FAT32とは?特徴と使い方を初心者向けに完全解説

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「USBメモリをフォーマットする時にFAT32って出てくるけど何?」「4GB以上のファイルが保存できないって本当?」「FAT32とexFATの違いが分からない」そんな疑問はありませんか?

FAT32は、1996年に登場した歴史あるファイルシステムです。今から約30年前の技術ですが、その高い互換性から、現在でも多くの場面で使われています。

ほぼすべてのパソコン、ゲーム機、デジカメ、テレビなどがFAT32に対応しているため、「とにかくどのデバイスでも使いたい」という場面では最適な選択肢なんです。一方で、古い技術ゆえの制限もあり、現代の用途には向かない場面もあります。

今回は、FAT32の特徴とメリット・デメリット、適切な使い方、そして他のファイルシステムとの比較まで、詳しく解説していきます。


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  1. FAT32とは?基本を理解しよう
    1. FAT32の正式名称と読み方
    2. FAT32の歴史
    3. なぜ今でも使われているのか
  2. FAT32の特徴とメリット
    1. 圧倒的な互換性
    2. シンプルで軽量
    3. どんなOSでも読み書きできる
    4. フォーマットが速い
  3. FAT32のデメリットと制限
    1. 最大の制限:1ファイル4GBまで
    2. ドライブ容量の制限
    3. セキュリティ機能がない
    4. ファイル圧縮機能がない
    5. エラー回復機能が弱い
  4. FAT32と他のファイルシステムの比較
    1. FAT32 vs NTFS
    2. FAT32 vs exFAT
    3. FAT32 vs APFS/HFS+
  5. FAT32が適している用途
    1. 小さいファイル専用のUSBメモリ
    2. 古いデバイスとのデータ共有
    3. 最大限の互換性が必要な場合
    4. デジタルカメラのSDカード
  6. FAT32が適していない用途
    1. 大きな動画ファイルを扱う場合
    2. システムドライブ(CドライブやMacintosh HD)
    3. 大容量のバックアップドライブ
    4. 機密情報を保存する場合
  7. FAT32へのフォーマット方法
    1. Windowsでのフォーマット方法(32GB以下)
    2. Windowsでのフォーマット方法(32GB以上)
    3. Macでのフォーマット方法
    4. フォーマット時の注意事項
  8. FAT32でよくあるトラブルと解決方法
    1. Q1:4GB以上のファイルが保存できない
    2. Q2:32GB以上のUSBメモリがFAT32でフォーマットできない
    3. Q3:MacでフォーマットしたFAT32がWindowsで認識されない
    4. Q4:FAT32のドライブが「RAW」と表示される
    5. Q5:ファイル名が文字化けする
  9. FAT32からの移行を検討すべきタイミング
    1. 大きなファイルを頻繁に扱うようになった
    2. 新しいデバイスばかりで使っている
    3. セキュリティが気になる
    4. データの安全性を高めたい
  10. まとめ

FAT32とは?基本を理解しよう

まずは、FAT32がどんなファイルシステムなのか、基本から見ていきましょう。

FAT32の正式名称と読み方

正式名称:
File Allocation Table 32(ファイル・アロケーション・テーブル・32)

略称:
FAT32(ファット・サーティーツー)

File Allocation Tableは「ファイル配置表」という意味で、データがどこに保存されているかを管理する仕組みを表しています。32という数字は、技術的な仕様(32ビット)を示しているんです。

FAT32の歴史

FAT32は、1996年にMicrosoftがWindows 95 OSR2で導入しました。

それまで使われていたFAT16の制限(最大2GBまでのドライブ)を解消するために開発されました。当時は画期的な技術でしたが、30年近く経った現在では、より新しいファイルシステムに取って代わられつつあります。

なぜ今でも使われているのか

古い技術なのに、なぜFAT32は今でも使われているのでしょうか?

理由は「互換性の高さ」です。

  • ほぼすべてのOS(Windows、Mac、Linux)が対応
  • ゲーム機(PlayStation、Xboxなど)が対応
  • デジタルカメラやビデオカメラが対応
  • テレビやカーナビが対応
  • 古いデバイスでも確実に動作

どのデバイスでも使える安心感が、FAT32の最大の魅力なんです。


FAT32の特徴とメリット

FAT32の優れている点を詳しく見ていきましょう。

圧倒的な互換性

FAT32の最大のメリットは、ほぼすべてのデバイスで使えることです。

対応デバイスの例:

  • Windows(すべてのバージョン)
  • Mac(すべてのバージョン)
  • Linux(ほぼすべてのディストリビューション)
  • PlayStation(PS3、PS4、PS5)
  • Xbox(Xbox 360、Xbox One、Xbox Series X/S)
  • Nintendo Switch
  • デジタルカメラ
  • ビデオカメラ
  • テレビ
  • カーナビ
  • プリンター
  • 音楽プレーヤー

