プログラミングをしていて、「このコード、どう書けばいいんだろう?」と悩んだことはありませんか?
**GitHub Copilot(ギットハブ・コパイロット)**は、まるで隣に座っている優秀なプログラマーのように、あなたのコーディングをリアルタイムでサポートしてくれるAIツールです。
コメントを書くだけでコードが自動生成されたり、関数名を入力するだけで中身を提案してくれたりと、開発スピードが2倍以上になることも珍しくありません。
この記事では、GitHub Copilotの基本的な使い方から、知っておくと便利な活用テクニックまで、実例を交えながら分かりやすく解説していきます。
GitHub Copilotとは?AIがあなたの相棒になる仕組み

そもそもGitHub Copilotって何?
GitHub Copilotは、OpenAIとGitHubが共同開発したAIペアプログラミングツールです。
簡単に言うと、「あなたが書きたいコードを予測して、自動的に提案してくれるアシスタント」のようなもの。数十億行のオープンソースコードを学習したAIが、文脈を理解して最適なコードを提案してくれます。
従来のコード補完との違い
従来の自動補完
- 変数名や関数名の候補を表示
- 単純なパターンマッチング
- 1行程度の補完が限界
GitHub Copilot
- 複数行のコードブロックを生成
- コメントから意図を理解してコード化
- アルゴリズム全体を提案
- テストコードも自動生成
つまり、単なる「入力補助」から「思考のパートナー」へと進化したツールなのです。
料金プランと始め方:まずは無料で体験しよう
選べる3つのプラン
1. Individual(個人向け)
- 月額10ドル / 年額100ドル
- 30日間の無料トライアルあり
- 個人開発者に最適
2. Business(ビジネス向け)
- ユーザーあたり月額19ドル
- 組織全体での管理機能
- セキュリティ機能が充実
3. Enterprise(エンタープライズ向け)
- ユーザーあたり月額39ドル
- 高度なカスタマイズ機能
- 専用サポート付き
セットアップの手順(5分で完了)
ステップ1:GitHubアカウントでサインアップ
- GitHub Copilot公式サイトにアクセス
- 「Start free trial」をクリック
- GitHubアカウントでログイン(なければ作成)
- 支払い情報を入力(無料期間中は課金されません)
ステップ2:エディタに拡張機能をインストール
VS Codeの場合:
- VS Codeを開く
- 拡張機能マーケットプレイスを開く(Ctrl+Shift+X)
- 「GitHub Copilot」を検索
- インストールボタンをクリック
- GitHubアカウントでサインイン
その他の対応エディタ:
- Visual Studio
- Neovim
- JetBrains IDEs(IntelliJ IDEA、PyCharmなど)
基本的な使い方:コメントを書くだけでコードが生まれる
コメント駆動開発:日本語でもOK
最も簡単な使い方は、コメントで「何をしたいか」を書くことです。
例1:配列の操作
# 数値のリストから偶数だけを抽出して2倍にする
numbers = [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10]
# ↓ Enterを押すとCopilotが提案
even_doubled = [x * 2 for x in numbers if x % 2 == 0]
例2:API呼び出し
// OpenWeatherMap APIから東京の天気を取得する
// ↓ Copilotの提案
async function getTokyoWeather() {
const apiKey = 'YOUR_API_KEY';
const city = 'Tokyo';
const url = `https://api.openweathermap.org/data/2.5/weather?q=${city}&appid=${apiKey}`;
try {
const response = await fetch(url);
const data = await response.json();
return data;
} catch (error) {
console.error('天気情報の取得に失敗しました:', error);
}
}
関数名から実装を生成
関数名と引数を書くだけで、中身を提案してくれます。
def calculate_bmi(weight_kg, height_cm):
# ↓ Copilotが自動で提案
height_m = height_cm / 100
bmi = weight_kg / (height_m ** 2)
return round(bmi, 1)
提案の受け入れ方とショートカット
基本操作:
- Tab: 提案を受け入れる
- Esc: 提案を拒否
- Alt + ]: 次の提案を表示
- Alt + [: 前の提案を表示
- Ctrl + Enter: 提案パネルを開く(複数の候補を確認)
実践的な活用テクニック:生産性を最大化する方法
1. テストコードの自動生成
実装コードを書いた後、テスト関数を作成すると、Copilotが適切なテストケースを提案します。
# 実装コード
def is_palindrome(text):
cleaned = ''.join(c.lower() for c in text if c.isalnum())
return cleaned == cleaned[::-1]
