Excel(エクセル)で表を作っているとき、「計算の結果0になったセルがずらっと並んで見づらい」「まだデータが入っていないのに、0が並んでしまう」こんな経験はありませんか?
実はExcelには、0を表示しないための簡単な方法がいくつかあります。この記事では、代表的なやり方を目的別にわかりやすく解説します。
この記事で学べる内容:
- 表示形式を使った0の非表示方法
- IF関数を使った条件付き表示
- シート全体での0非表示設定
- 状況に応じた最適な方法の選び方
- 注意点とトラブル対処法
「見やすい表を作りたい」「データ入力の効率を上げたい」と思っている方は、ぜひ最後まで読んでください。
なぜ0を表示しないのか?

0が表示される理由
Excelでは、以下のような場合に0が表示されます:
計算結果が0になる場合
- 引き算の結果: 100-100=0
- 掛け算の結果: 5×0=0
- 空白セルの計算: 空白セル同士の計算は0になる
初期値として0が設定される場合
- 数値入力後の削除: 数値を削除すると0になることがある
- テンプレートの初期値: あらかじめ0が入力されている
- 他のシートからの参照: 参照先が空白だと0になる
0を隠すメリット
見た目の改善
- スッキリした表: 不要な0がないため見やすい
- 重要な数値の強調: 実際の値が目立つ
- プロフェッショナルな印象: 完成度の高い資料に見える
データ管理の効率化
- 入力状況の把握: 未入力と0の区別ができる
- 計算ミスの発見: 意図しない0を見つけやすい
- 印刷時の節約: 無駄な0を印刷しない
方法1:表示形式で0を非表示にする
基本的な手順
この方法は、セルの値は変えずに表示だけを変更する方法です。
ステップ1:セル範囲を選択
- 0を隠したいセル範囲をドラッグして選択
- 複数の範囲を選択したい場合は、Ctrlキーを押しながら選択
ステップ2:セルの書式設定を開く
- 選択したセルで右クリック
- 「セルの書式設定」をクリック
- または、Ctrl+1のショートカットキーを使用
ステップ3:表示形式を設定
- 「表示形式」タブをクリック
- 「ユーザー定義」を選択
- 種類の欄に以下を入力:
0;-0;;@
- 「OK」をクリック
表示形式コードの説明
0;-0;;@
の意味
- 最初の0: 正の数の表示形式
- 2番目の-0: 負の数の表示形式
- 3番目の空白: ゼロの表示形式(空白なので非表示)
- 4番目の@: 文字列の表示形式
カスタマイズ例
小数点以下を表示したい場合
#,##0.00;-#,##0.00;;@
通貨記号を付けたい場合
¥#,##0;¥-#,##0;;@
パーセント表示にしたい場合
0.00%;-0.00%;;@
この方法のメリット・デメリット
メリット
- 計算に影響しない: セルの値は0のまま
- 柔軟な設定: 正数・負数・ゼロ・文字列を個別に設定可能
- 元に戻しやすい: 表示形式を変更するだけで復元
デメリット
- 範囲指定が必要: 対象セルを個別に設定する必要
- 新しいセルには適用されない: 後から追加したセルには手動で設定が必要
- 設定を忘れやすい: どのセルに適用したか分からなくなる
方法2:IF関数を使って0を空白にする

基本的な使い方
計算式を使っている場合は、IF関数で0のときだけ空白にできます。
基本の書式
=IF(計算式=0,"",計算式)
具体例
引き算の結果が0なら空白
=IF(A1-B1=0,"",A1-B1)
合計が0なら空白
=IF(SUM(A1:A10)=0,"",SUM(A1:A10))
平均が0なら空白
=IF(AVERAGE(A1:A10)=0,"",AVERAGE(A1:A10))
より高度な使い方
複数条件での空白表示
=IF(OR(A1=0,A1=""),"",A1)
この式は、A1が0または空白の場合に空白を表示します。
エラー処理も含める
=IF(OR(ISERROR(A1/B1),A1/B1=0),"",A1/B1)
計算エラーまたは結果が0の場合に空白を表示します。
文字列と組み合わせる
=IF(A1=0,"",A1&"個")
0でない場合のみ「個」を付けて表示します。
実用的な活用例
見積書での利用
=IF(数量*単価=0,"",数量*単価)
数量または単価が0の場合、金額欄を空白にします。
在庫管理での利用
=IF(入庫-出庫=0,"未設定",入庫-出庫)
在庫が0の場合は「未設定」と表示します。
売上分析での利用
=IF(今月売上-前月売上=0,"変化なし",今月売上-前月売上)
売上に変化がない場合は「変化なし」と表示します。
方法3:ワークシート全体で0を表示しない
Windows版Excelでの設定
大量のデータがある場合は、シート全体の設定でまとめて非表示にできます。
Excel 2019/2016/2013の場合
- 「ファイル」→「オプション」をクリック
- 「詳細設定」を選択
- 「次のシートで作業するときの表示設定」の項目を探す
- 「ゼロ値のセルにゼロを表示する」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
Excel 2010の場合
- 「ファイル」→「オプション」をクリック
- 「詳細設定」を選択
- 「次のワークシートで作業するときの表示オプション」を探す
- 「ゼロ値のセルにゼロを表示する」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
Mac版Excelでの設定
Excel for Macの場合
- 「Excel」→「環境設定」をクリック
- 「表示」を選択
- 「ゼロ値を表示する」のチェックを外す
- 設定画面を閉じる
この方法の特徴
適用範囲
- 現在のワークシートのみ: 設定したシートだけに適用
- すべてのセル: 新しく作成するセルにも自動適用
- 既存データにも適用: 設定と同時に反映
注意点
- シートごとの設定: 他のシートには影響しない
- ファイルに保存: 設定はファイルと一緒に保存される
- 共有時の注意: 他の人が開いても同じ設定が適用される
状況に応じた最適な方法の選び方

