Fedoraは約6ヶ月ごとに新しいバージョンが出るLinux OSです。
新しい機能やセキュリティの改善が含まれるため、定期的なアップグレードがおすすめです。
しかし、「アップグレードで何か問題が起きたらどうしよう」「失敗したらパソコンが使えなくなるかも」と心配になりますよね。
この記事では、公式が推奨する安全な方法でアップグレードする手順を、詳しく説明します。
アップグレード前の準備

大切なデータをバックアップする
アップグレードする前に、必ず大切なデータを保存しておきましょう。
バックアップが必要なもの
- ホームフォルダの中身(文書、画像、音楽など)
- システムの設定ファイル(
/etc
フォルダ) - インストールしたソフトのリスト
今のバージョンを確認する
説明 現在使っているFedoraのバージョンを確認します。
コマンド
cat /etc/fedora-release
実行結果の例
Fedora release 38 (Thirty Eight)
この例では、Fedora 38を使っていることがわかります。
システムを最新の状態にする
説明 アップグレードする前に、今のシステムを最新にしておきます。
コマンド
sudo dnf upgrade --refresh
sudo dnf install dnf-plugin-system-upgrade
何をしているか
- 1行目:インストール済みのソフトを最新版にする
- 2行目:アップグレード用のツールをインストールする
アップグレードの手順
ステップ1:新しいバージョンをダウンロードする
説明 アップグレード先のバージョンを指定して、必要なファイルをダウンロードします。
基本のコマンド
sudo dnf system-upgrade download --releasever=39
コマンドの意味
--releasever=39
:Fedora 39にアップグレードするという意味- 数字の部分は、目標とするバージョンに変更してください
エラーが出た場合のコマンド
sudo dnf system-upgrade download --releasever=39 --allowerasing
--allowerasing
を付けると、問題のあるソフトを自動的に削除してくれます。
ステップ2:再起動してアップグレードを実行する
説明 パソコンを再起動して、実際のアップグレードを開始します。
コマンド
sudo dnf system-upgrade reboot
何が起こるか
- パソコンが再起動される
- 「System Upgrade」画面が表示される
- アップグレード処理が自動的に進む
- 20分から40分程度かかる(環境による)
- 完了すると自動的に再起動される
ステップ3:アップグレード完了の確認
説明 アップグレードが正常に完了したかチェックします。
コマンド
cat /etc/fedora-release
確認ポイント バージョン番号が新しくなっていればOKです。
よくある問題と解決方法

「パッケージの依存関係が解決できません」というエラー
問題 ソフト同士の関係で、アップグレードできない
解決方法
sudo dnf system-upgrade download --releasever=39 --allowerasing
--allowerasing
オプションを付けて再実行する
再起動後にシステムが不安定になった
症状
- インターネットに接続できない
- 画面がおかしい
- 一部のソフトが動かない
解決方法
sudo dnf update --refresh
それでも直らない場合:
sudo dnf reinstall NetworkManager
起動しなくなった場合
対処法
- 起動時にGRUB画面で「前のカーネル」を選択
- 無事に起動したら、問題を調査
- ログを確認:
journalctl -b
アップグレード手順のまとめ
手順 | やること | コマンド |
---|---|---|
1 | バックアップを取る | (手動作業) |
2 | 現在のバージョン確認 | cat /etc/fedora-release |
3 | システム更新 | sudo dnf upgrade --refresh |
4 | ツールのインストール | sudo dnf install dnf-plugin-system-upgrade |
5 | アップグレード準備 | sudo dnf system-upgrade download --releasever=新しい番号 |
6 | 実行と再起動 | sudo dnf system-upgrade reboot |
7 | 完了確認 | cat /etc/fedora-release |
重要なポイント
安全にアップグレードするために
- 必ずバックアップを取る
- 時間に余裕があるときに実行する
- 電源が切れないよう注意する
トラブルが起きたら
- 慌てずにログを確認する
- 前のカーネルで起動して調査する
- 必要に応じて再インストールする
おわりに
Fedoraのアップグレードは、正しい手順で行えば安全です。
dnf system-upgrade
コマンドを使うことで、GUI操作に頼らず確実に新しいバージョンへ移行できます。
定期的にアップグレードすることで、新しい機能を使えるようになり、セキュリティも向上します。
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