「フレームレートを倍にできる技術があるって本当?」「DLSS 3のフレーム補間って何?」と気になっていませんか。
NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ以降には、「フレーム補間(Frame Generation)」という革新的な技術が搭載されています。AIを使って新しいフレームを生成することで、実際のレンダリング負荷を増やさずにフレームレートを大幅に向上させることができるんです。
この記事では、GeForceのフレーム補間技術について、仕組みから使い方、メリット・デメリットまで、わかりやすく解説していきます。
フレーム補間(Frame Generation)とは

まず、フレーム補間の基本概念を理解しましょう。
フレーム補間の定義
フレーム補間(Frame Generation)とは、AIを使って既存のフレームとフレームの間に新しいフレームを生成する技術です。
通常のレンダリング:
- GPUが1枚目のフレームを描画
- GPUが2枚目のフレームを描画
- 画面に表示される
フレーム補間あり:
- GPUが1枚目のフレームを描画
- AIが1.5枚目のフレームを生成(補間)
- GPUが2枚目のフレームを描画
- AIが2.5枚目のフレームを生成(補間)
- 画面に表示される
このように、実際に描画したフレームは2枚なのに、表示されるフレームは4枚になります。結果として、フレームレートが約2倍になるんです。
DLSS 3とDLSS 4の違い
- DLSS 3(RTX 40シリーズ):1フレーム生成(最大2倍のFPS)
- DLSS 4(RTX 50シリーズ):最大3フレーム生成(最大4倍のFPS)
DLSS 4では、マルチフレーム生成により、さらに多くのフレームを補間できるようになりました。
フレーム補間の仕組み
AIはどうやって新しいフレームを作るのでしょうか。
技術的な処理の流れ
- モーションベクトルの取得
- ゲームエンジンから物体の動き情報を取得
- どのオブジェクトがどの方向に動いているか把握
- オプティカルフローの解析
- オプティカルフローアクセラレータ(OFA)がピクセルレベルの動きを検出
- 影、反射、パーティクルなど、ポリゴン以外の動きも捕捉
- AIモデルによるフレーム生成
- 第4世代Tensor コア(RTX 40)または第5世代(RTX 50)が処理
- 前後のフレームと動き情報から、中間フレームを予測・生成
- フレームの出力
- 実際のレンダリングフレームと生成フレームを交互に表示
- 滑らかな映像を実現
なぜGPU負荷が増えないのか
通常、フレームレートを2倍にするには、GPUが2倍の速度で描画する必要があります。しかし、フレーム補間では:
- 実際のレンダリングは従来通り
- フレーム生成はTensor コア(AI専用ハードウェア)が担当
- 描画パイプラインとは別の処理なので、描画負荷に影響しない
つまり、GPUの本来の描画性能はそのままに、AI処理でフレーム数を増やせるんです。
対応GPU:どのグラボで使える?
フレーム補間は、すべてのGeForceで使えるわけではありません。
DLSS 3 フレーム生成(1フレーム生成)
対応GPU:
- GeForce RTX 4090
- GeForce RTX 4080 / 4080 SUPER
- GeForce RTX 4070 Ti / 4070 Ti SUPER
- GeForce RTX 4070 / 4070 SUPER
- GeForce RTX 4060 Ti
- GeForce RTX 4060
- ノートPC用RTX 40シリーズ
DLSS 4 マルチフレーム生成(最大3フレーム生成)
対応GPU:
- GeForce RTX 5090
- GeForce RTX 5080
- GeForce RTX 5070 Ti
- GeForce RTX 5070
- ノートPC用RTX 50シリーズ
非対応GPU
以下のGPUでは、フレーム補間は使用できません:
- GeForce RTX 30シリーズ(RTX 3090、3080、3070など)
- GeForce RTX 20シリーズ
- GeForce GTX シリーズ
理由
フレーム補間には、以下の専用ハードウェアが必要です:
- 第4世代以降のTensor コア
- オプティカルフローアクセラレータ(OFA)
これらはRTX 40シリーズから搭載されたため、それ以前のGPUでは動作しないんです。
フレーム補間のメリット
フレーム補間には、大きな利点があります。
1. フレームレートが大幅に向上
最大の利点は、フレームレートが約2倍(DLSS 3)または最大4倍(DLSS 4)になることです。
