「iPadのキーボードが小さくなって戻らない!」
「2本指で広げても反応しない…」
「フローティングキーボードを解除したいのにできない」
iPadで文字入力しようとしたら、突然キーボードが小さくなってしまい、通常サイズに戻せなくなることがあります。特にApple Pencilを使った後や、Safariで検索しているときに起こりやすい現象です。
この記事では、iPadのフローティングキーボードが戻らない問題について、原因別の解決方法を詳しく解説します。
フローティングキーボードとは?
基本的な説明
フローティングキーボードは、iPadOS 13以降で利用できる機能です。
特徴:
- 通常よりも小さいサイズのキーボード
- 画面上の好きな位置に移動できる
- 片手での入力に便利
- iPhone風の配列で表示される
通常のキーボードとの違い:
| 項目 | 通常のキーボード | フローティングキーボード |
|---|---|---|
| サイズ | 大きい(画面幅いっぱい) | 小さい(iPhone程度) |
| 位置 | 画面下部に固定 | 自由に移動可能 |
| 表示 | 常に画面下部 | 画面上のどこでも |
フローティングキーボードの利点
便利な場面:
- 画面の広い範囲を見たいとき
- Apple Pencilで書きながら文字入力するとき
- 片手で素早く入力したいとき
- 入力欄が画面上部にあるとき
不便な場面:
- 長文を入力するとき
- タイピング速度が重要なとき
- 両手で入力したいとき
- 誤って表示されたとき
基本的な戻し方(3つの方法)
まず、標準的な方法を3つ紹介します。これらの方法で多くの場合は解決できます。
方法1:2本指でピンチアウト(広げる)
最も基本的で推奨される方法です。
手順:
- フローティングキーボードに2本の指を置く
- 2本の指を広げるように動かす(ピンチアウト)
- キーボードが大きくなり、画面下部に固定される
ポイント:
- 指を同時に置く
- しっかりと広げる動作をする
- キーボードの中央付近に指を置くとやりやすい
方法2:キーボードアイコンから「フル」を選択
ジェスチャーが苦手な方におすすめの方法です。
手順:
- キーボード右下のキーボードアイコン(□に下向き矢印)を長押し
- メニューが表示されるので「フル」をタップ
- キーボードが通常サイズに戻る
メニューの選択肢:
- フローティング: 現在の状態(小さいキーボード)
- 固定解除: キーボードを画面中央に移動(サイズは変わらない)
- 分割: キーボードを左右に分割(対応機種のみ)
- フル: 通常の大きいキーボードに戻る
方法3:下部のバーをドラッグ
直感的で簡単な方法です。
手順:
- フローティングキーボード下部の灰色のバー(「―」)をタッチして押さえたまま
- 画面下部の中央に向かってドラッグ
- バーが大きな灰色の四角になったら指を離す
- キーボードが画面下部に固定され、通常サイズに戻る
コツ:
- ゆっくりとドラッグする
- 画面下部中央を意識する
- 四角が表示されてから指を離す
基本的な方法で戻らない場合の原因と対処法
基本的な方法を試しても戻らない場合、以下の原因が考えられます。
原因1:スクリブル機能が有効になっている
最も多い原因がこれです!
スクリブルとは?
