「キーワードを入れても、関係ない論文ばかり出てくる…」 「もっとピンポイントで欲しい論文を見つけたい!」 「検索結果が多すぎて、どれを読めばいいか分からない」
Google Scholarを使い始めた多くの人が、こんな悩みにぶつかります。
実は、AND検索をはじめとする検索テクニックを知っているだけで、論文探しの効率が劇的に変わるんです。プロの研究者が当たり前に使っている技を、今日からあなたも使えるようになります!
この記事では、AND検索の基本から、OR、NOT検索、さらには上級者向けの組み合わせ技まで、実例付きで分かりやすく解説していきます。
AND検索とは:複数キーワードで絞り込む基本技

そもそもAND検索って何?
AND検索は、複数のキーワードをすべて含む文献だけを検索する方法です。
たとえば、「人工知能」と「医療」の両方について書かれた論文を探したい時に使います。
Google ScholarでのAND検索の方法
実は、スペースで区切るだけでAND検索になります!
人工知能 医療
↓
「人工知能」AND「医療」の両方を含む論文
明示的にANDを使う場合:
人工知能 AND 医療
(大文字で「AND」と書きます)
実践例:テーマを絞り込もう
広すぎる検索:
環境問題
→ 検索結果:約2,840,000件(多すぎる!)
AND検索で絞り込み:
環境問題 日本 対策 2020
→ 検索結果:約18,700件(かなり絞れた!)
さらに具体的に:
地球温暖化 AND 再生可能エネルギー AND 日本
→ より的確な論文が見つかる
3つの基本演算子:AND・OR・NOT を使いこなす
OR検索:どちらかを含む論文を探す
いずれかのキーワードを含む論文を検索します。
使い方:
人工知能 OR AI
糖尿病 OR diabetes
活用シーン:
- 同じ意味の日本語と英語を両方検索
- 類義語や略語をカバー
- 関連する複数のトピックを一度に検索
実例:
(スマートフォン OR スマホ OR smartphone) 依存症
→ 表記の違いを吸収して検索
NOT検索(マイナス検索):特定の言葉を除外
不要なキーワードを除外して検索します。
使い方:
人工知能 -ゲーム
コロナウイルス -インフルエンザ
(マイナス記号を使います)
活用シーン:
- 同音異義語を区別したい時
- 特定の分野を除外したい時
- ノイズを減らしたい時
実例:
Java -coffee -島
→ プログラミング言語のJavaだけを検索
組み合わせ技:カッコを使った高度な検索
検索式を組み立てる
カッコ()を使って、複雑な条件を設定できます。
基本パターン:
(キーワードA OR キーワードB) AND キーワードC
実践的な組み合わせ例
医学研究の検索:
(COVID-19 OR SARS-CoV-2 OR 新型コロナ) AND (ワクチン OR vaccine) AND 効果
技術論文の検索:
(機械学習 OR machine learning OR ML) AND (画像認識 OR image recognition) -顔認証
教育研究の検索:
(オンライン授業 OR 遠隔授業 OR remote learning) AND 効果 AND (小学校 OR 中学校)
フレーズ検索:完全一致で探す
引用符で囲む検索
完全に一致するフレーズを検索したい時は、引用符で囲みます。
使い方:
"地球温暖化対策"
"artificial intelligence in healthcare"
"持続可能な開発目標"
フレーズ検索が効果的な場面
専門用語や固有名詞:
"京都議定書"
"Society 5.0"
"インダストリー4.0"
決まった言い回し:
"と考えられる"
"明らかになった"
"in conclusion"
部分一致との違い
部分一致(通常の検索):
機械 学習
→「機械」と「学習」が離れていてもヒット
フレーズ検索:
"機械学習"
→「機械学習」という連続した言葉のみヒット
特殊な検索演算子:プロが使う便利コマンド
author: 著者名で検索
特定の研究者の論文を探す:
author:"山田太郎"
author:"Tanaka" AND 人工知能
intitle: タイトルに含まれる言葉で検索
タイトルに特定の言葉がある論文:
intitle:COVID-19
intitle:"機械学習" AND intitle:"医療"
site: 特定のサイトから検索
大学や機関のリポジトリから:
site:u-tokyo.ac.jp
site:kyoto-u.ac.jp 再生医療
filetype: ファイル形式を指定
PDFファイルのみ検索:
filetype:pdf 人工知能
after: / before: 期間を指定
2020年以降の論文:
after:2020 ワクチン開発
2018年から2022年の論文:
