Webサイトのリンクで、同僚から「\\server\folder\file.pdf を見てください」と言われたけど、そのままコピペしても開けない…
社内メールでフォルダのパスを共有したいけど、どうすればクリックで開けるようになるの?
HTMLファイルでローカル画像を表示したいけど、うまく表示されない…
これらの問題、すべて file:// プロトコル を正しく理解すれば解決できます!
この記事では、file:// プロトコルの基本から、実際の使い方、よくあるトラブルの対処法まで、初心者にも分かりやすく徹底解説します。
file:// プロトコルって何?

簡単に言うと
file:// プロトコルは、ブラウザでローカルファイル(自分のパソコンやネットワーク上のファイル)にアクセスするための「住所の書き方」です。
普段Webサイトを見る時は:
https://www.example.com/index.html
ローカルファイルにアクセスする時は:
file:///C:/Users/username/Documents/file.html
このような書き方をします。
もう少し詳しく
URLには「プロトコル」という概念があります。
プロトコルとは?
コンピューター同士が通信する時の「お約束事」です。
| プロトコル | 用途 | 例 |
|---|---|---|
| http:// / https:// | Webサイトを見る | https://www.google.com |
| ftp:// | ファイル転送 | ftp://ftp.example.com |
| mailto: | メール送信 | mailto:info@example.com |
| file:// | ローカルファイルにアクセス | file:///C:/document.pdf |
つまり、file:// は「このパソコン(またはネットワーク上)のファイルを開いてね」という意味なのです。
file:// の基本的な書き方
なぜスラッシュが3つ?(file:///)
初めて見ると「なんでスラッシュが3つもあるの?」と思いますよね。
実はこれには理由があります。
URLの基本構造:
プロトコル://ホスト名/パス
例えば、Webサイトなら:
https://www.example.com/page.html
↑ ↑ ↑
プロトコル ホスト名 パス
ローカルファイルの場合:
file:///C:/folder/file.html
↑↑ ↑
||└── パス
|└─── ホスト名(空=自分のパソコン)
└──── プロトコル
つまり:
file:→ プロトコル名//→ URLの区切り(お決まりの記号)- (空白) → ホスト名が省略されている(=localhostの意味)
/C:/...→ ファイルのパス
だからスラッシュが3つ並ぶのです!
Windows でのファイルパス表記
ローカルドライブの場合
通常のWindowsパス:
C:\Users\username\Documents\file.pdf
file:// プロトコル形式:
file:///C:/Users/username/Documents/file.pdf
変換のポイント:
- 先頭に
file:///を付ける - バックスラッシュ
\をスラッシュ/に変える - ドライブ文字はそのまま(C:, D: など)
ネットワークドライブ(UNCパス)の場合
通常のUNCパス:
\\server\share\folder\file.pdf
file:// プロトコル形式(2パターンあります):
パターン1: 2スラッシュ形式
file://server/share/folder/file.pdf
パターン2: 4スラッシュ形式
file:////server/share/folder/file.pdf
どちらを使う?
- Microsoft .NET → 主に2スラッシュ形式
- Java → 主に4スラッシュ形式
- 一般的な使い分け: どちらも動くので、好きな方を使ってOK
変換例:
通常のUNCパス:
\\192.168.1.100\shared\documents\report.xlsx
↓
file://形式:
file://192.168.1.100/shared/documents/report.xlsx
または
file:////192.168.1.100/shared/documents/report.xlsx
Mac / Linux でのファイルパス表記
通常のパス:
/Users/username/Documents/file.pdf
file:// プロトコル形式:
file:///Users/username/Documents/file.pdf
Mac/Linuxは元々スラッシュ / を使うので、変換が簡単です!
