Excelでせっかく作成した大事な表や計算式。
「同僚に数式を消されてしまった」
「入力欄以外もいじられてしまった」
こんな経験はありませんか?
実はExcelには、シート保護というとても便利な機能があります。これを使えば、決めた場所以外は編集できないように設定できるので、データの破損や計算ミスを防げます。
この記事では、初心者の方でもできるようにシート保護の基本から、よくある疑問への答えまで丁寧に解説します。
Excelのシート保護とは?

そもそも「シート保護」ってなに?
Excelのシート保護とは、ワークシート上の特定のセルや全体に対して編集制限をかける機能です。
例えば、以下のようなことが簡単な設定だけでできます:
- 計算式が入っているセルを触れなくする
- 見出しを編集できないようにする
- 入力欄だけ自由に入力できるようにする
- 特定の範囲だけ他の人と共有する
どうしてシートを保護するの?
シート保護には、以下のような重要なメリットがあります:
入力ミスの防止 誤って数式や重要なデータを上書きするのを防げます。特に複雑な計算式や参照が多い表では、ちょっとした操作ミスが大きな問題につながることがあります。
改ざん対策 他の人が勝手に値を変えてしまうのを抑止できます。売上データや重要な資料を複数人で確認する際に役立ちます。
共同作業でも安心 入力する場所だけを解放しておけば、安心して複数人で作業可能。チームでの資料作成や、アンケート集計などに便利です。
データの整合性を保つ フォーマットやレイアウトを崩されることなく、決められたルールに従った入力だけを受け付けられます。
つまり、シート保護はExcelを安全に使うための必須機能です。次は、実際の設定手順を画面と一緒に説明します。
Excelシート保護の基本的なやり方

1. シート全体を保護する(最もシンプルな方法)
最もシンプルなのは、シート全体を保護する方法です。これを設定すると、そのシートのすべてのセルが編集できなくなります。
手順(Excel2021/365の場合)
- 「校閲」タブをクリック
- Excel上部のリボンメニューから「校閲」を選択します
- 「シートの保護」を選択
- 「変更」グループ内にある「シートの保護」ボタンをクリック
- パスワードを設定(任意)
- パスワード入力欄に任意のパスワードを入力
- パスワードなしでも設定可能です
- 許可する操作を選択
- 「ユーザーに許可する操作」で必要な項目にチェック
- 通常は初期設定のままでOKです
- 「OK」をクリック
- 設定が完了し、シートが保護されます
これで、そのシートは編集できない状態になります。
2. 入力していい場所だけ保護を外す(実用的な方法)
実際の業務では、「ここだけは入力してほしい」という場所がありますよね。そんなときは、以下の手順で設定します。
重要なポイント 通常、Excelはすべてのセルが「ロック」された状態になっています。なので、先に入力可能にしたいセルの「ロック」を外してから、シート保護をかけるのが正しい順序です。
手順
- 入力可能にしたいセルを選択
- 範囲選択したい場合は、ドラッグして複数セルを選択
- 離れた場所を選ぶときは、Ctrlキーを押しながらクリック
- 右クリックして「セルの書式設定」を選択
- 選択したセル上で右クリック
- メニューから「セルの書式設定」をクリック
- 「保護」タブを開く
- セルの書式設定ダイアログで「保護」タブをクリック
- 「ロック」のチェックを外す
- 「ロック」のチェックボックスを外して「OK」をクリック
- この操作で、選択したセルが編集可能になります
- シート保護をかける
- 先ほどの手順でシート全体を保護
- ロックを外したセルだけが編集できるようになります
3. より詳細な保護設定
「シートの保護」画面では、以下のような細かい設定も可能です:
よく使う設定項目
- 「ロックされたセル範囲の選択」:保護されたセルをクリックできるか
- 「ロックされていないセル範囲の選択」:編集可能セルをクリックできるか
- 「行の挿入」:新しい行を追加できるか
- 「列の挿入」:新しい列を追加できるか
- 「オートフィルターの使用」:フィルター機能を使えるか
これで、シンプルなシート保護は完了です。次は「パスワードを忘れたとき」「パスワードなしで保護する方法」など、よくある疑問を解決します。
よくある疑問Q&A