用途別の推奨方法
見積書・請求書を作る場合
- 推奨: IF関数を使った方法
- 理由: 金額が0の項目を空白にして見やすくする
- 例:
=IF(数量*単価=0,"",数量*単価)
大量のデータを扱う場合
- 推奨: シート全体での設定
- 理由: 一度の設定ですべてのセルに適用
- 注意: データの入力状況が分からなくなる可能性
一部のセルだけ調整したい場合
- 推奨: 表示形式を使った方法
- 理由: 必要な部分だけピンポイントで設定
- メリット: 計算には影響しない
レポートや資料を作る場合
- 推奨: 表示形式またはIF関数
- 理由: 見た目を重視しつつ、データの整合性を保つ
- 考慮点: 印刷時の見た目も確認する
判断基準
データの性質で選ぶ
- 計算結果: IF関数が適している
- 入力データ: 表示形式が適している
- 一時的な表示: シート全体設定が適している
作業効率で選ぶ
- 少数のセル: 表示形式で個別設定
- 多数のセル: シート全体設定で一括変更
- 複雑な条件: IF関数で詳細制御
注意点とトラブル対処法
よくある注意点
データの混同
- 問題: 0なのか未入力なのか区別がつかない
- 対処: 別の方法で入力状況を管理する
- 解決例: 入力チェック用の別シートを作成
計算への影響
- 問題: 0が見えないため計算ミスに気づかない
- 対処: 定期的に表示形式を戻してチェック
- 解決例: 検証用のシートを別途作成
印刷時の問題
- 問題: 画面では見えるが印刷では0が表示される
- 対処: 印刷プレビューで事前確認
- 解決例: 印刷専用のシートを作成
トラブルシューティング
設定が反映されない場合
原因1:セルの種類が違う
- 確認方法: セルの内容を確認(数値か文字列か)
- 対処法: 値を数値に変換する
原因2:表示形式が正しくない
- 確認方法: 表示形式の設定を再確認
- 対処法: 正しいコードを再入力
原因3:条件式が間違っている
- 確認方法: IF関数の条件を確認
- 対処法: 条件式を修正
元に戻したい場合
表示形式を戻す方法
- 対象セルを選択
- 右クリック→「セルの書式設定」
- 「表示形式」→「標準」を選択
- 「OK」をクリック
シート全体設定を戻す方法
- 「ファイル」→「オプション」
- 「詳細設定」を選択
- 「ゼロ値のセルにゼロを表示する」にチェック
- 「OK」をクリック
IF関数を修正する方法
=IF(A1=0,"",A1)
を
=A1
に変更
応用テクニック

条件付き書式との組み合わせ
0のセルに色を付ける
- セル範囲を選択
- 「ホーム」→「条件付き書式」
- 「新しいルール」を選択
- 「数式を使用してセルを決定」
- 数式に
=$A1=0
を入力 - 書式を設定して「OK」
0以外のセルを強調する
- セル範囲を選択
- 「ホーム」→「条件付き書式」
- 「セルの強調表示ルール」→「指定の値より大きい」
- 値に0を入力
- 書式を選択して「OK」
マクロを使った自動化
0を自動で空白に変換するマクロ
Sub HideZeros()
Dim rng As Range
Set rng = Selection
rng.NumberFormat = "0;-0;;@"
End Sub
0の表示・非表示を切り替えるマクロ
Sub ToggleZeroDisplay()
If ActiveSheet.DisplayZeros = True Then
ActiveSheet.DisplayZeros = False
Else
ActiveSheet.DisplayZeros = True
End If
End Sub
グラフでの0値の扱い
グラフから0を除外する方法
- グラフを選択
- 「グラフツール」→「デザイン」
- 「データの選択」をクリック
- 「非表示および空のセル」をクリック
- 「空のセルの表示方法」で「値なし(空白)」を選択
まとめ
Excelで0を表示しない方法は、大きく分けて以下の3つがあります:
主な方法
表示形式を使った方法
- 適用場面: 一部のセルだけ調整したい場合
- メリット: 計算に影響せず、柔軟な設定が可能
- 設定:
0;-0;;@
をユーザー定義に入力
IF関数を使った方法
- 適用場面: 計算式で条件を指定したい場合
- メリット: 複雑な条件を設定できる
- 書式:
=IF(計算式=0,"",計算式)
シート全体での設定
- 適用場面: 大量のデータを一括で処理したい場合
- メリット: 一度の設定で全セルに適用
- 設定: オプション→詳細設定→ゼロ値表示のチェックを外す
選択のポイント
使い分けの基準
- 少数のセル: 表示形式で個別設定
- 計算結果: IF関数で条件設定
- 大量のデータ: シート全体設定で一括処理
注意すべき点
- データの混同: 0と未入力の区別
- 計算への影響: 見えない0による計算ミス
- 共有時の配慮: 他の人が見るときの分かりやすさ
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