新しいデバイスも古いデバイスも、ほぼ確実にFAT32を読み書きできます。

シンプルで軽量

FAT32は構造がシンプルなため、処理が軽く、古いデバイスでもスムーズに動作します。

最新の高機能なファイルシステムと比べて、システムへの負担が少ないんです。処理能力が低い機器でも問題なく使えるのは、このシンプルさのおかげでしょう。

どんなOSでも読み書きできる

多くのファイルシステムは「読み取りはできるけど書き込みはできない」という制限がありますが、FAT32はほぼすべてのOSで完全に読み書きできます。

例:

  • NTFS:Macでは読み取りのみ(書き込みには追加ソフトが必要)
  • APFS:Windowsでは使えない
  • FAT32:WindowsでもMacでも完全に読み書きできる

この特性により、データの受け渡しが非常に簡単になります。

フォーマットが速い

FAT32は構造がシンプルなため、フォーマット(初期化)の処理が速く完了します。

大容量のドライブでも、他のファイルシステムと比べて短時間でフォーマットできるんです。


FAT32のデメリットと制限

便利なFAT32ですが、古い技術ゆえの制限もあります。

最大の制限:1ファイル4GBまで

FAT32の最も大きな制限が、1つのファイルが4GBまでしか保存できないことです。

これは技術的な仕様で、どうやっても変更できません。4GB以上のファイルを保存しようとすると、エラーが表示されて失敗します。

4GBを超えやすいファイルの例:

  • 高画質の動画ファイル(4K動画など)
  • 大容量のゲームデータ
  • 大きなディスクイメージ(ISOファイルなど)
  • 長時間の録画データ
  • まとめた圧縮ファイル(ZIP、RARなど)

最近の高画質動画は、数分の撮影でも4GBを超えることがあります。

ドライブ容量の制限

Windowsの標準フォーマット機能では、32GBまでのドライブしかFAT32でフォーマットできません。

これはWindowsの仕様による制限で、FAT32自体は理論上2TBまで対応しています。32GB以上のドライブをFAT32にしたい場合は、専用のソフトを使う必要があるんです。

ただし、既にFAT32でフォーマットされた32GB以上のドライブは、Windowsでも普通に使えます。制限があるのはフォーマット時だけです。

セキュリティ機能がない

FAT32には、ファイルの暗号化やアクセス権限の設定機能がありません。

できないこと:

  • ファイルごとのアクセス許可設定
  • ユーザーごとの権限管理
  • ファイルの暗号化
  • 詳細な監査ログ

誰でもファイルを自由に読み書きできてしまうため、機密情報の保存には向いていません。

ファイル圧縮機能がない

NTFSのような、ファイルを自動的に圧縮して容量を節約する機能がありません。

すべてのファイルが、そのままのサイズで保存されます。

エラー回復機能が弱い

ジャーナリング機能(エラーからの回復を助ける仕組み)がないため、突然の電源断などでデータが壊れやすい傾向があります。

最新のファイルシステムと比べて、データの安全性は低めです。


FAT32と他のファイルシステムの比較

FAT32と、よく比較される他のファイルシステムを見比べてみましょう。

FAT32 vs NTFS

FAT32の優位点:

  • MacやLinuxでも書き込みできる
  • 古いデバイスで使える
  • フォーマットが速い

NTFSの優位点:

  • 4GB以上のファイルを扱える
  • セキュリティ機能が豊富
  • ファイル圧縮ができる
  • エラー回復機能がある

使い分け:

  • Windows専用なら:NTFS
  • 複数のデバイスで使うなら:FAT32(ただしファイルサイズに注意)

FAT32 vs exFAT

exFATは、FAT32の制限を解消した新しいバージョンです。

FAT32の優位点:

  • より古いデバイスでも使える
  • 互換性が最も高い

exFATの優位点:

  • 4GB以上のファイルを扱える
  • 大容量ドライブに対応
  • 外部ストレージに最適化

使い分け:

  • 古いデバイス(2000年代以前)で使うなら:FAT32
  • 大きなファイルを扱うなら:exFAT
  • 最近のデバイスで使うなら:exFAT

基本的には、exFATの方が現代の用途に適しています。

FAT32 vs APFS/HFS+

Mac専用のファイルシステムとの比較です。

FAT32の優位点:

  • Windowsでも使える
  • 幅広いデバイスに対応

APFS/HFS+の優位点:

  • Macで最高のパフォーマンス
  • 高度な機能(暗号化、スナップショットなど)
  • 大きなファイルを扱える

使い分け:

