「Google Pixel」というスマートフォンをご存知でしょうか?
Googleが作っているスマホですが、2021年のPixel 6から、Google Tensor(グーグル テンソル)という独自開発のプロセッサ(チップ)が搭載されるようになりました。
それまでは、他の多くのAndroidスマホと同じように、Qualcomm(クアルコム)社の「Snapdragon(スナップドラゴン)」というプロセッサを使っていました。
しかし、Googleは「もっと AI を活用したスマホを作りたい」という思いから、自社でプロセッサを開発することを決めたのです。
今回は、Google Tensorについて、その誕生の背景から特徴、世代ごとの進化、そして他社のプロセッサとの違いまで、分かりやすく解説していきます。
Google Tensorとは?
定義
Google Tensor(グーグル テンソル)とは、Googleが独自に開発した、Pixelスマートフォン専用のプロセッサ(SoC)です。
SoC(System on Chip / システム・オン・チップ)とは、スマートフォンの「頭脳」にあたる部品で、CPU、GPU、AI処理エンジン、通信機能など、様々な機能が1つのチップに統合されています。
名前の由来
「Tensor(テンソル)」という名前は、以下のGoogleの技術から来ています。
TensorFlow(テンソルフロー)
Googleが開発した、AI・機械学習のためのオープンソースライブラリ
TPU(Tensor Processing Unit / テンソル・プロセッシング・ユニット)
Googleが開発した、AI処理に特化したプロセッサ(データセンター用)
テンソル
数学や物理学で使われる「多次元配列」のこと。AI・機械学習の計算で重要な役割を果たす。
つまり、「Tensor」という名前には、「AIと機械学習に強いプロセッサ」という意味が込められているのです。
初登場
Google Tensorは、2021年10月に発売されたPixel 6とPixel 6 Proで初めて搭載されました。
それまでのPixelシリーズは、Qualcomm Snapdragonを使っていましたが、Pixel 6からは完全にGoogleオリジナルのプロセッサに切り替わったのです。
なぜGoogleは独自プロセッサを作ったのか?
開発の背景
Googleがプロセッサを自社開発した理由は、大きく分けて3つあります。
理由1:AI・機械学習の限界
従来使っていたSnapdragonは、汎用的なスマートフォン向けプロセッサです。
もちろん性能は高いのですが、Googleが求める高度なAI処理や機械学習を十分に実行するには、限界がありました。
たとえば:
- リアルタイムでの言語翻訳
- 高度な音声認識
- 写真や動画の高速AI処理
- 顔認識のセキュリティ
これらの機能をフルに活用するには、AI処理に特化したプロセッサが必要だったのです。
理由2:ソフトウェアとハードウェアの統合
Appleは、iPhoneに独自開発の「Aシリーズ」チップを搭載しています。
これにより、iOSというソフトウェアとハードウェアが完璧に連携し、優れたユーザー体験を実現しています。
Googleも同じように、AndroidとPixelハードウェアを最適化することで、他社には真似できない機能を提供したかったのです。
理由3:差別化
Androidスマホは、多くのメーカーが同じSnapdragonを使っています。
そのため、「どのスマホも似たような性能」になりがちです。
独自プロセッサを開発することで、Googleは他社との明確な差別化を図ることができます。
開発の歴史
2016年4月
初代Pixel発売直後から、独自プロセッサの構想がスタート
しかし、CEOのスンダー・ピチャイとハードウェア責任者のリック・オスターローは、「製品化には長い時間がかかる」と考えていました。
2017年
AI・機械学習に特化した76人の半導体研究者チームを結成
その後、チームは拡大を続けました。
2017年〜2019年
Pixel 2、Pixel 3、Pixel 4には、独自開発のコプロセッサ(補助プロセッサ)を搭載
- Pixel Visual Core(Pixel 2、Pixel 3):画像処理専用
- Pixel Neural Core(Pixel 4):AI処理専用
これらは、メインのSnapdragonを補助する形で搭載されていました。
