iPhoneを機種変更する時、「iCloudメールはどうなるの?」「メールアドレスは変わる?」「過去のメールは消える?」と不安になっていませんか?
実は、iCloudメールはApple IDに紐付いているため、基本的に自動で引き継がれます。難しい設定は不要です。
この記事では、iCloudメールの機種変更時の引き継ぎ方法を、初めての方にも分かりやすく解説します。クイックスタートの使い方から、メールが表示されない時のトラブル対処法まで、完全網羅しています。
iCloudメールは機種変更で自動引き継ぎされる

まず安心してください。iCloudメールは特別な手続きなしで新しいiPhoneに引き継がれます。
iCloudメールの基本的な仕組み
iCloudメールは以下の特徴があります:
Apple IDに紐付いている:
- メールデータはiPhoneではなくAppleのサーバー(iCloud)に保存
- 同じApple IDでサインインすれば、どの端末でも同じメールが見られる
- メールアドレス(@icloud.com)は変わらない
自動的に同期される:
- 送受信したメールは全デバイスで同期
- 下書きやフォルダもすべて同期
- iPhoneを変えても、すぐに過去のメールが見られる
つまり: 機種変更しても、Apple IDでサインインするだけで、すべてのメールが新しいiPhoneに表示されます。
キャリアメールとの違い
比較すると、iCloudメールの便利さが分かります。
| 項目 | iCloudメール | キャリアメール(ドコモ・au等) |
|---|---|---|
| メールアドレス | 変わらない(@icloud.com) | キャリア変更で変わる可能性 |
| 引き継ぎ | 自動(Apple IDで) | 手動設定が必要 |
| 過去のメール | すべて残る | 移行手続きが必要 |
| 機種変更の手間 | ほぼなし | プロファイル設定等が必要 |
| 複数デバイス | 自由に使える | 基本的に1台のみ |
【方法1】クイックスタートで自動引き継ぎ(最も簡単・推奨)
iOS 11以降では、「クイックスタート」機能を使えば、iCloudメールを含むすべての設定が自動で移行されます。
クイックスタートとは
新旧のiPhoneを近づけるだけで、設定やデータを自動的に移行できる機能です。
移行されるもの:
- Apple ID(自動サインイン)
- iCloudメールの設定
- Wi-Fi設定
- アプリ(自動ダウンロード)
- 写真・連絡先・カレンダー
- ホーム画面の配置
- パスワード(キーチェーン)
クイックスタートの手順
ステップ1:準備
古いiPhoneで:
- iOS 11以降にアップデート(設定→一般→ソフトウェア・アップデート)
- iCloudバックアップを作成(設定→自分の名前→iCloud→iCloudバックアップ→今すぐバックアップ)
- Bluetoothをオンにする
- Wi-Fiに接続
新しいiPhoneで:
- 充電しておく(または充電ケーブルに接続)
重要: 両方のiPhoneを十分に充電するか、電源に接続しておくことをおすすめします。
ステップ2:クイックスタートを開始
- 新しいiPhoneの電源を入れる
- 「こんにちは」画面が表示される
- 古いiPhoneの近くに置く
- 10cm以内に近づける
- しばらく待つ
- 古いiPhoneに「新しいiPhoneを設定」と表示される
- 「続ける」をタップ
- カメラで青い模様をスキャン
- 新しいiPhoneに青い円形のアニメーションが表示される
- 古いiPhoneのカメラでこれを読み取る
- 「新しいiPhoneで完了」と表示される
ステップ3:パスコードとApple ID
- 古いiPhoneのパスコードを新しいiPhoneに入力
- Face ID または Touch IDを設定
- 画面の指示に従って設定
- Apple IDのパスワードを入力
- 自動的に入力済みの場合もあります
ステップ4:データ転送方法を選択
2つの選択肢が表示されます:
A. iCloudからダウンロード
- メリット:新しいiPhoneをすぐ使い始められる
- デメリット:アプリやデータのダウンロードに時間がかかる(バックグラウンドで実行)
- おすすめ:Wi-Fi環境がある場合
B. iPhoneから直接転送
- メリット:すべてのデータを確実に移行
- デメリット:転送完了まで両方のiPhoneが使えない(30分〜数時間)
- おすすめ:確実に移行したい場合
iCloudメールに関しては、どちらを選んでも同じです。 メールはiCloudサーバーに保存されているため、自動的に同期されます。
ステップ5:移行完了
- しばらく待つ
- データ量により10分〜数時間
- 進行状況バーが表示される
- 「iPhoneの設定が完了しました」と表示される
- 「続ける」をタップ
- 新しいiPhoneで最終設定
- Apple Pay、Siri、画面表示などの設定
- スキップしても後で設定可能
- 完了
- ホーム画面が表示される
iCloudメールの確認
クイックスタート完了後、すぐにiCloudメールを確認できます。
- 「メール」アプリを開く
- iCloudメールボックスを確認