例:Cyberpunk 2077(4K、レイトレーシング最高設定)
- フレーム補間なし:60 FPS
- フレーム補間あり:110 FPS以上
重いゲームでも、滑らかなプレイが可能になります。
2. CPU負荷が高い場面で特に効果的
フレーム補間はGPU上で処理されるため、CPUがボトルネックになっている状況でも効果を発揮します。
例:Microsoft Flight Simulator
- 広大な世界を再現するため、CPU負荷が非常に高い
- フレーム補間により、CPUの限界を超えてFPSが向上
3. GPU設定を下げずに高FPSを実現
グラフィック設定を妥協せずに、高いフレームレートを得られます。
通常の方法:
- 高FPSが欲しい→画質設定を下げる
フレーム補間:
- 最高画質のまま→フレーム補間でFPS向上
美しいグラフィックと滑らかな動きの両立が可能です。
4. 高解像度ゲーミングで有利
4Kや8Kといった高解像度では、描画負荷が非常に高くなります。フレーム補間を使えば、高解像度でも快適なフレームレートを維持できます。
5. NVIDIA Reflexとの統合
DLSS 3には、NVIDIA Reflexという低遅延技術が統合されています。
Reflexの役割:
- CPUとGPUの同期を最適化
- レンダリングキューを動的に制御
- システム遅延を削減
フレーム補間で増える遅延を、Reflexの最適化で相殺できるため、入力遅延が最小限に抑えられます。
フレーム補間のデメリット

便利な技術ですが、注意すべき点もあります。
1. 入力遅延(レイテンシ)の増加
最大のデメリットは、入力遅延が増えることです。
なぜ遅延が発生するのか
生成されたフレームには、プレイヤーの入力が反映されていません。
例:マウスを動かした場合
- 60 FPSで実際にレンダリング(入力反映)
- AIが補間フレームを生成(入力未反映)
- 次のレンダリングフレーム(入力反映)
補間フレームの間は、入力が画面に反映されないため、遅延を感じることがあります。
体感への影響
- ベースFPSが高いほど、遅延は気になりにくい
- ベースFPSが低いと、遅延が顕著になる
目安:
- 60 FPS以上→比較的快適
- 40-60 FPS→遅延を感じることがある
- 40 FPS未満→遅延が気になる
2. ゲームジャンルによる向き不向き
入力遅延の影響は、ゲームのタイプによって異なります。
向いているゲーム
- シングルプレイヤーRPG
- アドベンチャーゲーム
- レーシングゲーム(コントローラー使用時)
- フライトシミュレーター
- ストラテジーゲーム
向いていないゲーム
- 対戦型FPS(Valorant、CS:GOなど)
- 格闘ゲーム
- リズムゲーム
- eスポーツタイトル
競技性の高いゲームでは、わずかな遅延が勝敗を分けるため、フレーム補間はオフにすることが推奨されます。
3. 視覚的なアーティファクト
AIによる予測が完璧ではないため、以下のような現象が起こることがあります:
- ゴーストイメージ:動く物体の周りに残像が見える
- テキストのブレ:UI要素やテキストがぼやける
- クロスヘアの遅延:照準がぼやけて見える
- 光の不自然な動き:急激な光の変化で不自然さが出る
ゲームや場面によって、これらのアーティファクトの程度は異なります。
4. 入力デバイスによる違い
マウス&キーボード:
- 遅延を感じやすい
- 精密な操作では気になることが多い
コントローラー:
- 遅延を感じにくい
- アナログ入力のため、遅延の影響が小さい
特にマウスでの素早いエイム操作では、遅延が顕著になります。
5. NVIDIA Reflexの実装が必須
フレーム補間を快適に使うには、ゲーム側がNVIDIA Reflexに対応している必要があります。
Reflexなし:
- 入力遅延が大きくなる
- フレームペーシングが不安定
Reflexあり:
- 遅延が軽減される
- スムーズな体験
一部のゲーム(特にVulkan APIを使用するゲーム)では、Reflexの実装が不十分な場合があります。
フレーム補間の使い方
実際にフレーム補間を有効にする手順を見ていきましょう。
事前準備
- 対応GPUの確認
- RTX 40シリーズ以降であることを確認
- 最新ドライバーのインストール
- GeForce Experienceまたは公式サイトから最新ドライバーをダウンロード
- ハードウェアアクセラレータGPUスケジューリングの有効化
Windows 11の場合:
- 設定→システム→ディスプレイ
- 「グラフィックス」をクリック
- 「既定のグラフィックス設定を変更する」
- 「ハードウェアアクセラレータによるGPUスケジューリング」をオン
