GIMPをダウンロードしたけれど、こんな不安を感じていませんか?
- 画面がたくさんあって、何から始めればいいかわからない
- ツールがいっぱいあるけど、どれを使えばいいの?
- 簡単な編集をしたいだけなのに、操作が複雑そう
- 無料ソフトだから機能が限られているのでは?
実は、GIMPは無料でありながら、プロも使う高機能な画像編集ソフトです。
最初は複雑に見えるかもしれませんが、基本的な操作を覚えてしまえば、思った以上に簡単に美しい画像編集ができるようになります。
この記事では、GIMPを初めて使う方が迷わずに基本操作をマスターできるよう、ステップバイステップでわかりやすく説明します。
GIMPの画面構成を理解しよう

シングルウィンドウモードの設定
GIMPを初めて起動したとき、複数のウィンドウが表示されて戸惑うかもしれません。
まず、使いやすいシングルウィンドウモードに設定しましょう。
設定方法:
- メニューバーの**「ウィンドウ」**をクリック
- **「シングルウィンドウモード」**をクリック
- すべてのパネルが1つのウィンドウにまとまります
シングルウィンドウモードのメリット:
- パネルが散らばらない
- 初心者にとって分かりやすい
- 他のソフトと操作感が似ている
メインウィンドウの構成
シングルウィンドウモードでのGIMPの画面は、大きく4つのエリアに分かれています。
左側:ツールボックス
- 選択、描画、編集などのツールが並んでいます
- よく使うツールが上の方に配置されています
- ツールをクリックするとキャンバス上での操作が変わります
中央:キャンバス(作業エリア)
- 実際に画像を編集する場所です
- ここで写真を見たり、絵を描いたりします
- 拡大・縮小して細かい作業もできます
右側:ダイアログエリア
- レイヤー:画像の重ね合わせを管理
- ブラシ:筆の種類や大きさを選択
- 色:使用する色を設定
上部:メニューバー
- ファイルの開く・保存
- 編集機能
- フィルターや効果
ダイアログの表示・非表示
必要なダイアログが表示されていない場合は、以下の方法で表示できます。
ダイアログの表示方法:
- メニューバーの**「ウィンドウ」**をクリック
- **「ドッキング可能なダイアログ」**を選択
- 表示したいダイアログ名をクリック
よく使うダイアログ:
- レイヤー:画像の重ね合わせ管理
- ツールオプション:選択したツールの詳細設定
- ブラシ:筆の種類選択
- 色:色の選択と調整
- 履歴:操作の取り消し・やり直し
画像を開く・新規作成する

既存の画像を開く
写真を編集したい場合は、まず画像をGIMPで開きます。
手順:
- メニューバーの**「ファイル」**をクリック
- **「開く」**を選択
- ファイル選択ダイアログが開きます
- 編集したい画像ファイルを選択
- **「開く」**ボタンをクリック
対応しているファイル形式:
- JPEG:デジタルカメラの写真など
- PNG:透明部分がある画像
- GIF:アニメーション画像
- TIFF:高品質な画像
- BMP:Windows標準の画像形式
- RAW:デジタルカメラの生データ(プラグイン必要)
画像が開かない場合:
- ファイル形式が対応していない可能性
- ファイルが破損している可能性
- プラグインが必要な場合があります
新しい画像を作成する
イラストを描いたり、デザインを作ったりする場合は、新しい画像を作成します。
手順:
- 「ファイル」→**「新規作成」**をクリック
- 「新しい画像を作成」ダイアログが表示されます
- 以下の設定を行います:
サイズの設定:
- 幅と高さ:ピクセル単位で指定
- よく使うサイズ:
- SNS投稿用:1080×1080ピクセル
- ブログ用:800×600ピクセル
- 印刷用:3000×2000ピクセル以上
解像度の設定:
- ウェブ用:72dpi
- 印刷用:300dpi
背景色の選択:
- 白:一般的な背景
- 透明:透明な背景(PNG保存時に有効)
- 黒:暗い背景
- 設定完了後、**「OK」**をクリック
画像のインポートとクリップボード
クリップボードから貼り付け:
- 他のアプリで画像をコピー
- GIMPで**「編集」→「貼り付け」**
- またはCtrl + V
複数画像の同時開戸:
- ファイル選択時にCtrlキーを押しながら複数選択
- すべて同時に開かれます
基本ツールの使い方をマスターしよう

