Gitがインストールできない時の完全解決ガイド【Windows/Mac/Linux対応】

プログラミング・IT

「Gitをインストールしようとしたけど、エラーが出て進めない…」
「インストールは完了したはずなのに、gitコマンドが使えない…」
「管理者権限がなくて、インストールできない…」

プログラミングの勉強を始めたり、GitHubを使おうとしたりする時、最初の壁となるのがGitのインストールです。

この記事では、Gitのインストールで発生する様々な問題と、その解決方法をOS別に詳しく解説していきます。初心者の方でも、順番に読んでいけば必ず解決できるようになっていますよ！

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  1. 1. インストール前の確認事項
    1. 確認項目1：OSとバージョン
    2. 確認項目2：既存のGitの有無
    3. 確認項目3：管理者権限の有無
    4. 確認項目4：ディスクの空き容量
  2. 2. OS別の正しいインストール方法
    1. Windows の正しいインストール方法
    2. Mac の正しいインストール方法
    3. Linux の正しいインストール方法
  3. 3. Windows編：インストールできない・gitコマンドが効かない
    1. 問題1：「git: command not found」またはPATHエラー
    2. 問題2：管理者権限エラー
    3. 問題3：インストーラーがフリーズする
    4. 問題4：「.NET Framework」エラー
    5. 問題5：Windows Defenderのブロック
    6. 問題6：日本語が文字化けする
  4. 4. Mac編：インストール失敗・権限エラー
    1. 問題1：「Permission denied」エラー
    2. 問題2：「xcrun: error」
    3. 問題3：Homebrewのインストールに失敗
    4. 問題4：「chflags」ファイル保護エラー
    5. 問題5：M1/M2 Mac での PATH問題
    6. 問題6：macOSのバージョンが古い
  5. 5. Linux編：インストールエラー・依存関係の問題
    1. 問題1：「E: Unable to locate package git」
    2. 問題2：依存関係エラー
    3. 問題3：権限エラー
    4. 問題4：古いバージョンがインストールされる
    5. 問題5：ソースからのビルド失敗
    6. 問題6：「git-core」パッケージとの競合
  6. 6. 共通問題：インストールは成功したのにコマンドが使えない
    1. 問題1：新しいターミナルで試していない
    2. 問題2：PATHが通っていない
    3. 問題3：エイリアスの競合
    4. 問題4：複数バージョンの競合
  7. 7. 管理者権限がない環境でのインストール
    1. Windows：ポータブル版Git
    2. Mac：Homebrewをユーザーディレクトリに
    3. Linux：ホームディレクトリにインストール
  8. 8. 企業ネットワーク・ファイアウォール環境での対処法
    1. 問題1：プロキシエラー
    2. 問題2：ファイアウォールでブロック
    3. 問題3：SSL証明書エラー
    4. 問題4：ダウンロード速度が遅い
  9. よくある質問（FAQ）
    1. Q1: Gitは無料ですか？ライセンスは必要ですか？
    2. Q2: 32bit版と64bit版、どちらをインストールすべきですか？
    3. Q3: 複数のバージョンをインストールできますか？
    4. Q4: アンインストール方法は？
    5. Q5: Gitのアップデート方法は？
    6. Q6: VirusTotal で脅威と検出されました。安全ですか？
    7. Q7: Git Bash と Git CMD、どちらを使うべきですか？
    8. Q8: インストール後、最初に設定すべきことは？
    9. Q9: SSH接続とHTTPS接続、どちらがいいですか？
    10. Q10: 「You appear to have cloned an empty repository」と表示されます
  10. トラブルシューティングのチェックリスト
    1. チェック1：基本事項
    2. チェック2：インストール設定
    3. チェック3：環境変数
    4. チェック4：その他
  11. それでも解決しない場合
    1. 方法1：ログを確認
    2. 方法2：クリーンインストール
    3. 方法3：代替方法
    4. 方法4：コミュニティに質問
  12. まとめ
    1. Windows の場合
    2. Mac の場合
    3. Linux の場合
    4. 共通のポイント
    5. 次のステップ

1. インストール前の確認事項

トラブルを避けるため、まず以下を確認しましょう。

確認項目1：OSとバージョン

Windows の場合：

  1. スタートボタンを右クリック
  2. 「システム」を選択
  3. Windowsのバージョンと、32bit/64bitを確認

対応バージョン：

  • Windows 7以降（Windows 11含む）
  • 32bit版と64bit版の両方に対応
  • Windows Vista: Git 2.37.1まで
  • Windows XP: Git 2.10.0まで

