「iCloudストレージが残り少ない」
「毎月の料金を払いたくないから、外付けHDDに移行したい」
「大切な写真や動画を、手元のハードディスクに保管しておきたい」
iCloudは便利ですが、容量が足りなくなったり、月額料金が気になったりすることがありますよね。
実は、iCloudのデータを外付けHDD(ハードディスク)に移行するのは、思っているより簡単なんです。
この記事では、Mac・Windows両方での移行方法を、データの種類別に詳しく解説します。
iCloudと外付けHDDの違いを理解しよう

まず、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
iCloudの特徴
iCloudとは、Appleが提供するクラウドストレージサービス(インターネット上の保管場所)です。
メリット:
- どこからでもアクセスできる
- 自動バックアップされる
- デバイス間で自動同期
- 紛失や故障の心配が少ない
デメリット:
- 無料版は5GBまで
- 月額料金が発生(50GB:130円、200GB:400円など)
- インターネット接続が必要
- 容量を使い切ると追加課金
外付けHDDの特徴
外付けHDDとは、パソコンに接続して使う外部記憶装置のことです。
メリット:
- 大容量でも安価(1TBで5000円程度〜)
- 月額料金が不要
- インターネット不要で高速転送
- 物理的に手元で管理できる
デメリット:
- 持ち運びが必要
- 故障や紛失のリスク
- 自動同期機能なし
- 接続しないとアクセスできない
併用がベスト
実は、どちらか一方ではなく併用するのが最も安全です。
- iCloud → 日常的によく使うデータ
- 外付けHDD → バックアップや長期保管
このように使い分ければ、安全性とコストのバランスが取れます。
移行前の準備:必要なものをチェック
スムーズに移行するために、事前準備をしましょう。
用意するもの
1. 外付けHDD
容量の目安:
- 写真中心:500GB〜1TB
- 動画も多い:2TB〜4TB
- すべてのデータ:4TB以上
おすすめメーカー:Buffalo、I-O DATA、Western Digital、Seagateなど
2. 接続ケーブル
通常は外付けHDDに付属していますが、以下を確認:
- USB-Cポートのみの新しいMac → USB-C対応または変換アダプタ
- Windowsパソコン → USB-A(通常のUSB)
3. 十分な時間
データ量によって所要時間が変わります:
- 10GB → 10〜30分
- 100GB → 1〜3時間
- 500GB → 5時間以上
作業中はパソコンを使い続けられますが、余裕のある時に行いましょう。
外付けHDDのフォーマット確認
外付けHDDには「フォーマット形式」というものがあります。
Mac専用なら:
- APFS(推奨)または Mac OS拡張
Windows専用なら:
- NTFS
両方で使うなら:
- exFAT(Mac・Windows両対応)
新品の外付けHDDを購入した場合は、最初にフォーマットが必要なことがあります。
Macでの移行方法:写真・動画編
最も容量を使う「写真」と「動画」から移行しましょう。
写真アプリからの移行
手順:
- 外付けHDDをMacに接続
- 「写真」アプリを起動
- メニューバーの「写真」→「環境設定」を開く
- 「iCloud」タブを確認
- 「iCloud写真」がオンの場合、まずすべてダウンロードされているか確認
- すべての写真を選択:
- Command + A で全選択
- ドラッグ&ドロップで外付けHDDにコピー
注意: 「移動」ではなく「コピー」なので、元データは残ります。
iCloud写真を一括ダウンロード
iCloudにある写真を確実にダウンロードする方法です。
手順:
- 「システム設定」(またはシステム環境設定)を開く
- Apple ID → iCloud → 「写真」を選択
- 「オリジナルをこのMacにダウンロード」にチェック
- ダウンロード完了まで待つ(数時間〜数日かかる場合も)
- ダウンロード後、写真アプリから外付けHDDにコピー
写真ライブラリごと移動する方法
写真アプリ全体を外付けHDDに移すこともできます。
手順:
- 写真アプリを終了
- Finderで「ピクチャ」フォルダを開く
- 「写真ライブラリ.photoslibrary」を探す
