「前任者が作ったファイルのオーナーを自分に変更したい」
「複数のアカウントで管理していたファイルを1つにまとめたい…」
Google Driveを使っていると、ファイルやフォルダの所有者を変更したい場面がありますよね。
実は、Google Driveではオーナー(所有者)の変更が可能です。ただし、いくつか条件や注意点があります。間違った手順で進めると、ファイルにアクセスできなくなる恐れも。
この記事では、Google Driveのオーナー変更について、基本から応用まで分かりやすく解説します。安全に所有者を移行して、スムーズなファイル管理を実現しましょう。
Google Driveのオーナーとは?

オーナーの基本的な意味
オーナーとは、ファイルやフォルダの所有者のことです。
オーナーの特徴:
- ファイルを作成した人が自動的にオーナーになる
- 最も強い権限を持つ
- すべての操作が可能
- 各ファイルに1人だけ
オーナーとは?
ファイルやフォルダを完全に管理できる唯一の存在。削除や共有設定の変更など、すべての権限を持ちます。
オーナーと編集者の違い
オーナーと編集者は似ていますが、重要な違いがあります。
オーナーだけができること:
✅ ファイルを完全に削除(ゴミ箱を空にする)
✅ オーナー権限を他の人に譲渡
✅ 共有設定の最終的な管理権限
✅ ファイルの復元(削除後も)
編集者でもできること:
✅ ファイルの編集
✅ 他のユーザーを招待(設定により)
✅ ダウンロード・印刷
✅ コメント追加
編集者にできないこと:
❌ オーナー権限の譲渡
❌ 完全削除
❌ 一部の共有設定変更
オーナー変更が必要な場面
よくあるケース
1. 担当者の退職・異動
- 前任者が作ったファイルを引き継ぎ
- アカウント削除前にファイルを移行
- 組織の資産として保持
2. アカウント整理
- 個人アカウントから会社アカウントへ移行
- 複数アカウントの統合
- 適切な管理体制の構築
3. チーム体制の変更
- プロジェクトリーダーの交代
- 部署間の引き継ぎ
- 外部パートナーから内部への移管
4. 容量管理
- 容量を使い切ったアカウントから移動
- 有料プランへの最適化
- ストレージの効率化
オーナー変更の基本手順
単一ファイルのオーナー変更
前提条件:
- 現在のオーナーである必要があります
- 新しいオーナーにはすでに編集者権限が必要
手順:
- ファイルを右クリック
- Google Driveでオーナーを変更したいファイルを選択
- 共有を開く
- 「共有」をクリック
- 新しいオーナーに編集者権限を付与
- まだ共有していない場合、メールアドレスを入力
- 権限を「編集者」に設定
- 送信
- オーナー権限を譲渡
- 共有設定画面で、新オーナーの横のドロップダウンをクリック
- 「オーナー権限を譲渡」を選択
- 確認画面で承認
- 「はい」または「権限を譲渡」をクリック
- 重要な警告を読んで確認
- 新オーナーが承認
- 新オーナーにメールが届く
- 承認すると正式にオーナーになる
重要な注意:
オーナー変更後、自分は自動的に「編集者」になります。新しいオーナーが削除すれば、自分もアクセスできなくなります。
フォルダのオーナー変更
フォルダのオーナー変更は、ファイルとほぼ同じ手順です。
手順:
- フォルダを右クリック→共有
- 新オーナーに編集者権限を付与
- オーナー権限を譲渡
- 確認して実行
フォルダ変更の注意点:
- フォルダ内のファイルのオーナーは変わりません
- フォルダ構造だけが移行される
- 各ファイルは個別に変更が必要
Google形式ファイルのオーナー変更
Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドなどは、少し手順が異なります。
ドキュメント・スプレッドシート・スライドの変更
手順:
- ファイルを開く
- オーナー変更したいファイルをダブルクリック
- 共有ボタンをクリック
- 画面右上の「共有」ボタン
- 編集者権限を付与
- 新オーナーのメールアドレスを入力
- 「編集者」として送信
- オーナー権限を譲渡
- 共有設定で新オーナーの横のドロップダウン
- 「オーナー権限を譲渡」
- 確認して完了
承認プロセス:
新オーナーがメールを受信し、承認すると正式に変更されます。承認されるまではオーナーは変わりません。
複数ファイルの一括オーナー変更
大量のファイルを一つずつ変更するのは大変です。効率的な方法を紹介します。
Google Driveの標準機能では一括変更不可
残念ながら、Google Driveの標準機能では複数ファイルを一度にオーナー変更できません。
現状の制限:
- 1ファイルずつ手動で変更が必要
- フォルダごと変更してもファイルは変わらない
- 大量ファイルは時間がかかる