Apple Pencilで手書き文字を入力できる機能です。スクリブルが有効な場合、専用の小さいキーボードが表示され、通常のジェスチャーでは戻せなくなります。
症状:
- Apple Pencilで画面をタップするとフローティングキーボードが出る
- 2本指でピンチアウトしても反応しない
- キーボードアイコンのメニューが表示されない、または選択できない
- 特定のアプリ(Safariなど)でのみ発生する
解決方法:スクリブルをオフにする
手順:
- iPadの「設定」アプリを開く
- 左側のメニューから「Apple Pencil」をタップ
- 「スクリブル」のスイッチをオフ(灰色)にする
- 一度アプリを完全に終了
- ホーム画面で画面下部から上にスワイプ(ホームボタンがある場合はホームボタン2回押し)
- App Switcherで該当アプリを上にスワイプして終了
- アプリを再起動
- キーボードが通常サイズに戻っているか確認
注意点:
- スクリブルをオフにすると、手書き文字入力機能が使えなくなる
- 必要に応じてオン/オフを切り替える
原因2:特定のアプリでのみ発生(特にSafari)
症状:
- Safariでのみフローティングキーボードになる
- 他のアプリ(メモ、メッセージなど)では正常
- ピンチアウトが効かない
解決方法1:スクリブルをオフにしてアプリを再起動
前述のスクリブルオフの手順を実行後、Safariを完全に終了して再起動します。
解決方法2:別のアプリで正常なキーボードを呼び出してから戻る
- 画面を分割表示(Split View)にする
- 片方にSafariを開く
- もう片方にメモアプリなど別のアプリを開く
- メモアプリで文字入力欄をタップして通常のキーボードを表示
- そのままSafariに戻る
- Safariで数文字入力
- 分割表示を解除
この方法で一時的に通常のキーボードに戻ることがあります。
原因3:ジェスチャーが認識されない
症状:
- 2本指を置いても1本指として認識される
- ピンチアウトしても文字が入力される
- 指を広げてもキーボードが拡大しない
解決方法:
1. ゆっくりと確実に操作する
- 2本の指を同時に置く
- キーボードの中央付近に指を置く
- ゆっくりと大きく広げる
- 指が離れないように注意
2. 画面を清潔にする
- 画面に汚れや水滴があると誤認識する
- 柔らかい布で画面を拭く
- 手の汗や油分も拭き取る
3. 手袋やスタイラスをしている場合
- 素手で操作する
- 静電容量式タッチスクリーン対応の手袋を使用
原因4:キーボード設定の問題
症状:
- 何をしてもフローティングキーボードに戻ってしまう
- 一度は戻っても再度小さくなる
解決方法:キーボード設定を確認
手順:
- 「設定」→「一般」→「キーボード」を開く
- 「キーボードを分割」の設定を確認
- オンの場合:オフにしてみる
- オフの場合:一度オンにしてから再度オフにする
- iPadを再起動
注意:
- iPad Pro(11インチ、12.9インチ)、iPad Air(4世代以降)では「キーボードを分割」オプションは表示されません
原因5:iOS/iPadOSのバグ
症状:
- どの方法を試しても戻らない
- 最近iPadOSをアップデートした後から発生
解決方法1:iPadを再起動
ホームボタンがないiPad(iPad Pro、iPad Airなど):
- 音量上ボタンを押して素早く離す
- 音量下ボタンを押して素早く離す
- 電源ボタンを押し続ける
- Appleロゴが表示されたら離す
ホームボタンがあるiPad:
- 電源ボタンとホームボタンを同時に押し続ける
- Appleロゴが表示されたら両方のボタンを離す
解決方法2:iPadOSを最新版にアップデート
- 「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」を開く
- アップデートが利用可能な場合は「ダウンロードしてインストール」をタップ
- 画面の指示に従ってアップデート
解決方法3:アプリを強制終了して再起動
- App Switcherを表示
- ホームボタンなし:画面下部から上にスワイプして中央で止める
- ホームボタンあり:ホームボタンを2回素早く押す
- 問題のあるアプリを上にスワイプして終了
- ホーム画面からアプリを再起動
対処法の優先順位
効率的に問題を解決するため、以下の順番で試すことをおすすめします。
ステップ1:基本的な方法を試す(1〜3分)
- 2本指でピンチアウト
- キーボードアイコンから「フル」を選択
- 下部のバーをドラッグ
→ 解決した場合は完了
ステップ2:スクリブルを確認(2〜3分)
- 設定からスクリブルをオフ
- アプリを終了して再起動
→ 解決した場合は完了
ステップ3:再起動を試す(3〜5分)
- アプリを強制終了
- それでもダメならiPadを再起動
→ 解決した場合は完了
ステップ4:設定とアップデートを確認(5〜10分)
- キーボード設定を確認
- iPadOSを最新版にアップデート
- アップデート後再起動
ステップ5:それでもダメな場合(10分〜)
- すべての設定をリセット
- 「設定」→「一般」→「転送またはiPadをリセット」→「リセット」→「すべての設定をリセット」
- データは消えませんが、Wi-Fiパスワードなどは再設定が必要
- Appleサポートに連絡
フローティングキーボードの使い方
せっかくなので、フローティングキーボードの便利な使い方も紹介します。
フローティングキーボードへの切り替え方
方法1:2本指でピンチイン(つまむ)
- 通常のキーボードに2本の指を広げて置く
- 2本の指をつまむように動かす(ピンチイン)
- キーボードが小さくなる
方法2:キーボードアイコンから選択
- キーボード右下のキーボードアイコンを長押し
- 「フローティング」をタップ
フローティングキーボードの移動方法
- キーボード下部の灰色のバーをタッチ
- 画面上の好きな位置までドラッグ
- 指を離す
おすすめの配置:
- 利き手側に配置(片手入力しやすい)
- 入力欄の近くに配置(入力内容が見やすい)
- Apple Pencilで書く場所を避けて配置
分割キーボードとの違い
分割キーボード(対応機種のみ):
- キーボードが左右に分かれる
- 両手の親指で入力しやすい
- iPad mini、iPad(第9世代以前)でのみ利用可能
- iPad Pro、iPad Air(第4世代以降)では非対応
フローティングキーボード:
- すべてのiPadで利用可能
- 画面上のどこにでも移動可能
- 片手入力に最適
よくある質問
Q1. フローティングキーボードを完全に無効化できますか?
