新しいiPadを買ったので、古いiPadからデータを移行しようとしたら、クイックスタートが表示されない…。
クイックスタート画面は出たけど、途中で止まってしまう…。
こんな経験はありませんか?
実は、iPadのクイックスタートができない原因はいくつかあって、設定の問題、バージョンの違い、接続トラブルなど、様々なパターンがあるんです。
この記事では、iPadのクイックスタートができない主な原因と、それぞれの状況に合わせた確実な解決方法を分かりやすく説明していきます。
iPadのクイックスタートとは?

クイックスタートとは、古いiPadから新しいiPadへ、設定やアプリ、写真などのデータを簡単に移行できるApple公式の機能です。
従来は、一つ一つアプリをダウンロードし直したり、Wi-Fi設定を手動で入力したりする必要がありましたが、クイックスタートを使えば、ほとんど自動でデータ移行ができます。
クイックスタートで移行できるもの:
- 写真・動画
- 連絡先
- メッセージ履歴
- Wi-Fi設定
- Apple ID設定
- ホーム画面のレイアウト
- 壁紙
- アプリ(一部を除く)
- Safari のブックマークや履歴
クイックスタートの必要条件:
- 古いiPadがiPadOS 13以降
- 新しいiPadが工場出荷状態(初期化済み)
- 両方のiPadでBluetoothとWi-Fiがオン
- 両方のiPadが近くにある(10cm以内推奨)
iPadクイックスタートができない主な原因
まず、なぜクイックスタートができないのか、主な原因を理解しておきましょう。
原因①:iPadOSのバージョンが古い
最も多い原因がこれです。
クイックスタートは、iPadOS 13以降でないと使えません。
また、古いiPadのiPadOSが新しいiPadよりも新しいバージョンの場合も、データ転送ができないことがあります。
原因②:Bluetoothがオフになっている
クイックスタートは、最初のペアリングにBluetoothを使います。
古いiPad、または新しいiPadのどちらかでBluetoothがオフになっていると、クイックスタート画面が表示されません。
原因③:Wi-Fi接続が不安定
データ転送にはWi-Fi接続が必要です。
Wi-Fiの電波が弱い場所や、通信が不安定な環境では、途中でエラーが発生したり、転送が止まったりします。
原因④:2台のiPadが離れすぎている
クイックスタートは、BluetoothとWi-Fiを使って通信するため、2台のiPadが近くにないと認識しません。
通常は10cm以内に置いておくのが推奨されています。
原因⑤:新しいiPadが初期化されていない
新しいiPadがすでにセットアップ済み(初期設定が完了している)だと、クイックスタートは使えません。
クイックスタートは、工場出荷状態の新しいiPadでのみ動作します。
原因⑥:近くに他のAppleデバイスがある
iPadやiPhone、Apple Watchなどが近くにあると、どのデバイスとペアリングするのか判別できず、エラーになることがあります。
原因⑦:ストレージ容量が不足している
新しいiPadのストレージ容量が、古いiPadで使用しているデータ量よりも少ない場合、転送できません。
例えば、古いiPadで100GB使っている場合、新しいiPadは最低でも100GB以上の空き容量が必要です。
原因⑧:バッテリー残量が少ない
データ転送中にバッテリーが切れると、転送が中断されてデータが破損する可能性があります。
両方のiPadのバッテリーが十分にないと、クイックスタートが始まらないことがあります。
原因⑨:カメラが故障している
クイックスタートでは、古いiPadのカメラで新しいiPadに表示されるアニメーションを読み取る必要があります。
カメラが故障していると、この手順が完了できません。
原因⑩:ソフトウェアの不具合
iPad内部で一時的な不具合が発生していると、クイックスタートが正常に動作しないことがあります。
【基本対処法】クイックスタートができない時の確認項目
まず、以下の基本項目を確認しましょう。
確認1:iPadOSのバージョンを確認する
確認方法:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「情報」をタップ
- 「iPadOSバージョン」を確認
必要なバージョン:
- 古いiPad:iPadOS 13以降