Mac の場合：

  1. 画面左上の マークをクリック
  2. 「このMacについて」を選択
  3. macOSのバージョンを確認

対応バージョン：

  • macOS 10.9 (Mavericks) 以降

Linux の場合：

ターミナルで以下を実行：

cat /etc/os-release

確認項目2：既存のGitの有無

既にGitがインストールされているか確認しましょう。

確認方法：

ターミナル（Mac/Linux）またはコマンドプロンプト（Windows）で：

git --version

結果：

  • バージョンが表示される → 既にインストール済み
  • 「コマンドが見つかりません」などのエラー → 未インストール

既にインストール済みの場合は、「4章：コマンドが使えない問題」を参照してください。

確認項目3：管理者権限の有無

Windows の場合：

  1. コマンドプロンプトを右クリック
  2. 「管理者として実行」が選択できる → 管理者権限あり

Mac/Linux の場合：

ターミナルで：

sudo echo "test"

パスワード入力後に「test」と表示される → 管理者権限あり

権限がない場合：

7章「管理者権限がない環境でのインストール」を参照してください。

確認項目4：ディスクの空き容量

必要な容量：

  • 最低限：500MB
  • 推奨：1GB以上

確認方法：

Windows：

  • エクスプローラーで「PC」を開く
  • Cドライブの空き容量を確認

Mac：

  • 画面左上の マーク
  • 「このMacについて」→「ストレージ」

Linux：

df -h

2. OS別の正しいインストール方法

まず、各OSでの正しいインストール方法を確認しましょう。

Windows の正しいインストール方法

ステップ1：公式サイトからダウンロード

  1. https://git-scm.com/download/win にアクセス
  2. 自動でOSに合ったバージョンがダウンロード開始
  3. または「64-bit Git for Windows Setup」を手動でクリック

ステップ2：インストーラーの実行

  1. ダウンロードした「Git-x.xx.x-64-bit.exe」をダブルクリック
  2. 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか？」→「はい」

ステップ3：インストール設定（重要）

以下の設定画面で、推奨設定を選択してください：

① インストール先：

  • デフォルト（C:\Program Files\Git）のまま「Next」

② コンポーネント：

  • 「Additional icons」：お好みで
  • 「Windows Explorer integration」：チェック推奨
  • 「Git Bash Here」：チェック推奨
  • 「Git GUI Here」：お好みで
  • 「Git LFS」：チェック推奨
  • 「Associate .git* … with the default text editor」：チェック推奨

③ デフォルトエディタ：

  • 初心者は「Use Nano editor」または「Use Notepad」推奨

④ PATH設定（最重要）：

  • 「Git from the command line and also from 3rd-party software」を選択
  • これが最も重要な設定です！

⑤ HTTPSライブラリ：

  • 「Use the OpenSSL library」を選択（デフォルト）

⑥ 改行コード：

  • 「Checkout Windows-style, commit Unix-style line endings」を選択
  • これがWindowsの推奨設定です

⑦ ターミナル：

  • 「Use MinTTY」を選択（デフォルト）

⑧ git pull の動作：

  • 「Default (fast-forward or merge)」を選択

⑨ Credential Helper：

  • 「Git Credential Manager」を選択

⑩ その他のオプション：

  • 「Enable file system caching」：チェック
  • 「Enable symbolic links」：お好みで

ステップ4：インストール完了

「Finish」をクリックして完了

ステップ5：動作確認

  1. スタートメニューから「Git Bash」を起動
  2. 以下を入力：
git --version
  1. バージョンが表示されれば成功

Mac の正しいインストール方法

Macには3つのインストール方法があります。

方法1：Xcode Command Line Tools（最も簡単）

ステップ1：インストール

ターミナルで以下を実行：

xcode-select --install

ステップ2：確認

インストール確認画面が表示されるので「インストール」をクリック

ステップ3：動作確認

インストール完了後：

git --version

方法2：Homebrew経由（推奨）

Homebrewがインストールされている場合：

brew install git

動作確認：

git --version

方法3：公式インストーラー

  1. https://git-scm.com/download/mac にアクセス
  2. インストーラー（.dmg）をダウンロード
  3. ダウンロードしたファイルを開く
  4. 指示に従ってインストール

