「3600秒って1時間だけど、Excelではどう表現すればいいの?」
業務で秒数を集計する場面は多いですが、そのままでは読みにくく、時刻に変換したいと思うことがあります。
この記事では、Excelで秒を「時間:分:秒」の形式に変換する方法をわかりやすく解説します。
計算式や書式設定など、すぐに使える実例も紹介するので、時間の扱いに迷わなくなります。
秒から時間変換が必要な場面

ビジネスでの活用例
- 動画コンテンツの総再生時間集計
- コールセンターの平均応答時間計算
- 製造ラインの作業時間分析
- Webサイトの滞在時間分析
データの可読性向上
- 「3600秒」→「1:00:00」で直感的に理解
- 長時間データの視覚化
- レポート作成での見やすさ向上
- プレゼンテーション資料での活用
Excelの時間システムの理解
基本の考え方
Excelの時間単位は「1日=1」です。
つまり:
- 1時間=1/24(≒0.041666)
- 1分=1/1440
- 1秒=1/86400
計算の仕組み
1日を基準とした計算
時間単位 | 計算式 | 数値例 |
---|---|---|
1時間 | 1/24 | 0.041666… |
1分 | 1/(24×60) = 1/1440 | 0.000694… |
1秒 | 1/(24×60×60) = 1/86400 | 0.000011… |
この仕組みを使えば、秒数を時間に変換できます。
実用的な変換方法と手順
方法1:数式を使って変換
基本の変換式
例:セルA1に「3600」(秒)と入力されている場合
=A1/86400
詳細手順
- 変換用のセル(例:B1)に数式を入力
- 計算結果が表示される(例:0.041666…)
- セルの表示形式を時刻に変更
書式設定の手順
- 計算結果が入ったセルを右クリック
- 「セルの書式設定」を選択
- 「表示形式」→「ユーザー定義」
[h]:mm:ss
と入力(合計時間が24時間を超える場合に必須)
書式コードの説明
書式コード | 表示例 | 用途 |
---|---|---|
h:mm:ss | 1:00:00 | 24時間未満の時間 |
[h]:mm:ss | 25:30:45 | 24時間以上の累積時間 |
mm:ss | 60:00 | 分と秒のみ表示 |
方法2:TEXT関数で直接変換(表示専用)
表示専用でよければ、TEXT
関数も使えます。
基本構文
=TEXT(A1/86400, "[h]:mm:ss")
TEXT関数のメリット・デメリット
メリット
- セルの書式設定が不要
- 一つの数式で完結
- 複雑な表示形式も指定可能
デメリット
- 結果が文字列扱いになる
- 再計算やグラフ化には不向き
- 数値としての演算ができない
TEXT関数の応用例
=TEXT(A1/86400, "[h]時間mm分ss秒") // 「1時間30分45秒」
=TEXT(A1/86400, "[h]:mm") // 「1:30」(秒省略)
=TEXT(A1/86400, "[mm]:ss") // 「90:45」(分:秒)
複数の秒を合計して時間を出す場合

基本的な合計計算
複数の秒を合計し、それを時間に直すときは以下のようにします。
例:セルA1〜A10に秒数が入っている場合
=SUM(A1:A10)/86400
結果セルの表示形式を[h]:mm:ss
にすれば、合計時間を正確に表示できます。
実践例:作業時間の集計
データ例
A列 | B列 | C列 |
---|---|---|
作業項目 | 秒数 | 時間表示 |
資料作成 | 3600 | =B2/86400 |
会議 | 5400 | =B3/86400 |
メール確認 | 1800 | =B4/86400 |
合計 | =SUM(B2:B4) | =SUM(B2:B4)/86400 |
結果の表示
- 資料作成:1:00:00
- 会議:1:30:00
- メール確認:0:30:00
- 合計:3:00:00
条件付きの時間計算
特定条件での時間集計
SUMIF関数との組み合わせ
=SUMIF(A2:A10,"会議",B2:B10)/86400
「会議」に関する時間のみを合計して時間表示。
複数条件での集計
=SUMIFS(C2:C10,A2:A10,"営業部",B2:B10,"会議")/86400
営業部の会議時間のみを集計。
時間帯別の分析
時間別集計の例
// 午前中(9:00-12:00)の作業時間
=SUMIFS(秒数範囲,開始時刻範囲,">=9:00",開始時刻範囲,"<12:00")/86400
よくあるミスと対策