選択ツールの使い方
選択ツールは、編集したい部分を指定するためのツールです。
矩形選択ツール:
- 用途:四角い範囲の選択
- 使い方:左上から右下にドラッグ
- 修正:角をドラッグしてサイズ調整
- 応用:正方形を作る場合はShiftキーを押しながら
楕円選択ツール:
- 用途:丸い範囲の選択
- 使い方:対角線上にドラッグ
- 応用:正円を作る場合はShiftキーを押しながら
自由選択ツール(なげなわ):
- 用途:不規則な形の選択
- 使い方:マウスで輪郭をなぞる
- 完了:スタート地点に戻ってクリック
ファジー選択ツール(魔法の杖):
- 用途:似た色の領域を自動選択
- 使い方:選択したい色の部分をクリック
- 調整:ツールオプションの「閾値」で選択範囲を調整
描画ツールの活用
ペイントブラシツール:
- 基本操作:マウスをドラッグして線を描く
- ブラシサイズ:ツールオプションで調整
- 不透明度:薄い線を描きたい場合に調整
- 色の選択:左側の色パレットで前景色を選択
鉛筆ツール:
- 特徴:くっきりした線が描ける
- 用途:ピクセルアートや明確な線画
- ブラシとの違い:境界がぼけない
消しゴムツール:
- 基本操作:消したい部分をドラッグ
- サイズ調整:ツールオプションで消しゴムのサイズを変更
- 硬さ調整:境界をぼかすかくっきりさせるかを設定
塗りつぶしツール(バケツツール):
- 使い方:塗りつぶしたい領域をクリック
- 前景色で塗りつぶし:選択中の色で塗りつぶし
- グラデーション塗りつぶし:ツールオプションで設定
変形・調整ツール
拡大・縮小ツール:
- 基本操作:オブジェクトをクリックして変形ハンドルを表示
- 等比変形:Shiftキーを押しながら操作
- 中心固定:Ctrlキーを押しながら操作
回転ツール:
- 使い方:回転させたいオブジェクトをクリック
- 角度入力:ツールオプションで数値を直接入力
- プレビュー:変更前の状態も確認可能
移動ツール:
- レイヤー移動:レイヤーを別の位置に移動
- 選択範囲移動:選択した部分を移動
- 切り替え:ツールオプションで移動対象を選択
レイヤーの概念と基本操作

レイヤーとは何か?
レイヤーは、透明なフィルムのようなものです。複数のレイヤーを重ねることで、複雑な画像を作ることができます。
レイヤーのメリット:
- 非破壊編集:元の画像を壊さずに編集
- 部分的な修正:特定の部分だけを変更
- 効果の重ね合わせ:複数の効果を組み合わせ
- 管理のしやすさ:要素ごとに分けて管理
レイヤーの例:
- 背景レイヤー:元の写真
- 調整レイヤー:明るさやコントラストの調整
- テキストレイヤー:文字の追加
- 図形レイヤー:図形やイラストの追加
レイヤーパネルの使い方
レイヤーパネルの表示: 右側のダイアログエリアにレイヤーパネルが表示されています。見当たらない場合は「ウィンドウ」→「ドッキング可能なダイアログ」→「レイヤー」で表示できます。
レイヤーパネルの要素:
- レイヤー一覧:現在の画像に含まれるレイヤー
- 表示/非表示アイコン:目のマークでレイヤーの表示を切り替え
- 不透明度スライダー:レイヤーの透明度を調整
- 描画モード:レイヤーの合成方法を選択
レイヤーの基本操作
新しいレイヤーの作成:
- レイヤーパネルの下部にある**「新しいレイヤーを作成」**ボタンをクリック
- または右クリックして**「新しいレイヤー」**を選択
- レイヤー名と設定を入力
- **「OK」**をクリック
レイヤーの複製:
- 複製したいレイヤーを右クリック
- **「レイヤーの複製」**を選択
- 同じ内容のレイヤーが作成される
レイヤーの削除:
- 削除したいレイヤーを選択
- 右クリックして**「レイヤーの削除」**
- またはDeleteキーを押す
レイヤーの順序変更:
- レイヤーパネルでレイヤーをドラッグして順序を変更
- 上にあるレイヤーが前面に表示される
レイヤーの不透明度と描画モード
不透明度の調整:
- 100%:完全に不透明
- 50%:半透明
- 0%:完全に透明(非表示と同じ)
主な描画モード:
- 標準:通常の重ね合わせ
- 乗算:暗い色を強調
- スクリーン:明るい色を強調
- オーバーレイ:コントラストを強調
- ソフトライト:柔らかい光の効果
よく使う編集機能の詳細解説