2020年
独自プロセッサの開発が本格化
コードネーム「Whitechapel(ホワイトチャペル)」として開発が進められました。
2021年8月
Pixel 6の発表で、Google Tensorを正式発表
2021年10月
Pixel 6とPixel 6 Proが発売され、Google Tensorが初めて一般ユーザーの手に
Google Tensorの世代と搭載機種
Google Tensorは、毎年新しい世代が登場しています。
Tensor(初代)
登場:2021年10月
搭載機種
- Pixel 6
- Pixel 6 Pro
- Pixel 6a(2022年7月発売)
特徴
- Googleが初めて開発した独自プロセッサ
- CPU:8コア(2+2+4構成)
- 超高性能コア×2
- 高性能コア×2
- 高効率コア×4
- GPU:20コアのMali-G78
- 製造:サムスンの5nmプロセス
- Pixel 5と比較して、CPUパフォーマンスが80%、GPUパフォーマンスが370%向上
コードネーム:Whitechapel
Tensor G2(第2世代)
登場:2022年10月
搭載機種
- Pixel 7
- Pixel 7 Pro
- Pixel 7a(2023年5月発売)
- Pixel Fold(折りたたみスマホ、2023年6月発売)
- Pixel Tablet(2023年6月発売)
特徴
- 初代Tensorから60%高速化、電力効率も向上
- 32ビットアプリをサポートしない、初のAndroid対応SoC(64ビット専用)
- モデム性能が向上
コードネーム:Cloudripper
Tensor G3(第3世代)
登場:2023年10月
搭載機種
- Pixel 8
- Pixel 8 Pro
特徴
- CPU構成が変更:9コア構成(1+4+4)
- 超高性能コア×1
- 高性能コア×4
- 高効率コア×4
- GPUにレイトレーシング対応
- ストレージ規格がUFS 4.0に対応(従来の2倍の速度)
- 発熱問題が改善
- 機械学習モデルが2021年の2倍以上に増加
コードネーム:Zuma
Tensor G4(第4世代)
登場:2024年8月
搭載機種
- Pixel 9
- Pixel 9 Pro
- Pixel 9 Pro XL
- Pixel 9 Pro Fold
特徴
- Gemini Nanoがオンデバイスで実行可能
- 比較的マイナーアップグレード(G3からの改良版)
- AnTuTuベンチマークで100万点超え
コードネーム:Zuma Pro
Tensor G5(第5世代)
登場:2025年8月(予定)
搭載機種
- Pixel 10
- Pixel 10 Pro
- Pixel 10 Pro Fold
特徴
- 最大の変化:製造がサムスンからTSMCに変更
- TSMCの3nmプロセスで製造
- Googleが完全内製で開発した初のチップ(これまではサムスンのExynosベース)
- TPUが60%高速化
- CPUが平均34%高速化
- バッテリー持続時間が30時間以上に
コードネーム:Laguna
Google Tensorの主な特徴
特徴1:AI・機械学習に特化
Google Tensorの最大の特徴は、AI処理能力の高さです。
TPU(Tensor Processing Unit)搭載
Google Tensorには、Googleが独自開発したTPU(AI処理専用エンジン)が搭載されています。
これにより、以下のような処理が高速かつ省電力で実行できます。
- 画像認識
- 音声認識
- 自然言語処理(翻訳など)
- リアルタイムAI処理
具体例
従来のプロセッサでは、高度なAI処理を行うには、クラウド(サーバー)に接続して処理する必要がありました。
しかし、Google Tensorでは、端末内(オンデバイス)で処理が完結します。
これにより:
- 処理が高速
- インターネット接続不要
- プライバシー保護(データが外部に送られない)
特徴2:カメラ機能の向上
Google Pixelシリーズは、もともとカメラ性能に定評がありましたが、Tensorの登場でさらに進化しました。
動画へのHDR適用
これまでのPixelでは、写真にはHDR(ハイダイナミックレンジ)処理を適用できましたが、動画には適用できませんでした。
理由:動画は1秒間に30〜60枚の画像(フレーム)を処理する必要があり、従来のプロセッサでは処理が追いつかなかったから。
