまうと焦りますが、冷静に対処すれば大丈夫です。
まずは強制再起動を試して、それでもダメならパソコンでアップデートしてみてください。多くの場合、これだけで解決します。
「復元」が必要になった場合でも、バックアップさえあればデータは取り戻せます。日頃からバックアップを習慣づけておくことが、何より大切ですよ。
あなたのiPadが無事に元の状態に戻ることを願っています!


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