表示が「0:00:00」になる
原因
計算は正しくても、**表示形式が「標準」や「数値」**のままだと、時間として見えません。
対策
- セルを右クリック
- 「セルの書式設定」
- 「時刻」や「ユーザー定義」の書式を適用
確認方法
- 数式バーで計算結果を確認
- 0.041666…のような小数が表示されていればOK
合計が24時間を超えるとリセットされる
問題の例
25時間30分が「1:30:00」と表示される
原因
時刻書式「h:mm:ss」では24時間以降がカウントされません。
解決策
必ず[h]:mm:ss
を使用してください。
書式の違い
書式 | 25時間30分の表示 |
---|---|
h:mm:ss | 1:30:00(間違い) |
[h]:mm:ss | 25:30:00(正しい) |
計算結果が文字列になってしまう
原因
TEXT関数を使用した場合
対策
- 計算用は数値のまま保持
- 表示用に別途TEXT関数を使用
- または書式設定で対応
高度な時間計算テクニック
分と秒から時間への変換
分を時間に変換
=分数/1440 // 分を日の小数に変換
時、分、秒を個別に指定
=TIME(時,分,秒) // 直接時間を作成
経過時間の計算
開始時刻と終了時刻から秒数を計算
=(終了時刻-開始時刻)*86400
秒数から時間への逆変換
=秒数/86400
時間の四捨五入
分単位での四捨五入
=ROUND(秒数/60,0)/1440 // 分単位で四捨五入後、時間表示
15分単位での切り上げ
=CEILING(秒数/900,1)*900/86400 // 15分単位で切り上げ
実用的な活用例

例1:動画編集で再生時間のトータルを算出
データ構成
動画名 | 長さ(秒) | 時間表示 |
---|---|---|
イントロ | 30 | =B2/86400 |
メインコンテンツ | 1800 | =B3/86400 |
エンディング | 45 | =B4/86400 |
総計 | =SUM(B2:B4) | =SUM(B2:B4)/86400 |
活用ポイント
- 総再生時間の把握
- 制限時間内での調整
- チャプター別の分析
例2:コールセンターで応答時間(秒)をレポート化
集計表の例
// 平均応答時間
=AVERAGE(応答秒数範囲)/86400
// 最長応答時間
=MAX(応答秒数範囲)/86400
// 目標時間以内の件数
=COUNTIF(応答秒数範囲,"<=180") // 3分以内
例3:交通調査などで1日の累積時間を可視化
時間帯別集計
// 時間帯別の滞在時間合計
=SUMIFS(滞在秒数,時刻,">=9:00",時刻,"<10:00")/86400
トラブルシューティング
負の時間が表示される
原因と対策
- 開始時刻が終了時刻より後
- 絶対値を取るかIF関数で条件分岐
=IF(終了-開始<0, 開始-終了, 終了-開始)*86400
異なるタイムゾーンでの計算
時差を考慮した計算
=(現地時刻+(時差/24))*86400
小数点以下の誤差
精度の問題
=ROUND(計算結果,10) // 小数点以下10桁で四捨五入
まとめ
Excelで秒数を時間に変換するには、次の2つがポイントです:
重要なポイント
- 86400で割ること(秒を日の小数に変換)
- 表示形式の設定(
[h]:mm:ss
を使用)
使い分けのガイド
- 計算が必要: 数式 + 書式設定
- 表示のみ: TEXT関数
- 24時間超:
[h]:mm:ss
必須 - 文字列での表示: TEXT関数が便利
活用のメリット
- データの可読性向上
- 正確な時間管理
- 効率的なレポート作成
- 分析の精度向上
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