Google Tensorでの改善
Tensorは、HDRnetというアルゴリズムをチップに直接組み込むことで、4K・60fpsの動画でもリアルタイムでHDR処理ができるようになりました。
結果:写真と同じレベルの高品質な動画撮影が可能に
Face Unblur(顔フォーカス)
動いている人物を撮影すると、顔がブレてしまうことがあります。
Google Tensorでの改善
- 超広角カメラでシャープな顔を撮影
- メインカメラでノイズの少ない画像を撮影
- 両方を融合させて、ブレのない高品質な写真を生成
その他の機能
- Magic Eraser(消しゴムマジック):写真から不要な物や人を消す
- Best Take(ベストテイク):複数の写真から、全員が良い表情の写真を合成
- Night Sight(夜景モード):暗い場所でも明るく撮影
特徴3:音声認識・翻訳機能
高精度な音声認識
Google Tensorには、Googleが提供する最も正確な音声認識エンジンが搭載されています。
特徴
- タッチタイピングの3倍の速度で文字入力可能
- 訛りや口に食べ物が入っていても認識可能
- 音声で文章の削除や送信も可能
- すべてオンデバイスで処理(インターネット不要)
- バッテリー消費が従来の半分
リアルタイム翻訳
Live Translate(ライブ翻訳)
メッセージアプリ(Instagram、Twitter、LINEなど)で、自分が入力した日本語が瞬時に外国語に翻訳されて相手に届きます。
相手の外国語メッセージも、自動的に日本語に翻訳されて表示されます。
音声翻訳
電話での会話をリアルタイムで翻訳できます。
たとえば、日本語で話すと、相手には英語で聞こえます。相手が英語で話すと、自分には日本語で聞こえます。
すべてオンデバイスで処理されるため、プライバシーも保護されます。
自動応答システムの文字起こし
企業に電話すると、「○○の場合は1を押してください」という自動音声が流れることがあります。
Google Tensorでは、この音声を自動的に文字起こししてくれるため、何度も聞き直す必要がありません。
特徴4:セキュリティ
Google Tensorには、Tensor Security Core(テンソル セキュリティ コア)という専用のセキュリティ機能が搭載されています。
さらに、Titan M2という独立したセキュリティチップも搭載されており、この2つが連携することで、スマートフォン史上最高レベルのセキュリティを実現しています。
特徴
- 機密情報は、メインのプロセッサから隔離された環境で処理
- 電磁波攻撃、電圧攻撃、レーザー攻撃にも耐える(実際にレーザーを当てるテストを実施)
- 最低5年間のセキュリティアップデート保証(Pixel 6以降)
Face Unlock(顔認証)の強化
Tensor G3以降では、顔認証がAndroidの最高セキュリティクラスに適合。
これにより、銀行アプリへのログインや、Google Walletでの支払いにも使用できるようになりました。
スパム・フィッシング対策
メールやSMSで送られてくる怪しいリンクを自動検知し、警告してくれます。
特徴5:バッテリー効率
AI処理は、通常、大量の電力を消費します。
しかし、Google Tensorは、AI処理に特化した設計のため、高度な処理を行いながらも、省電力を実現しています。
具体例
音声認識のバッテリー消費が、従来の半分に削減されました。
翻訳機能も、同様にバッテリー消費が半分に削減されました。
Google Tensorの技術的な構成
CPUコア構成
初代Tensor〜Tensor G2
8コア構成:2+2+4
- 超高性能コア(Cortex-X1など)×2:2.8GHz
- 高性能コア(Cortex-A76など)×2:2.25GHz
- 高効率コア(Cortex-A55など)×4:1.8GHz
Tensor G3
9コア構成:1+4+4(珍しい構成)
- 超高性能コア×1
- 高性能コア×4
- 高効率コア×4
なぜ超高性能コアが2つ?(初代〜G2)
通常のスマホ向けプロセッサは、超高性能コアを1つしか搭載しません。
しかし、Tensorは2つ搭載することで、複数のAI処理を同時に実行できるようにしています。
Googleによると、「2つの超高性能コアを低い周波数で同時に動かすことで、激しい処理でも効率的に動作できる」とのことです。
