「Genie」という名前は、IT業界やビジネスツールの世界で複数の製品・サービスに使われています。
この記事では、主要な「Genie」について、その機能や特徴を詳しく解説します。
Genieの語源
「Genie」(ジーニー)は、アラビア伝説の「ランプの魔人」に由来する言葉です。
ディズニー映画「アラジン」に登場する魔人のように、「願いを叶えてくれる存在」というイメージから、多くの製品やサービスの名前に採用されています。
Salesforce Genie(現在はData Cloud)
基本情報
Salesforce Genieは、セールスフォース・ドットコムが2022年9月に発表した、リアルタイムデータプラットフォームです。
現在は「Salesforce Data Cloud」という名称に変更されています。
発表の背景
セールスフォースは、Dreamforce 2022で「世界初のリアルタイムCRM」としてGenieを発表しました。
共同CEOのブレット・テイラー氏は、「データをリアルタイムで処理し、ミリ秒単位で顧客体験をパーソナライズできる」と説明しています。
主な機能
リアルタイムデータ統合
Salesforce Genieは、数十億のデータポイントをリアルタイムで取得・統合します。
従来は、企業が平均976個もの異なるアプリケーションを使用しており、顧客データが分断されていました。
Genieは、以下のデータソースを統合します:
- Salesforce CRMの取引データ
- モバイルアプリやWebサイトからのデータ
- APIを通じた外部データ
- MuleSoftを介したレガシーシステムのデータ
- データレイクの履歴データ
顧客グラフの作成
収集したデータを変換・調和させ、リアルタイムで更新される統一された顧客プロフィール(顧客グラフ)を作成します。
顧客の行動が変化すると、その情報が即座に反映されます。
Customer 360プラットフォーム全体との連携
Genieは、Salesforceのすべての製品と連携します:
- Sales Cloud:営業担当者が顧客の完全なコンテキストを1画面で確認
- Service Cloud:カスタマーサポートがリアルタイムの顧客情報にアクセス
- Marketing Cloud:パーソナライズされたマーケティングキャンペーンを展開
- Commerce Cloud:ショッピング行動に応じてリアルタイムで体験を調整
- Tableau:リアルタイムデータの可視化と分析
- Einstein AI:リアルタイムデータに基づく予測とパーソナライゼーション
- Salesforce Flow:リアルタイムデータに基づくワークフローの自動化
技術的特徴
ハイパースケールアーキテクチャ
従来のリレーショナルデータベースではなく、ハイパースケール分散システム上に構築されています。
「レイクハウス」という新しいソフトウェア技術を採用し、大規模なデータ処理を実現しています。
Hyperforce上で動作
SalesforceのクラウドインフラストラクチャであるHyperforce上で動作します。
これにより、データの所在地管理、セキュリティ、プライバシー、規制コンプライアンスを確保しています。
外部システムとの統合
- Snowflakeとのゼロコピー統合:データを移動・複製せずに直接アクセス
- Amazon SageMaker連携:独自のAIモデルを構築してEinstein AIと統合
- Amazon AdsやMetaとの連携:プライバシーに配慮した広告配信
活用事例
小売業
放棄されたショッピングカートやWebサイトでの行動に基づいて、リアルタイムでパーソナライズされた買い物体験を提供します。
医療
ミリ秒単位の対応が重要な医療現場で、リアルタイムデータから統合された患者健康スコアを作成し、患者ケアをカスタマイズします。
スポーツ・エンターテインメント
PGA TOURやF1などの組織が、ファンデータを統合管理し、パーソナライズされた体験を提供しています。
料金
Salesforce Data Cloudの料金は、データ量や機能によって異なります。
詳細はSalesforce公式サイトで確認できます。
株式会社ジーニー(Geniee, Inc.)