Linux の正しいインストール方法

ディストリビューションごとに異なります。

Ubuntu / Debian

sudo apt-get update
sudo apt-get install git

Fedora / CentOS / RHEL

Fedora：

sudo dnf install git

CentOS / RHEL：

sudo yum install git

Arch Linux

sudo pacman -S git

動作確認：

git --version

3. Windows編：インストールできない・gitコマンドが効かない

Windowsでの最も多い問題と解決方法です。

問題1：「git: command not found」またはPATHエラー

症状：

'git' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。

原因：

Gitのインストール場所が環境変数PATHに登録されていない

解決方法：

ステップ1：Gitのインストール場所を確認

  1. エクスプローラーで C:\Program Files\Git を開く
  2. cmd フォルダと bin フォルダを確認
  3. アドレスバーをクリックして、パスをコピー

通常は以下のパス：

  • C:\Program Files\Git\cmd
  • C:\Program Files\Git\bin

ステップ2：環境変数にパスを追加

  1. スタートボタンを右クリック
  2. 「システム」を選択
  3. 右側の「システムの詳細設定」をクリック
  4. 「環境変数」ボタンをクリック

または：

  1. Windowsキーを押す
  2. 「環境変数」と入力
  3. 「システム環境変数の編集」をクリック
  4. 「環境変数」ボタンをクリック

ステップ3：Pathを編集

  1. 「システム環境変数」の一覧から「Path」を選択
  2. 「編集」ボタンをクリック
  3. 「新規」ボタンをクリック
  4. C:\Program Files\Git\cmd を入力
  5. もう一度「新規」をクリック
  6. C:\Program Files\Git\bin を入力
  7. 「OK」を3回クリックしてすべてのウィンドウを閉じる

ステップ4：再起動と確認

  1. 開いているコマンドプロンプトやPowerShellをすべて閉じる
  2. 新しくコマンドプロンプトを開く
  3. git --version を実行
  4. バージョンが表示されれば成功

注意点：

  • 古いコマンドプロンプトでは反映されません
  • 必ず新しく開き直してください
  • PCの再起動が必要な場合もあります

問題2：管理者権限エラー

症状：

このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか？
→ 「いいえ」しか選べない、または権限エラー

原因：

管理者権限がない、またはユーザーアカウント制御（UAC）の設定

解決方法：

方法A：管理者として実行

  1. インストーラーを右クリック
  2. 「管理者として実行」を選択

方法B：管理者にインストールを依頼

学校や会社のPCの場合、IT管理者に依頼が必要な場合があります。

方法C：ポータブル版を使用

管理者権限が得られない場合は、7章を参照してください。

問題3：インストーラーがフリーズする

症状：

インストール中に進行が止まる、応答なしになる

原因：

  • ウイルス対策ソフトがスキャン中
  • 他のプログラムが干渉
  • ディスク容量不足
  • 破損したインストーラー

解決方法：

ステップ1：ウイルス対策ソフトを一時的に無効化

  1. システムトレイのウイルス対策ソフトアイコンを右クリック
  2. 一時的に無効化（10分程度）
  3. インストールを再試行
  4. インストール後、必ず有効に戻す

ステップ2：クリーンブート

  1. スタートメニューで「msconfig」と検索
  2. 「システム構成」を開く
  3. 「サービス」タブ
  4. 「Microsoftのサービスをすべて隠す」にチェック
  5. 「すべて無効」をクリック
  6. PCを再起動
  7. インストールを試行

ステップ3：インストーラーを再ダウンロード

  1. 既存のインストーラーを削除
  2. 公式サイトから再ダウンロード
  3. ダウンロード完了を確認してから実行

問題4：「.NET Framework」エラー

症状：

.NET Framework 4.5.1以降が必要です

原因：

Git Credential Managerに必要な.NET Frameworkがインストールされていない

解決方法：

方法A：.NET Frameworkをインストール

  1. https://dotnet.microsoft.com/download/dotnet-framework にアクセス
  2. .NET Framework 4.8（最新版）をダウンロード
  3. インストール
  4. PCを再起動
  5. Gitのインストールを再試行

方法B：Credential Manager を無効化してインストール

  1. Gitインストーラーを起動
  2. 「Enable Git Credential Manager」のチェックを外す
  3. インストール続行

問題5：Windows Defenderのブロック

症状：

インストール中に「このアプリは保護されました」と表示される

解決方法：

ステップ1：詳細情報を表示

  1. 「詳細情報」をクリック
  2. 「実行」ボタンが表示される
  3. 「実行」をクリック

ステップ2：それでもブロックされる場合

  1. 「Windowsセキュリティ」を開く
  2. 「ウイルスと脅威の防止」
  3. 「設定の管理」
  4. 一時的に「リアルタイム保護」をオフ
  5. インストール
  6. インストール後、必ずオンに戻す