Google Apps Script(GAS)を使った一括変更
プログラミングの知識があれば、スクリプトで自動化できます。
基本的な流れ:
- Google Apps Scriptを開く
- script.google.com にアクセス
- 新しいプロジェクトを作成
- スクリプトを記述
- フォルダ内の全ファイルを取得
- ループでオーナー変更を実行
- 実行して一括変更
注意:
技術的な知識が必要です。重要なファイルで試す前に、テスト環境で確認しましょう。
Google Workspace管理コンソール(組織向け)
Google Workspaceの管理者は、より強力な移行ツールを使えます。
データ移行サービス:
- 管理コンソールから実行
- ユーザー間でファイル一括移行
- オーナー権限も含めて移行可能
- 退職者のファイルを組織に残す
使用条件:
- Google Workspaceの管理者権限が必要
- 同じ組織内のユーザー間のみ
- 一定の制限あり
オーナー変更の制限と注意点
変更できない場合
以下の条件ではオーナー変更ができません。
制限事項:
❌ 異なるドメイン間の変更(無料アカウント)
- @gmail.com → @company.com など
- Google Workspaceでは可能な場合あり
❌ Googleアカウント以外へ
- 相手もGoogleアカウントが必須
❌ 編集権限がないファイル
- 他人のファイルは変更不可
❌ 共有ドライブのファイル
- 共有ドライブには「オーナー」概念がない
- 組織全体で所有
オーナー変更後の影響
変更すると、様々な影響があります。
自分への影響:
- オーナーから編集者に降格
- 完全削除の権限を失う
- 新オーナーが削除すればアクセス不可
ファイルへの影響:
- 容量カウントが新オーナーに移る
- 元オーナーのストレージが空く
- 共有設定は基本的に維持
他の共有者への影響:
- アクセス権限は変わらない
- ただし新オーナーが変更可能
- 通知は届かない
取り消しはできない
重要な注意:
一度オーナーを変更すると、元に戻すには新オーナーの協力が必要です。
戻す方法:
- 新オーナーに依頼
- 再度オーナー変更の手順を実施
- 元のオーナーに譲渡
勝手には戻せないので、慎重に実行しましょう。
オーナー変更できない時の対処法

ケース1:「オーナー権限を譲渡」が表示されない
原因と対処:
原因1:自分がオーナーでない
→ 他人のファイルは変更不可
→ 現オーナーに依頼
原因2:相手が編集者でない
→ まず編集者権限を付与
→ その後にオーナー変更
原因3:異なるドメイン
→ 無料版では制限あり
→ Google Workspaceへの移行検討
ケース2:新オーナーが承認しない
対処法:
- 確認メールをチェックしてもらう
- 迷惑メールフォルダも確認
- 再度招待を送る
- 共有設定から再送信
- 直接連絡
- 口頭やチャットで伝える
- 期限を設定
- ○日までに承認を依頼
承認されないと変更は完了しません。
ケース3:大量ファイルで時間がかかる
効率化の方法:
- 優先順位をつける
- 重要ファイルから変更
- 不要ファイルは削除
- フォルダで整理
- 同じ新オーナーのファイルをフォルダにまとめる
- 管理しやすくする
- スクリプト活用
- Google Apps Scriptで自動化
- または外部ツール利用
- 時間をかけて段階的に
- 一度に全部やらない
- 計画的に実施
退職者・異動者からのファイル引き継ぎ
退職前の準備(本人が行うこと)
手順:
- 重要ファイルのリスト作成
- オーナーになっているファイルを確認
- 「オーナー:自分」で検索
- 後任者の決定
- 各ファイルの新オーナーを決める
- オーナー変更の実行
- 上記の手順でファイルを移行
- 共有設定の整理
- 不要な共有は削除
- 組織用フォルダに整理
- ドキュメント化
- どのファイルを誰に譲渡したか記録
退職の何日前に実施?
最低でも2週間前には開始しましょう。アカウント削除前に完了させることが重要です。
退職後のファイル回収(管理者が行うこと)
本人がオーナー変更していない場合、管理者が対応します。
Google Workspace管理者の対応:
- アカウントを一時保持
- すぐに削除せず30日程度保持
- データ移行ツールを使用
- 管理コンソール→データ移行
- 退職者のファイルを後任者に移行
- 共有ドライブへの移動
- 組織の共有ドライブに保存
- 個人所有から組織所有へ
- 完了後にアカウント削除
- すべての移行完了を確認
- アカウントを停止・削除
無料アカウントの場合:
管理者権限がないため、本人の協力が必須です。退職前に必ず移行してもらいましょう。
共有ドライブとマイドライブの違い
共有ドライブの特徴
共有ドライブとは?
