Excelで表を作るとき、セルを色で塗りつぶして見やすくしますよね。データの分類や重要な部分の強調など、色分けは作業効率を大きく向上させる便利な機能です。
でもいざ印刷すると「背景色まで印刷されてインクがもったいない」「モノクロ印刷だと逆に見づらい」と感じたことはありませんか?
この記事では、Excelで塗りつぶし(背景色)を画面では表示したまま、印刷では反映させない方法を詳しく解説します。普段の作業では色で見やすく、印刷はシンプルに仕上げたい方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- Excel塗りつぶしの印刷時の動作
- 4つの主要な印刷回避方法
- 条件付き書式を活用した効果的な代替案
- 業務シーン別の最適な使い分け
Excelでは塗りつぶしは通常そのまま印刷される

標準の印刷動作
Excelのセルの「塗りつぶし」は、印刷するときに自動で省略されることはありません。そのため、普段画面で見ている通り、色付きのまま紙に印刷されます。
なぜ問題になるのか
インクコストの問題
- カラーインクの大量消費:背景色が広範囲にあると印刷コストが急増
- トナーの無駄遣い:レーザープリンターでも同様の問題
- 印刷時間の増加:色の処理により印刷速度が低下
読みやすさの問題
- モノクロ印刷での視認性低下:色の区別ができない
- 紙質による色の変化:普通紙では色が暗く見える場合
- コピー時の劣化:色付き部分が黒くなる場合
業務上の問題
- 正式文書での不適切感:カジュアルすぎる印象
- 印刷枚数制限:オフィスでの印刷ルール違反
- 環境への配慮:ペーパーレス化の流れに逆行
塗りつぶしを印刷しない方法
方法1:印刷オプションで「白黒印刷」にする
基本的な設定方法
最も簡単で確実な方法は、Excel または プリンター設定で白黒印刷を指定することです。
Excel側での設定
- 「ファイル」→「印刷」をクリック
- プリンターの下にある「設定」を確認
- 「カラー」または「モノクロ印刷」の選択肢を探す
- 「モノクロ印刷」または「白黒で印刷」を選択
プリンタードライバーでの設定
- 「プリンターのプロパティ」をクリック
- 「カラー」または「詳細設定」タブを選択
- 「グレースケール」または「モノクロ」を選択
- 設定を保存して印刷実行
設定のメリット・デメリット
メリット
- 操作が簡単:数クリックで設定完了
- 確実に色が除去される:全ての色要素が白黒変換
- インク節約効果が高い:カラーインクを一切使用しない
デメリット
- すべてが白黒になる:必要な色まで消える場合
- プリンター依存:機種により設定項目が異なる
- 画像も白黒化:グラフや写真も影響を受ける
プリンター別の設定例
Canon プリンターの場合
- 「印刷品質」タブを選択
- 「グレースケール印刷」にチェック
- 「OK」で設定完了
EPSON プリンターの場合
- 「基本設定」タブを選択
- 「カラー」から「モノクロ」を選択
- 「詳細設定」で細かい調整も可能
HP プリンターの場合
- 「カラー」タブを選択
- 「グレースケールで印刷」を選択
- 「適用」で設定を保存
方法2:塗りつぶしの代わりに「罫線」や「パターン」を使う
罫線を活用した代替案
塗りつぶしを使わず、罫線(ボーダー)だけで区切りをつける方法です。
罫線設定の詳細手順
- 対象セルまたは範囲を選択
- 「ホーム」タブ→「罫線」ボタンをクリック
- 「その他の罫線」を選択
- 線の種類・太さ・色を設定
- 「OK」で設定完了
効果的な罫線の使い方
- 太い罫線:重要な区切りに使用
- 点線:補助的な区切りに使用
- 二重線:特別な意味のある区切りに使用
- 色付き罫線:白黒印刷でも太さで区別可能
パターン(網掛け)の活用
パターン設定の手順
- セルを選択後、右クリック
- 「セルの書式設定」を選択
- 「塗りつぶし」タブをクリック
- 「パターンの色」と「パターン」を設定
- 「OK」で適用
印刷に適したパターン
- 薄い網掛け:背景として目立ちすぎない
- 斜線パターン:特定の意味を持たせる場合
- 点線パターン:軽い強調に適している
方法3:印刷前だけ塗りつぶしを一時的にクリアする
一括クリアの詳細手順
確実で柔軟性が高い方法として、印刷直前に背景色を一括でクリアする方法があります。
全体クリアの手順
- Ctrl + A で全セル選択
- 「ホーム」→「塗りつぶしの色」→「塗りつぶしなし」
- 印刷を実行
- 印刷後、Ctrl + Z(元に戻す)で復元
部分的クリアの手順
- クリアしたい範囲のみを選択
- 「ホーム」→「塗りつぶしの色」→「塗りつぶしなし」
- 印刷実行後、Ctrl + Z で復元
より効率的な操作方法
検索と置換を使った高速クリア
- Ctrl + H で「検索と置換」を開く
- 「オプション」→「書式」をクリック
- 「検索する書式」で塗りつぶし色を指定
- 「置換後の書式」で「塗りつぶしなし」を指定
- 「すべて置換」で一括変更
マクロを使った自動化
Sub ClearFillColor()
Range("A:Z").Interior.Color = xlNone
End Sub
Sub RestoreFillColor()
' 元の色に戻すマクロ(事前に色情報を保存しておく必要あり)
End Sub
方法4:条件付き書式で印刷対応の色設定
条件付き書式の活用メリット