ステップ3：除外設定

  1. 「Windowsセキュリティ」を開く
  2. 「ウイルスと脅威の防止」
  3. 「設定の管理」
  4. 「除外」→「除外の追加または削除」
  5. 「フォルダー」を選択
  6. C:\Program Files\Git を追加

問題6：日本語が文字化けする

症状：

Git Bashで日本語ファイル名が文字化けする

解決方法：

Git Bashで以下を実行：

git config --global core.quotepath false

Git Bashのエンコーディング設定：

  1. Git Bashのウィンドウを右クリック
  2. 「Options…」を選択
  3. 「Text」→「Locale」を「ja_JP」に
  4. 「Character set」を「UTF-8」に
  5. 「Apply」→「Save」

4. Mac編：インストール失敗・権限エラー

問題1：「Permission denied」エラー

症状：

Permission denied
Failed during: git init -q

原因：

  • /usr/local の権限設定
  • Homebrewの権限問題
  • Xcodeの署名期限切れ

解決方法：

方法A：/usr/local の権限を修正

sudo chown -R $(whoami) /usr/local

パスワードを入力後、再度インストールを試行

方法B：Homebrewを再インストール

# Homebrewをアンインストール
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/uninstall.sh)"

# Homebrewを再インストール
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

# Gitをインストール
brew install git

方法C：Xcodeを更新

sudo rm -rf /Library/Developer/CommandLineTools
xcode-select --install

問題2：「xcrun: error」

症状：

xcrun: error: invalid active developer path
xcrun: error: unable to find utility "git"

原因：

Xcodeまたは Command Line Toolsが正しくインストールされていない

解決方法：

xcode-select --install

表示される確認画面で「インストール」をクリック

それでも解決しない場合：

sudo xcode-select --reset
xcode-select --install

問題3：Homebrewのインストールに失敗

症状：

Homebrew自体がインストールできない

解決方法：

ステップ1：既存のHomebrewを削除

/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/uninstall.sh)"

ステップ2：/usr/local を削除して再作成

sudo rm -rf /usr/local/Homebrew
sudo mkdir -p /usr/local/Homebrew
sudo chown -R $(whoami):admin /usr/local/Homebrew

ステップ3：Homebrewを再インストール

/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

ステップ4：Gitをインストール

brew install git

問題4：「chflags」ファイル保護エラー

症状：

Operation not permitted
chflags: <file>: Operation not permitted

原因：

macOSのファイル保護機能

解決方法：

# immutableフラグを削除
sudo chflags -R nouchg /usr/local/Homebrew

# 再度インストール
brew install git

問題5：M1/M2 Mac での PATH問題

症状：

インストールは成功するが、gitコマンドが見つからない

原因：

Apple Silicon MacでのHomebrew PATH設定

解決方法：

ステップ1：PATHを確認

echo $PATH

ステップ2：~/.zshrc を編集

nano ~/.zshrc

以下を追加：

# Homebrew PATH for Apple Silicon
eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"

ステップ3：設定を反映

source ~/.zshrc

ステップ4：確認

git --version

問題6：macOSのバージョンが古い

症状：

macOS 10.8以前でインストールできない

解決方法：

方法A：macOSをアップデート

可能であれば、最新のmacOSにアップデートする

方法B：古いバージョンのGitをインストール

  1. https://sourceforge.net/projects/git-osx-installer/ にアクセス
  2. 古いバージョンをダウンロード
  3. インストール

5. Linux編：インストールエラー・依存関係の問題

問題1：「E: Unable to locate package git」

症状（Ubuntu/Debian）：

E: Unable to locate package git

原因：

パッケージリストが古い

解決方法：

# パッケージリストを更新
sudo apt-get update

# Gitをインストール
sudo apt-get install git

それでも解決しない場合：

# リポジトリを修正
sudo apt-get install software-properties-common
sudo add-apt-repository ppa:git-core/ppa
sudo apt-get update
sudo apt-get install git

問題2：依存関係エラー

症状：

The following packages have unmet dependencies:
 git : Depends: liberror-perl but it is not installable

