Zipファイルなどの圧縮フォルダーを右クリックして「すべて展開」を選んだとき、「圧縮フォルダーの展開ウィザードを完了できません」というエラーメッセージが出て、作業が進まないことがあります。
このエラーは一見ソフトウェアの不具合に思えますが、実はハードディスク(HDD)や外付けドライブとパソコンの接続不良が原因のケースも多いです。
この記事では、このエラーがなぜ起きるのかをわかりやすく解説し、特にハードディスク接続不良の可能性がある場合の対処方法を詳しく説明します。
「圧縮フォルダーの展開ウィザードを完了できません」とは?

どんなときに出るエラー?
このエラーメッセージは、主に次のような場面で表示されます。
- Zipファイルを右クリックして「すべて展開」を選んだとき
- ダウンロードしたZipファイルを開こうとしたとき
- 別ドライブにあるZip(外付けHDDやUSBメモリ)を展開しようとしたとき
- ネットワークドライブのZipファイルを解凍しようとしたとき
エラーメッセージの意味
このメッセージは、Windowsが「Zipファイルを解凍しようとしたが、正常に展開先やファイルを扱えなかった」という状態を示しています。
具体的には、次のような問題が起きています:
- 展開先への書き込みができない
- Zipファイルの読み取りが途中で止まる
- ファイルシステムとの通信が不安定
- ディスク容量不足やアクセス権限の問題
よくある誤解
多くの人が「Zipファイルが壊れている」と思いがちですが、実際は次のような原因が多いです:
- ハードディスクの物理的な問題
- ケーブル接続の不良
- 電力供給の不足
- ドライブの認識エラー
ソフトの問題だけではなく、物理的にドライブへアクセスできない場合にも発生します。次は、ハードディスク接続不良の場合に絞って原因を見てみましょう。
ハードディスク接続不良が原因の場合
どういう状態で起きる?
以下のような状況だと、解凍中に読み書きが途中で止まり、エラーが出ることがあります。
外付けドライブの場合
- USBケーブルがゆるんでいる
- USBハブ経由で接続し、電力不足になっている
- 古いUSBポート(USB2.0など)で転送速度が遅い
- ケーブルの劣化で信号が不安定
内蔵ドライブの場合
- SATAケーブルの接触不良
- 電源ケーブルの接触不良
- マザーボードとの接続が不安定
- ドライブ自体の経年劣化
症状の特徴
ハードディスク接続不良の場合、次のような症状が一緒に現れることが多いです:
明らかな症状
- HDDのランプがついていない、点滅が不規則
- 異音(カチカチ、ガリガリ音)がする
- ファイルコピーが途中で止まる、異常に遅い
- エクスプローラーでドライブを開くとフリーズする
見落としがちな症状
- たまに認識されないことがある
- 大きなファイルの操作で問題が起きやすい
- パソコン起動時にドライブが見つからない
- システムが重くなることがある
なぜ圧縮ファイルで問題が起きやすいのか
圧縮ファイルの展開は、普通のファイルコピーよりもハードディスクに負担をかけます:
高い負荷がかかる理由
- 連続的な読み書きが長時間続く
- 複数のファイルを同時に処理
- 一時的なファイルを大量に作成
- ディスクアクセスが集中的に発生
そのため、接続が不安定なドライブでは、途中でエラーが起きやすくなります。
この章のまとめ
「圧縮フォルダーの展開ウィザードを完了できません」は、単なるソフトの不具合でなく物理的にハードディスクとパソコンの通信が不安定な可能性も大きいです。
対処法|ハードディスクやケーブルをチェック
ケーブルを挿し直す
USB接続の場合
- 一度ケーブルを抜く
- 10秒ほど待つ
- しっかりと差し直す
特に**USBハブ(分岐装置)**を使っている場合は、直接パソコンのUSBポートに挿すと改善することが多いです。
内蔵ドライブの場合
パソコンの電源を切って、以下を確認:
- SATAケーブルの抜き差し
- 電源ケーブルの抜き差し
- ケーブルの曲がりや損傷チェック
別のポートやPCで試す
別のUSBポートを使う
- 前面と背面のポートを使い分ける
- USB3.0(青色)とUSB2.0(黒色)を試す
- 左右のポートを変えてみる
PC側のUSBポートが故障しているケースもあります。複数のポートで試してみましょう。
別のパソコンで確認
可能であれば、別のパソコンでも同じドライブを試してみてください:
- 同じエラーが出る → ドライブ側の問題
- エラーが出ない → パソコン側の問題
電源不足を疑う
外付けHDDの電力問題
バスパワー(PCの電力だけで動作)の外付けHDDは、電力不足でエラーが起きやすいです。
対処法:
- ACアダプタ付きの外付けHDD(セルフパワー)を使う
- Y字ケーブルで2つのUSBポートから電力を取る
- パワー供給機能付きUSBハブを使う
ノートパソコンの場合
ノートパソコンはUSB供給電力が少ないため、次の対策が効果的:
- ACアダプタ接続中に作業する
- 省電力設定を無効にする
- 他のUSB機器を一時的に外す
内蔵HDD/SSDの場合
デスクトップPCなら
パソコンケースを開けて、以下を確認できます:
- 電源を完全に切る
- 電源ケーブルを抜く
- ケースを開ける
- SATAケーブルを抜き差し
- 電源ケーブルを抜き差し
ノートPCの場合
ノートPCは分解が難しいので、以下の方法を試してみてください:
- システムの再起動
- デバイスマネージャーでドライブを再認識
- チェックディスクでエラースキャン
システム的な対処法
チェックディスクを実行
Windowsのチェックディスク機能を使って、ファイルシステムのエラーを修復:
- エクスプローラーを開く
- 問題のドライブを右クリック
- プロパティを選択
- ツールタブをクリック
- チェックボタンを押す
デバイスマネージャーでドライブを確認
- Windowsキー + Xを押す
- デバイスマネージャーを選択
- ディスクドライブを展開
- 問題のドライブに警告マークがないか確認
これらを試しても直らない場合、ハードディスク自体の故障やデータ破損の可能性があります。次は、データの安全を守るためにできることを説明します。
大切なデータを守るために