- このファイルを外付けHDDにコピー(数十GB〜数百GBあるので時間がかかります)
- コピー完了後、外付けHDDの写真ライブラリをダブルクリックで開ける
この方法なら、アルバムや編集情報もすべて保持されます。
Windowsでの移行方法:iCloud for Windows活用
WindowsパソコンでiCloudのデータを移行する方法です。
iCloud for Windowsのインストール
まず、iCloud for Windowsが必要です。
手順:
- Microsoft Storeを開く
- 「iCloud」で検索
- 「iCloud for Windows」をインストール
- Apple IDでサインイン
- 同期したい項目にチェック(写真、iCloud Driveなど)
写真・動画のダウンロード
手順:
- iCloud for Windowsを開く
- 「写真」の横の「オプション」をクリック
- 「新しい写真およびビデオを自分のPCにダウンロード」にチェック
- ダウンロード先を確認(通常はピクチャフォルダ)
- すべてダウンロードされるまで待つ
- ダウンロードされた写真を外付けHDDにコピー
エクスプローラーから操作
手順:
- エクスプローラーを開く
- 左側のメニューから「iCloud写真」を選択
- すべての写真を選択(Ctrl + A)
- 右クリック → コピー
- 外付けHDDを開いて貼り付け
Windowsの標準機能だけで簡単にコピーできます。
iCloud Driveのデータ移行
書類やファイルが保存されているiCloud Driveを移行しましょう。
Macでの移行方法
手順:
- Finderを開く
- サイドバーの「iCloud Drive」をクリック
- 移行したいフォルダやファイルを選択
- すべて移行する場合は Command + A
- 外付けHDDにドラッグ&ドロップ
- コピーが完了するまで待つ
シンプルで分かりやすい方法です。
Windowsでの移行方法
手順:
- エクスプローラーで「iCloud Drive」フォルダを開く
- 通常は C:\Users\(ユーザー名)\iCloudDrive
- 必要なファイル・フォルダを選択
- 右クリック → コピー
- 外付けHDDのフォルダで右クリック → 貼り付け
Macと同じく、通常のファイルコピーと同じ操作です。
フォルダ構造を保持したまま移行
階層構造をそのまま維持したい場合:
- iCloud Drive全体を選択
- 外付けHDDに「iCloud_Backup」などの名前でフォルダを作成
- その中にコピー
元の構造がそのまま保存されるので、後から探しやすくなります。
その他のデータ移行方法

写真やドキュメント以外のデータも移行できます。
メールデータの移行(Mac)
手順:
- メールアプリを開く
- 移行したいメールボックスを選択
- メニューバーの「メールボックス」→「メールボックスを書き出す」
- 外付けHDDに保存場所を指定
- 「選択」をクリック
.mbox形式でバックアップされます。
連絡先・カレンダーのバックアップ
連絡先:
- 連絡先アプリを開く
- すべての連絡先を選択
- 「ファイル」→「書き出す」→「vCardを書き出す」
- 外付けHDDに保存
カレンダー:
- カレンダーアプリを開く
- カレンダーを選択
- 「ファイル」→「書き出す」→「書き出す」
- 外付けHDDに保存
これらのデータもしっかりバックアップできます。
iCloud.comから直接ダウンロード
パソコンにiCloudアプリがない場合でも大丈夫です。
手順:
- ブラウザで iCloud.com にアクセス
- Apple IDでサインイン
- 「写真」「iCloud Drive」などを開く
- ダウンロードしたいファイルを選択
- 上部のダウンロードボタン(雲アイコン)をクリック
- ダウンロードされたファイルを外付けHDDに移動
Web経由でもすべてのデータにアクセスできます。
移行後の確認と設定変更
データを移したら、必ず確認しましょう。
正しくコピーされたか確認
チェック項目:
✓ ファイル数が一致しているか
✓ 重要なファイルが開けるか
✓ 写真が正しく表示されるか
✓ フォルダ構造が保たれているか
念のため、複数のファイルを開いて確認してください。
iCloud容量を減らす設定
移行が完了したら、iCloud側のデータを削除して容量を空けましょう。
注意: 削除する前に、外付けHDDのバックアップが完璧か再確認!