実際の使い方
ブラウザのアドレスバーで直接開く
方法:
- ブラウザを開く
- アドレスバーに
file:///と入力 - その後にファイルパスを入力
- Enter を押す
例(Windows):
file:///C:/Users/username/Desktop/test.html
file:///C:/Documents/report.pdf
file:///D:/Pictures/photo.jpg
例(Mac/Linux):
file:///Users/username/Documents/test.html
file:///home/username/report.pdf
HTMLファイルでローカルファイルをリンク
シナリオ: HTMLファイルから、同じパソコンの別のファイルにリンクしたい
HTMLコード例:
<!-- 相対パスの場合 -->
<a href="file:///C:/Users/username/Documents/report.pdf">レポートを開く</a>
<!-- 同じフォルダ内なら相対パスも使える -->
<a href="report.pdf">レポートを開く</a>
<!-- 画像を表示 -->
<img src="file:///C:/Users/username/Pictures/photo.jpg" alt="写真">
メールやチャットでフォルダを共有
社内メール例:
件名: Q1 決算資料の場所
本文:
以下のフォルダに資料を置きました:
file://server/shared/2024/Q1/
よろしくお願いします。
ただし! この方法は後述する「セキュリティ制限」の影響を受けます。
file:// プロトコルの便利な使い方

1. Webブラウザをファイルビューアーとして使う
ブラウザは画像やPDFの表示が得意です。
活用例:
# PDFを開く
file:///C:/Documents/manual.pdf
# 画像を開く
file:///C:/Pictures/vacation.jpg
# フォルダをブラウザで閲覧
file:///C:/Users/username/Downloads/
メリット:
- ズーム機能が便利
- PDFならページ送りもスムーズ
- 複数のファイルをタブで管理
2. ローカルWebサイト開発
Web開発中、まずローカルで動作確認したい時に便利。
使い方:
<!-- index.html -->
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>テストページ</title>
</head>
<body>
<h1>ローカルテスト</h1>
<img src="images/logo.png">
</body>
</html>
開き方:
- index.htmlを右クリック
- 「プログラムから開く」→ ブラウザを選択
または:
file:///C:/project/website/index.html
3. 社内イントラでのファイル共有
状況: 社内サーバーに資料を置いて、メンバーに共有したい
手順:
1. ファイルサーバーに資料を置く
→ \\server\shared\team\資料.pdf
2. file:// 形式に変換
→ file://server/shared/team/資料.pdf
3. メールやチャットで共有
注意: ブラウザのセキュリティ設定によっては開けない場合があります(後述)。
よくある問題とトラブルシューティング
問題1: リンクをクリックしても開けない
症状:
メールやWebページのfile:// リンクをクリックしても何も起こらない
原因:
ブラウザのセキュリティ制限
なぜ?
セキュリティ上の理由で、Webページ(http/https)からローカルファイル(file://)へのアクセスは、ほとんどのブラウザでブロックされます。
https://example.com のページ
↓
(クリック)
↓
file:///C:/file.pdf
↓
❌ ブロック!
理由:
悪意のあるWebサイトが、あなたのパソコンのファイルに勝手にアクセスするのを防ぐため
解決方法:
方法1: アドレスバーに直接コピペ
1. file:// のリンクをコピー
2. ブラウザのアドレスバーに貼り付け
3. Enter を押す
方法2: ブラウザ拡張機能を使う(Edgeの場合)
「ローカルファイルリンクの有効化」という拡張機能:
1. Edge拡張機能ストアを開く
2. 「Enable Local File Links」で検索
3. インストール
注意: この方法でもエクスプローラーは開かず、ブラウザ内で表示されます。
方法3: IEモードを使う(Edgeの場合)
古いInternet ExplorerのモードならFile:// が動作します。
設定 → IEモードページ → サイトを追加
ただし: IEモードはいずれ廃止されるので、長期的な解決策ではありません。
問題2: ファイルが見つかりません(404エラー)
症状:
file:// URLを入力してもエラーになる
原因と解決策:
原因1: パスが間違っている
❌ 間違い:
file://C:/Users/username/file.pdf
→ スラッシュが2つしかない
✓ 正しい:
file:///C:/Users/username/file.pdf
→ スラッシュは3つ
原因2: バックスラッシュを使っている
❌ 間違い:
file:///C:\Users\username\file.pdf
→ \ を使っている
✓ 正しい:
file:///C:/Users/username/file.pdf
→ / を使う
原因3: 日本語や特殊文字が含まれている
ファイル名: 資料 (1).pdf
❌ 間違い:
file:///C:/Documents/資料 (1).pdf
✓ 正しい(エンコード):
file:///C:/Documents/%E8%B3%87%E6%96%99%20(1).pdf
解決: スペースは %20、日本語はURLエンコードする
問題3: 画像やCSSが読み込まれない
症状:
HTMLファイルは開けるけど、画像やCSSが表示されない
原因:
相対パスが間違っている、またはCORS制限
解決方法:
解決策1: 絶対パスを使う
❌ 相対パスだと動かないことがある:
<img src="images/photo.jpg">
✓ 絶対パスなら確実:
<img src="file:///C:/project/images/photo.jpg">
解決策2: ローカルサーバーを立てる
file:// ではなく、ローカルサーバーを使う方が確実:
# Python 3を使う場合
python -m http.server 8000
# その後、ブラウザで
http://localhost:8000
セキュリティ上の注意点
file:// プロトコルは危険?
