GeForceグラフィックカードを使っているのに、「思ったほどfpsが出ない」「ベンチマークのスコアが低い」「突然カクつく」といった症状はありませんか?
それは、グラフィックカードに何らかの「パフォーマンス制限」がかかっている可能性があります。
この記事では、GeForceのパフォーマンス制限について、原因の特定方法から具体的な解決策、さらには意図的に制限をかけて省電力化する方法まで、初心者の方でも分かるように詳しく解説していきます。
パフォーマンス制限とは?

パフォーマンス制限とは、グラフィックカードが本来の性能を発揮できず、処理能力が制限されている状態のことです。
パフォーマンス制限の種類
GeForceには主に以下の制限があります。
1. 電力制限(Power Limit)
- GPUへの供給電力が上限に達している状態
- 最も一般的なパフォーマンス制限
- 略称:Pwr(Power)
2. 温度制限(Thermal Limit / Temp Limit)
- GPUの温度が上限に達し、保護のために性能を抑えている状態
- サーマルスロットリングとも呼ばれる
- 略称:Thrm(Thermal)
3. 電圧制限(Voltage Limit)
- GPUへの供給電圧が上限に達している状態
- 主にオーバークロック時に発生
- 略称:VOp(Voltage Operation Point)、VRel(Voltage Reliability)
4. 利用率制限(Utilization Limit)
- CPU性能が不足してGPUが待機している状態(CPUボトルネック)
- ゲーム側の負荷が低い状態
- 略称:Util(Utilization)
なぜ制限がかかるのか?
パフォーマンス制限は、グラフィックカードを保護するために設計されています。
保護の目的
- 過熱による故障防止
- 電源ユニットの過負荷防止
- 電力供給コネクタの過電流防止
- グラフィックカードの寿命延長
パフォーマンス制限の確認方法
GPU-Zで確認する
最も確実な方法は、「GPU-Z」というソフトを使うことです。
GPU-Zのダウンロード
- TechPowerUp公式サイト(https://www.techpowerup.com/gpuz/)にアクセス
- 「Download GPU-Z」をクリックしてダウンロード
- インストールして起動
確認手順
- GPU-Zを起動します
- 「Sensors」タブをクリックします
- ゲームやベンチマークを実行しながら、以下の項目を確認します:
PerfCap Reason(Performance Capture Reason:パフォーマンス制限の理由)
- Idle:アイドル状態(制限なし)
- Pwr:電力制限がかかっている
- Thrm:温度制限がかかっている
- VOp:電圧制限がかかっている
- VRel:信頼性のための電圧制限
- Util:GPU使用率が低い(CPUボトルネックなど)
MSI Afterburner / RivaTuner Statistics Serverで確認する
ゲーム画面上に情報を表示できます。
手順
- MSI Afterburnerをインストール(RivaTuner Statistics Serverも一緒にインストールされます)
- MSI Afterburnerの設定を開きます
- 「モニタリング」タブで表示したい項目にチェックを入れます:
- GPU温度
- GPU使用率
- GPU電力(Power)
- GPU クロック
- Power Limit
- 「オンスクリーンディスプレイに表示」にチェックを入れます
- ゲーム中に画面上に情報が表示されます
GeForce Experience / NVIDIA Appで確認する
簡易的な確認ができます。
手順
- Alt+Zキーでオーバーレイを表示
- 「パフォーマンス」をクリック
- 「パフォーマンスモニタリング」で各種情報を確認
意図しないパフォーマンス制限の原因と解決方法
原因1:温度制限(サーマルスロットリング)
GPU温度が高すぎると、保護のために自動的にクロック速度が下げられます。
症状
- ゲーム開始直後は快適だが、時間が経つとfpsが低下する
- GPU温度が80℃以上になっている
- PerfCap Reasonに「Thrm」と表示される
解決方法
方法1:PCケース内のエアフローを改善する
- PCケース内部を掃除する
- ホコリが溜まっていると冷却性能が低下します
- エアダスターでファンやヒートシンクを掃除します
- ケースファンを追加・交換する
- 吸気ファンと排気ファンのバランスを取ります
- 理想は「吸気 ≦ 排気」(少し負圧気味)
- グラフィックカード周辺のスペースを確保する
- ケーブルで塞がないようにします
- 隣のPCIeスロットに何も挿さないようにします
方法2:グラフィックカードのファン設定を調整する