- PCを再起動
Windows 10の場合:
- 設定→システム→ディスプレイ
- 「グラフィックの設定」をクリック
- 「ハードウェアアクセラレータによるGPUスケジューリング」をオン
- PCを再起動
ゲーム内での設定
多くのゲームで、以下のような手順でフレーム補間を有効にできます:
- ゲームのグラフィック設定を開く
- 「NVIDIA DLSS」または「アップスケーリング」の項目を探す
- DLSSを有効にする(Quality、Balanced、Performanceなどから選択)
- 「DLSS Frame Generation」または「フレーム生成」をオンにする
ゲーム別の設定例
Cyberpunk 2077
- グラフィック設定を開く
- NVIDIA DLSS→有効(品質を選択)
- DLSS Frame Generation→オン
- NVIDIA Reflex Low Latency→オン(推奨)
Microsoft Flight Simulator
- グラフィック設定→一般
- レンダリングスケール→任意の値
- NVIDIA DLSS→オン
- DLSS Frame Generation→オン
Spider-Man Miles Morales
- グラフィック設定→品質
- NVIDIA DLSS→オン(品質を選択)
- NVIDIA DLSS Frame Generation→オン
対応ゲーム
2025年1月時点で、75本以上のゲームがDLSS 3/4のフレーム補間に対応しています。
主要な対応タイトル
- Cyberpunk 2077
- Microsoft Flight Simulator
- Portal with RTX
- Alan Wake 2
- Marvel’s Spider-Man: Miles Morales
- Marvel’s Spider-Man 2
- A Plague Tale: Requiem
- Warhammer 40,000: Darktide
- ホグワーツ・レガシー
- Forza Horizon 5
- The Witcher 3: Wild Hunt(次世代版)
- F1 23
- Ratchet & Clank: Rift Apart
- Indiana Jones and the Great Circle
- S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl
ゲームエンジンのサポート
主要なゲームエンジンもDLSS 3をサポートしています:
- Unreal Engine 5
- Unity
- REDengine
今後、さらに多くのタイトルが対応する予定です。
フレーム補間を快適に使うコツ
効果的にフレーム補間を活用するためのポイントです。
1. ベースFPSを確保する
フレーム補間の効果を最大化するには、ある程度のベースFPSが必要です。
推奨ベースFPS:
- 一人称視点・マウス操作:60 FPS以上
- 三人称視点・コントローラー:50 FPS以上
- シネマティックゲーム:40 FPS以上
ベースFPSが低すぎると、補間しても快適なプレイ体験は得られません。
2. DLSSアップスケーリングと併用する
フレーム補間単独ではなく、DLSSアップスケーリングと組み合わせると効果的です。
設定例(4K表示):
- DLSS Quality(内部解像度1440p)
- フレーム補間をオン
これにより、描画負荷を下げつつ、高いフレームレートを実現できます。
3. NVIDIA Reflexを必ず有効にする
ゲーム内でNVIDIA Reflexの設定があれば、必ずオンにしましょう。
Reflexの設定:
- On:基本的な遅延削減
- On + Boost:さらに積極的な遅延削減(GPU利用率を下げる)
4. ゲームジャンルで使い分ける
すべてのゲームでフレーム補間を使う必要はありません。
シングルプレイヤー:
- 基本的にオン推奨
- 美しい映像と滑らかさを両立
競技性の高いマルチプレイヤー:
- オフ推奨
- 低遅延を優先
5. モニターのリフレッシュレートを活用する
高リフレッシュレートモニター(120Hz以上)を使っている場合、フレーム補間の効果をより実感できます。
60Hzモニター:
- 60 FPS→補間で100 FPS以上
- ただし表示は60 Hzに制限される
144Hzモニター:
- 70 FPS→補間で140 FPS
- モニターの性能をフル活用できる
トラブルシューティング
フレーム補間で問題が起きた場合の対処法です。
フレーム補間が有効にならない
原因と対処:
- GPUが非対応
- RTX 40/50シリーズであることを確認