A: iPadOS 18現在、フローティングキーボード機能を完全に無効化する設定はありません。
ただし、誤って表示されないようにする対策:
- スクリブル機能をオフにする
- 画面を強くピンチしない
- Apple Pencilを使う場合は手書き入力とキーボード入力を分けて考える
Q2. Apple Pencilを使いながら通常のキーボードを表示したい
A: スクリブルをオフにすることで、Apple Pencil使用時も通常のキーボードが表示されます。
手順:
- 設定→Apple Pencil→スクリブルをオフ
- アプリを再起動
手書き入力が必要な場合は、必要に応じてスクリブルをオン/オフ切り替えます。
Q3. Safariでだけフローティングキーボードになるのはなぜ?
A: Safariは検索バーやフォームの入力が多いため、スクリブル機能と組み合わせた際にフローティングキーボードが自動で表示されやすい設計になっています。
対処法:
- スクリブルをオフにする
- Safariを完全に終了して再起動
- iPadを再起動
Q4. ピンチアウトが全く反応しません
A: 以下を確認してください:
- 2本の指を同時に置いているか
- 1本ずつ置くと認識されない
- スクリブルが有効になっていないか
- スクリブル有効時は専用キーボードで通常のジェスチャーが効かない
- 画面が汚れていないか
- 汚れや水滴があると誤認識する
- 保護フィルムが原因ではないか
- 低品質の保護フィルムはマルチタッチを妨げることがある
Q5. 物理キーボード接続時もフローティングキーボードが出る?
A: 物理キーボード(Magic KeyboardやSmart Keyboardなど)を接続している場合、通常はオンスクリーンキーボードは表示されません。
表示される場合:
- キーボードの接続を確認
- iPadを再起動
- キーボードを再接続
Q6. iPadのモデルによって違いはありますか?
A: あります。
分割キーボード対応モデル:
- iPad mini(全世代)
- iPad(第9世代以前)
分割キーボード非対応モデル:
- iPad Pro(11インチ、12.9インチ)
- iPad Air(第4世代以降)
- iPad(第10世代以降)
フローティングキーボードはすべてのモデルで利用できます。
まとめ
iPadのフローティングキーボードが戻らない問題について解説しました。
重要なポイントをおさらいします:
基本的な戻し方(3つの方法):
- 2本指でピンチアウト(広げる)
- キーボードアイコンから「フル」を選択
- 下部のバーを画面下中央にドラッグ
戻らない場合の最も多い原因:
- スクリブル機能が有効になっている
- 設定→Apple Pencil→スクリブルをオフ
- アプリを再起動すると解決
その他の原因と対処法:
- 特定のアプリ(Safari)でのみ発生→スクリブルオフ+アプリ再起動
- ジェスチャー認識されない→2本指を同時に、画面を清潔に
- キーボード設定→分割設定のオン/オフ切り替え
- iOS/iPadOSのバグ→再起動、アップデート
対処の優先順位:
- 基本的な方法を試す(1〜3分)
- スクリブルを確認(2〜3分)
- 再起動を試す(3〜5分)
- 設定とアップデートを確認(5〜10分)
- すべての設定をリセット、またはAppleサポートに連絡
フローティングキーボードの便利な使い方:
- 2本指でピンチイン→フローティング化
- 下部のバーをドラッグ→自由に移動
- 片手入力やApple Pencil使用時に便利
よくある質問:
- 完全に無効化はできない
- スクリブルオフで多くの問題は解決
- Safariで頻発する場合はスクリブルが原因
- ピンチアウトが効かない場合は画面の清掃とスクリブル確認
フローティングキーボードは便利な機能ですが、意図せず表示されると困ることもあります。
この記事を参考に、状況に応じて通常のキーボードとフローティングキーボードを使い分けてください!

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