MSI Afterburnerでファンカーブを設定します。
- MSI Afterburnerの設定を開きます
- 「Fan」タブを開きます
- 「Enable user defined software automatic fan control」にチェックを入れます
- ファンカーブを調整します:
- 60℃:60%
- 70℃:75%
- 80℃:90%
- 85℃:100%
- プロファイルを保存して適用します
方法3:グラフィックカードを清掃・再グリスする
使用期間が長い場合、グリスが劣化している可能性があります。
- サーマルグリスを塗り直す(上級者向け)
- 保証が切れていることを確認してから実施
- 自信がない場合は専門店に依頼
方法4:電力制限をかける
温度を下げるために、あえて電力を制限します(詳しくは後述)。
原因2:電力制限(Power Limit)
グラフィックカードが必要とする電力が、設定された上限に達している状態です。
症状
- 高負荷時にfpsが頭打ちになる
- GPU使用率が100%に達していない
- PerfCap Reasonに「Pwr」と表示される
- GPU-Zで「Power Consumption」が上限(例:100%)に張り付いている
原因
- デフォルトの電力制限設定が低い
- 電源ユニットの容量不足
- 補助電源ケーブルの接続不良
解決方法
方法1:Power Limitを引き上げる
MSI Afterburnerで電力制限を上げます。
- MSI Afterburnerを起動します
- 「Power Limit」のスライダーを右に動かします
- 通常、100%〜110%程度まで上げられます
- 一部のモデルでは120%まで対応
- チェックマークをクリックして適用します
- ゲームやベンチマークでテストします
方法2:電源ユニットを確認する
電源容量が不足していないか確認します。
推奨電源容量
- RTX 4090:850W以上
- RTX 4080:750W以上
- RTX 4070 Ti:700W以上
- RTX 4070:650W以上
- RTX 4060 Ti:550W以上
- RTX 4060:500W以上
システム全体の消費電力を計算し、電源ユニットに余裕があるか確認してください。
方法3:補助電源ケーブルを確認する
グラフィックカードの補助電源コネクタが正しく接続されているか確認します。
- 6ピン、8ピン、12VHPWRコネクタがしっかり挿さっているか
- ケーブルの本数が足りているか
- 変換ケーブルを使っている場合は、直接接続に変更
原因3:CPUボトルネック
CPU性能が不足してGPUが待機している状態です。
症状
- GPU使用率が70〜90%程度で頭打ちになる
- CPU使用率が100%近くに達している
- 解像度を上げてもfpsがほとんど変わらない
- PerfCap Reasonに「Util」と表示される
解決方法
方法1:グラフィック設定を調整する
CPU負荷が高い設定を下げます:
- 描画距離:短くする
- 影の品質:下げる
- NPCの数:減らす
- 物理演算:簡易化する
方法2:バックグラウンドアプリを終了する
不要なアプリケーションを終了してCPUリソースを確保します。
方法3:CPUを換装する
根本的な解決にはCPUのアップグレードが必要です。
原因4:電源管理設定
Windowsの電源プランやNVIDIAの電源管理モードが適切でない場合があります。
解決方法
方法1:Windows電源プランを変更する
- Windowsの「設定」→「システム」→「電源」を開きます
- 電源モードを「最適なパフォーマンス」または「高パフォーマンス」に設定します
方法2:NVIDIAコントロールパネルで設定する
- デスクトップ上で右クリック→「NVIDIA コントロール パネル」を開きます
- 「3D設定の管理」を選択します
- 「グローバル設定」タブを開きます
- 「電源管理モード」を「パフォーマンス最大化を優先」に設定します
- 「適用」をクリックします
原因5:古いドライバー
古いドライバーではパフォーマンスが出ないことがあります。
解決方法
最新のGeForceドライバーをインストールします。
- GeForce Experienceまたは NVIDIA Appを起動します
- 「ドライバー」タブを開きます
- 最新ドライバーをダウンロード・インストールします
意図的にパフォーマンス制限をかける方法(省電力化・静音化)

逆に、発熱や電気代を抑えるために、意図的に電力制限をかける方法もあります。
電力制限のメリット
メリット
- 消費電力の削減(電気代の節約)
- GPU温度の低下
- ファンノイズの低減(静音化)
- グラフィックカードの寿命延長
- 電源ユニットへの負荷軽減
驚くべき事実
電力を70〜80%に制限しても、パフォーマンスの低下はわずか10〜15%程度です!