解決方法：

ステップ1：壊れた依存関係を修正

sudo apt-get install -f

ステップ2：再度インストール

sudo apt-get install git

それでも解決しない場合：

# 完全にクリーンアップ
sudo apt-get clean
sudo apt-get autoremove
sudo apt-get update
sudo apt-get install git

問題3：権限エラー

症状：

Permission denied

解決方法：

ステップ1：sudoを使用

sudo apt-get install git

ステップ2：sudoが使えない場合

システム管理者に依頼、または後述のソースからビルド方法を参照

問題4：古いバージョンがインストールされる

症状：

インストールはできるが、バージョンが古すぎる

解決方法（Ubuntu/Debian）：

# PPAリポジトリを追加
sudo add-apt-repository ppa:git-core/ppa
sudo apt-get update
sudo apt-get install git

解決方法（Fedora）：

# 最新リポジトリを有効化
sudo dnf copr enable elrepo/elrepo
sudo dnf install git

問題5：ソースからのビルド失敗

症状：

ソースコードからビルドしようとしてエラー

解決方法：

ステップ1：必要な依存パッケージをインストール

Ubuntu/Debian：

sudo apt-get install build-essential libssl-dev libcurl4-gnutls-dev \
    libexpat1-dev gettext unzip

Fedora/CentOS：

sudo dnf install gcc make openssl-devel curl-devel expat-devel \
    gettext-devel perl-devel zlib-devel

ステップ2：ソースをダウンロード

cd /tmp
wget https://github.com/git/git/archive/refs/tags/v2.43.0.tar.gz
tar -xzf v2.43.0.tar.gz
cd git-2.43.0

ステップ3：ビルドとインストール

make prefix=/usr/local all
sudo make prefix=/usr/local install

問題6：「git-core」パッケージとの競合

症状：

git-core と git のパッケージが競合

解決方法：

# 古いパッケージを削除
sudo apt-get remove git-core

# Gitをインストール
sudo apt-get install git

6. 共通問題：インストールは成功したのにコマンドが使えない

OSに関係なく発生する問題です。

問題1：新しいターミナルで試していない

症状：

インストール後も「command not found」

原因：

古いターミナルセッションでは環境変数が更新されていない

解決方法：

  1. すべてのターミナル/コマンドプロンプトを閉じる
  2. 新しく開く
  3. git --version を実行

問題2：PATHが通っていない

症状：

再起動しても「command not found」

解決方法：

Windows：

3章の「問題1：PATHエラー」を参照

Mac：

# ~/.zshrc または ~/.bash_profile に追加
echo 'export PATH="/usr/local/bin:$PATH"' >> ~/.zshrc
source ~/.zshrc

Linux：

# ~/.bashrc に追加
echo 'export PATH="/usr/local/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc

問題3：エイリアスの競合

症状：

gitコマンドが別のプログラムを起動する

原因：

既存のエイリアスやスクリプト

解決方法：

確認：

which git
type git
alias git

エイリアスを削除：

unalias git

恒久的に修正（Mac/Linux）：

~/.zshrc または ~/.bashrc を編集してエイリアス定義を削除

問題4：複数バージョンの競合

症状：

異なるバージョンが表示される

解決方法：

確認：

# すべてのgitの場所を表示
# Windows (PowerShell)
Get-Command git -All

# Mac/Linux
which -a git

不要なバージョンを削除：

Windows：

  • 古いインストールをコントロールパネルからアンインストール
  • PATH から不要なパスを削除

Mac：

# Homebrew版以外を削除する場合
sudo rm /usr/bin/git

Linux：

# パッケージマネージャーからアンインストール
sudo apt-get remove git
# またはソースビルド版を削除
sudo rm /usr/local/bin/git

7. 管理者権限がない環境でのインストール

学校や会社のPCなど、管理者権限がない場合の方法です。

Windows：ポータブル版Git

特徴：

  • 管理者権限不要
  • USBメモリにも保存可能
  • 設定を持ち運べる

インストール手順：

ステップ1：ダウンロード

  1. https://git-scm.com/download/win にアクセス
  2. 「Portable (“thumbdrive edition”)」を選択
  3. 64-bitまたは32-bitを選択してダウンロード

ステップ2：解凍

  1. ダウンロードした .7z.exe ファイルを実行
  2. 解凍先を選択（例：D:\PortableApps\Git）
  3. ユーザーフォルダまたは外部ドライブを推奨
  4. 「OK」をクリック