はい、使い方によっては危険です。
リスク1: パス情報の漏洩
file:///C:/Users/TaroYamada/Documents/secret.pdf
このURLを共有すると:
- ユーザー名(TaroYamada)がバレる
- フォルダ構造が分かる
- ファイル名も分かる
リスク2: 社外の人には開けない
file://company-server/shared/confidential.pdf
このリンクは:
- 社内ネットワークでしか開けない
- 外部に送っても意味がない
リスク3: 悪意のあるコードの実行
file:// で開いたHTMLファイルは、ローカルファイルシステムへのアクセス権限を持つ可能性があります。
安全に使うためのルール
【ルール1】信頼できるファイルだけを開く
→ 不明なfile:// リンクはクリックしない
【ルール2】機密情報の共有には使わない
→ 専用のファイル共有サービスを使う
【ルール3】パスにユーザー名を含めない
→ できるだけ共有フォルダを使う
【ルール4】社外の人には送らない
→ 開けないので意味がない
【ルール5】重要なシステムでは無効化を検討
→ セキュリティポリシーで制限
ブラウザ別の対応状況
Google Chrome
対応:
- ✓ アドレスバーからの直接アクセス: OK
- ❌ Webページからのfile:// リンク: NG
- ⚠ ローカルHTMLからの相対パス: 制限あり
設定:
拡張機能「Enable Local File Links」で一部対応可能
Microsoft Edge
対応:
- ✓ アドレスバーからの直接アクセス: OK
- ❌ Webページからのfile:// リンク: NG
- ⚠ IEモードで一部対応
推奨:
IEモードまたは拡張機能の利用
Firefox
対応:
- ✓ アドレスバーからの直接アクセス: OK
- ❌ Webページからのfile:// リンク: NG
- ✓ ローカルHTMLからの読み込み: 比較的緩い
設定:about:config で一部挙動を変更可能
Safari(Mac)
対応:
- ✓ アドレスバーからの直接アクセス: OK
- ❌ Webページからのfile:// リンク: NG
- ✓ ローカルファイルの相対パス: OK
よくある質問(Q&A)

Q1: file:// と file:/// の違いは?
A: 基本的には同じです!
file://localhost/C:/file.pdf
↓ localhostを省略
file:///C:/file.pdf
localhost を省略すると、スラッシュが3つになるだけです。
推奨: file:/// (スラッシュ3つ)を使いましょう。
Q2: なぜWebページからfile:// が開けないの?
A: セキュリティのためです。
もし開けてしまうと:
悪意のあるサイトが、あなたのパソコンの
C:/Users/username/Documents/パスワード.txt
を勝手に読み取れてしまいます!
だからブラウザがブロックしているのです。
Q3: 社内でfile:// リンクを使いたい!
A: 以下の方法があります:
方法1: 専用アプリを作る
- 社内専用のアプリケーションを開発
- アプリ内ならfile:// が使える
方法2: ショートカットファイルを配布
- .lnkファイル(Windowsショートカット)を配布
- ダブルクリックでファイル/フォルダが開く
方法3: URLスキームを自作
company://のような独自プロトコルを作成- レジストリに登録してエクスプローラーと連携
Q4: ファイル名に日本語があるとエラーになる
A: URLエンコードが必要です。
変換方法:
元のパス:
C:/ドキュメント/資料.pdf
↓ URLエンコード
file:///C:/%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88/%E8%B3%87%E6%96%99.pdf
ツール: オンラインのURLエンコーダーを使うと便利です。
Q5: file:// でフォルダを開きたい
A: できます!
Windows:
file:///C:/Users/username/Documents/
Mac/Linux:
file:///Users/username/Documents/
末尾にスラッシュ / を付けるとフォルダが開きます。
ただし:
- ブラウザ内でファイル一覧が表示される
- エクスプローラーは開かない
Q6: HTTPSページからfile:// にアクセスしたい
A: 基本的に不可能です。
これはMixed Contentと呼ばれる問題です:
https:// (安全)
↓
file:// (安全性不明)
↓
❌ ブロック!
解決策:
- ファイルもHTTPS経由で配信する
- または、ページ自体をfile:// で開く
Q7: file:// で動画や音声は再生できる?
A: できます!