- ドライバーが古い
- 最新ドライバーに更新
- ハードウェアアクセラレータGPUスケジューリングがオフ
- Windows設定から有効化
- ゲームが対応していない
- 公式の対応ゲームリストを確認
入力遅延が大きすぎる
対処法:
- ベースFPSを上げる
- グラフィック設定を下げる
- DLSSをPerformanceモードにする
- NVIDIA Reflexを有効化
- ゲーム内設定で確認
- V-Syncを無効化
- V-Syncは遅延を増やすため、オフ推奨
- フルスクリーンモードにする
- ボーダレスウィンドウモードは遅延が大きい
画面がカクつく・スタッター
対処法:
- フレームペーシングの確認
- NVIDIA Reflexを有効にする
- バックグラウンドアプリを閉じる
- CPU負荷を減らす
- DLSSのバージョンを更新
- 最新のDLSS DLLファイルに置き換える
アーティファクトが目立つ
対処法:
- DLSS品質モードを変更
- Performance→Balanced→Qualityの順に試す
- ゲームのアップデートを確認
- DLSS実装が改善されている場合がある
- 特定の場面では無効にする
- UIが多い場面、カットシーンなどで一時的にオフ
DLSS 3 vs DLSS 4
最新のDLSS 4では、何が変わったのでしょうか。
DLSS 3(RTX 40シリーズ)
- 1フレーム生成(最大2倍のFPS)
- 既存のオプティカルフローアクセラレータを使用
- 対応ゲーム:75本以上
DLSS 4(RTX 50シリーズ)
- マルチフレーム生成(最大3フレーム生成、最大4倍のFPS)
- AI駆動のオプティカルフローモデル
- VRAMメモリ使用量30%削減
- フレーム生成速度40%向上
- Transformer AIモデルを採用(画質向上)
RTX 40シリーズでのDLSS 4の恩恵
RTX 40シリーズでも、DLSS 4の一部機能を利用できます:
利用可能:
- 新しいフレーム生成AIモデル(高速化、VRAM削減)
- Transformer超解像度モデル
- 改善されたレイ再構成
利用不可:
- マルチフレーム生成(2フレーム以上の同時生成)
AMDのFSR 3との違い

AMDも「FSR 3」というフレーム補間技術を提供しています。
DLSS 3 Frame Generation
- RTX 40シリーズ専用
- 専用ハードウェア(Tensor コア、OFA)を使用
- 一般的に画質が高い
- NVIDIA Reflex統合で低遅延
AMD FSR 3 Frame Generation
- GPUメーカー問わず動作(NVIDIA、AMD、Intel)
- 専用ハードウェア不要
- オープンソース
- 画質はDLSS 3より若干劣る場合が多い
どちらを使うべきか
- RTX 40/50シリーズを持っている→DLSS 3/4
- RTX 30シリーズ以前、またはAMD/Intel GPU→FSR 3
また、一部のMODを使えば、RTX 20/30シリーズでもFSR 3のフレーム補間を利用することができます。
まとめ:フレーム補間は適材適所で活用しよう
GeForceのフレーム補間は、フレームレートを大幅に向上させる革新的な技術です。
フレーム補間のまとめ
できること:
- フレームレートを最大2倍(DLSS 3)または4倍(DLSS 4)に
- CPU負荷が高い状況でも効果的
- 重いレイトレーシングでも快適なFPS
- 高解像度ゲーミングを実現
注意点:
- 入力遅延が増加する
- ベースFPSが低いと効果が薄い
- 対戦ゲームには不向き
- RTX 40/50シリーズ専用
推奨される使い方
シングルプレイヤーゲーム:
- 積極的に使用
- 美しいグラフィックと滑らかさを両立
対戦型ゲーム:
- 基本的にオフ
- 低遅延を優先
RPG・アドベンチャー:
- コントローラー使用時は特に効果的
- 没入感が向上
将来の展望
DLSS技術は進化を続けています。今後、以下の改善が期待されます:
- さらなる遅延の削減
- アーティファクトの減少
- より多くのゲームでの対応
- 新しいAIモデルによる画質向上
GeForce RTX 40/50シリーズを持っているなら、フレーム補間は試す価値がある機能です。ゲームの種類や自分のプレイスタイルに合わせて、オン・オフを使い分けることで、最高のゲーム体験を得られるでしょう。
まずは対応ゲームで試してみて、自分に合った設定を見つけてみてください。快適なフレームレートで、ゲームをより楽しめるはずです。


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