「新しいiPhoneを買ったけど、データの移行ってどうやるの?」
「iPhoneを初期化してしまったけど、元に戻せるかな?」
「間違って写真を削除してしまった…バックアップから戻せる?」
こんな経験、ありませんか?
iCloudバックアップからの復元は、実はそれほど難しくありません。正しい手順さえ知っていれば、誰でも簡単にデータを復元できます。
今回は、iCloudバックアップからiPhoneを復元する方法を、様々なシチュエーション別に詳しく解説します。新しいiPhoneでも、すでに使っているiPhoneでも、この記事を読めば安心してデータ復元ができるようになりますよ。
iCloudバックアップとは?まず基本を理解しよう

復元方法を学ぶ前に、iCloudバックアップについて基本を押さえておきましょう。
iCloudバックアップに含まれるデータ
iCloudバックアップには、以下のようなデータが自動的に保存されます。
- 写真とビデオ
- デバイスの設定
- アプリのデータ
- ホーム画面とアプリの配置
- iMessageやSMSのテキストメッセージ
- 着信音
- Visual Voicemailのパスワード
- ヘルスケアデータ
- AppleWatchのバックアップ
ただし、以下のデータは含まれないので注意が必要です。
- すでにiCloudに保存されているデータ(iCloud写真、iCloudドライブなど)
- Face IDやTouch IDの設定
- Apple Payの情報
- Mailのデータ
iCloudバックアップとiCloudストレージの違い
ここで多くの人が混同しやすいポイントがあります。
iCloudバックアップ は、iPhone全体のスナップショット(完全なコピー)を保存する機能です。
iCloudストレージ は、写真や書類などを個別に保存・同期するサービスのことを指します。
たとえば、iCloud写真をオンにしている場合、写真はiCloudストレージに保存されていて、バックアップには含まれません。復元後も自動的に同期されるので、別途復元する必要はないんです。
復元前の準備:バックアップがあるか確認しよう
復元を始める前に、まずバックアップが本当にあるか確認しましょう。
iPhoneでバックアップを確認する方法
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 画面上部の自分の名前をタップ
- 「iCloud」をタップ
- 「ストレージを管理」をタップ
- 「バックアップ」を選択
- 使用しているデバイスをタップ
ここで、最後にバックアップが作成された日時とサイズが表示されます。
確認ポイント:
- バックアップの日付は最近のものか?
- サイズは極端に小さくないか?(数MBしかない場合は要注意)
バックアップがない場合は今すぐ作成
もしバックアップが古かったり、存在しない場合は、今すぐ作成しましょう。
バックアップの作成方法:
- 「設定」→「自分の名前」→「iCloud」
- 「iCloudバックアップ」をタップ
- 「今すぐバックアップを作成」をタップ
Wi-Fiに接続されていて、十分なiCloudストレージ容量があれば、数分から数十分でバックアップが完了します。
【新しいiPhone・初期化後】基本的な復元方法
新しいiPhoneを買った場合や、iPhoneを初期化した直後は、セットアップ画面から簡単に復元できます。
新規セットアップ時の復元手順
ステップ1:iPhoneの電源を入れる
新しいiPhoneの電源を入れると、「こんにちは」という画面が表示されます。
ステップ2:基本設定を進める
画面の指示に従って以下を設定していきます。
- 言語選択(日本語)
- 国または地域(日本)
- キーボード設定
- Wi-Fiネットワークへの接続
ステップ3:「Appとデータを転送」画面まで進む
iOS 15以降では「Appとデータを転送」、それ以前のバージョンでは「Appとデータ」という画面が表示されます。
ステップ4:「iCloudバックアップから復元」を選択
いくつかの選択肢が表示されますが、「iCloudバックアップから復元」をタップしてください。
ステップ5:Apple IDでサインイン
バックアップを保存しているApple IDとパスワードを入力します。
2ファクタ認証を設定している場合は、信頼できるデバイスに送られてくる6桁の確認コードを入力してください。
ステップ6:バックアップを選択
利用可能なバックアップのリストが表示されます。それぞれに日付とサイズが表示されているので、復元したいバックアップを選びましょう。
選び方のコツ:
- 基本的には最新のバックアップを選ぶ
- 特定の時点のデータを復元したい場合は、その日付のバックアップを選ぶ
ステップ7:復元の開始
バックアップを選択すると、自動的に復元が始まります。画面に進行状況バーが表示されます。
注意点:
- Wi-Fiに接続したまま待つ
- バックアップのサイズによっては、数分から数時間かかることがある
- 途中でWi-Fi接続が切れると、一時停止してしまう
ステップ8:残りの設定を完了
復元のメイン部分が終わると、以下のような設定画面が続きます。
- 位置情報サービスの設定
- Apple Payの設定