早めにバックアップを取る
なぜ急ぐ必要があるのか
ハードディスクが物理的に劣化している場合、次に認識できなくなるのは時間の問題です。
症状が軽いうちに、重要なデータを別の場所にコピーしておきましょう。
効率的なバックアップ方法
優先順位をつけてデータを退避:
- 最重要データ:写真、書類、作業ファイル
- 設定ファイル:ブックマーク、メール設定
- アプリケーション:再インストールできるもの
バックアップ先の選択
- 別の内蔵ドライブ
- クラウドストレージ(OneDrive、Google Drive)
- 別の外付けHDD
- DVDやBlu-ray(重要なデータのみ)
データ復旧サービスを検討
こんな症状なら専門業者へ
以下の状況では、自力での操作を続けると状態が悪化します:
- HDDから異音(カチカチ、ガリガリ)がする
- 何をしても認識しない
- 焼け焦げた臭いがする
- エラーメッセージが頻繁に出る
データ復旧業者の選び方
信頼できる業者の特徴:
- 無料診断を提供している
- 成功報酬制(復旧できなければ料金なし)
- ISO認証などの品質保証がある
- 実績と評判が確認できる
費用の目安
- 論理障害(ソフト的な問題):3万円〜10万円
- 物理障害(ハード的な問題):10万円〜50万円
高額ですが、かけがえのないデータなら検討する価値があります。
予防策も重要
定期的なバックアップ
- 自動バックアップの設定
- 複数の場所に保存
- バックアップの動作確認
ハードディスクの健康状態チェック
CrystalDiskInfoなどの無料ソフトで、定期的にHDDの状態を監視しましょう。
エラーが出る時点で、ハードディスクに負担がかかっている可能性があります。早めのデータ確保が何よりも重要です。
他の原因と対処法(補足)

Zipファイル自体の問題
ハードディスク以外の原因として、以下も考えられます:
ファイルの破損
- ダウンロード中の中断
- ウイルス感染
- メール添付時の容量制限
対処法
- 再ダウンロードを試す
- 7-Zipなど別の解凍ソフトを使う
- WinRARで修復機能を試す
Windows システムの問題
一時的なシステムエラー
- メモリ不足
- システムファイルの破損
- レジストリの問題
対処法
- パソコンの再起動
- システムファイルチェッカー(sfc /scannow)
- Windowsアップデートの適用
ウイルス対策ソフトの干渉
セキュリティソフトが原因の場合
- リアルタイム保護が解凍を妨害
- 怪しいファイルと誤判定
- アクセス権限の問題
対処法
- 一時的に保護を無効にして試す
- 除外設定に解凍先フォルダを追加
- ソフトの設定を見直す
よくある質問と回答
エラーが出るファイルと出ないファイルがある
原因: ファイルサイズやアクセスパターンの違い
対処法:
- 小さなファイルから試す
- 解凍先を変更する
- 分割して少しずつ解凍
外付けHDDでだけエラーが出る
原因: 外付けドライブ特有の問題
対処法:
- 一度内蔵ドライブにコピーしてから解凍
- USB3.0対応のケーブルに交換
- セルフパワーの外付けHDDを使用
エラーが出た後、パソコンが重くなる
原因: システムリソースの消費
対処法:
- パソコンを再起動
- 不要なプログラムを終了
- メモリ使用量を確認
まとめ
「圧縮フォルダーの展開ウィザードを完了できません」は、ハードディスクの接続不良が原因で起きることが多いエラーです。
対処の手順
- ケーブルやポートの確認
- 電源供給の見直し
- システム的な修復を試行
- 重要データのバックアップ
- 必要に応じて専門業者に相談
重要なポイント
- 早めの対処でデータを守る
- 症状が軽いうちにバックアップを取る
- 物理的な問題かソフト的な問題かを見極める
- 無理な操作は状況を悪化させる
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