- 新しいiPad:iPadOS 13以降
バージョンが古い場合は、次の手順でアップデートします。
確認2:Bluetoothがオンになっているか確認
確認方法:
- 「設定」アプリを開く
- 「Bluetooth」をタップ
- Bluetoothスイッチがオンになっているか確認
または、コントロールセンターから:
- 画面右上から下にスワイプ(またはホームボタンのあるiPadは下から上にスワイプ)
- Bluetoothアイコンが青色になっているか確認
確認3:Wi-Fiがオンになっているか確認
確認方法:
- 「設定」アプリを開く
- 「Wi-Fi」をタップ
- Wi-Fiスイッチがオンで、ネットワークに接続されているか確認
確認4:2台のiPadを近づける
両方のiPadを10cm以内の距離に置きましょう。
できれば、隣同士に並べて置くのがベストです。
確認5:バッテリー残量を確認
両方のiPadを電源アダプターに接続してから、クイックスタートを開始しましょう。
特にデータ量が多い場合は、数時間かかることもあります。
iPadOSをアップデートする方法
iPadOSが古い場合は、以下の手順でアップデートします。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「ソフトウェアアップデート」をタップ
- アップデートが利用可能な場合、「ダウンロードしてインストール」をタップ
- パスコードを入力
- 利用規約に同意
- アップデートがダウンロードされ、自動的にインストールされる
- iPadが再起動する
注意点:
- Wi-Fiに接続している必要がある
- バッテリーが50%以上あるか、電源に接続している必要がある
- アップデートには30分~1時間程度かかることがある
新しいiPadを初期化する方法
すでにセットアップ済みの新しいiPadでクイックスタートを使いたい場合は、初期化が必要です。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「転送またはiPadをリセット」をタップ
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」をタップ
- Apple IDのパスワードを入力
- 「iPadを消去」をタップ
- 確認画面で再度「iPadを消去」をタップ
初期化が完了すると、工場出荷状態に戻り、クイックスタートが使えるようになります。
iPadを再起動する方法

一時的な不具合は再起動で解決することがあります。
ホームボタンのないiPadの場合
手順:
- 音量ボタン(上または下)とトップボタンを同時に長押し
- 「スライドで電源オフ」が表示されたらスライド
- 完全に電源が切れたら、トップボタンを長押しして起動
ホームボタンのあるiPadの場合
手順:
- トップボタンとホームボタンを同時に長押し
- Appleロゴが表示されるまで押し続ける
- ロゴが表示されたらボタンを離す
クイックスタートの正しい手順
基本設定が整ったら、以下の手順でクイックスタートを行います。
手順:
- 新しいiPadの電源を入れる
- 言語と国または地域を選択
- 「クイックスタート」画面が表示される
- 古いiPadを近くに置く
- 古いiPadに「新しいiPadを設定」というメッセージが表示される
- 「続ける」をタップ
- 古いiPadで「続ける」をタップ
- アニメーションをスキャン
- 新しいiPadにアニメーションが表示される
- 古いiPadのカメラで新しいiPadのアニメーションを中央に収める
- 「新しいiPadで完了」と表示されるまで待つ
- パスコードを入力
- 新しいiPadに古いiPadのパスコードを入力
- Face IDまたはTouch IDを設定
- 画面の指示に従って設定
- データ転送方法を選択
- 「iPhoneから転送」または「iCloudからダウンロード」を選択
- おすすめは「iPhoneから転送」(直接転送の方が速い)
- 利用規約に同意
- Appleの利用規約に同意
- 転送開始
- 「転送を開始」をタップ
- 両方のiPadを近くに置いたまま、転送が完了するまで待つ
- 転送完了
- 「転送が完了しました」と表示されたら「続ける」をタップ
- 新しいiPadで追加設定を行う
それでもクイックスタートができない場合の対処法