企業概要
株式会社ジーニーは、2010年に創業した日本のマーケティングテクノロジー企業です。
企業理念:
- 誰もがマーケティングで成功できる世界を創る
- 日本発の世界的なテクノロジー企業となり、日本とアジアに貢献する
事業内容
ジーニーは、マーケティングと営業に関する幅広いツールを自社開発・提供しています。
広告プラットフォーム事業
GENIEE SSP(Supply Side Platform)
Webサイトやスマートフォンアプリの広告収益を最大化するプラットフォームです。
各ユーザーに最適な広告を瞬時に選択・表示するアドテクノロジーを使用しています。
日本国内でトップクラスのシェアを獲得しています。
GENIEE DSP(Demand Side Platform)
広告主向けのプラットフォームで、費用対効果を最大化する広告配信を実現します。
GENIEE DOOH(Digital Out Of Home)
交通広告、屋外広告、デジタルサイネージへの広告配信プラットフォームです。
マーケティングSaaS事業
GENIEE SFA/CRM
営業支援(SFA)と顧客管理(CRM)を統合したツールです。
主な特徴:
- 1ユーザー月額3,480円からの低価格
- 直感的なUI(ユーザーインターフェース)
- 累計6,300社以上が導入
- 導入期間は最短2ヶ月
- スマートフォンアプリ対応
- ChatGPT-4オプション搭載
主な機能:
- 商談管理
- 顧客管理
- 活動履歴管理
- 案件管理
- レポート・ダッシュボード
- GoogleカレンダーやSlackなど外部ツールとの連携
GENIEE MA(Marketing Automation)
マーケティング活動を自動化し、潜在顧客の集客や購買意欲の向上を実現するツールです。
主な機能:
- メール配信
- LINE配信
- SMS配信
- ポップアップ表示
- プッシュ通知
- リードスコアリング
- セグメント管理
GENIEE CHAT
チャット型Web接客プラットフォームです。
国内有数の導入企業数を誇ります。
GENIEE SEARCH
Webサイト内検索・ECサイト向け商品検索サービスです。
海外事業
2012年にシンガポールに連結子会社を設立し、東南アジア、北米、インドなどで広告プラットフォームを展開しています。
デジタルPR事業
- アットプレス:企業や官公庁のプレスリリース配信支援
- FindModel:インフルエンサーPRサービス
特徴
ワンプラットフォーム
集客から販売までのプロセスを1つのプラットフォームで管理できます。
複数のツールを個別に導入する必要がなく、データ連携や開発コストを削減できます。
自社開発
SSP、DMP、DSP、MA、SFA、CRM、Chatbotなど、重要なシステムをすべて自社開発しています。
成長実績
監査法人トーマツの「日本テクノロジーFast50」で2016年に4位を受賞しました。
過去3決算期の売上高成長率は459.2%でした。
Cosine Genie
概要
Cosine Genieは、英国のスタートアップCosineが開発したAIソフトウェアエンジニアです。
2024年8月に「世界最高のAIソフトウェアエンジニア」として発表されました。
性能
Cosine Genieは、SWE-Bench(AIモデルのソフトウェアエンジニアリングスキルを評価する業界標準ベンチマーク)で30.08%のスコアを達成しました。
これは、以下を大幅に上回る結果です:
- Factory Code Droid:19.27%
- OpenAI GPT-4:1.31%
技術的特徴
人間の推論をエミュレート
Genieは、ベースモデルにプロンプトを与えるだけでなく、人間のソフトウェアエンジニアの問題解決プロセスを体系化した独自データセットで訓練されています。
ランダムなコードを生成するのではなく、人間のエンジニアのように問題に取り組みます。
トレーニング方法
- アーティファクト(成果物)の分析
- 静的解析
- セルフプレイ
- ステップバイステップの検証
- 大量のラベル付きデータによる微調整
機能
Genieは以下のタスクを自律的または人間の開発者と協力して実行できます:
- バグの解決
- 機能の構築
- コードのリファクタリング
- 幅広いコーディングタスク
資金調達
Cosineは2.5万ドルのシードラウンドを成功させました。
SOMA、Uphonest Capital、Lakestar、Focalなどのベンチャーキャピタルから支援を受けています。
Genie Industries(ジーニー・インダストリーズ)
企業概要
Genie Industriesは、高所作業車(MEWP:Mobile Elevating Work Platform)を製造するアメリカの企業です。
1966年にバド・ブッシュネルによって設立されました。
名前の由来
圧縮空気で作動するマテリアルリフトのホイストを昇降させる技術を、顧客が「瓶の中の魔法」と表現したことから、「Genie」(魔人)という名前が生まれました。
製品
- マテリアルリフト
- マンリフト
- スティックブーム
- 屈折式ブーム
- テレハンドラー
活用分野
- レンタル業
- 航空業
- 建設業
- エンターテインメント
- 官公庁
- 軍事
- 産業
- 倉庫業
- 小売業
その他のGenie
GEnie(General Electric Network for Information Exchange)
General Electric社が開発したネットワークサービスで、1985年から1999年まで運営されていました。
BBSや電子メールなどのサービスを提供していました。
最盛期には約35万ユーザーを抱えていましたが、インターネットとAOLなどのグラフィックベースサービスに取って代わられました。
パーソルグループのGenie
パーソルグループが社内で活用している営業員専用のWebアプリです。
主な機能:
- 企業情報検索
- 名刺管理
- グループ商材検索
- DC(Diverse Connect)制度の支援
パーソルグループ内の営業活動を効率化し、グループ横断でのクロスセルを促進しています。
まとめ
「Genie」という名前は、IT・ビジネス分野で複数の製品やサービスに使われています。
主要なGenie:
- Salesforce Genie(Data Cloud):リアルタイムCRMデータプラットフォーム
- 株式会社ジーニー:日本のマーケティングテクノロジー企業
- Cosine Genie:AIソフトウェアエンジニア
- Genie Industries:高所作業車メーカー
これらはすべて、「願いを叶える」「問題を解決する」という「魔人」のイメージを名前に込めており、それぞれの分野で顧客の課題解決を目指しています。
IT・マーケティング分野での重要性:
- Salesforce Genieは、CRM業界のリアルタイムデータ処理を革新
- 株式会社ジーニーは、日本企業向けにマーケティング・営業ツールを提供
- Cosine Genieは、AIによるソフトウェア開発の自動化を推進
これらの技術は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援し、顧客体験の向上や業務効率化に貢献しています。

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