GPU
Mali-G78(20コア)
3Dグラフィックスの処理を担当します。
Pixel 5と比較して、GPUパフォーマンスが370%向上しました。
Tensor G3以降
レイトレーシング(光の反射をリアルに再現する技術)に対応しました。
TPU(Tensor Processing Unit)
Google Tensorの最大の特徴です。
Googleがデータセンターで使用しているAI処理専用チップの技術を、スマートフォン向けにカスタマイズして搭載しています。
役割
- 画像認識
- 音声認識
- 自然言語処理
- リアルタイムAI処理
製造プロセス
初代Tensor〜Tensor G4
サムスンの5nmプロセスで製造
実際、TensorはサムスンのExynosシリーズをベースにしているとも言われています。
Tensor G5
TSMCの3nmプロセスで製造
これにより、性能と電力効率が大幅に向上すると期待されています。
他社プロセッサとの比較
Qualcomm Snapdragon
特徴
- Android端末で最もよく使われるプロセッサ
- 汎用性が高く、多くのメーカーが採用
- ベンチマークスコアが高い
- ゲーム性能が優れている
Google Tensorとの違い
Snapdragonは、あらゆる用途に対応できる汎用プロセッサです。
一方、Tensorは、AI・機械学習に特化しています。
ベンチマークスコアでは、最新のSnapdragon(Snapdragon 8 Gen 3など)の方が高いことが多いです。
しかし、Googleは「ベンチマークスコアよりも、実際のユーザー体験が重要」としています。
Apple Aシリーズ
特徴
- iPhoneに搭載されるApple独自のプロセッサ
- 性能、電力効率ともに業界トップクラス
- ソフトウェア(iOS)とハードウェアの完璧な統合
Google Tensorとの違い
Appleも、Googleと同じように、独自プロセッサを開発しています。
Aシリーズは、性能と電力効率のバランスが優れています。
Tensorは、特にAI処理に強みがあります。
MediaTek Dimensity
特徴
- コストパフォーマンスに優れる
- ミドルレンジ〜ハイエンドまで幅広いラインナップ
Google Tensorとの違い
Dimensityも、AI処理に力を入れていますが、Tensorほどではありません。
Google Tensorの強みと弱み
強み
1. AI・機械学習処理が圧倒的に速い
Googleが長年培ってきたAI技術を、スマートフォンでフルに活用できます。
2. カメラ機能が革新的
写真だけでなく、動画でも高品質なAI処理が可能です。
3. 音声認識・翻訳が正確
オンデバイスで処理されるため、プライバシーも保護されます。
4. セキュリティが強固
Tensor Security CoreとTitan M2の組み合わせは、業界最高レベルです。
5. ソフトウェアとハードウェアの統合
AndroidとPixelハードウェアが完璧に連携します。
弱み
1. ベンチマークスコアは最高ではない
Snapdragon 8 Gen 3やApple A17 Proと比較すると、総合的なベンチマークスコアは劣ります。
2. ゲーム性能
GPUの性能は、Snapdragonに劣ることがあります。
特に、高負荷の3Dゲームでは、フレームレートが落ちることがあります。
3. 発熱問題
初代TensorとTensor G2では、長時間の使用やゲームプレイ時に、本体が熱くなる問題がありました。
Tensor G3以降では改善されましたが、Snapdragonほど発熱を抑えられていないという意見もあります。
4. モデム性能
初代Tensorでは、サムスン製のモデムが使われており、Qualcomm製のモデムと比較して、通信品質が劣るという報告がありました。
Tensor G2以降では改善されています。
5. Pixel専用
Google Tensorは、Pixel専用のプロセッサです。
他のAndroidスマホには搭載されません。
Google Tensorがもたらした新機能
Pixel 6シリーズ(初代Tensor)
- Motion Mode(モーションモード):動いている被写体を追いかけながら、背景をブラー(ぼかし)にする
- Magic Eraser(消しゴムマジック):写真から不要な物を消す
