「Excelで資料を印刷したら、余計な白紙が印刷されてしまった」
「必要な部分だけ印刷したいのに、用紙が何枚も出てきた」
こんな経験はありませんか?
印刷範囲設定でよくある困りごと
- 空白ページが大量に印刷される
- 必要のない列や行まで印刷される
- 印刷したい部分が途中で切れてしまう
- 何ページ印刷されるかわからない
Excelでは印刷範囲の設定を正しく行わないと、思わぬ部分まで印刷されてしまうことが多いです。
でも、適切な設定方法を知っていれば、これらの問題はすべて解決できます。
この記事で身につくスキル
- 印刷範囲の基本的な設定方法
- 不要な白紙印刷を防ぐテクニック
- 複数範囲の効率的な選択方法
- トラブル発生時の対処法
印刷範囲の基本概念と重要性

印刷範囲とは何か
印刷範囲の定義
印刷範囲とは、Excelシート内で実際に印刷したい部分をあらかじめ指定しておく機能のことです。
この設定により、指定した範囲のみが印刷され、その他の不要な部分(空白セルや作業用データ)は除外されます。
なぜ印刷範囲設定が必要なのか
Excelは表計算ソフトのため、画面上で作業しやすいよう広大なワークシートが用意されています。
印刷範囲を指定しないと、データがある最後の行・列まですべて印刷対象となってしまいます。
よくある印刷トラブルの原因
空白ページが印刷される理由
- 見えない位置にスペースや数式が残っている
- セルの書式設定(背景色、罫線)が広範囲に適用されている
- グラフやコメントが遠いセルに配置されている
- 意図しない改ページが設定されている
具体的なトラブル例 請求書を印刷したつもりが、その下の空白行や作業用メモまで印刷範囲に含まれて、10ページも出力されてしまうケースは珍しくありません。
印刷範囲設定のメリット
コスト削減効果
- 用紙代の節約
- インクやトナーの節約
- 印刷時間の短縮
- 環境負荷の軽減
業務効率の向上
- 必要な資料のみを確実に印刷
- 再印刷の手間削減
- 資料整理の簡素化
基本的な印刷範囲設定の詳細手順

ステップ1:印刷したい範囲の正確な選択
範囲選択の基本操作
- マウスを使った範囲選択
- 開始セル(例:A1)をクリック
- ドラッグして終了セル(例:F20)まで選択
- 選択範囲が青色でハイライト表示される
- キーボードを使った効率的な選択
- 開始セルをクリック
- Shiftキーを押しながら終了セルをクリック
- Ctrl+Shift+矢印キーで一気に範囲拡張
範囲選択のコツ
- データの境界を正確に把握する
- 見出し行と内容行をセットで選択
- 余分な空白行・列は除外する
選択範囲の確認方法 画面左下の「選択範囲」表示で、何行何列が選択されているかを確認できます。
ステップ2:印刷範囲の設定実行
設定手順の詳細
- 「ページレイアウト」タブをクリック
- 「ページ設定」グループの「印刷範囲」をクリック
- ドロップダウンメニューから「印刷範囲の設定」を選択
- 選択範囲の周囲に点線が表示される
設定完了の確認 印刷範囲が正しく設定されると、以下の変化が起こります:
- 選択範囲の周囲に青い点線が表示
- 範囲外のセルが薄くグレー表示
- 印刷プレビューで指定範囲のみ表示
ステップ3:印刷プレビューでの最終確認
プレビュー画面の活用
- 「ファイル」→「印刷」をクリック
- 右側のプレビュー画面で印刷イメージを確認
- ページ数が適切かチェック
- 内容の切れや欠けがないか確認
確認すべきポイント
- 必要なデータがすべて含まれているか
- 不要な空白ページがないか
- 見出しや重要な情報が欠けていないか
- ページ数が予想通りか
印刷範囲の変更と解除方法
印刷範囲の再設定
既存範囲の変更手順
- 新しい範囲を選択
- 「印刷範囲の設定」を再実行
- 前の設定は自動的に上書きされる
範囲の拡張や縮小
設定済みの印刷範囲を微調整したい場合は、範囲を選択し直してから再設定すると簡単です。
印刷範囲の完全解除
解除手順の詳細
- 「ページレイアウト」タブをクリック
- 「印刷範囲」→「印刷範囲のクリア」を選択
- 点線が消えて、シート全体が印刷対象に戻る
解除後の動作
印刷範囲をクリアすると、Excelが自動的にデータがある範囲を印刷対象として認識します。
再設定が必要な場面
- 印刷範囲を間違えて設定した場合
- 一時的に全体を印刷したい場合
- データの範囲が大きく変更された場合
複数範囲の印刷設定テクニック