ステップ3：初期化

解凍後、post-install.bat が自動実行されます。
手動で実行する必要がある場合は、そのファイルをダブルクリック。

ステップ4：動作確認

解凍先フォルダで git-bash.exe を実行：

git --version

ステップ5：PATH設定（オプション）

他のプログラムからGitを使う場合：

  1. Windowsキー + Pause キー
  2. 「システムの詳細設定」
  3. 「環境変数」
  4. 「ユーザー環境変数」の「Path」を編集（システム環境変数ではない）
  5. 「新規」をクリック
  6. D:\PortableApps\Git\bin を追加（実際のパスに合わせる）
  7. 「OK」

注意点：

  • システム環境変数ではなく、ユーザー環境変数を編集
  • 管理者権限は不要

Mac：Homebrewをユーザーディレクトリに

手順：

# ホームディレクトリにHomebrewをインストール
mkdir ~/homebrew && curl -L https://github.com/Homebrew/brew/tarball/master | tar xz --strip 1 -C ~/homebrew

# PATHを設定
echo 'export PATH="$HOME/homebrew/bin:$PATH"' >> ~/.zshrc
source ~/.zshrc

# Gitをインストール
brew install git

Linux：ホームディレクトリにインストール

手順：

ステップ1：ソースをダウンロード

cd ~
wget https://github.com/git/git/archive/refs/tags/v2.43.0.tar.gz
tar -xzf v2.43.0.tar.gz
cd git-2.43.0

ステップ2：ビルド

# ホームディレクトリにインストール
make prefix=$HOME/git all
make prefix=$HOME/git install

ステップ3：PATH設定

echo 'export PATH="$HOME/git/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc

ステップ4：確認

git --version

8. 企業ネットワーク・ファイアウォール環境での対処法

問題1：プロキシエラー

症状：

Failed to connect to github.com port 443: Connection timed out

原因：

企業プロキシの設定が必要

解決方法：

ステップ1：プロキシ情報を確認

IT部門に以下を確認：

  • プロキシサーバーのアドレス
  • ポート番号
  • 認証の有無（ユーザー名/パスワード）

ステップ2：Gitにプロキシを設定

認証なしの場合：

git config --global http.proxy http://proxy.example.com:8080
git config --global https.proxy https://proxy.example.com:8080

認証ありの場合：

git config --global http.proxy http://username:password@proxy.example.com:8080
git config --global https.proxy https://username:password@proxy.example.com:8080

パスワードに特殊文字が含まれる場合：

URLエンコードが必要（例：@ → %40）

ステップ3：SSL証明書検証の設定

自己署名証明書を使用している場合：

# 証明書検証を無効化（セキュリティリスクあり、社内のみ推奨）
git config --global http.sslVerify false

問題2：ファイアウォールでブロック

症状：

特定のサイトにアクセスできない

解決方法：

方法A：HTTPSポート443を使用

# SSHの代わりにHTTPSを使用
git clone https://github.com/username/repo.git

方法B：IT部門に許可を依頼

以下のドメインへのアクセス許可を依頼：

  • github.com
  • git-scm.com
  • githubusercontent.com

問題3：SSL証明書エラー

症状：

SSL certificate problem: unable to get local issuer certificate

原因：

企業の自己署名証明書

解決方法：

方法A：証明書をインポート

# 証明書ファイルのパスを指定
git config --global http.sslCAInfo /path/to/certificate.crt

方法B：検証を一時的に無効化

git config --global http.sslVerify false

注意：

この設定はセキュリティリスクがあるため、信頼できるネットワークでのみ使用してください。

問題4：ダウンロード速度が遅い

症状：

インストールやクローンに異常に時間がかかる

解決方法：

方法A：プロキシキャッシュを活用

IT部門に確認してプロキシキャッシュを設定

方法B：タイムアウトを延長

git config --global http.postBuffer 524288000
git config --global http.lowSpeedLimit 0
git config --global http.lowSpeedTime 999999

よくある質問（FAQ）

Q1: Gitは無料ですか？ライセンスは必要ですか？

回答： Git は完全に無料です。

  • ライセンス： GNU General Public License version 2（GPL v2）
  • 商用利用： 可能
  • 費用： 無料
  • 制限： なし