  • Mac専用なら:APFS/HFS+
  • WindowsやMacの両方で使うなら:FAT32またはexFAT

FAT32が適している用途

FAT32を使うべき場面を具体的に紹介します。

小さいファイル専用のUSBメモリ

4GB未満のファイルしか扱わない場合、FAT32は優れた選択肢です。

適している例:

  • 文書ファイル(Word、Excel、PDFなど)
  • 写真(JPEG、PNG)
  • 音楽ファイル(MP3、AAC)
  • 短い動画クリップ

これらのファイルは通常4GB以下なので、FAT32の制限に引っかかりません。

古いデバイスとのデータ共有

2000年代のデバイスや、古い組み込み機器では、FAT32しか対応していないことがあります。

例:

  • 古いデジカメ
  • 古いカーナビ
  • 古いテレビ
  • 工業用機器
  • 古いゲーム機

こうしたデバイスで使うなら、FAT32一択です。

最大限の互換性が必要な場合

「とにかくどんなデバイスでも使えるようにしたい」という場合、FAT32が最も確実です。

例:

  • 不特定多数の人と共有するUSBメモリ
  • イベント会場での写真配布用メディア
  • 複数の異なるデバイスで使う可能性がある場合

相手の環境が分からない時は、FAT32が安全な選択でしょう。

デジタルカメラのSDカード

多くのデジカメは、FAT32を推奨または要求しています。

特に古いデジカメや、安価なモデルでは、FAT32以外を受け付けないことがあるんです。カメラの説明書を確認して、推奨されているファイルシステムを使いましょう。


FAT32が適していない用途

逆に、FAT32を避けるべき場面も知っておきましょう。

大きな動画ファイルを扱う場合

4K動画や長時間の録画など、4GBを超える動画ファイルを扱う場合、FAT32は使えません。

代替案:

  • WindowsとMacの両方で使う:exFAT
  • Windows専用:NTFS
  • Mac専用:APFS

システムドライブ(CドライブやMacintosh HD)

パソコンの内蔵ドライブには、FAT32を使うべきではありません。

理由:

  • セキュリティ機能がない
  • エラー回復機能が弱い
  • 大きなプログラムファイルが保存できない

推奨:

  • Windows:NTFS
  • Mac:APFS

大容量のバックアップドライブ

大量のデータをバックアップする外付けハードディスクでは、4GBの制限が大きな問題になります。

バックアップ用途には、NTFSやexFATを使いましょう。

機密情報を保存する場合

暗号化やアクセス権限の設定ができないため、重要なデータには向きません。

推奨:

  • 暗号化が必要:NTFSまたはAPFS
  • アクセス制御が必要:NTFSまたはAPFS

FAT32へのフォーマット方法

USBメモリや外付けドライブをFAT32でフォーマットする手順を説明します。

Windowsでのフォーマット方法(32GB以下)

  1. USBメモリを接続:パソコンに挿し込みます
  2. エクスプローラーを開く:Windowsキー + Eを押しましょう
  3. ドライブを右クリック:フォーマットしたいドライブを右クリックします
  4. 「フォーマット」を選択:メニューから選びましょう
  5. ファイルシステムで「FAT32」を選択:ドロップダウンメニューから選びます
  6. ボリュームラベルを入力:好きな名前を付けられます(省略可)
  7. 「開始」をクリック:警告メッセージを読んで実行します
  8. 完了を待つ:終わるまで待ちましょう

Windowsでのフォーマット方法(32GB以上)

32GB以上のドライブをFAT32でフォーマットするには、専用ツールが必要です。

推奨ツール:

  • FAT32 Format GUI(無料ソフト)
  • Rufus(USBメモリ用、無料)
  • コマンドプロンプトのformatコマンド

コマンドプロンプトでの方法:

  1. コマンドプロンプトを管理者権限で開く
  2. format /FS:FAT32 ドライブ名:と入力(例:format /FS:FAT32 E:
  3. 警告を確認してYを押す
  4. 完了を待つ

Macでのフォーマット方法

  1. ディスクユーティリティを起動:アプリケーション→ユーティリティから開きます
  2. 対象ドライブを選択:左側のリストから選びましょう
  3. 「消去」をクリック:上部のツールバーにあります
  4. フォーマットで「MS-DOS (FAT)」を選択:これがFAT32です
  5. 方式で「マスター・ブート・レコード」を選択:互換性が高い方式です
  6. 名前を入力:ドライブの名前を付けます
  7. 「消去」をクリック:実行します
  8. 完了を待つ:終わるまで待ちましょう

フォーマット時の注意事項

必ず確認すること:

  • フォーマットすると全データが消える
  • 正しいドライブを選んでいるか確認
  • 重要なデータはバックアップ済みか確認
  • 他のアプリを閉じてから作業