離れた範囲の同時選択
Ctrlキーを使った複数選択
- 最初の範囲をドラッグで選択
- Ctrlキーを押し続ける
- 2番目の範囲をドラッグで追加選択
- 必要に応じて3番目、4番目の範囲も追加
具体的な活用例
売上表で「商品名の列(A列)」と「売上金額の列(F列)」だけを印刷したい場合に便利です。
複数範囲印刷の注意点
プリンターによる制限
- 一部のプリンターでは複数範囲の印刷に対応していない
- 範囲ごとに別々のページに印刷される場合がある
- レイアウトが崩れる可能性がある
推奨される対処法 複数範囲を印刷したい場合は、以下の方法が確実です:
- 必要な部分だけを新しいシートにコピー
- そのシートで印刷範囲を設定
- 通常の印刷を実行
印刷範囲の名前付け管理
名前の定義機能の活用
- 印刷範囲を選択
- 「数式」タブ→「名前の定義」をクリック
- わかりやすい名前を付ける(例:「請求書印刷範囲」)
- 後から「名前ボックス」で簡単に選択可能
メリット
- 複雑な範囲を簡単に再選択
- 複数の印刷パターンを管理
- マクロでの自動化に活用
データ範囲の自動認識と最適化
データ範囲の確認方法
最終セルの特定 Ctrl + End キーを押すと、Excelが認識している「データがある最後のセル」に移動します。予想より遠いセルに移動した場合、そこに不要なデータが残っている可能性があります。
データ範囲のクリーンアップ
- 不要な行・列を特定
- 行・列全体を選択して削除
- 空白セルの書式設定をクリア
- 隠れたオブジェクトの削除
自動的な印刷範囲設定
現在の領域の活用
- データがあるセルをひとつクリック
- Ctrl + A で現在の領域を自動選択
- 「印刷範囲の設定」を実行
テーブル機能との連携
- データ範囲を「テーブル」として書式設定
- テーブル全体が自動的に印刷範囲として認識
- データの追加・削除に自動対応
トラブルシューティングと対処法

よくある印刷範囲の問題
問題1:印刷範囲を設定したのに白紙が出る
- 原因:見えない位置にデータや書式が残っている
- 解決法:Ctrl + End で最終セルを確認、不要部分を削除
問題2:必要な部分が印刷されない
- 原因:印刷範囲が狭すぎる
- 解決法:範囲を再選択して設定し直し
問題3:印刷範囲設定が保存されない
- 原因:ファイルが保存されていない
- 解決法:Ctrl + S でファイルを保存
高度なトラブル対処法
隠れたオブジェクトの削除
- 「ホーム」タブ→「検索と選択」→「オブジェクトの選択」
- 見えないオブジェクトを選択して削除
- 印刷範囲を再設定
書式設定のクリア
- 問題のある範囲を選択
- 「ホーム」タブ→「クリア」→「すべてクリア」
- 必要な書式を再設定
印刷範囲設定の応用テクニック
条件付き印刷範囲
フィルター機能との組み合わせ
- データにオートフィルターを適用
- 印刷したい条件で絞り込み
- 表示されている範囲のみを印刷範囲に設定
動的な印刷範囲 数式を使って、データの増減に自動対応する印刷範囲を作成できます。
マクロによる自動化
印刷範囲設定の自動化
頻繁に使う印刷パターンをマクロで自動化すると、作業効率が大幅に向上します。
基本的なマクロ例
Sub 印刷範囲設定()
Range("A1:F20").Select
ActiveSheet.PageSetup.PrintArea = "$A$1:$F$20"
End Sub
プロフェッショナルな印刷設定
印刷タイトルとの組み合わせ
- 印刷範囲を設定
- 「印刷タイトル」で見出し行を指定
- 複数ページでも見やすい資料を作成
ヘッダー・フッターとの連携
印刷範囲と併せてヘッダー・フッターを設定することで、より完成度の高い資料を作成できます。
よくある質問と回答

基本的な疑問
Q: 印刷範囲を設定したファイルを他の人に渡すとどうなる?
A: 印刷範囲の設定はファイルに保存されるため、受け取った人のExcelでも同じ範囲が印刷されます。
Q: 印刷タイトルと印刷範囲の違いは?
A: 印刷範囲は「どの部分を印刷するか」を決める機能です。印刷タイトルは「複数ページにわたる場合に見出し行・列を毎ページに表示する」機能です。
Q: 印刷範囲は何個まで設定できる?
A: 基本的には1つのシートに1つの印刷範囲ですが、Ctrlキーで複数範囲を選択することで複数箇所を設定できます。
高度な質問
Q: 印刷範囲を数式で動的に変更できる?
A: VBAマクロや名前の定義機能を使用することで、データの増減に応じて自動的に印刷範囲を調整することが可能です。
Q: 印刷範囲設定後にデータを追加した場合は?
A: 印刷範囲は固定されているため、新しいデータは印刷範囲に含まれません。範囲を再設定する必要があります。
まとめ:効率的な印刷範囲活用術
重要ポイントの振り返り
基本操作の習得
- 正確な範囲選択の方法
- 印刷範囲設定・解除の手順
- 印刷プレビューでの確認作業
トラブル予防策
- データ範囲の事前確認
- 不要な空白セル・書式の削除
- 定期的なファイルのクリーンアップ
業務効率化のポイント
- よく使う範囲の名前付け管理
- マクロによる自動化
- プリンター設定との連携
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