組織で共同所有するドライブ。個人のオーナーではなく、組織全体で管理します。
特徴:
- オーナー概念がない
- 退職してもファイルは残る
- メンバー全員で管理
- Google Workspace専用機能
メリット:
✅ 引き継ぎ不要
✅ 組織の資産として管理
✅ 退職者問題の解決
✅ 権限管理が柔軟
マイドライブから共有ドライブへの移動
個人所有のファイルを組織資産にする方法です。
手順:
- 共有ドライブを作成(または選択)
- ファイルを移動
- ファイルを右クリック
- 「移動」を選択
- 共有ドライブを選択
- オーナーシップの変更
- 個人所有→組織所有に自動変換
注意点:
- 移動すると個人のマイドライブからは消える
- 元に戻すには共有ドライブから移動が必要
- 一部のファイル形式は制限あり
オーナー確認と整理の方法
自分がオーナーのファイルを確認
検索方法:
- Google Driveで検索
- 検索ボックスをクリック
- 検索オプションを表示
- 検索ボックス右の「▼」をクリック
- オーナーで絞り込み
- 「オーナー」で「自分」を選択
- 検索実行
- 自分がオーナーのファイルのみ表示
結果の活用:
- 定期的に確認
- 不要ファイルは削除
- 組織ファイルは共有ドライブへ
オーナー別の整理
整理のポイント:
- 個人用と組織用を分離
- 個人:マイドライブ
- 組織:共有ドライブ
- プロジェクトごとにフォルダ分け
- オーナーを統一
- 管理しやすくする
- 定期的な棚卸し
- 月1回程度確認
- 不要なオーナー権限は譲渡
よくある質問(Q&A)
Q1:オーナー変更すると、共有している人のアクセスはどうなりますか?
基本的に共有設定は維持されます。ただし新しいオーナーが共有を停止すれば、アクセスできなくなります。
Q2:フォルダのオーナーを変更すれば、中のファイルも変わりますか?
いいえ、フォルダとファイルのオーナーは別です。各ファイルを個別に変更する必要があります。
Q3:無料のGoogleアカウント間でオーナー変更できますか?
はい、可能です。ただし、同じドメイン(両方とも@gmail.comなど)であることが条件です。
Q4:オーナー変更後、元のオーナーは何ができますか?
自動的に「編集者」になります。ファイルの編集はできますが、完全削除やオーナー変更はできなくなります。
Q5:一度に複数のファイルのオーナーを変更できますか?
標準機能ではできません。1つずつ変更するか、Google Apps Scriptやサードパーティツールを使う必要があります。
Q6:新しいオーナーが承認しないとどうなりますか?
変更は完了しません。承認されるまで元のオーナーのままです。承認を催促するか、別の人を新オーナーに選びましょう。
Q7:Google WorkspaceからGmail個人アカウントへ変更できますか?
組織のポリシーによります。多くの場合、組織外への移行は制限されています。管理者に確認してください。
まとめ:計画的なオーナー変更で安全な引き継ぎを
Google Driveのオーナー変更について解説しました。
オーナー変更の基本手順:
- 新オーナーに編集者権限を付与
- 「オーナー権限を譲渡」を選択
- 確認して実行
- 新オーナーが承認
重要な注意点:
⚠️ 変更後は元に戻せない(新オーナーの協力が必要)
⚠️ フォルダ変更しても中のファイルは変わらない
⚠️ 一括変更は標準機能では不可
⚠️ 異なるドメイン間は制限あり
退職・異動時の対応:
✅ 2週間以上前から準備
✅ 重要ファイルをリスト化
✅ 後任者を決定
✅ 計画的にオーナー変更実行
✅ Google Workspaceなら管理者が移行可能
組織での推奨方法:
- 個人ファイルはマイドライブ
- 組織ファイルは共有ドライブ
- 定期的な棚卸しで整理
- 退職時のルールを明確化
トラブル防止のために:
- 変更前にバックアップ
- 関係者に事前通知
- 承認確認を徹底
- 記録を残す
オーナー変更は慎重に行う必要がありますが、正しく実施すれば安全にファイルを引き継げます。この記事を参考に、計画的なファイル管理を実現してください!
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