- Siriの設定
- スクリーンタイムの設定
- 外観モード(ライト/ダーク)の選択
これらは後から変更できるので、「あとで設定」を選んでも問題ありません。
ステップ9:復元の完了を待つ
ホーム画面が表示されても、実はまだデータの復元は続いています。
アプリのダウンロード、写真や音楽の同期などがバックグラウンドで実行されるため、完全に終わるまで数時間から数日かかることもあります。
この間、やっておくべきこと:
- Wi-Fiに接続したままにする
- 充電器に接続しておく
- iPhoneを使うことはできるが、すべてのデータが揃うまで待つのがベスト
Quick Start(クイックスタート)を使った復元
iOS 11以降のiPhoneが2台ある場合、「クイックスタート」という便利な機能が使えます。
クイックスタートの使い方:
- 新しいiPhoneの電源を入れる
- 古いiPhoneを新しいiPhoneの近くに置く
- 古いiPhoneに「新しいiPhoneを設定」という画面が表示される
- 「続ける」をタップ
- 新しいiPhoneにアニメーションが表示されるので、古いiPhoneのカメラで読み取る
- 古いiPhoneのパスコードを新しいiPhoneに入力
- Face IDまたはTouch IDを設定
- データ転送方法を選択
- 「iPhoneから転送」:直接データを転送(iOS 12.4以降)
- 「iCloudからダウンロード」:iCloudバックアップから復元
クイックスタートのメリット:
- Apple IDの入力が不要
- Wi-Fiパスワードなども自動的に引き継がれる
- セキュリティ設定もスムーズに移行できる
【すでに設定済みのiPhone】データを復元する方法

「iPhoneを使い始めてしまったけど、やっぱりバックアップから復元したい」という場合もありますよね。
残念ながら、iPhoneを初期化せずにiCloudバックアップを復元する公式の方法はありません。設定済みのiPhoneにバックアップを復元するには、一度初期化する必要があります。
初期化してバックアップから復元する手順
ステップ1:現在のデータをバックアップ(念のため)
初期化する前に、念のため最新のバックアップを作成しておきましょう。
- 「設定」→「自分の名前」→「iCloud」
- 「iCloudバックアップ」→「今すぐバックアップを作成」
ステップ2:iPhoneを初期化する
iOS 15以降の場合:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「転送またはiPhoneをリセット」をタップ
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」をタップ
- パスコードまたはApple IDパスワードを入力
- 「iPhoneを消去」をタップして確認
iOS 14以前の場合:
- 「設定」→「一般」→「リセット」
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」
- パスコードを入力
- 「iPhoneを消去」をタップ
ステップ3:セットアップ画面から復元
初期化が完了すると、「こんにちは」画面が表示されます。
あとは、前述の「新規セットアップ時の復元手順」と同じ流れで、iCloudバックアップから復元してください。
初期化せずに部分的にデータを復元する方法
「全部じゃなくて、写真だけ復元したい」
「連絡先だけ間違って消してしまった」
こんな場合もありますよね。初期化せずに一部のデータだけを復元する方法をご紹介します。
方法1:iCloud.comから写真を復元
最近削除した写真なら、iCloud.comから復元できます。
手順:
- ブラウザで https://www.icloud.com/ にアクセス
- Apple IDでサインイン
- 「写真」をクリック
- 左側のメニューから「最近削除した項目」を選択
- 復元したい写真を選んで「復元」をクリック
注意点:
- 削除してから30日以内のみ有効
- iCloud写真をオンにしている場合のみ利用可能
方法2:連絡先・カレンダー・ブックマークを復元
iCloud.comには、連絡先、カレンダー、ブックマークのアーカイブ機能があります。
手順:
- ブラウザで https://www.icloud.com/settings/ にアクセス
- 「詳細設定」セクションまでスクロール
- 「連絡先を復元」「カレンダーとリマインダーを復元」「ブックマークを復元」のいずれかを選択
- 復元したい日時のアーカイブを選んで「復元」をクリック
注意点:
- 過去180日以内のアーカイブのみ利用可能
- 復元すると現在のデータが上書きされる
方法3:サードパーティ製ツールを使う
完全に初期化せずに、より多くのデータを選択的に復元したい場合は、サードパーティ製のツールを検討する選択肢もあります。
代表的なツール:
- Dr.Fone
- AnyTrans
- iMazing
これらのツールを使えば、iCloudバックアップから特定のデータだけを抽出して復元できます。
注意点:
- 多くは有料ソフトウェア
- 安全性を確認した上で利用する
- 公式のAppleツールではないため、自己責任で使用