画面では色分け、印刷では控えめな表示を実現できる最も柔軟な方法です。
基本的な設定手順
- 色分けしたいセル範囲を選択
- 「ホーム」→「条件付き書式」→「新しいルール」
- 「数式を使用して書式設定するセルを決定」を選択
- 条件式を入力(例:
=A1<>""
空白でない場合) - 「書式」ボタンで薄い色を設定
印刷に適した色の選択
推奨色パターン
- 薄いグレー(25%):モノクロ印刷でも自然
- 薄い青(10%):画面では見やすく、印刷では目立たない
- 薄い黄色(15%):暖かみがあり、印刷時も上品
避けるべき色
- 濃い原色:インク消費が激しい
- 暗い色:モノクロ印刷で真っ黒になる
- 鮮やかな色:印刷時に予想外の色変化
複数条件での色分け例
データ種別による色分け
条件1: 売上データ → 薄い青(10%)
条件2: 予算データ → 薄い緑(10%)
条件3: 実績データ → 薄い黄(10%)
値による色分け
条件1: 値 > 100 → 薄いピンク(15%)
条件2: 値 < 50 → 薄いグレー(20%)
条件3: その他 → 色なし
業務シーン別の最適な使い分け

社内資料での活用
日常的な作業資料
- 画面作業重視:鮮やかな色で作業効率を向上
- 印刷は白黒設定:コスト削減を優先
- 条件付き書式:データの更新に応じて自動色分け
会議資料
- 薄い色での条件付き書式:画面でも印刷でも適切
- 重要部分のみ色付け:メリハリのある資料
- 印刷前の確認:プレビューで最終チェック
外部提出資料での活用
正式な報告書
- 色の使用を最小限に:プロフェッショナルな印象
- 罫線主体の設計:色に依存しない見やすさ
- 印刷前クリア:確実に色を除去
プレゼンテーション資料
- 画面表示では色豊か:視覚的なインパクト
- 配布用は白黒:資料として配布する場合
- 2つのバージョン管理:画面用と印刷用を分離
データ分析での活用
大量データの管理
- 条件付き書式でのハイライト:異常値の自動検出
- 印刷時は数値重視:色より数値の見やすさを優先
- 部分的な色使用:必要最小限の範囲のみ
レポート作成
- 薄い背景色:データの分類表示
- 印刷設定の統一:チーム内でのルール決め
- テンプレート化:効率的な作業フロー
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
設定しても色が印刷される
原因と対策:
- プリンタードライバーが古い:最新版にアップデート
- Excel の設定が残っている:印刷設定をリセット
- PDF化してから印刷:中間ファイル経由での印刷
必要な色まで消えてしまう
原因と対策:
- 一括設定の影響:部分的な設定に変更
- 条件付き書式の誤設定:条件を見直し
- 色の重要度を事前整理:必須色と装飾色を分別
印刷プレビューと実際の印刷が違う
原因と対策:
- プリンター固有の設定:機種別マニュアルを確認
- 用紙設定の影響:用紙種類の設定を確認
- 色管理設定:カラープロファイルの調整
事前確認のチェックリスト
印刷前の確認項目
- [ ] 印刷プレビューで色の状態を確認
- [ ] プリンター設定(カラー/モノクロ)を確認
- [ ] 必要な色情報が失われていないか確認
- [ ] インク残量とコスト計算
- [ ] 用紙の種類と印刷品質設定
設定後の動作確認
- [ ] 1ページ試し印刷の実行
- [ ] 他のシートへの影響確認
- [ ] 保存された設定の確認
- [ ] 次回印刷時の設定継承確認
より効率的な運用のコツ
テンプレート活用
印刷用テンプレートの作成
- 色使いルールを決める:薄い色のみ使用
- 条件付き書式を設定:自動的に印刷対応
- テンプレートとして保存:.xltx形式で保存
チーム内での標準化
- 色使いガイドライン:使用可能色の制限
- 印刷設定の統一:全員が同じ設定を使用
- 研修とマニュアル:操作方法の共有
マクロによる自動化
印刷時の自動色除去
Sub PrintWithoutColors()
' 現在の色を記憶
Dim originalColors As Variant
' 色を一時的に除去
Range("A:Z").Interior.Color = xlNone
' 印刷実行
ActiveSheet.PrintOut
' 色を復元(実際の実装では詳細な復元処理が必要)
End Sub
ワンクリック切り替え
- 色表示切り替えボタン:フォームコントロールで作成
- 印刷モード切り替え:表示用と印刷用の自動切り替え
- 設定保存機能:ユーザー設定の記憶
まとめ
Excelの塗りつぶしは、設定しない限りそのまま印刷されますが、適切な方法で印刷時のみ非表示にすることができます。
4つの主要な方法
- 印刷設定で白黒化:最も簡単で確実
- 罫線・パターンで代用:デザイン性を保持
- 印刷前の一時クリア:柔軟性が高い
- 条件付き書式の活用:最も効率的で自動化可能
使い分けの指針
- 日常業務:印刷設定での白黒化が効率的
- 正式文書:条件付き書式による薄い色使用
- 大量印刷:事前クリアによるコスト削減
- 共有資料:テンプレート化による標準化
効果的な運用のために
- 作業効率:画面では色豊かに表示
- コスト削減:印刷時のインク節約
- 品質向上:プロフェッショナルな印刷物
- 環境配慮:無駄なインク使用の削減
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