「Excelファイルを開いたら、いきなり『読み取り専用』って表示された…」
「編集しようとしたのに、保存できない!」
「重要な資料を修正したいのに、なぜか読み取り専用でしか開けない」
こんな経験はありませんか?
Excelを使っていると、突然読み取り専用でしか開けなくなることがあります。特に急いでいるときや重要な作業中にこの問題が発生すると、非常にストレスを感じますよね。
読み取り専用になる原因は様々で、ファイルの属性設定、保護機能、他のユーザーによる同時編集、ネットワークの問題など、多岐にわたります。しかし、ポイントを押さえれば、ほとんどの場合すぐに解除できます。
この記事では、Excelの読み取り専用を解除する方法を、初心者の方にもわかりやすく解説します。さらに、なぜ読み取り専用になるのかの根本原因や、今後同じトラブルを避けるための予防策も詳しく紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
【基本編】Excelが読み取り専用になる原因を理解しよう

読み取り専用の仕組み
Excelの保護機能
読み取り専用とは
- ファイルの内容を表示できるが、編集・保存ができない状態
- データの誤削除や意図しない変更を防ぐセキュリティ機能
- 一時的な状態と恒久的な設定の2種類がある
表示される警告メッセージ例
「○○.xlsxは読み取り専用です。編集内容を保存するには、
別の名前でファイルを保存してください。」
「このファイルは編集のためロックされています。
使用者:○○○」
「このファイルは読み取り専用で開かれました。」
よくある原因とその特徴
1. ファイルの属性設定
Windows ファイル属性
- ファイルのプロパティで「読み取り専用」にチェックが入っている
- 最も一般的で基本的な原因
- ファイルアイコンに「鍵」マークが表示される場合がある
症状
- どのユーザーが開いても読み取り専用になる
- ファイルを開く前から制限がかかっている
- エラーメッセージに「読み取り専用属性」の記載
2. 他のユーザーによる同時編集
同時アクセス制限
- 同じファイルを別のユーザーが編集中
- ネットワーク共有フォルダやクラウドストレージでよく発生
- Excelの排他制御機能による自動的な制限
症状
表示メッセージ例:
「○○.xlsxは○○○によって編集のためロックされています。
読み取り専用で開くか、編集可能になったときに通知を
受け取るかを選択してください。」
3. パスワード保護設定
書き込み保護パスワード
- ファイル作成者がパスワードを設定している
- 意図的なセキュリティ対策として実装
- パスワードを知らないと編集できない
読み取り専用推奨設定
- ファイルを開く際に読み取り専用を推奨するダイアログが表示
- 「はい」を選択すると読み取り専用で開く
- 編集も可能だが、注意喚起のための機能
4. 保護ビュー機能
セキュリティ制限
- インターネットからダウンロードしたファイル
- メール添付ファイル
- 信頼できない場所からのファイル
症状
- ファイル上部に黄色の警告バーが表示
- 「編集を有効にする」ボタンが表示される
- マクロや数式が無効化される
5. ネットワーク・権限の問題
ファイルサーバーの制限
- 共有フォルダの読み取り専用権限
- ユーザーアカウントの権限不足
- ネットワーク接続の不安定
クラウドストレージの同期問題
- OneDrive、Google Drive、Dropboxの同期エラー
- オフライン状態での編集制限
- ストレージ容量不足
6. ファイルの破損・異常
ファイル整合性の問題
- ファイルの一部が破損している
- 不完全なダウンロード
- ウイルス対策ソフトによる隔離
【解決編】読み取り専用を解除する具体的な方法
方法1:ファイル属性の変更
基本的な手順
Windowsでの操作
- 該当のExcelファイルを右クリック
- 「プロパティ」をクリック
- 「全般」タブを確認
- 「読み取り専用」のチェックボックスを確認
- チェックが入っている場合は外す
- 「適用」→「OK」をクリック
詳細な確認項目
□ 読み取り専用 (ファイルの内容の変更を防ぐ)
□ 隠しファイル (フォルダオプションの設定に応じて表示)
□ システムファイル (Windowsが使用するファイル)
コマンドプロンプトでの一括操作
単一ファイルの場合
attrib -r "ファイルパス\ファイル名.xlsx"
フォルダ内すべてのExcelファイル
attrib -r "フォルダパス\*.xlsx"
サブフォルダも含めて一括処理
attrib -r "フォルダパス\*.xlsx" /s
方法2:Excel内での保護解除
読み取り専用推奨の解除
手順
- Excelでファイルを開く
- 「ファイル」タブをクリック
- 「名前を付けて保存」を選択
- 「ツール」ドロップダウンをクリック
- 「全般オプション」を選択
- 「読み取り専用を推奨」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
- ファイルを保存
書き込み保護パスワードの解除
パスワードが分かる場合
- ファイルを開く際にパスワード入力画面が表示
- 正しいパスワードを入力
- 編集可能モードでファイルが開く
- 「名前を付けて保存」→「全般オプション」
- 「書き込み保護パスワード」欄を空にする
- 保存して完了
パスワードが不明な場合
- ファイル作成者または管理者に確認
- 会社のシステム管理部門に問い合わせ
- 新しいファイルとして内容をコピー
方法3:同時編集の解決
他のユーザーの確認
チェック手順
- エラーメッセージで使用者名を確認