画像の切り抜き(トリミング)
切り抜きツールの使用:
- ツールボックスから**「切り抜きツール」**を選択
- 残したい部分をドラッグして選択
- 選択範囲の角や辺をドラッグして調整
- 選択範囲内をダブルクリックまたはEnterキーで確定
比率の固定:
- ツールオプションで「固定」を「縦横比」に設定
- よく使う比率:1:1(正方形)、3:2、4:3、16:9
切り抜きのコツ:
- 重要な被写体が中央に来るように調整
- 三分割法を意識した構図
- 余分な背景を削除してシンプルに
色調補正の基本
明るさ・コントラストの調整:
- 「色」→**「明るさ・コントラスト」**を選択
- スライダーを動かして調整
- プレビューで結果を確認
- **「OK」**で適用
色合い・彩度の調整:
- 「色」→**「色相・彩度」**を選択
- 色相:色味を変更
- 彩度:色の鮮やかさを調整
- 明度:明るさを調整
レベル補正(上級者向け):
- 「色」→**「レベル」**を選択
- ヒストグラムを見ながら調整
- 黒点・中間点・白点を設定
- より精密な色調補正が可能
テキスト(文字)の追加
テキストツールの使用:
- ツールボックスから**「テキストツール」**(Aのアイコン)を選択
- 文字を配置したい場所をクリック
- テキストボックスが表示される
- 文字を入力
フォントの設定:
- フォント:ツールオプションでフォントファミリを選択
- サイズ:文字の大きさを調整
- 色:前景色が文字色になる
- 太字・斜体:スタイルの設定
テキストの位置調整:
- 移動ツールに切り替え
- テキストレイヤーを選択
- ドラッグして位置を移動
フィルターと効果の適用
ぼかし効果:
- 「フィルター」→「ぼかし」→「ガウシアンぼかし」
- ぼかしの強さを調整
- プレビューで確認
- **「OK」**で適用
シャープ効果:
- 「フィルター」→「シャープ」→「アンシャープマスク」
- 画像をくっきりさせる
- やりすぎると不自然になるので注意
ノイズ除去:
- 「フィルター」→「ノイズ」→「ノイズ除去」
- デジタルノイズを軽減
- 高感度撮影の写真に有効
芸術的効果:
- 油絵効果:「フィルター」→「芸術的効果」→「油絵」
- 水彩効果:「フィルター」→「芸術的効果」→「水彩」
- 鉛筆画効果:「フィルター」→「芸術的効果」→「鉛筆画」
選択範囲の活用テクニック

選択範囲の基本概念
選択範囲は、編集を適用する領域を指定する機能です。選択した部分だけに編集が適用され、他の部分は変更されません。
選択範囲の表示:
- 選択された部分は「行進するアリ」と呼ばれる点線で囲まれる
- 選択されていない部分は編集できない
- 選択範囲がない場合は全体が編集対象
選択範囲の操作
選択範囲の追加:
- Shiftキーを押しながら選択ツールを使用
- 既存の選択範囲に新しい選択を追加
選択範囲の除外:
- Altキーを押しながら選択ツールを使用
- 選択範囲から指定した部分を除外
選択範囲の反転:
- 「選択」→「選択範囲を反転」
- 選択されていない部分が選択される
- 背景を変更したい場合などに便利
選択範囲の解除:
- 「選択」→「選択を解除」
- またはショートカットShift + Ctrl + A
選択範囲の境界調整
境界をぼかす:
- 選択範囲を作成後、「選択」→「境界をぼかす」
- ぼかし半径を設定(通常1-3ピクセル)
- 選択境界が滑らかになる
選択範囲の拡張・縮小:
- 「選択」→「拡張」または「縮小」
- ピクセル数を指定
- 選択範囲のサイズを微調整
ショートカットキーで効率アップ

基本的なショートカット
ファイル操作:
- Ctrl + O:ファイルを開く
- Ctrl + S:上書き保存
- Ctrl + Shift + E:エクスポート
- Ctrl + N:新規作成
編集操作:
- Ctrl + Z:元に戻す
- Ctrl + Y:やり直し
- Ctrl + C:コピー
- Ctrl + V:貼り付け
- Ctrl + X:切り取り
選択操作:
- Ctrl + A:すべて選択
- Shift + Ctrl + A:選択を解除
- Ctrl + I:選択範囲を反転
ツール選択のショートカット
よく使うツール:
- R:矩形選択ツール
- E:楕円選択ツール
- F:自由選択ツール
- U:ファジー選択ツール
- P:ペイントブラシツール
- Shift + E:消しゴムツール
- T:テキストツール
- M:移動ツール
表示操作:
- +(プラス):拡大
- -(マイナス):縮小
- 1:実際のサイズ(100%)
- Ctrl + E:画像をウィンドウに合わせる
作品の保存と書き出し