Q1. パスワードなしでも保護できる?
はい、できます。
「シートの保護」でパスワードを入力せずにOKを押せば、パスワードなしの保護になります。
メリット:
- 設定が簡単
- パスワードを忘れる心配がない
デメリット:
- 誰でも「シート保護を解除」できる
- セキュリティ面では弱い
こんなときにおすすめ:
- 自分だけが使うファイル
- 操作ミスを防ぎたいだけの場合
- チーム内で信頼関係がある環境
Q2. パスワードを忘れたらどうする?
残念ながら、正規の方法では解除できません。
これはExcelのセキュリティ機能として意図的に設計されているためです。
対処法:
- ファイルを再作成する(最も確実)
- 専門ソフトを使う(自己責任)
- バックアップファイルから復元する
予防策:
- パスワードは必ずメモに残す
- 定期的にバックアップを取る
- 社内でパスワード管理ルールを決める
Q3. 保護したシートでも、行の挿入や削除はできる?
デフォルトではできませんが、設定で許可できます。
「シートの保護」設定画面で以下の項目にチェックを入れると、対応する操作が可能になります:
- 「行の挿入」:新しい行を追加できる
- 「行の削除」:行を削除できる
- 「列の挿入」:新しい列を追加できる
- 「列の削除」:列を削除できる
Q4. 複数のシートを一度に保護できる?
いいえ、シート保護は1枚ずつ設定する必要があります。
ただし、以下の方法で効率化できます:
- VBAマクロを使う(上級者向け)
- テンプレートを作成する
- ブック全体の保護を併用する
ブック保護との違い:
- シート保護:個別シートの編集制限
- ブック保護:シートの追加・削除・名前変更を制限
Q5. 保護を解除するにはどうすればいい?
簡単に解除できます。
- 「校閲」タブの「シート保護の解除」をクリック
- パスワードを設定していた場合は入力
- 「OK」で解除完了
一時的に編集したい場合: 保護を解除→編集→再度保護をかける、という流れで対応しましょう。
このように、シート保護には細かな設定もあり、自分の用途に合わせて柔軟にカスタマイズできます。最後に、失敗しないためのコツをお伝えします。
失敗しないシート保護のコツ

1. 入力可能箇所は必ず「ロックを解除」してからシート保護をかける
よくある失敗例: シート保護をかけた後に「あ、ここも入力できるようにしたかった」と気づくパターン。この場合、一度保護を解除してから設定し直す必要があります。
対策:
- 事前に入力欄と固定欄を明確に分ける
- 設定前にチェックリストを作る
- 完成イメージを先に描いておく
2. パスワードは必ず控えておく
失敗例: 「簡単なパスワードだから覚えている」と思ったら、数ヶ月後に忘れてしまうケース。
対策:
- パスワード管理ツールを使う
- ファイルと別の場所に記録する
- 社内でパスワード管理ルールを決める
- 定期的にパスワードを見直す
3. 必ずテストユーザーで試す
重要なポイント: 保護後に他の人が操作したとき、本当に意図した動きになるか確認しましょう。
テスト項目例:
- 入力可能セルに正しく入力できるか
- 保護されたセルは本当に編集できないか
- 必要な機能(フィルターなど)は使えるか
- エラーメッセージは適切に表示されるか
4. 段階的に保護レベルを上げる
おすすめの進め方:
- まずパスワードなしで設定
- 動作確認後にパスワードを追加
- 必要に応じて詳細設定を調整
この方法なら、設定ミスがあっても簡単に修正できます。
5. 定期的にバックアップを取る
シート保護とは別に:
- 重要なファイルは定期的にバックアップ
- 複数の場所に保存
- バージョン管理を徹底
これにより、万が一の事態でも安心です。
まとめ
今回はExcelのシート保護について以下のポイントを解説しました:
基本知識:
- シート保護は編集ミスやデータ改ざんを防ぐ大切な機能
- 「校閲」タブから簡単に設定できる
- パスワードありなしを選択可能
実践方法:
- 入力欄だけ触れるようにするには「ロック解除」+「シート保護」
- 細かい権限設定も可能
- 複数シートは個別に設定が必要
注意点:
- パスワード管理とテストは必須
- 事前の計画が重要
- バックアップも忘れずに
これで、Excelの共同作業やデータ管理がぐっと安心になります。 ぜひ今日からシート保護を活用して、ミスのないExcel運用をしてみてくださいね!
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