写真を削除:
- 写真アプリで不要な写真を選択
- 「削除」をクリック
- 「最近削除した項目」からも削除(完全削除)
iCloud Driveを削除:
- 不要なファイル・フォルダを選択
- ゴミ箱に移動
- ゴミ箱を空にする
iCloud同期を停止する場合
「もうiCloudは使わない」という場合は:
Macの場合:
- システム設定 → Apple ID → iCloud
- 「写真」「iCloud Drive」などをオフ
- 「Macから削除」または「Macに残す」を選択
Windowsの場合:
- iCloud for Windowsを開く
- 各項目のチェックを外す
- 「適用」をクリック
完全にローカル管理に切り替えられます。
トラブルシューティング
よくあるトラブルと解決方法をまとめました。
コピーが途中で止まる
原因: ファイルサイズやシステムの問題
解決策:
- 大きなファイルは個別にコピー
- 外付けHDDの空き容量を確認
- パソコンを再起動して再試行
- 別のUSBポートに接続
「このディスクは読み取れません」エラー
原因: フォーマット形式の不一致
解決策:
- MacならディスクユーティリティでexFATにフォーマット
- Windowsならディスクの管理でフォーマット
警告: フォーマットするとデータが消えるので、新品のHDDで行ってください
ダウンロードが遅い・止まる
原因: ネットワークやiCloudサーバーの問題
解決策:
- Wi-Fi接続を確認
- 有線LAN接続に切り替え
- 時間帯を変えて再試行(夜間など混雑時を避ける)
- 少量ずつダウンロード
写真が「最適化版」で高画質でない
原因: iCloud写真の「ストレージを最適化」設定
解決策:
- 写真アプリの環境設定を開く
- 「オリジナルをこのMacにダウンロード」を選択
- すべてダウンロードされるまで待つ
- その後、外付けHDDにコピー
オリジナルの高画質データが保存されます。
データ管理のベストプラクティス
移行後も安心して使えるように、管理方法を工夫しましょう。
3-2-1バックアップルール
プロが推奨するバックアップ方法です。
3-2-1ルール:
- 3つのコピーを持つ(オリジナル + バックアップ2つ)
- 2種類の異なるメディアに保存(HDD + クラウド など)
- 1つは別の場所に保管(自宅 + 実家/オフィス など)
このルールを守れば、データ消失のリスクを大幅に減らせます。
定期的なバックアップスケジュール
おすすめの頻度:
- 毎日撮る写真 → 週1回バックアップ
- 重要な書類 → 作業終了時に即バックアップ
- それ以外のデータ → 月1回
カレンダーにリマインダーを設定しておきましょう。
フォルダ整理のコツ
外付けHDDは、分かりやすく整理するのがポイントです。
おすすめの構造:
外付けHDD
├── iCloudバックアップ
│ ├── 写真_2024
│ ├── 写真_2023
│ ├── 書類
│ └── その他
├── 年別
│ ├── 2024
│ └── 2023
└── 用途別
├── 仕事
└── プライベート
日付やカテゴリで分けると、後から探しやすくなります。
まとめ:iCloudと外付けHDDを賢く使い分けよう
iCloudから外付けHDDへのデータ移行は、手順さえ分かれば簡単です。
この記事のポイント:
✓ 準備:容量に合った外付けHDDを用意
✓ Mac:写真アプリ・Finderから直接コピー
✓ Windows:iCloud for Windows経由でダウンロード
✓ 確認:移行後は必ずファイルをチェック
✓ 管理:3-2-1バックアップルールで安全に
移行の流れ:
- 外付けHDDを準備・接続
- iCloudから必要なデータをダウンロード
- 外付けHDDにコピー
- 正しく移行されたか確認
- iCloud側のデータを整理
おすすめの使い分け:
- iCloud → 頻繁にアクセスするデータ
- 外付けHDD → 長期保管・大容量バックアップ
- 両方 → 重要なデータは二重バックアップ
月額料金を節約しつつ、大切なデータを安全に保管できる。それが外付けHDD活用の最大のメリットです。
iCloudの容量不足に悩んでいる方は、ぜひこの機会に外付けHDDへの移行を検討してみてくださいね!
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