- 受信トレイ
- 送信済み
- 下書き
- すべてのフォルダ
すべて表示されているはずです。 過去のメールも含めて、すぐに利用できます。
【方法2】iCloudバックアップから復元
クイックスタートを使わない場合や、すでに初期設定を始めてしまった場合の方法です。
手順
- 新しいiPhoneの初期設定を進める
- 言語・地域を選択
- Wi-Fiに接続
- 「Appとデータ」画面で選択
- 「iCloudバックアップから復元」をタップ
- Apple IDでサインイン
- メールアドレスまたは電話番号
- パスワード
- バックアップを選択
- 最新のバックアップを選択(日付と時刻を確認)
- 復元が始まる
- しばらく待つ
- Wi-Fiに接続したまま待機
- 数十分かかる場合があります
- 再起動後、メールアプリを確認
- iCloudメールがすべて表示される
【方法3】手動でiCloudメールを設定
何らかの理由で自動設定されない場合の手動設定方法です。
手順
- 「設定」アプリを開く
- 自分の名前をタップ
- 画面の一番上
- 「iCloud」をタップ
- 「iCloudを使用しているApp」を確認
- リストの中から「メール」を探す
- 「メール」をオンにする
- スイッチをタップして緑色にする
- 「iCloudメールのアドレスを作成」と表示される場合は、すでにアドレスがあるかApple IDでサインインしているか確認
- メールアプリを開く
- iCloudメールが表示される
別の手動設定方法
上記でうまくいかない場合:
- 「設定」→「メール」→「アカウント」
- 「アカウントを追加」をタップ
- 「iCloud」を選択
- Apple IDでサインイン
- メールアドレスとパスワード
- 「メール」をオンにする
- 他に同期したい項目(連絡先、カレンダー等)もオン
- 「保存」をタップ
- メールアプリを確認
よくあるトラブルと解決方法

機種変更後にiCloudメールが表示されない、または正常に動作しない場合の対処法です。
トラブル1:メールが表示されない・受信トレイが空
原因: iCloudメールの同期がオフになっている
解決方法:
- 「設定」→自分の名前→「iCloud」を開く
- 「iCloudメール」または「メール」がオフになっていないか確認
- オフの場合はオンにする
- メールアプリを再起動
それでも解決しない場合:
- 「設定」→「メール」→「アカウント」→「iCloud」
- 「メール」がオンになっているか確認
- オフの場合はオンにする
- しばらく待つ(同期に数分かかる場合があります)
トラブル2:「このiCloudアカウントはすでにiPhoneに追加されています」と表示される
原因: iCloudの設定に不具合がある
解決方法:
- 一度サインアウトして再サインイン
- 「設定」→自分の名前→「サインアウト」
- Apple IDのパスワードを入力
- 「サインアウト」をタップ
- データをiPhoneに残すか聞かれたら「iPhoneに残す」を選択
- 数秒待つ
- 再度「設定」→「iPhoneにサインイン」
- Apple IDとパスワードでサインイン
- iCloudメールをオンにする
- 「設定」→自分の名前→「iCloud」→「iCloudメール」をオン
トラブル3:過去のメールが一部しか表示されない
原因: メールの同期期間が制限されている
解決方法:
- 「設定」→「メール」→「アカウント」→「iCloud」
- 「アカウント」をタップ
- 「詳細」をタップ
- 「メールボックスの特性」を確認
- 必要に応じて「すべてのメールボックスを同期」を選択
Web版で確認:
すべてのメールはiCloud上に保存されています。iCloud.com/mailにアクセスすれば、すべてのメールを確認できます。
トラブル4:メールの送信ができない
原因: 送信サーバーの設定に問題がある
解決方法:
- 「設定」→「メール」→「アカウント」→「iCloud」
- 「アカウント」→「SMTP」をタップ
- 「プライマリサーバ」で「smtp.mail.me.com」を確認
- サーバがオフになっていたらオンにする
- 「完了」をタップ
トラブル5:メールの受信ができない(送信はできる)
原因: ネットワークまたはiCloudサーバーの問題
解決方法:
- インターネット接続を確認
- Wi-Fiまたはモバイルデータ通信がオンか確認
- Safariなどでウェブサイトが開けるか確認
- iPhoneを再起動
- サイドボタンと音量ボタンを同時に長押し
- 「スライドで電源オフ」をスライド
- 30秒待つ
- サイドボタンを長押しして電源を入れる
- メールアプリを強制終了
- ホーム画面で下から上にスワイプ(またはホームボタン2回押し)
- メールアプリを上にスワイプ
- 再度メールアプリを開く
- Apple システム状況を確認
- Safariで「Apple システム状況」を検索
- iCloudメールに問題が発生していないか確認
トラブル6:「パスワードが正しくありません」と表示される
原因: Apple IDのパスワードが変更されている、または二段階認証の問題
解決方法:
- Apple IDのパスワードを確認