間違ったドライブをフォーマットすると、大切なデータを失うので、慎重に確認しましょう。


FAT32でよくあるトラブルと解決方法

実際に遭遇しやすい問題と、その対処法を紹介します。

Q1:4GB以上のファイルが保存できない

エラーメッセージ例:
「ファイルが大きすぎて、対象のファイルシステムに入りません」

原因:
FAT32の1ファイル4GBまでという制限です。

解決方法:

方法1:exFATでフォーマットし直す

  1. データをバックアップ
  2. exFATでフォーマット
  3. データを戻す

方法2:ファイルを分割する

  • 動画なら編集ソフトで分割
  • 圧縮ファイルなら分割圧縮機能を使う

方法3:別のドライブを使う

  • NTFSやexFATの別のドライブに保存する

Q2:32GB以上のUSBメモリがFAT32でフォーマットできない

原因:
Windowsの標準フォーマット機能は32GBまでしか対応していません。

解決方法:

方法1:専用ツールを使う

  • FAT32 Format GUIなどの無料ソフトをダウンロード
  • そのソフトでフォーマット

方法2:コマンドプロンプトを使う

  • 管理者権限でコマンドプロンプトを開く
  • format /FS:FAT32 ドライブ名:コマンドを実行

方法3:exFATを検討する

  • 用途によってはexFATの方が適切な場合も

Q3:MacでフォーマットしたFAT32がWindowsで認識されない

原因:
パーティション方式が適切でない可能性があります。

解決方法:

Macで再度フォーマットする際:

  1. ディスクユーティリティで物理ドライブ自体を選択
  2. 「消去」を選択
  3. フォーマット:MS-DOS (FAT)
  4. 方式:「マスター・ブート・レコード」を必ず選択

GUIDパーティションマップではなく、マスター・ブート・レコードを選ぶことがポイントです。

Q4:FAT32のドライブが「RAW」と表示される

原因:
ファイルシステムの情報が破損しています。

解決方法:

方法1:チェックディスクを実行(Windows)

  1. コマンドプロンプトを管理者権限で開く
  2. chkdsk ドライブ名: /fを実行(例:chkdsk E: /f
  3. エラー修復を待つ

方法2:First Aidを実行(Mac)

  1. ディスクユーティリティを開く
  2. 対象ドライブを選択
  3. 「First Aid」を実行

方法3:フォーマットし直す
修復できない場合は、データを諦めて再フォーマットします。

Q5:ファイル名が文字化けする

原因:
FAT32は古い文字コードを使っているため、一部の文字が正しく表示されないことがあります。

解決方法:

予防策:

  • ファイル名に日本語を使わない
  • 英数字とアンダースコア、ハイフンのみを使う
  • 特殊記号を避ける

既に文字化けしている場合:

  • 元のパソコンで正しい名前に変更
  • 文字コードを扱えるツールで修正

FAT32からの移行を検討すべきタイミング

以下の状況に当てはまる場合、exFATやNTFSへの移行を検討しましょう。

大きなファイルを頻繁に扱うようになった

4GB以上のファイルを定期的に扱う場合、FAT32は不便です。

移行先の推奨:

  • WindowsとMac両方で使う:exFAT
  • Windows専用:NTFS
  • Mac専用:APFS

新しいデバイスばかりで使っている

2010年以降のデバイスであれば、ほとんどがexFATに対応しています。

古いデバイスを使わなくなったら、exFATに移行しても問題ありません。

セキュリティが気になる

暗号化やアクセス権限が必要になった場合、FAT32では不十分です。

より高度なセキュリティ機能を持つNTFSやAPFSに移行しましょう。

データの安全性を高めたい

ジャーナリング機能など、エラー回復機能を持つファイルシステムへの移行を検討してください。


まとめ

FAT32は古いですが、今でも重要な役割を果たしているファイルシステムです。

重要なポイントをおさらいしましょう:

  • FAT32は1996年登場の古いが互換性の高いファイルシステム
  • ほぼすべてのデバイスで読み書きできる最大のメリット
  • 1ファイル4GBまでという重大な制限がある
  • Windowsでは32GBまでしか標準フォーマットできない
  • セキュリティ機能やエラー回復機能が弱い
  • 小さいファイル専用や古いデバイスで使う場合に最適
  • 大きな動画ファイルや機密情報には向かない
  • 現代の用途では、多くの場合exFATの方が適している

FAT32を使うべきか、それとも別のファイルシステムを選ぶべきか判断する際は、以下を確認しましょう:

  1. 扱うファイルは4GB未満か?
  2. 古いデバイスでも使う必要があるか?
  3. 最大限の互換性が必要か?

これらすべてに「はい」なら、FAT32が適しています。一つでも「いいえ」なら、exFATやNTFSを検討した方が良いでしょう。

自分の用途に合わせて、適切なファイルシステムを選んでくださいね!

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