- 該当ユーザーに連絡してファイルを閉じてもらう
- 数分待ってから再度ファイルを開く
自分が複数箇所で開いている場合
確認すべき場所:
- 別のPCでExcelが起動していないか
- 同じPC内で複数のExcelインスタンスが起動していないか
- Excelがバックグラウンドで動作していないか
タスクマネージャーでの強制終了
Windows 10/11での手順
- Ctrl+Shift+Esc でタスクマネージャーを開く
- 「詳細」タブをクリック
- 「EXCEL.EXE」を探す
- 右クリック→「タスクの終了」
- すべてのExcelプロセスを終了
- ファイルを再度開く
方法4:保護ビューの解除
一時的な解除
編集有効化ボタンの使用
- ファイル上部の黄色い警告バーを確認
- 「編集を有効にする」ボタンをクリック
- 編集可能モードに切り替わる
恒久的な解除
信頼できる場所への追加
- 「ファイル」→「オプション」
- 「トラストセンター」→「トラストセンターの設定」
- 「信頼できる場所」を選択
- 「新しい場所の追加」をクリック
- フォルダパスを指定
- 「サブフォルダーも信頼する」をチェック
- 「OK」で完了
方法5:ネットワーク・クラウド問題の解決
OneDriveの同期問題
同期状態の確認
- タスクバーのOneDriveアイコンをクリック
- 同期状態を確認
- エラーがある場合は「問題の修正」をクリック
オフライン編集の有効化
- OneDriveフォルダでファイルを右クリック
- 「このデバイス上で常に保持する」を選択
- ローカルで編集可能になる
共有フォルダの権限確認
権限の確認方法
- フォルダを右クリック→「プロパティ」
- 「セキュリティ」タブを選択
- 自分のユーザー名を選択
- 「書き込み」権限があるか確認
システム管理者への相談事項
- フォルダの書き込み権限の付与
- ユーザーグループの変更
- ネットワークドライブの再マッピング
【応用編】高度なトラブルシューティング

Excel設定の詳細確認
ファイルオプションの完全チェック
確認すべき設定項目
ファイル → オプション → 詳細設定:
□ 読み取り専用で開くことを推奨する
□ 埋め込みオブジェクトの編集を無効にする
□ DDE を使用する他のアプリケーションを無視する
トラストセンター設定の確認
ファイル → オプション → トラストセンター:
- 保護ビューの設定
- マクロの設定
- 外部コンテンツの設定
- 信頼できる場所の設定
レジストリでの解決
上級者向けレジストリ編集
注意:レジストリ編集は慎重に行う
キー:HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\16.0\Excel\Security
値:VBAWarnings
データ:1 (マクロを有効化)
実行前の準備
- レジストリのバックアップを作成
- システムの復元ポイントを作成
- 管理者権限でレジストリエディタを起動
VBAマクロでの自動化
読み取り専用チェックの自動化
Sub CheckReadOnlyStatus()
Dim wb As Workbook
Dim filePath As String
Dim fileAttr As Integer
Set wb = ActiveWorkbook
filePath = wb.FullName
' ファイル属性を確認
fileAttr = GetAttr(filePath)
If fileAttr And vbReadOnly Then
MsgBox "ファイルは読み取り専用属性です。" & vbCrLf & _
"ファイルパス: " & filePath, vbExclamation
' 属性を変更するか確認
If MsgBox("読み取り専用属性を解除しますか?", vbYesNo) = vbYes Then
SetAttr filePath, fileAttr And Not vbReadOnly
MsgBox "読み取り専用属性を解除しました。ファイルを再度開いてください。"
End If
Else
' 他の原因をチェック
If wb.ReadOnly Then
MsgBox "ファイルは他の理由で読み取り専用です:" & vbCrLf & _
"- 他のユーザーが編集中" & vbCrLf & _
"- パスワード保護" & vbCrLf & _
"- ネットワーク権限", vbInformation
Else
MsgBox "ファイルは編集可能です。", vbInformation
End If
End If
End Sub
一括属性変更マクロ
Sub RemoveReadOnlyFromFolder()
Dim folderPath As String
Dim fileName As String
Dim filePath As String
Dim count As Integer
' フォルダパスを指定
folderPath = Application.FileDialog(msoFileDialogFolderPicker).Show
If folderPath = 0 Then Exit Sub
folderPath = Application.FileDialog(msoFileDialogFolderPicker).SelectedItems(1)
' フォルダ内のExcelファイルを検索
fileName = Dir(folderPath & "\*.xlsx")
count = 0
Do While fileName <> ""
filePath = folderPath & "\" & fileName