- 最近変更していないか確認
- 変更した場合は新しいパスワードを入力
- サインアウトして再サインイン
- 「設定」→自分の名前→「サインアウト」
- 再度サインイン
- 二段階認証コードを入力
- 表示されたら信頼できるデバイスで受け取ったコードを入力
機種変更前の準備(念のため)
基本的に準備は不要ですが、念のため以下を確認しておくと安心です。
1. Apple IDとパスワードの確認
確認方法:
- 「設定」→画面上部の自分の名前をタップ
- Apple ID(メールアドレス)が表示される
- これをメモしておく
パスワードを忘れた場合:
- appleid.apple.com にアクセス
- 「Apple IDまたはパスワードをお忘れですか?」をクリック
- 指示に従ってリセット
2. iCloudバックアップの作成
念のため最新のバックアップを作成しておきましょう。
手順:
- Wi-Fiに接続
- 「設定」→自分の名前→「iCloud」
- 「iCloudバックアップ」をタップ
- 「今すぐバックアップを作成」をタップ
- 完了まで待つ(数分〜数十分)
3. iOSを最新バージョンにアップデート
手順:
- 「設定」→「一般」→「ソフトウェア・アップデート」
- 「ダウンロードしてインストール」をタップ(更新がある場合)
4. 重要なメールの確認
念のため、重要なメールがすべて届いているか確認しておきましょう。
iCloud.comで確認:
- Safariで icloud.com/mail にアクセス
- Apple IDでサインイン
- すべてのメールが表示されることを確認
この時点で見えているメールは、iCloudサーバーに保存されているため、機種変更後も確実に引き継がれます。
機種変更後の確認事項
新しいiPhoneでiCloudメールが正常に動作しているか確認しましょう。
確認チェックリスト
✅ 受信トレイにメールが表示される
- 過去のメールがすべて見える
- 新しいメールが受信できる
✅ 送信ができる
- テストメールを自分宛に送信してみる
✅ フォルダが表示される
- 送信済み
- 下書き
- ゴミ箱
- カスタムフォルダ
✅ 署名が保持されている
- 「設定」→「メール」→「署名」で確認
✅ VIPメールボックスが保持されている
- VIP登録した連絡先が引き継がれているか
テストメールの送信
正常に動作するか確認するため、テストメールを送ってみましょう。
- メールアプリを開く
- 新規メール作成(右下のペンアイコン)
- 宛先に自分のメールアドレスを入力
- 件名:「テスト」
- 本文:「機種変更テスト」
- 送信
- 数秒後に受信されるか確認
AndroidからiPhoneへ機種変更する場合
AndroidからiPhoneに変更する場合、iCloudメールは新規作成になります。
iCloudメールアドレスの作成
- 新しいiPhoneでApple IDを作成
- 機種変更時の初期設定で作成
- iCloudメールアドレスを作成
- 「設定」→自分の名前→「iCloud」
- 「iCloudメール」をタップ
- メールアドレスを作成
- Androidの古いメールは別途設定
- Gmail等は別途アカウント追加で利用可能
- 「設定」→「メール」→「アカウント」→「アカウントを追加」
まとめ
iCloudメールの機種変更時の引き継ぎについてまとめます。
基本的な仕組み:
- iCloudメールはApple IDに紐付いている
- メールはiCloudサーバーに保存されている
- 同じApple IDでサインインすれば自動で引き継がれる
- メールアドレスは変わらない(@icloud.com)
おすすめの引き継ぎ方法:
- クイックスタート(最も簡単)
- 新旧のiPhoneを近づけるだけ
- すべて自動で移行
- iCloudバックアップから復元
- クイックスタートを使わない場合
- 初期設定時に選択
- 手動設定
- 自動で設定されない場合のみ
- 設定→iCloud→メールをオン
トラブル時の基本対処:
- iCloudメールがオンになっているか確認
- iPhoneを再起動
- サインアウト→再サインイン
- インターネット接続を確認
- それでもダメならAppleサポートに問い合わせ
重要なポイント:
- 準備は基本的に不要(Apple IDとパスワードさえ分かれば)
- 過去のメールはすべて引き継がれる
- 機種変更してもメールアドレスは変わらない
- キャリアメールより圧倒的に簡単
- AndroidからiPhoneでも新規作成すればすぐ使える
iCloudメールは、Apple IDというアカウントに紐付いた「クラウドメール」なので、機種変更の影響をほとんど受けません。古いiPhoneを売却・下取りに出しても、新しいiPhoneで同じメールアドレスを使い続けられます。
これは、キャリアメール(ドコモ・au・ソフトバンク)と大きく異なる点です。iCloudメールを使っていれば、機種変更もキャリア変更も、メールに関しては何も心配する必要がありません。
安心して新しいiPhoneへの機種変更を楽しんでください!

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