- Real Tone(リアルトーン):肌の色を正確に再現
- Live Translate(ライブ翻訳):リアルタイム翻訳
- Face Unblur(顔フォーカス):動いている人の顔のブレを補正
Pixel 7シリーズ(Tensor G2)
- Photo Unblur(写真のぼかし除去):古い写真のぼかしを除去
- Cinematic Blur(シネマティックぼかし):動画撮影時に背景をぼかす
- Night Sight改善:暗い場所での撮影がさらに向上
Pixel 8シリーズ(Tensor G3)
- Best Take(ベストテイク):複数の写真から、全員が良い表情の写真を合成
- Magic Editor(マジックエディター):AI で写真を編集(物の位置を変える、背景を変えるなど)
- Audio Magic Eraser(オーディオ消しゴムマジック):動画から不要な音(雑音、風の音など)を消す
- Face Unlock強化:銀行アプリやGoogle Walletに対応
Pixel 9シリーズ(Tensor G4)
- Gemini Nano搭載:Googleの最新AIモデルがオンデバイスで動作
- Call Notes(通話メモ):電話の内容を自動で文字起こし
- Pixel Screenshots(ピクセル スクリーンショット):スクリーンショットから情報を抽出
Pixel 10シリーズ(Tensor G5)
- Voice Translate(音声翻訳):電話での会話を、相手の自然な声で翻訳
- Personal Journal(パーソナルジャーナル):AIが日記を提案
- Magic Cue(マジックキュー):次に行うべきアクションをAIが提案
Google Tensorの未来
Tensor G5の意義
Tensor G5は、Google Tensorの歴史において、最大の転換点となります。
理由
- 製造がTSMCに移行
これまではサムスンで製造していましたが、Tensor G5からはTSMCが製造します。
TSMCは、世界最高レベルの半導体製造技術を持っており、性能と電力効率が大幅に向上すると期待されています。
- 完全内製化
これまでのTensorは、サムスンのExynosをベースにしていました。
しかし、Tensor G5は、Googleが完全に独自設計したプロセッサです。
これにより、Googleの思い描く通りの性能を実現できるようになります。
今後の展開
Googleは、TensorをPixelスマートフォンだけでなく、他のデバイスにも搭載する可能性があります。
候補
- Pixelbook(ノートパソコン)
- Pixel Watch(スマートウォッチ)
- Pixel Tablet(タブレット)
- その他のIoTデバイス
実際、Pixel TabletにはTensor G2が搭載されています。
また、Pixelbook後継機にもTensorを搭載する計画がありましたが、コスト削減のために中止されたという報道もあります。
AIの進化
GoogleはAI技術のリーダーです。
Google DeepMind(Googleの AI研究部門)と密接に連携することで、最新のAI技術をいち早くTensorに実装できます。
Gemini(ジェミニ)
Googleが開発した最新の生成AIモデル
Pixel 9シリーズでは、Gemini Nano(Geminiの小型版)がオンデバイスで動作します。
今後、さらに高度なAI機能がPixelに搭載されることが期待されます。
よくある質問
Q1:Google Tensorは他のスマホにも搭載されますか?
A:いいえ、Google TensorはPixelシリーズ専用です。
他のメーカーのスマホには搭載されません。
Q2:Tensorは Snapdragonより性能が低いのですか?
A:ベンチマークスコアでは、最新のSnapdragonの方が高いことが多いです。
しかし、AI処理や、カメラ、音声認識などの実用的な機能では、Tensorの方が優れています。
Googleは、「ベンチマークスコアよりも、実際のユーザー体験が重要」としています。
Q3:ゲームはできますか?
A:もちろんできます。
ただし、最高負荷のゲーム(原神、PUBGなど)では、Snapdragon搭載機と比較して、フレームレートが落ちることがあります。
一般的なゲームなら、問題なく動作します。
Q4:バッテリー持ちはどうですか?