【方法1】カメラでスキャンできない場合は「手動で認証」を使う
アニメーションのスキャンがうまくいかない場合は、手動認証が使えます。
手順:
- クイックスタート画面で「手動で認証」をタップ
- 新しいiPadに6桁のコードが表示される
- 古いiPadでそのコードを入力
【方法2】有線接続でデータ転送する
Wi-Fiが不安定な場合は、有線接続が確実です。
必要なもの:
- Lightning – USB 3カメラアダプタ
- Lightning – USBケーブル
手順:
- カメラアダプタを古いiPadに接続
- USBケーブルで新旧のiPadを接続
- クイックスタートの手順を進める
- データ転送方法で「iPhoneから転送」を選択
【方法3】不要なデータを削除してストレージを空ける
新しいiPadの容量が足りない場合は、古いiPadから不要なデータを削除します。
削除しやすいもの:
- 不要なアプリ
- 大きなビデオファイル
- ダウンロード済みの映画や音楽
- 重複している写真
確認方法:
- 「設定」→「一般」→「iPadストレージ」
- 使用量の多いアプリを確認
- 不要なものを削除
【方法4】近くの他のAppleデバイスの電源を切る
iPhoneやApple Watchなどが近くにある場合は、一時的に電源を切りましょう。
【方法5】クイックスタートを使わず、iCloudバックアップから復元する
クイックスタートがどうしてもうまくいかない場合は、iCloudバックアップから復元する方法があります。
事前準備(古いiPad):
- 「設定」→「ユーザー名」→「iCloud」をタップ
- 「iCloudバックアップ」をタップ
- 「今すぐバックアップを作成」をタップ
- バックアップ完了まで待つ
新しいiPadでの復元手順:
- 新しいiPadの初期設定を進める
- 「Appとデータ」画面で「iCloudバックアップから復元」を選択
- Apple IDでサインイン
- 最新のバックアップを選択
- 復元完了まで待つ
【方法6】パソコンを使ってiTunes/Finderでバックアップ・復元する
iCloudの容量が足りない場合は、パソコンを使った方法があります。
Windowsの場合(iTunes使用):
古いiPadのバックアップ手順:
- iTunesを最新版にアップデート
- 古いiPadをパソコンに接続
- iTunesでiPadを選択
- 「今すぐバックアップ」をクリック
- バックアップ完了まで待つ
新しいiPadの復元手順:
- 新しいiPadをパソコンに接続
- iTunesでiPadを選択
- 「バックアップを復元」をクリック
- 最新のバックアップを選択
- 復元完了まで待つ
Macの場合(Finder使用・macOS Catalina 10.15以降):
手順はiTunesと同じですが、Finderから操作します。
よくあるエラーと解決方法
エラー1:「クイックスタート」画面が表示されない
原因:
- Bluetoothがオフ
- 2台が離れすぎている
- iPadOSが古い
解決方法:
- Bluetoothをオンにする
- 2台を10cm以内に近づける
- iPadOSをアップデートする
エラー2:「転送を完了できません」と表示される
原因:
- ストレージ容量不足
- Wi-Fi接続が不安定
- バッテリー切れ
解決方法:
- 古いiPadの不要なデータを削除
- 安定したWi-Fi環境に移動
- 両方のiPadを電源に接続
エラー3:転送中に止まってしまう
原因:
- Wi-Fi接続が切れた
- 2台が離れた
- iPadがスリープモードになった
解決方法:
- Wi-Fi接続を確認
- 2台を近づけたまま放置
- 両方のiPadの自動ロックを「なし」に設定
- 最初からやり直す
エラー4:「ソフトウェアをアップデートしてください」で進まない
原因:
- 新しいiPadのiPadOSが最新でない
解決方法:
- 新しいiPadでクイックスタートをキャンセル
- 言語や地域などの基本設定を完了させる
- Wi-Fiに接続
- 「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」
- iPadOSを最新版にアップデート
- アップデート完了後、iPadを初期化
- クイックスタートを再度試す
クイックスタートで移行できないデータ