【Mac・PCから】コンピュータを使って復元する方法
パソコンを使ってバックアップから復元することもできます。
Macでの復元方法
macOS Catalina 10.15以降の場合:
ステップ1:Finderを開く
Finderウィンドウを開きます。
ステップ2:iPhoneを接続
USBケーブルでiPhoneをMacに接続します。
ステップ3:デバイスを選択
Finderのサイドバー「場所」の下に表示されるiPhoneをクリックします。
ステップ4:「バックアップを復元」をクリック
「一般」タブで「バックアップを復元」ボタンをクリックします。
ステップ5:バックアップを選択
復元したいバックアップを選んで「復元」をクリックします。
暗号化されたバックアップの場合は、パスワードの入力が求められます。
ステップ6:復元完了まで待つ
復元が完了するまで、iPhoneを接続したままにしておいてください。
macOS Mojave 10.14以前の場合:
上記の手順と同じですが、Finderではなく「iTunes」を使います。
Windowsでの復元方法
ステップ1:Apple Devicesアプリを開く
Windows用の「Apple Devices」アプリを起動します。
(古いバージョンのWindowsではiTunesを使用)
ステップ2:iPhoneを接続
USBケーブルでiPhoneをパソコンに接続します。
ステップ3:デバイスを選択
アプリのサイドバーに表示されるiPhoneをクリックします。
ステップ4:「バックアップを復元」をクリック
利用可能なバックアップのリストから復元したいものを選んで「復元」をクリックします。
復元がうまくいかない!トラブルシューティング
バックアップからの復元中に問題が発生することもあります。よくある問題と解決方法を見ていきましょう。
問題1:「ソフトウェアが古すぎます」というメッセージが表示される
原因:
バックアップが作成されたiOSバージョンより、復元先のiPhoneのiOSバージョンが古い場合に起こります。
解決方法:
- Wi-Fiに接続する
- 「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」
- 最新のiOSにアップデート
- 再度復元を試す
セットアップ中の場合は、画面の指示に従ってアップデートしてから復元を続けてください。
問題2:復元が途中で止まってしまう
原因:
- Wi-Fi接続が不安定
- iCloudストレージの容量不足
- Apple側のサーバーの問題
解決方法:
Wi-Fi接続を確認:
- より近いWi-Fiルーターに移動する
- 他のデバイスでWi-Fiが使えるか確認
- ルーターを再起動してみる
iCloudストレージを確認:
- 「設定」→「自分の名前」→「iCloud」
- ストレージ容量が十分にあるか確認
- 必要に応じてストレージプランをアップグレード
時間を置いて再試行:
Appleのサーバーが混雑している可能性もあるので、数時間後に再度試してみましょう。
問題3:「バックアップが見つかりません」と表示される
原因:
- 異なるApple IDでサインインしている
- バックアップが本当に存在しない
- iCloudの同期に問題がある
解決方法:
Apple IDを確認:
バックアップを作成した時と同じApple IDでサインインしているか確認してください。
iCloud.comで確認:
- ブラウザで https://www.icloud.com/ にアクセス
- Apple IDでサインイン
- 「アカウント設定」→「デバイス」でバックアップがあるか確認
iCloudからサインアウト・再サインイン:
- 「設定」→「自分の名前」
- 下にスクロールして「サインアウト」
- データを残すか選択してサインアウト
- 再度サインイン
問題4:復元後にアプリが見つからない
原因:
- アプリがApp Storeから削除されている
- 地域制限のあるアプリ
- アプリのダウンロードが完了していない
解決方法:
ダウンロードの完了を待つ:
復元後、アプリは自動的にダウンロードされますが、時間がかかることがあります。Wi-Fiに接続したまま、数時間待ってみてください。
手動で再ダウンロード:
- App Storeを開く
- 右上のアカウントアイコンをタップ
- 「購入済み」から該当のアプリを探して再ダウンロード
App Storeで提供終了:
残念ながら、App Storeから削除されたアプリは再ダウンロードできません。
問題5:復元完了までの時間が異常に長い
原因:
- バックアップのサイズが大きい
- ネットワーク速度が遅い
- 多数のアプリや写真がある
目安時間:
- 小さいバックアップ(〜1GB):15分〜1時間
- 中程度のバックアップ(1〜10GB):1〜3時間
- 大きいバックアップ(10GB以上):数時間〜1日以上
解決方法:
実は、これは正常な動作です。気長に待ちましょう。
待つ間のポイント:
- Wi-Fiと電源に接続したまま
- iPhoneを使わずに放置しておく
- 夜間など、使わない時間に復元を開始する
よくある質問と回答

Q1:復元すると、現在iPhoneにあるデータはどうなりますか?