A:Tensor G5では、30時間以上のバッテリー持続時間を実現しています(Pixel 10シリーズ)。
初代TensorやTensor G2では、バッテリー持ちがあまり良くないという意見もありましたが、世代を重ねるごとに改善されています。
Q5:発熱は大丈夫ですか?
A:初代TensorとTensor G2では、発熱が問題視されていました。
しかし、Tensor G3以降では、発熱対策が強化され、改善されています。
Tensor G5では、さらに「ハードウェアとソフトウェアのサーマルコントロール」が改善されたとGoogleは述べています。
Q6:なぜサムスンからTSMCに変更したのですか?
A:TSMCは、世界最高レベルの半導体製造技術を持っています。
同じ設計でも、TSMCで製造した方が、性能と電力効率が向上する傾向があります。
また、Googleが完全に独自設計したプロセッサを製造するには、TSMCの技術が必要だったとも言われています。
Q7:Tensorの「G」は何の略ですか?
A:Googleは公式には説明していませんが、「Generation(世代)」の略だと考えられています。
Q8:なぜTensorは9コア構成(G3)なのですか?
A:通常、スマホ向けプロセッサは8コア構成です。
しかし、Tensor G3は、9コア構成を採用しました。
これは、Googleが求めるAI処理性能を実現するために、最適なバランスを追求した結果だと言われています。
まとめ
Google Tensorについて、詳しく見てきました。
Google Tensorとは
- Googleが独自開発したPixel専用プロセッサ
- AI・機械学習に特化
- 2021年のPixel 6で初登場
- 現在はTensor G5まで進化
開発の理由
- Snapdragonでは、Googleが求めるAI処理能力に限界があった
- ソフトウェアとハードウェアを統合し、最高のユーザー体験を提供したかった
- 他社との差別化
主な特徴
- AI処理能力が高い:TPU搭載、オンデバイスで処理
- カメラ機能が革新的:動画へのHDR適用、Face Unblurなど
- 音声認識・翻訳が正確:リアルタイム翻訳、高精度な音声認識
- セキュリティが強固:Tensor Security Core + Titan M2
- バッテリー効率が良い:AI処理を省電力で実行
世代ごとの進化
- Tensor(初代):Pixel 6シリーズ
- Tensor G2:Pixel 7シリーズ、Pixel Fold、Pixel Tablet
- Tensor G3:Pixel 8シリーズ
- Tensor G4:Pixel 9シリーズ
- Tensor G5:Pixel 10シリーズ(TSMC製造、完全内製)
強みと弱み
強み
- AI処理が速い
- カメラ、音声認識、翻訳が優秀
- セキュリティが強い
弱み
- ベンチマークスコアは最高ではない
- ゲーム性能はSnapdragonに劣る場合がある
- 初期モデルでは発熱問題があった
他社との違い
Snapdragon:汎用性が高く、ベンチマークスコアも高い
Apple Aシリーズ:性能と電力効率のバランスが優秀
Google Tensor:AI・機械学習に特化、実用性重視
今後の展開
- Tensor G5で、TSMCに製造移行、完全内製化
- 今後、さらに高度なAI機能が追加される見込み
- Pixelbook、Pixel Watchなど、他のデバイスへの搭載も期待される
Google Tensorは、単なる「スマホのプロセッサ」ではありません。
Googleが培ってきたAI技術の結晶であり、スマートフォンの可能性を大きく広げる革新的なチップです。
ベンチマークスコアでは、最高ではないかもしれません。
しかし、実際のユーザー体験、特にカメラ、音声認識、翻訳といった日常的に使う機能では、他社を大きくリードしています。
今後、Tensor G5以降の世代で、さらなる進化が期待されます。
もしあなたが、AI機能を活用したスマホ、高品質なカメラ、正確な音声認識・翻訳を求めるなら、Google Pixel(そしてGoogle Tensor)は最高の選択肢の一つと言えるでしょう!

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