「このセルの文字数は何文字?」「全角と半角で数え方が違うの?」Excelでデータを整理したり、文字数制限のある書類を作ったりするとき、文字数を正確に数える必要がある場面がたくさんあります。
そんなときに役立つのが、ExcelのLEN関数です。この記事では、LEN関数の使い方から実際の活用例まで、初心者の方にもわかりやすく説明します。
LEN関数とは何か

基本的な仕組み
LEN関数は、指定したセルや文字列の文字数を数えて教えてくれる関数です。「LEN」は「Length(長さ)」を短くした言葉で、文字列の長さを測る機能を持っています。
基本的な書き方
=LEN(文字列またはセル番号)
この形で書くことで、指定した文字列やセルの文字数がわかります。
簡単な使用例
=LEN("こんにちは")
結果:5
=LEN("Excel")
結果:5
どちらも5文字なので、結果は「5」と表示されます。
LEN関数の特徴
日本語と英語の区別なし
LEN関数では、日本語も英語も、どちらも1文字として数えます。つまり:
- 「あ」→ 1文字
- 「A」→ 1文字
- 「1」→ 1文字
- 「1」→ 1文字
全角文字も半角文字も、同じように1文字として扱われます。
スペースや改行も文字として数える
見えない文字も、LEN関数ではきちんと数えられます:
- スペース(空白)→ 1文字
- 改行(Alt + Enterで入れた改行)→ 1文字
- タブ → 1文字
LEN関数の基本的な使い方
セルの文字数を調べる
手順1:データの準備
例えば、A1セルに「東京都渋谷区」と入力されているとします。
手順2:LEN関数の入力
B1セルに以下のように入力します:
=LEN(A1)
手順3:結果の確認
Enterキーを押すと、B1セルに「6」と表示されます。これは「東京都渋谷区」が6文字だからです。
直接文字列を指定する場合
セル参照ではなく、直接文字列を指定することもできます:
=LEN("今日は晴れです")
結果:7
この場合、「今日は晴れです」の7文字が数えられます。
空白や特殊文字の扱い
スペースが含まれる場合
例:空白を含む文字列
A1セルに「東京 都」と入力されている場合:
=LEN(A1)
結果:4
「東京」「(スペース)」「都」で合計4文字になります。
複数のスペースがある場合
A1セルに「東京 都」(スペースが3つ)と入力されている場合:
=LEN(A1)
結果:6
「東」「京」「(スペース)」「(スペース)」「(スペース)」「都」で6文字です。
改行が含まれる場合
セル内改行の確認
ExcelのセルでAlt + Enterを押すと改行できますが、これも1文字として数えられます。
例:A1セルに以下のような内容があるとき
東京都
渋谷区
=LEN(A1)
結果:5
「東」「京」「都」「(改行)」「渋」「谷」「区」で7文字になります。
数値の扱い
数字も文字として数える
A1セルに数値「12345」が入っている場合:
=LEN(A1)
結果:5
数値であっても、文字列として扱われ、5文字として数えられます。
実用的な活用方法
文字数制限のチェック
基本的なチェック方法
入力された文字が20文字以内かどうかをチェックする場合:
=IF(LEN(A1)<=20, "OK", "文字数オーバー")
この式をセルに入力すると:
- A1の文字数が20文字以下なら「OK」
- 21文字以上なら「文字数オーバー」
と表示されます。
より詳しいチェック
文字数に応じて異なるメッセージを表示する場合:
=IF(LEN(A1)=0, "未入力", IF(LEN(A1)>50, "長すぎます", "正常"))
この式では:
- 0文字(空白)なら「未入力」
- 50文字を超えていたら「長すぎます」
- それ以外なら「正常」
と表示されます。
実際の文字数表示
現在の文字数と制限の表示
=LEN(A1) & "/" & "20"
この式を使うと「15/20」のように、現在の文字数と制限が一目でわかります。
パーセンテージでの表示
=ROUND(LEN(A1)/20*100, 0) & "%"
この式では、制限に対する現在の使用率がパーセンテージで表示されます。
他の関数との組み合わせ
TRIM関数との組み合わせ
余分な空白を除去してから文字数をカウント
TRIM関数は、文字列の前後にある余分な空白を取り除く関数です。これとLEN関数を組み合わせると、実際の文字数だけを正確に数えることができます。
=LEN(TRIM(A1))
例:A1セルに「 東京都 」(前後に空白)が入っている場合
LEN(A1)
→ 5文字(空白も含む)LEN(TRIM(A1))
→ 3文字(空白を除く)
SUBSTITUTE関数との組み合わせ
特定の文字を除いた文字数のカウント
SUBSTITUTE関数は、指定した文字を別の文字に置き換える関数です。これを使って特定の文字を空文字(何もない状態)に置き換えて、その前後の文字数の差を計算できます。