例:
- 電力100%:平均150fps、消費電力300W
- 電力80%:平均140fps、消費電力240W(-60W)
- 電力70%:平均135fps、消費電力210W(-90W)
GeForce Experience / NVIDIA Appでの設定方法
最も簡単な方法です。
手順
- Alt+Zキーでオーバーレイを表示します
- 「パフォーマンス」をクリックします
- 「パフォーマンスチューニング」セクションを開きます
- 「電力最大」のスライダーを調整します:
- 90%:ほぼ体感差なし
- 80%:推奨設定(性能低下を感じにくく、省電力効果が高い)
- 70%:最も電力効率が良い(ワットパフォーマンス最高)
- 60%以下:明確な性能低下
- 適用してゲームでテストします
MSI Afterburnerでの詳細設定
より細かく設定したい場合はMSI Afterburnerを使います。
手順
- MSI Afterburnerをダウンロード・インストールします
- MSI Afterburnerを起動します
- 「Power Limit」のスライダーを左に動かします
- おすすめの初期値:
- まずは90%から試す
- 性能低下を感じなければ85%→80%と下げていく
- 自分の許容範囲を見つける
- チェックマークをクリックして適用します
- プロファイルに保存します:
- プロファイル番号を選択
- 保存ボタンをクリック
- Windows起動時に自動適用する設定も可能
プロファイルの自動適用
- MSI Afterburnerの設定(歯車アイコン)を開きます
- 「全般」タブで「Windows起動時に起動する」にチェック
- 「プロファイルをWindows起動時に適用する」にチェック
- 適用するプロファイル番号を選択
- 「OK」をクリック
最適な電力制限値の見つけ方
個々の環境によって最適値は異なります。以下の手順で自分に合った設定を見つけましょう。
ステップ1:ベースラインを測定する
電力制限100%の状態で、普段プレイするゲームやベンチマークを実行します。
記録する項目:
- 平均fps
- GPU温度
- GPU消費電力
- ファン回転数(rpm)
ステップ2:段階的に制限をかける
90% → 85% → 80% → 75% → 70%と、5%刻みで下げていきます。
各設定で同じゲーム/ベンチマークを実行し、データを記録します。
ステップ3:許容範囲を決める
以下の基準で判断します:
- fpsの低下が10%以内:許容範囲内
- fpsの低下が15%以上:制限が強すぎる
- GPU温度が10℃以上下がる:効果的
- ファンノイズが気にならないレベル:目標達成
一般的な推奨値
- バランス重視:80〜85%
- 省電力重視:70〜75%
- 性能重視:90〜95%
電力制限設定の実例
RTX 4070の場合
デフォルト仕様
- TDP:200W
- 温度:最大76℃
- ファン回転数:最大2500rpm
80%制限時(160W)
- 性能低下:約5%
- 温度:最大68℃(-8℃)
- ファン回転数:最大2000rpm
- 評価:ほぼ体感差なし、発熱と騒音が改善
70%制限時(140W)
- 性能低下:約10%
- 温度:最大63℃(-13℃)
- ファン回転数:最大1800rpm
- 評価:性能低下を感じるが、大幅な省電力化・静音化
RTX 4090の場合
デフォルト仕様
- TDP:450W
- 非常に高い発熱
- 高い電気代
80%制限時(360W)
- 性能低下:約8%
- 消費電力削減:90W
- 評価:電気代と発熱の大幅削減、性能は十分
70%制限時(315W)
- 性能低下:約12〜15%
- 消費電力削減:135W
- 評価:最も電力効率が良い、RTX 4080を上回る性能を維持
低電圧化(Undervolting)について
電力制限よりも高度な省電力化手法として「低電圧化」があります。
低電圧化とは?