GIMPネイティブ形式での保存
.xcfファイルとは:
- GIMPの専用ファイル形式
- レイヤー情報をすべて保持
- 後からの編集が可能
- 他のソフトでは開けない
保存方法:
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイル名を入力(拡張子は自動で.xcf)
- **「保存」**をクリック
上書き保存:
- Ctrl + Sで既存ファイルに上書き保存
- 編集中は定期的に保存する習慣を
一般的な画像形式でのエクスポート
エクスポートとは:
- 他のソフトやウェブで使用できる形式で出力
- レイヤー情報は失われる
- 用途に応じて形式を選択
JPEG形式でのエクスポート:
- 「ファイル」→「エクスポート」
- ファイル名を入力(拡張子.jpg)
- **「エクスポート」**をクリック
- 品質設定ダイアログで圧縮率を調整
- **「エクスポート」**で完了
用途別のおすすめ設定:
- ウェブ用:品質70-80%
- 印刷用:品質90-95%
- メール添付用:品質60-70%
PNG形式でのエクスポート:
- エクスポート時にファイル名を「.png」にする
- 透明部分を保持できる
- 圧縮による品質劣化がない
- ファイルサイズがJPEGより大きい
ファイル形式の使い分け
JPEG(.jpg):
- 適用場面:写真、ウェブ画像
- メリット:ファイルサイズが小さい
- デメリット:透明度なし、圧縮による劣化
PNG(.png):
- 適用場面:ロゴ、透明背景が必要な画像
- メリット:透明度対応、劣化なし
- デメリット:ファイルサイズが大きい
GIF(.gif):
- 適用場面:アニメーション、256色以下の画像
- メリット:アニメーション対応
- デメリット:色数制限
TIFF(.tif):
- 適用場面:高品質印刷、プロフェッショナル用途
- メリット:最高品質、レイヤー対応
- デメリット:ファイルサイズが非常に大きい
よくある初心者の疑問と解決法

操作に関する疑問
Q: 画像がキャンバスからはみ出してしまいました
A: 以下の方法で解決できます:
- 表示の調整:「表示」→「画像をウィンドウに合わせる」
- キャンバスサイズの拡大:「画像」→「キャンバスのサイズ」
- 画像のリサイズ:「画像」→「画像の拡大・縮小」
Q: レイヤーが選択できません
A: 以下を確認してください:
- レイヤーパネルで目的のレイヤーをクリック
- レイヤーがロックされていないか確認
- 移動ツールで「アクティブなレイヤー」が選択されているか
Q: 色が思った通りに塗れません
A: 以下をチェック:
- 前景色が正しく設定されているか
- ブラシの不透明度が100%になっているか
- 描画モードが「標準」になっているか
- 選択範囲が設定されていないか
パフォーマンスに関する疑問
Q: GIMPの動作が重いです
A: 以下の方法で改善できます:
- メモリ使用量の確認:「編集」→「設定」→「システムリソース」
- 履歴数の削減:履歴レベルを下げる
- 不要なレイヤーの削除:使わないレイヤーを整理
- 画像サイズの縮小:必要以上に大きな画像で作業しない
Q: エクスポートに時間がかかります
A: 以下を試してください:
- 解像度の調整:必要最小限の解像度に設定
- レイヤーの統合:「画像」→「画像の統合」
- ファイル形式の変更:PNGよりJPEGの方が高速
機能に関する疑問
Q: Photoshopのような機能はありますか?
A: GIMPには以下の類似機能があります:
- レイヤーマスク:Photoshopと同様の機能
- パス:ベジェ曲線による選択
- フィルター:豊富なエフェクト
- スクリプト:自動化機能
Q: RAW画像は編集できますか?
A: プラグインを使用すれば可能です:
- darktable:RAW現像ソフトとの連携
- UFRaw:GIMPプラグイン
- RawTherapee:外部RAW現像ソフト
まとめ
GIMPの基本的な使い方について、重要なポイントをまとめます:
画面構成の理解
- シングルウィンドウモード:初心者におすすめの設定
- ツールボックス:左側の編集ツール一覧
- キャンバス:中央の作業エリア
- ダイアログエリア:右側のレイヤーや設定パネル
基本操作の流れ
- 画像を開く/新規作成:ファイル → 開く/新規作成
- ツール選択:目的に応じたツールを選択
- 編集作業:選択、描画、調整などの実作業
- 保存:.xcf(編集用)とエクスポート(共有用)
重要な概念
- レイヤー:画像を重ね合わせて管理
- 選択範囲:編集する部分を指定
- 非破壊編集:元画像を保護しながら編集
- ファイル形式:用途に応じた適切な形式選択
効率化のコツ
- ショートカットキー:よく使う操作は覚える
- 定期保存:編集中はこまめに保存
- 段階的学習:基本から応用へ順序立てて習得
- 実践練習:具体的な目標を持って練習
トラブル対処の基本
- 操作の取り消し:Ctrl + Z で元に戻す
- 選択解除:Shift + Ctrl + A で選択範囲をクリア
- レイヤー確認:編集対象のレイヤーが選択されているか
- ツール設定:ツールオプションで詳細設定を確認
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