' 読み取り専用属性を確認・削除
If GetAttr(filePath) And vbReadOnly Then
SetAttr filePath, GetAttr(filePath) And Not vbReadOnly
count = count + 1
End If
fileName = Dir()
Loop
MsgBox count & "個のファイルの読み取り専用属性を解除しました。"
End Sub
【予防策】読み取り専用問題を防ぐ方法
ファイル管理のベストプラクティス
ファイルの保存方法
推奨する保存形式
- .xlsx形式:最新の標準形式
- 定期的なバックアップ:複数世代の保存
- 命名規則の統一:日付やバージョンを含む
避けるべき保存方法
- 読み取り専用推奨の安易な設定
- パスワードの安易な設定(忘れやすい)
- ネットワーク不安定時の保存
共有ファイルの運用ルール
チームでの取り決め
1. ファイル使用時の連絡ルール
- 編集開始時にチャットで報告
- 編集終了時に完了報告
- 長時間編集する場合の事前通知
2. バージョン管理の方法
- ファイル名に日付とバージョン番号
- 定期的な統合作業
- 最新版の明確な指定
3. バックアップルール
- 日次バックアップの実施
- 重要な変更前の手動バックアップ
- 複数の保存場所への分散保存
セキュリティとアクセス制御
適切な権限設定
フォルダレベルでの制御
- 読み取り専用ユーザーの明確化
- 編集権限ユーザーの限定
- 管理者権限の適切な割り当て
ファイルレベルでの制御
- 重要ファイルのみパスワード保護
- バージョン管理システムの導入
- 変更履歴の記録
システム設定の最適化
Excel設定の標準化
推奨設定項目
ファイル → オプション → 保存:
□ 自動回復用データを○分ごとに保存
□ 作業中でないときは自動回復用データを保持
ファイル → オプション → 詳細設定:
□ ファイルを開く前に、ファイル形式を確認する
□ 信頼できない場所からのファイルで警告する
ネットワーク環境の整備
安定した接続環境
- 有線LAN接続の推奨
- 十分な帯域幅の確保
- 定期的なネットワーク機器の点検
【緊急対応】すぐに編集したい場合の応急処置
一時的な編集方法
コピー&新規ファイル作成
手順
- 読み取り専用ファイルを開く
- Ctrl+A で全選択
- Ctrl+C でコピー
- 新しいワークブックを作成
- Ctrl+V で貼り付け
- 新しい名前で保存
注意点
- 数式のリンクが切れる可能性
- 書式設定が一部失われる場合
- マクロは移行されない
内容のテキスト出力
応急的なデータ抽出
- 読み取り専用で開く
- 必要なデータを選択
- Ctrl+C でコピー
- メモ帳やWordに貼り付け
- テキストファイルとして保存
管理者への適切な連絡方法
報告すべき情報
基本情報
1. ファイル名とフルパス
2. エラーメッセージの正確な内容
3. 発生した日時
4. 使用しているExcelのバージョン
5. 最後に正常に編集できた日時
環境情報
1. 使用しているWindows のバージョン
2. ネットワーク接続状況
3. 他のユーザーの編集状況
4. 最近のシステム変更の有無
【よくある質問】トラブルシューティングQ&A

Q1: 読み取り専用を解除したのに、また読み取り専用になる
原因と対策
原因:
- ファイルの保存場所に権限不足
- ウイルス対策ソフトの保護機能
- システムによる自動設定
対策:
1. 管理者権限でExcelを起動
2. 別の場所に保存して確認
3. ウイルス対策ソフトの設定確認
Q2: パスワードを忘れてしまった
対処方法
選択肢:
1. ファイル作成者への確認
2. IT部門への相談
3. 専門ツールの使用(会社の承認要)
4. 新しいファイルとしてデータ移行
Q3: 共有フォルダで頻繁に読み取り専用になる
改善策
技術的対策:
1. ファイルサーバーの性能向上
2. ネットワーク帯域の拡張
3. ファイル同期システムの導入
運用的対策:
1. 編集時間の調整
2. ファイル分割による同時編集の回避
3. バージョン管理システムの導入
Q4: OneDriveで頻繁に同期エラーが発生
解決手順
1. OneDriveの再起動
- タスクバーのOneDriveを右クリック
- 「終了」→再度起動
2. 同期設定のリセット
- OneDrive設定画面を開く
- 「アカウントのリンク解除」
- 再度サインイン
3. ローカルファイルの確認
- ローカルコピーの整合性確認
- 重複ファイルの削除
まとめ
Excelの読み取り専用問題は、原因を正しく特定することで効率的に解決できます。
解決方法の優先順位
第1段階:基本的な確認
- ファイル属性の確認:最も一般的な原因
- 他のユーザーの編集状況:共有環境での確認
- 保護ビューの解除:セキュリティ機能の確認
第2段階:詳細な調査
- Excel内の保護設定:パスワードや推奨設定
- ネットワーク・権限問題:環境固有の問題
- システム設定の確認:レジストリやオプション
第3段階:応急処置
- コピー&新規作成:緊急時の対応
- 管理者への相談:解決困難な場合
- 代替手段の実施:業務継続のための措置
予防策の重要性
日常的な対策
- 定期的なバックアップ:データ保護の基本
- ファイル管理ルール:チーム内での統一
- システム設定の最適化:問題の未然防止
緊急時の準備
- トラブルシューティング手順書:対応の標準化
- 連絡体制の整備:迅速な問題解決
- 代替手段の確保:業務継続性の確保
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