すべて消去されます。iCloudバックアップからの復元は、iPhone全体を選択したバックアップの状態に戻すため、現在のデータはすべて上書きされます。
現在のデータを残したい場合は、復元の前に必ずバックアップを取っておきましょう。
Q2:古いバックアップから復元することはできますか?
できます。iCloudには通常、最新のバックアップだけでなく、過去のバックアップも保存されています。
復元時にバックアップを選択する画面で、日付を確認して好きなバックアップを選べます。
ただし、古いバックアップには最新のデータが含まれていないので注意してください。
Q3:復元中にWi-Fiが切れてしまいました。どうすればいいですか?
大丈夫です。Wi-Fiに再接続すれば、復元は自動的に再開されます。
最初からやり直す必要はありません。復元は中断したところから続きます。
Q4:復元後、iCloudストレージがいっぱいになりました。なぜですか?
復元した後も、iPhoneは自動的に新しいバックアップを作成しようとします。
古いバックアップと新しいバックアップの両方が保存されるため、一時的に容量が増えることがあります。
対処法:
- 「設定」→「自分の名前」→「iCloud」→「ストレージを管理」→「バックアップ」
- 古いデバイスのバックアップを削除
Q5:復元せずに、バックアップの中身を確認することはできますか?
Apple公式の方法では、バックアップの中身を事前に確認することはできません。
バックアップ選択画面で見られるのは、日付、サイズ、デバイス名だけです。
サードパーティ製のツールを使えば、復元せずに内容を確認したり、特定のファイルだけを取り出したりすることも可能です。
Q6:2台のiPhoneで同じバックアップを復元できますか?
できます。同じApple IDを使っていれば、複数のデバイスに同じバックアップを復元することが可能です。
ただし、電話番号などの一部の設定は、各デバイス固有のものになります。
Q7:復元に失敗してしまいました。データは失われましたか?
いいえ、バックアップは失われていません。iCloud上のバックアップデータは、復元が失敗しても削除されません。
何度でも復元を試すことができるので、問題を解決してから再度チャレンジしてください。
バックアップを賢く管理するコツ
1. 定期的なバックアップを習慣にする
iCloudバックアップは以下の条件が揃うと自動的に作成されます。
- iPhoneが電源に接続されている
- iPhoneがロックされている
- Wi-Fiに接続されている
つまり、毎晩寝る前に充電器につなぐ習慣があれば、自動的にバックアップされます。
2. バックアップの内容を最適化する
すべてのアプリをバックアップする必要はありません。不要なアプリのバックアップをオフにすれば、容量を節約できます。
手順:
- 「設定」→「自分の名前」→「iCloud」
- 「iCloudに保存済み」をタップ
- 「バックアップ」を選択
- バックアップ不要なアプリをオフにする
オフにしてもいいアプリ:
- ログインすればデータが復元されるアプリ(SNS、ストリーミングサービスなど)
- 容量の大きいゲームアプリ(再ダウンロードした方が早い場合も)
3. 重要なデータは複数の場所にバックアップ
iCloudだけに頼らず、パソコンにもバックアップを作成しておくと安心です。
メリット:
- iCloudのストレージ容量を使わない
- より大容量のバックアップが可能
- インターネット接続なしで復元できる
- Apple IDに問題があっても復元できる
4. 機種変更前には必ずバックアップを確認
新しいiPhoneに買い替える前に、必ずバックアップの日付と内容を確認しましょう。
確認項目:
- バックアップが最近のものか
- サイズが極端に小さくないか
- Wi-Fi環境で手動バックアップを実行
まとめ
iCloudバックアップからの復元は、正しい手順を踏めば誰でも簡単にできます。
この記事のポイントをおさらいしましょう:
- 復元前の確認が大切
- バックアップの存在と日付を確認
- Wi-Fi環境を整える
- 時間に余裕を持つ
- 新しいiPhoneならセットアップ画面から簡単
- 「iCloudバックアップから復元」を選択
- バックアップを選んで待つだけ
- 設定済みiPhoneは初期化が必要
- 全データ復元には初期化が必須
- 部分的な復元にはiCloud.comやサードパーティ製ツールを活用
- 問題が起きても慌てない
- ソフトウェアアップデートで解決することが多い
- Wi-Fi環境を改善する
- 時間を置いて再試行
- 日頃からバックアップの習慣を
- 毎晩充電すれば自動バックアップ
- 定期的にバックアップの状態を確認
- 重要なデータは複数の場所に保存
大切なデータを守るために、バックアップは本当に重要です。この記事を参考に、安心してiPhoneライフを楽しんでくださいね。
もし友達や家族がバックアップの復元で困っていたら、ぜひこの記事を教えてあげてください!

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