after:2018 before:2022 SDGs
実践!よくある検索ニーズ別テクニック
ケース1:最新の研究動向を知りたい
検索式:
"machine learning" AND healthcare after:2023
または
(AI OR 人工知能) AND (医療 OR 診断) after:2024
ポイント:
- after:で期間限定
- 日英両方の用語をOR検索
ケース2:特定の手法について深く調べたい
検索式:
"deep learning" AND "image classification" AND (医療画像 OR medical imaging)
ポイント:
- 手法名はフレーズ検索
- 応用分野を追加
ケース3:日本の研究だけを探したい
検索式:
(Japan OR 日本) AND "renewable energy" -China -Korea
ポイント:
- 日本に限定
- 他国を除外
ケース4:レビュー論文を見つけたい
検索式:
intitle:review AND "artificial intelligence" AND healthcare
または
"systematic review" OR "literature review" AND 機械学習
ポイント:
- タイトルに「review」を含む
- レビュー論文特有の言葉を活用
検索結果を効率的に絞り込む
左サイドバーの活用
検索後、左側のメニューで追加の絞り込み:
期間指定:
- いつでも
- 2020年以降
- 2024年以降
- カスタム範囲
並べ替え:
- 関連性順(デフォルト)
- 日付順(新しい順)
言語:
- 日本語のページ
- 英語のページ
検索結果が多すぎる時の対処法
- より具体的なキーワードを追加
機械学習 → 機械学習 AND 画像認識 AND 医療診断
- 期間を限定
after:2023 で最新のみ
- 不要な分野を除外
-ゲーム -エンターテインメント
- フレーズ検索に切り替え
深層 学習 → "深層学習"
よくある失敗と解決法
失敗1:検索結果が0件
原因と対策:
- キーワードが具体的すぎる → 一般的な言葉に変更
- スペルミス → 確認して修正
- AND条件が厳しすぎる → OR検索も併用
失敗2:関係ない論文ばかり出る
原因と対策:
- キーワードが曖昧 → より具体的に
- 同音異義語の混在 → NOT検索で除外
- 分野が広すぎる → 専門用語を追加
失敗3:英語の論文しか出ない
原因と対策:
- 日本語キーワードも追加
- 言語設定で「日本語」を選択
- 日本人研究者名で検索
検索履歴の活用と保存
検索式の保存
よく使う検索式は保存しておきましょう:
- アラート作成で定期的に新着確認
- ブラウザのブックマークに保存
- メモアプリに検索式をストック
検索の改善サイクル
- 初回検索:広めのキーワードで開始
- 結果確認:どんな論文が出るか確認
- キーワード調整:結果を見て修正
- 再検索:より精度の高い結果を取得
上級テクニック:研究者が使う裏技
被引用数での絞り込み
重要な論文を見つけるコツ:
"deep learning" AND cited:100
(100回以上引用された論文)
関連論文からの芋づる式検索
- 良い論文を1つ見つける
- 「引用元」をクリック
- その論文を引用している新しい研究を発見
- 繰り返して研究の流れを把握
著者の所属機関で検索
author:"東京大学" AND 再生医療
"Harvard University" AND COVID-19
まとめ:もう「良い論文が見つからない」とは言わせない!
Google ScholarのAND検索と検索テクニックまとめ:
基本の3つ:
- AND検索:スペースで区切るだけ(両方含む)
- OR検索:いずれかを含む
- NOT検索:マイナスで除外
便利な演算子:
"フレーズ"
:完全一致author:
:著者指定intitle:
:タイトル検索after:/before:
:期間指定site:
:サイト限定
検索のコツ:
- 最初は広く、徐々に絞る
- 日本語と英語の両方で検索
- カッコで複雑な条件も設定可能
- 検索結果を見て、キーワードを調整
実践あるのみ!
まずは自分の興味のあるテーマで、この記事で紹介した検索方法を試してみてください。
(あなたの興味 OR 関心事) AND 最新研究 after:2024
こんな感じで検索すれば、きっと面白い論文が見つかるはずです。
検索テクニックは、使えば使うほど上達します。最初は時間がかかっても、慣れれば欲しい論文がすぐに見つかるようになりますよ。良い論文との出会いが、あなたの研究や学習を大きく前進させてくれるはずです!
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