クイックスタートは非常に便利ですが、すべてのデータが移行されるわけではありません。
個別に設定・移行が必要なもの:
- LINEのトーク履歴:LINEアプリ内でバックアップと復元が必要
- Suica・PASMO:古いiPadから削除→新しいiPadに追加
- 二段階認証アプリ(Google Authenticatorなど):再設定が必要
- 一部のゲームアプリ:アプリ内で引き継ぎ設定が必要
- Apple Payのクレジットカード情報:セキュリティ上、再登録が必要
- ヘルスケアデータ:iCloudまたは暗号化バックアップから復元
これらのアプリやデータは、クイックスタート前に引き継ぎ準備をしておくことをおすすめします。
クイックスタート時の注意点
注意1:データ転送中は両方のiPadが使えない
データ転送中は、古いiPadも新しいiPadも操作できません。
時間に余裕がある時(夜寝る前など)に行うのがおすすめです。
注意2:転送には時間がかかる
データ量によって異なりますが、数十分から数時間かかることがあります。
目安:
- 10GB程度:30分~1時間
- 50GB程度:1~2時間
- 100GB以上:2~4時間以上
注意3:Wi-Fi環境が重要
フリーWi-Fiなど、一定時間で切れるWi-Fiは避けましょう。
自宅の安定したWi-Fi環境で行うのが確実です。
注意4:Apple IDのパスワードを準備しておく
クイックスタート中にApple IDのパスワードを求められることがあります。
事前に確認しておきましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1:クイックスタートは何回でもやり直せますか?
A:はい、できます。ただし、新しいiPadを再度初期化する必要があります。
Q2:iPhoneからiPadへのクイックスタートはできますか?
A:はい、できます。iPhoneからiPadへも、iPadからiPhoneへもクイックスタートが使えます。
Q3:データ転送中にWi-Fiが切れたらどうなりますか?
A:転送が中断されます。再度Wi-Fiに接続すれば、続きから再開できる場合もありますが、最初からやり直す必要があることもあります。
Q4:クイックスタート後、アプリが全部ダウンロードされるまで待つ必要がありますか?
A:いいえ、必要ありません。クイックスタート完了後すぐにiPadを使い始められます。アプリは バックグラウンドで自動的にダウンロードされます。
Q5:古いiPadは転送後も使えますか?
A:はい、使えます。クイックスタートは「コピー」なので、古いiPadのデータは消えません。
Q6:中古で買ったiPadにもクイックスタートは使えますか?
A:はい、使えます。ただし、初期化されている必要があります。初期化されていない場合は、「設定」から「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行してください。
Q7:クイックスタートは有料ですか?
A:いいえ、完全無料です。Apple公式の標準機能です。
まとめ
iPadのクイックスタートができない問題は、ほとんどの場合、以下の方法で解決できます。
最も効果的な解決方法トップ5:
- iPadOSを最新版にアップデートする(古いiPadも新しいiPadも)
- BluetoothとWi-Fiをオンにする
- 2台のiPadを10cm以内に近づける
- 両方のiPadを電源に接続する
- 新しいiPadが初期化されているか確認する
クイックスタートを成功させるコツ:
- 事前準備を しっかり行う(バージョン確認、バッテリー充電、Wi-Fi確認)
- 安定したWi-Fi環境で行う
- 時間に余裕がある時に行う
- 近くに他のAppleデバイスがあれば電源を切る
- データ転送中は2台を近くに置いたまま、触らない
それでも解決しない場合は:
- iCloudバックアップから復元する
- パソコンを使ってiTunes/Finderでバックアップ・復元する
- Apple Storeまたはサポートに相談する
クイックスタートは、正しく準備すれば非常に便利な機能です。
この記事の手順に従って、スムーズにiPadのデータ移行を完了させましょう!
あなたの新しいiPadが無事にセットアップできることを願っています!

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