インストール時に表示される「GPL License」の確認は、ライセンスへの同意を求めているだけで、費用は発生しません。

Q2: 32bit版と64bit版、どちらをインストールすべきですか？

回答： 基本的に64bit版を選択してください。

確認方法（Windows）：

  1. スタートボタンを右クリック
  2. 「システム」を選択
  3. 「システムの種類」を確認

目安：

  • 2010年以降のPC → ほぼ100% 64bit
  • メモリ4GB以上 → 64bit
  • 不明な場合 → 64bit版を試す（エラーが出たら32bit版）

Q3: 複数のバージョンをインストールできますか？

回答： 技術的には可能ですが、推奨しません。

理由：

  • PATH設定が複雑になる
  • どのバージョンが実行されるか混乱する
  • トラブルの原因になる

推奨：

  • 1つのバージョンのみインストール
  • プロジェクトごとに異なるバージョンが必要な場合はDockerを検討

Q4: アンインストール方法は？

Windows：

  1. 「設定」→「アプリ」
  2. 「Git」を検索
  3. 「アンインストール」

Mac（Homebrew）：

brew uninstall git

Mac（手動インストール）：

sudo rm -rf /usr/local/git
sudo rm /etc/paths.d/git

Linux：

# Ubuntu/Debian
sudo apt-get remove git

# Fedora
sudo dnf remove git

Q5: Gitのアップデート方法は？

Windows：

新しいインストーラーをダウンロードして実行

  • 既存の設定は保持されます

Mac（Homebrew）：

brew update
brew upgrade git

Linux：

# Ubuntu/Debian
sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade git

# Fedora
sudo dnf upgrade git

Q6: VirusTotal で脅威と検出されました。安全ですか？

回答： 公式サイトからダウンロードすれば安全です。

確認方法：

  • 正しいURL： https://git-scm.com/
  • 避けるべき： 検索結果の広告、非公式サイト

誤検出の理由：

  • Gitは実行ファイルを含むため、一部のウイルス対策ソフトが過剰反応
  • 特にポータブル版は誤検出されやすい

対処法：

  • Windows Defender SmartScreenで「詳細情報」から実行
  • ウイルス対策ソフトの除外リストに追加

Q7: Git Bash と Git CMD、どちらを使うべきですか？

回答： 初心者は Git Bash を推奨します。

Git Bash：

  • Unix系コマンドが使える
  • チュートリアルの大半がBash前提
  • 色分け表示で見やすい
  • 推奨

Git CMD：

  • Windowsコマンドプロンプトそのまま
  • Windows固有のコマンドも使える
  • Windowsに慣れている人向け

PowerShell：

  • より強力
  • スクリプト作成に向いている
  • 上級者向け

Q8: インストール後、最初に設定すべきことは？

回答： ユーザー名とメールアドレスの設定です。

設定方法：

# ユーザー名を設定
git config --global user.name "あなたの名前"

# メールアドレスを設定
git config --global user.email "your.email@example.com"

確認方法：

git config --global user.name
git config --global user.email

重要性：

これらの情報はコミット履歴に記録されます。
特にGitHubを使う場合、GitHubのメールアドレスと同じにすることを推奨します。

Q9: SSH接続とHTTPS接続、どちらがいいですか？

回答： 初心者はHTTPSを推奨します。

HTTPS：

  • 設定が簡単
  • ファイアウォールを通りやすい
  • パスワードまたはトークンで認証
  • 初心者向け

SSH：

  • 鍵の設定が必要
  • パスワード入力不要（設定後）
  • より安全
  • 上級者向け

Q10: 「You appear to have cloned an empty repository」と表示されます

回答： これはエラーではありません。

意味：

クローンしたリポジトリがまだ空（コミットが1つもない）の状態です。

対処法：

  1. ファイルを追加
  2. コミット
  3. プッシュ
echo "# My Project" >> README.md
git add README.md
git commit -m "first commit"
git push origin main

トラブルシューティングのチェックリスト

問題が解決しない場合、以下を順番に確認してください。

チェック1：基本事項

□ 公式サイトからダウンロードしたか
□ インストーラーが完全にダウンロードされたか
□ OSのバージョンは対応しているか
□ ディスクの空き容量は十分か（1GB以上推奨）
□ すべてのターミナル/コマンドプロンプトを閉じて再度開いたか
□ PCを再起動したか

チェック2：インストール設定

□ PATH設定を正しく選択したか（Windows）
□ 管理者権限で実行したか（Windows）
□ ウイルス対策ソフトを一時的に無効化したか
□ インストール先を変更していないか