# テストコードを書き始めると...
def test_is_palindrome():
# ↓ Copilotが提案
assert is_palindrome("racecar") == True
assert is_palindrome("A man a plan a canal Panama") == True
assert is_palindrome("hello") == False
assert is_palindrome("") == True
assert is_palindrome("a") == True
2. リファクタリング支援
既存のコードをより良く書き直したいときも、Copilotが助けてくれます。
# リファクタリング前の冗長なコード
def get_adult_names(users):
result = []
for user in users:
if user['age'] >= 18:
result.append(user['name'])
return result
# 「このコードをリスト内包表記で書き直す」とコメント
# ↓ Copilotの提案
def get_adult_names(users):
return [user['name'] for user in users if user['age'] >= 18]
3. ドキュメント生成
関数の上で"""
を入力すると、docstringを自動生成してくれます。
def calculate_compound_interest(principal, rate, time, n=12):
"""
複利計算を行う関数
Args:
principal (float): 元本
rate (float): 年利率(小数表記)
time (int): 投資期間(年)
n (int): 年間の複利計算回数(デフォルト: 12)
Returns:
float: 複利計算後の総額
"""
# Copilotが関数の説明を理解して適切なdocstringを生成
4. エラー処理の追加
コードを書いた後、「エラー処理を追加」とコメントすると、適切な例外処理を提案します。
def divide_numbers(a, b):
return a / b
# エラー処理を追加
def divide_numbers(a, b):
# ↓ Copilotの提案
try:
if not isinstance(a, (int, float)) or not isinstance(b, (int, float)):
raise TypeError("引数は数値である必要があります")
if b == 0:
raise ValueError("ゼロで除算することはできません")
return a / b
except Exception as e:
print(f"エラーが発生しました: {e}")
return None
知っておくべき注意点とベストプラクティス

セキュリティ面での注意
やってはいけないこと:
- APIキーやパスワードをハードコーディング
- 機密情報を含むコメントの記述
- 社内専用コードでの無断使用(会社のポリシーを確認)
推奨される対策:
# 悪い例
api_key = "sk-1234567890abcdef" # 直接記述しない
# 良い例
import os
api_key = os.environ.get('API_KEY') # 環境変数から取得
コードレビューは必須
Copilotの提案はあくまで提案です。以下の点を必ず確認しましょう:
- ロジックの正確性: 意図通りに動作するか
- パフォーマンス: 効率的なコードか
- セキュリティ: 脆弱性はないか
- 可読性: チームメンバーが理解しやすいか
ライセンスの考慮
Copilotは公開されているコードを学習しているため、提案されたコードが既存のコードと類似する可能性があります。商用プロジェクトでは、ライセンスの確認が重要です。
Copilot Chatでさらに便利に:対話形式でコーディング
Copilot Chatとは?
GitHub Copilot Chatは、チャット形式でコーディングの質問ができる機能です。VS Codeの場合、サイドバーにチャットパネルが表示されます。
活用例
質問例1:エラーの解決
Q: このTypeErrorを解決する方法を教えてください
[エラーメッセージを貼り付け]
A: このエラーは型の不一致が原因です。以下の修正を試してください...
質問例2:実装方法の相談
Q: ReactでToDoリストを作りたいです。基本的な構造を教えてください
A: ReactでToDoリストを作る基本構造は以下のようになります...
[コンポーネントのサンプルコード]
トラブルシューティング:よくある問題と解決方法
提案が表示されない場合
確認事項:
- インターネット接続は正常か
- GitHub Copilotの拡張機能は有効か
- サインインは完了しているか
- ファイルの言語モードは正しく設定されているか
解決方法:
- VS Codeを再起動
- 拡張機能を再インストール
Ctrl+Shift+P
→ 「GitHub Copilot: Status」で状態確認
提案の質が低い場合
改善方法:
- より具体的なコメントを書く
- 変数名や関数名を分かりやすくする
- コンテキスト(周辺のコード)を充実させる
- プロジェクトの他のファイルも開いておく
他のAIツールとの比較:どれを選ぶべき?
主要なAIコーディングツール
GitHub Copilot
- 強み:VS Codeとの統合、幅広い言語サポート
- 弱み:月額料金が必要
Tabnine
- 強み:プライベートモデルの学習が可能
- 弱み:無料版は機能制限あり
Amazon CodeWhisperer
- 強み:AWSサービスとの連携、個人利用は無料
- 弱み:対応言語が限定的
Cursor
- 強み:エディタ一体型、高度なAI機能
- 弱み:独自エディタへの移行が必要
初心者の方には、GitHub Copilotから始めることをおすすめします。VS Codeとの相性が良く、日本語のリソースも豊富だからです。
まとめ:GitHub Copilotで開発体験が変わる
GitHub Copilotは、単なる「便利ツール」ではなく、あなたの開発スタイルを根本から変える可能性を持つパートナーです。
今すぐ始められること:
- 30日間の無料トライアルに登録
- VS Codeに拡張機能をインストール
- コメントを書いてコード生成を体験
- 既存プロジェクトでの活用を開始
最初は戸惑うかもしれませんが、1週間も使えば手放せなくなるはずです。特に、繰り返しの多いコードや、定型的な処理を書く際の時間短縮効果は絶大です。
ただし、Copilotはあくまでもアシスタント。最終的なコードの品質は、開発者であるあなたの判断にかかっています。提案を鵜呑みにせず、しっかりとレビューしながら使いこなしていきましょう。
AIと共に歩む新しいプログラミングの世界へ、一歩踏み出してみませんか?
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