同じクロック速度をより低い電圧で動作させる設定です。
メリット
- 電力制限と同等以上の省電力効果
- 性能低下がほとんどない(適切に設定した場合)
- 温度低下が大きい
デメリット
- 設定が複雑で時間がかかる
- 設定を誤ると不安定になる
- 個体差があり、他人の設定をそのまま使えない
- メーカー保証外になる場合がある
低電圧化の基本手順
- MSI Afterburnerの「Ctrl+F」でCurve Editorを開きます
- 現在の最大クロックと電圧を確認します
- 目標クロックを決めます(最大の95%程度)
- その目標クロックを低電圧で出すように設定します
- ベンチマークで安定性を確認します
- 不安定なら電圧を少し上げて再テスト
注意
低電圧化は上級者向けです。初心者の方は、まず電力制限から始めることをおすすめします。
よくある質問
Q1:電力制限をかけるとグラフィックカードが壊れる?
いいえ、壊れません。
むしろ電力制限をかけることで、温度や負荷が下がり、寿命が延びる可能性があります。
電力制限は、NVIDIAが設定した安全範囲内での調整なので、安心して使えます。
Q2:電力制限とクロックダウンの違いは?
電力制限
- 最大消費電力の上限を設定
- GPUが自動的にクロック速度を調整
- 設定が簡単
クロックダウン(手動アンダークロック)
- クロック速度を直接指定
- より細かい制御が可能
- 設定が複雑
Q3:ゲームごとに電力制限を変えられる?
MSI Afterburnerのプロファイル機能を使えば、複数の設定を保存できます。
ただし、ゲームごとの自動切り替えはできないので、手動で切り替える必要があります。
Q4:電力制限80%と電圧制限80%は違う?
はい、全く違います。
- 電力制限80%:安全で推奨
- 電圧制限80%:不安定になる可能性が高く、非推奨
Q5:ノートPCでも電力制限は有効?
はい、有効です。
むしろノートPCの方が冷却能力が限られているため、電力制限の効果が大きいことが多いです。
ただし、一部のノートPCではMSI Afterburnerが正常に動作しない場合があります。
Q6:電力制限をかけるとfpsが安定する?
はい、安定する場合があります。
電力制限により、瞬間的な高負荷時のクロック変動が抑えられ、fpsが安定しやすくなることがあります。
Q7:電力制限を元に戻したい
MSI Afterburnerの場合:
- Power Limitスライダーを100%に戻す
- または設定画面で「Reset」をクリック
GeForce Experience / NVIDIA Appの場合:
- 電力最大を100%に戻す
まとめ
GeForceのパフォーマンス制限について、重要なポイントをまとめます。
意図しない制限への対処
温度制限(Thrm)が出る場合
- ケース内を掃除する
- ファンカーブを調整する
- エアフローを改善する
- 電力制限をかける(逆説的だが効果的)
電力制限(Pwr)が出る場合
- Power Limitを引き上げる(100%→110%)
- 電源ユニットの容量を確認する
- 補助電源ケーブルを確認する
CPUボトルネック(Util)が出る場合
- グラフィック設定を調整する
- バックグラウンドアプリを終了する
- CPU換装を検討する
意図的な制限(省電力化)
推奨設定
- バランス重視:80%(性能低下5〜10%、大きな省電力効果)
- 省電力重視:70%(性能低下10〜15%、最高の電力効率)
- 性能重視:90〜95%(性能低下ほぼなし、少しの省電力効果)
設定方法
- GeForce Experience / NVIDIA App:簡単、初心者向け
- MSI Afterburner:詳細設定可能、プロファイル保存可能
効果
- 消費電力:20〜30%削減可能
- GPU温度:5〜15℃低下
- ファンノイズ:大幅に静音化
- 性能低下:5〜15%程度(設定による)
確認ツール
- GPU-Z:最も詳細な情報、PerfCap Reason確認に必須
- MSI Afterburner:リアルタイムモニタリング、設定変更も可能
- GeForce Experience / NVIDIA App:簡易確認
GeForceのパフォーマンス制限は、正しく理解すれば、グラフィックカードをより長く、快適に使うための重要な機能です。
意図しない制限に悩まされている方は原因を特定して解決し、電気代や騒音に悩んでいる方は意図的に制限をかけて最適化することで、より快適なPCライフを送れるはずです。
まずは電力制限80%から試してみて、自分に最適な設定を見つけてみてください!


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