チェック3：環境変数

□ PATH に Gitのパスが含まれているか
□ 複数のGitがインストールされていないか
□ エイリアスが設定されていないか

チェック4：その他

□ プロキシ設定が必要か（企業環境）
□ ファイアウォールがブロックしていないか
□ .NET Framework がインストールされているか（Windows）
□ Xcode Command Line Tools がインストールされているか（Mac）

それでも解決しない場合

方法1：ログを確認

Windows：

インストールログを確認：

  • C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Temp\
  • 最新の Git-*.log ファイル

エラーメッセージをコピーして検索

方法2：クリーンインストール

ステップ1：完全アンインストール

Windows：

  1. Git をアンインストール
  2. C:\Program Files\Git フォルダを手動削除
  3. C:\Users\<ユーザー名>\.gitconfig を削除
  4. 環境変数から Git のパスを削除
  5. PCを再起動

Mac：

# Homebrew版
brew uninstall --force git
rm -rf /usr/local/Cellar/git

# 手動インストール版
sudo rm -rf /usr/local/git
sudo rm /etc/paths.d/git

Linux：

sudo apt-get purge git
sudo apt-get autoremove
sudo apt-get clean

ステップ2：再インストール

最初から手順をやり直す

方法3：代替方法

GitHub Desktop：

  • Gitの機能を含むGUIアプリ
  • インストールが簡単
  • 初心者向け
  • https://desktop.github.com/

Sourcetree：

  • GUIベースのGitクライアント
  • Gitを自動インストール
  • https://www.sourcetreeapp.com/

方法4：コミュニティに質問

Stack Overflow：

  • https://stackoverflow.com/
  • タグ：git, installation
  • エラーメッセージを正確に記載

GitHub Community：

  • https://github.community/
  • インストール関連のカテゴリ

質問時に含めるべき情報：

  1. OS とバージョン
  2. 試した解決方法
  3. エラーメッセージの全文
  4. git --version の結果（実行できる場合）
  5. 環境変数 PATH の内容

まとめ

Gitのインストールで最も重要なポイントをまとめます。

Windows の場合

最重要：

  • PATH設定を「Git from the command line and also from 3rd-party software」に
  • 管理者権限で実行
  • 環境変数を設定後、必ず新しいターミナルを開く

よくある問題：

  1. PATH が通っていない → 環境変数を手動で設定
  2. 管理者権限がない → ポータブル版を使用
  3. ウイルス対策ソフトがブロック → 一時的に無効化

Mac の場合

最重要：

  • Xcode Command Line Tools を先にインストール
  • Homebrew経由が最も簡単
  • /usr/local の権限に注意

よくある問題：

  1. Permission denied → sudo chown で権限修正
  2. xcrun error → Xcode Command Line Tools 再インストール
  3. M1/M2 Mac → PATH設定を ~/.zshrc に追加

Linux の場合

最重要：

  • パッケージマネージャーで最新版をインストール
  • sudo 権限が必要
  • 依存関係に注意

よくある問題：

  1. パッケージが見つからない → apt-get update
  2. 依存関係エラー → apt-get install -f
  3. 古いバージョン → PPAリポジトリを追加

共通のポイント

必ず確認：

  • 公式サイトからダウンロード
  • インストール後は新しいターミナルを開く
  • git --version で動作確認
  • ユーザー名とメールアドレスを設定

避けるべき：

  • 検索結果の広告からダウンロード
  • 古いターミナルで確認
  • 複数バージョンのインストール
  • システムファイルの不用意な削除

次のステップ

Gitがインストールできたら、以下を設定しましょう：

# ユーザー情報の設定
git config --global user.name "あなたの名前"
git config --global user.email "your.email@example.com"

# エディタの設定（お好みで）
git config --global core.editor "nano"

# 改行コードの設定（Mac/Linux）
git config --global core.autocrlf input

# 日本語ファイル名の文字化け防止
git config --global core.quotepath false

# 設定の確認
git config --list

学習リソース：

  • 公式ドキュメント：https://git-scm.com/doc
  • Pro Git（日本語版）：https://git-scm.com/book/ja/v2
  • GitHub Learning Lab：https://lab.github.com/

これで、Gitのインストールに関するトラブルのほとんどは解決できるはずです。

もし、この記事の方法で解決しない場合は、コミュニティフォーラムやStack Overflowで質問してみてください。その際は、エラーメッセージ、OS情報、試した解決方法を詳しく書くと、的確な回答が得られやすくなります。

楽しいGitライフを！

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