Excel(エクセル)で表を作っていると、「この値と違うものだけを表示したい」「〇〇ではないデータを計算したい」そんな場面はよくあります。
数学では「≠」を使いますが、Excelには直接その記号はありません。代わりに<>
を使うのがExcelのルールです。
この記事では次の内容をわかりやすく解説します:
- Excelにおける「ノットイコール(≠)」の正しい書き方
- IF関数やCOUNTIF、条件付き書式での使い方
- 空白判定など実務で役立つ例
ノットイコールが必要になる場面

データ分析での活用
- 特定の商品を除いた売上集計
- 不正データの除外
- 完了していないタスクの抽出
品質管理での活用
- 規格外商品の特定
- エラーデータの検出
- 未入力項目のチェック
条件分岐での活用
- 例外処理の設定
- デフォルト値以外の処理
- 特別なケースの判定
Excelでのノットイコールの基本
Excelで「≠」はどう書く?
Excelで「AはBではない」という条件は次のように書きます:
A <> B
これは「not equal(イコールではない)」を意味します。
ポイント
- 数学の≠ではなく
<>
を使う <
(小なり)と>
(大なり)の組み合わせ- 文字の間にスペースは入れない
基本的な比較例
比較内容 | 式 | 結果 |
---|---|---|
5は3ではない | 5 <> 3 | TRUE |
“A”は”A”ではない | "A" <> "A" | FALSE |
空白は”ABC”ではない | "" <> "ABC" | TRUE |
実際の使い方
IF関数で「〇〇ではない」を判定
例えば、A1が「りんご」でないときに「NG」と表示し、そうでなければ「OK」としたい場合:
=IF(A1 <> "りんご", "NG", "OK")
これで「りんご」以外なら「NG」、そうでなければ「OK」が返ります。
より実践的な例
在庫管理での活用
=IF(B1 <> "在庫あり", "発注必要", "発注不要")
勤怠管理での活用
=IF(C1 <> "出勤", "要確認", "正常")
COUNTIFで「〇〇以外の数を数える」
例えば、商品リストの中で「バナナ以外」の数を数えたいときは:
=COUNTIF(B:B, "<>バナナ")
このように"<>"
を文字列の前につけると、「バナナではないもの」の数を数えます。
複数の除外条件
バナナとりんご以外を数える
=COUNTIFS(B:B, "<>バナナ", B:B, "<>りんご")
数値での除外例
=COUNTIF(A:A, "<>0") // 0以外の数を数える
=COUNTIF(A:A, "<>100") // 100以外の数を数える
ノットイコールの応用例

空白以外を判定する
セルが空白でないかを確認するときによく使います:
=IF(A1 <> "", "入力あり", "未入力")
データ入力チェックなどで非常に便利です。
より詳細な空白チェック
スペースだけの入力も除外
=IF(TRIM(A1) <> "", "入力あり", "未入力")
数値の空白チェック
=IF(A1 <> "", A1*1.1, "未入力")
条件付き書式で色を変える
例えば「商品名が『みかん』ではないものを色付けしたい」場合:
- 範囲を選択
- 「ホーム」タブ →「条件付き書式」→「新しいルール」
- 「数式を使用して書式設定する」を選択
- 次の数式を入力
=A1 <> "みかん"
これで「みかん」以外のセルが自動的に色付きになります。
条件付き書式の応用例
予算オーバーの項目を赤色表示
=B1 <> "予算内"
未完了タスクを黄色表示
=C1 <> "完了"
エラーデータを強調表示
=D1 <> "正常"
VLOOKUP関数との組み合わせ
エラー処理での活用
=IF(VLOOKUP(A1,表,2,0) <> "#N/A", VLOOKUP(A1,表,2,0), "該当なし")
より安全なVLOOKUP
=IF(A1 <> "", VLOOKUP(A1,表,2,0), "")
空白の場合はVLOOKUPを実行せず、エラーを防げます。
フィルター機能での活用

オートフィルターでの除外
- データ範囲を選択
- 「データ」タブ → 「フィルター」
- 列見出しの▼をクリック
- 「テキストフィルター」 → 「指定の値に等しくない」
- 除外したい値を入力
詳細設定フィルターでの活用
複雑な条件でのフィルタリングも可能です:
商品名 | 価格 |
---|---|
<> バナナ | >100 |
この条件表を使って「バナナ以外で100円より高い商品」を抽出できます。
よくある質問
≠(ノットイコール)の記号を直接入力できないの?
A. Excelの数式では≠
は使えません。代わりに<>
を使うと覚えておきましょう。
ただし、セルに文字として≠
を入力することは可能です:
- Windowsの場合:
Alt + 8800
- 文字コード表から挿入
AND・OR と組み合わせて複雑な条件を作れますか?
もちろん可能です。
AND条件の例
「A1がりんごではなく、かつB1が100より大きい」
=AND(A1 <> "りんご", B1 > 100)
OR条件の例
「A1がりんごではない、またはB1が100より大きい」
=OR(A1 <> "りんご", B1 > 100)
より複雑な条件
=AND(A1 <> "", B1 <> "エラー", C1 > 0)
「A1が空白でなく、B1がエラーでなく、C1が0より大きい」
数値での不等号との使い分け
等しくない(<>)
=A1 <> 100 // A1が100ではない
より大きい・より小さい
=A1 > 100 // A1が100より大きい
=A1 < 100 // A1が100より小さい
=A1 >= 100 // A1が100以上
=A1 <= 100 // A1が100以下
組み合わせ例
=AND(A1 <> 0, A1 > 50) // 0ではなく、50より大きい
実務での活用例

売上分析
=SUMIF(B:B, "<>返品", C:C) // 返品以外の売上合計
顧客管理
=COUNTIF(D:D, "<>退会済み") // 退会済み以外の顧客数
在庫管理
=IF(E1 <> "廃番", F1, 0) // 廃番でなければ在庫数を表示
勤怠管理
=COUNTIFS(A:A, "<>", B:B, "<>休暇") // 氏名が入力されていて休暇でない日数
エラー対策とトラブルシューティング
よくあるエラー
全角・半角の違い
"ABC" <> "ABC" // TRUE(全角と半角は違う文字)
余分なスペース
"ABC" <> "ABC " // TRUE(末尾にスペースがある)
数値と文字列の違い
100 <> "100" // TRUE(数値と文字列は違う)
対策方法
TRIM関数でスペース除去
=TRIM(A1) <> TRIM(B1)
VALUE関数で数値変換
=VALUE(A1) <> VALUE(B1)
まとめ
Excelで「ノットイコール(≠)」を表すには<>
を使います。
主な活用場面
- IF関数やCOUNTIF、条件付き書式で幅広く利用可能
- 空白チェックにも使える
- AND・ORと組み合わせて複雑な条件も作れる
- フィルター機能でのデータ絞り込み
- VLOOKUP関数のエラー処理
覚えておきたいポイント
<>
は「等しくない」を意味する- 文字列の場合は
"<>値"
の形で使う - 空白チェックは
<> ""
が便利 - 全角・半角、スペースに注意
コメント