<video controls>
<source src="file:///C:/Videos/movie.mp4" type="video/mp4">
</video>
<audio controls>
<source src="file:///C:/Music/song.mp3" type="audio/mpeg">
</audio>
ただし、ブラウザが対応している形式に限ります。
代替手段:file:// 以外の選択肢
file:// が使いにくい場合、以下の代替手段があります。
1. ローカルWebサーバーを使う
メリット:
- http:// なのでセキュリティ制限がない
- 開発環境として最適
方法:
# Python 3
python -m http.server 8000
# Node.js (http-server)
npx http-server -p 8000
# PHP
php -S localhost:8000
その後:
http://localhost:8000
2. クラウドストレージを使う
おすすめサービス:
- Google Drive
- OneDrive
- Dropbox
メリット:
- どこからでもアクセス可能
- 共有が簡単
- セキュリティも高い
3. 社内ファイルサーバー + Web UI
方法:
- ファイルサーバーにWeb UIを追加
- https:// でアクセス
例:
- Nextcloud
- ownCloud
- SharePoint
4. デスクトップアプリケーション
考え方:
Webブラウザではなく、専用アプリで開く
例:
- Electronアプリ
- デスクトップアプリケーション
まとめ:file:// プロトコルを正しく使おう
file:// プロトコル、理解できましたか?
重要ポイントのおさらい
【基本の書き方】
Windows: file:///C:/folder/file.txt
Mac/Linux: file:///Users/username/file.txt
ネットワーク: file://server/share/file.txt
【できること】
✓ ブラウザでローカルファイルを開く
✓ PDFや画像をブラウザで表示
✓ ローカルWebサイトの開発
【できないこと】
❌ WebページからのFile:// リンク
❌ HTTPS→file:// のアクセス
❌ 社外の人とファイル共有
【セキュリティ】
⚠ 信頼できるファイルだけ開く
⚠ 機密情報の共有には使わない
⚠ パス情報に注意
使い分けガイド
【file:// を使うべき場面】
・ローカルでHTMLファイルをテスト
・自分のパソコンのファイルをブラウザで見る
・社内サーバーのドキュメントを参照(制限あり)
【file:// を避けるべき場面】
・外部の人とファイルを共有
・本番環境のWebサイト
・セキュリティが重要なシステム
【代替手段を使うべき場面】
・チームでファイルを共有
・外出先からアクセスしたい
・クロスプラットフォームで動かしたい
今日から使えるテクニック
【テクニック1】素早くファイルを開く
1. Windowsキー + R
2. shell:downloads (ダウンロードフォルダ)
3. ファイルを右クリック → プロパティ
4. パスをコピー
5. file:/// + パスでブラウザに貼り付け
【テクニック2】社内メールでフォルダを共有
\\server\share\folder
↓
file://server/share/folder
でリンク化(ただし制限あり)
【テクニック3】ローカルHTML開発
1. HTMLファイルをブラウザにドラッグ&ドロップ
2. 自動的にfile:// で開く
3. 編集→保存→リロードで確認
ボーナス情報:file:// に関する豆知識
歴史
file:// プロトコルは、1994年のRFC 1738で初めて定義されました。
当時はまだインターネットが普及する前で、ローカルファイルをブラウザで見る需要が高かったのです。
他のプロトコルと比較
| プロトコル | 用途 | 速度 | セキュリティ | 範囲 |
|---|---|---|---|---|
| file:// | ローカルファイル | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⚠低 | ローカル |
| http:// | Webサイト | ⭐⭐⭐ | ⚠低 | グローバル |
| https:// | 安全なWebサイト | ⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ | グローバル |
| ftp:// | ファイル転送 | ⭐⭐⭐⭐ | ⚠低 | グローバル |
| sftp:// | 安全なファイル転送 | ⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ | グローバル |
開発者向けTips
JavaScriptでfile:// を扱う:
// 現在のURLを確認
console.log(window.location.protocol);
// → "file:" ならローカルファイル
// file:// では一部の機能が制限される
if (window.location.protocol === 'file:') {
console.log('ローカルモードで実行中');
// AJAXなどは動作しない可能性
}
相対パスと絶対パスの使い分け:
<!-- ✓ 同じフォルダなら相対パスでOK -->
<img src="image.jpg">
<!-- ✓ 別のフォルダなら絶対パスが確実 -->
<img src="file:///C:/project/images/image.jpg">
これでfile:// プロトコルはマスター!
正しく理解して、安全に活用しましょう!

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