スペースの個数を数える
=LEN(A1)-LEN(SUBSTITUTE(A1," ",""))
この式では:
- A1の全文字数を数える
- A1からスペースをすべて取り除いた文字数を数える
- その差を計算する
結果として、スペースの個数がわかります。
特定の文字の個数を数える
=LEN(A1)-LEN(SUBSTITUTE(A1,"あ",""))
この式では、A1セルに「あ」という文字が何個あるかを数えることができます。
CONCATENATE関数との組み合わせ
複数セルの合計文字数
=LEN(A1&B1&C1)
A1、B1、C1セルの内容をつなげた場合の合計文字数がわかります。
LEN関数とLENB関数の違い

それぞれの特徴
LEN関数
- すべての文字を1文字として数える
- 現在のExcelで標準的に使われる
- 一般的な文字数カウントに適している
LENB関数
- バイト数を基準に数える
- 全角文字は2、半角文字は1として数える
- 特殊な用途でのみ使用
実際の違いの例
=LEN("あいうABC") → 6文字
=LENB("あいうABC") → 9バイト(あいう=6バイト、ABC=3バイト)
どちらを使うべきか
**通常はLEN関数を使えば十分です。**LENB関数は、古いシステムとの互換性が必要な特別な場合にのみ使用します。
よくある問題と解決方法
問題1:「文字数が合わない」
原因と解決策
原因1:見えない文字がある
- 空白、タブ、改行文字が含まれている
- 解決策:TRIM関数で余分な空白を除去してから数える
=LEN(TRIM(A1))
原因2:全角と半角を区別したい
- LEN関数では区別されない
- 解決策:必要に応じてLENB関数を使用するか、別の方法を検討
原因3:セル参照が間違っている
- 異なるセルを参照している
- 解決策:セル番号を正しく確認する
問題2:「0文字と表示される」
よくある原因
空のセルを参照している
=IF(A1="", "空白セルです", LEN(A1))
エラー値が発生している
=IF(ISERROR(A1), "エラーです", LEN(A1))
問題3:「数式の結果が表示されない」
確認事項
- セルの書式が「文字列」になっていないか確認
- 数式が正しく入力されているか確認
- セル参照が正確か確認
実際の業務での活用例
例1:顧客名簿の管理
名前の長さチェック
社員名簿で、名前が20文字を超えていないかチェック:
=IF(LEN(B2)>20, "名前が長すぎます(" & LEN(B2) & "文字)", "OK")
この式をコピーして、全社員の名前をチェックできます。
例2:アンケートコメントの管理
コメント文字数の確認
アンケートの自由記述欄で、100文字以内の制限を確認:
=IF(LEN(C2)<=100, LEN(C2) & "/100文字", "100文字を超過しています")
現在の文字数と制限が一目でわかります。
例3:商品説明文の管理
説明文の長さ統一
商品説明文を50文字程度に統一したい場合:
=IF(LEN(D2)<45, "短すぎます", IF(LEN(D2)>55, "長すぎます", "適切"))
45文字未満は「短すぎます」、55文字超過は「長すぎます」、その間は「適切」と表示されます。
例4:住所データの確認
住所の文字数チェック
住所が40文字以内におさまっているかチェック:
=IF(LEN(E2)<=40, "OK", "住所が長すぎます(" & LEN(E2) & "文字)")
郵送用のシステムなどで住所の長さ制限がある場合に便利です。
応用テクニック
複数条件での文字数チェック
範囲指定でのチェック
5文字以上20文字以下かどうかをチェック:
=IF(AND(LEN(A2)>=5, LEN(A2)<=20), "適切な長さです", "長さが不適切です")
AND関数を使うことで、複数の条件を同時にチェックできます。
文字数による色分け
条件付き書式との組み合わせ
- 文字数をチェックしたいセル範囲を選択
- 「ホーム」タブ → 「条件付き書式」
- 「新しいルール」→ 「数式を使用して書式設定するセルを決定」
- 数式欄に
=LEN(A1)>20
と入力 - 書式(背景色など)を設定
これで20文字を超えるセルが自動的に色付けされます。
一括での文字数確認
範囲内の最大・最小文字数
最大文字数:=MAX(LEN(A1:A10))
最小文字数:=MIN(LEN(A1:A10))
平均文字数:=AVERAGE(LEN(A1:A10))
ただし、配列数式として入力する必要があります(Ctrl+Shift+Enterで確定)。
データの品質チェック
空白セルの確認
=IF(LEN(A1)=0, "未入力", "入力済み")
短すぎるデータの確認
=IF(LEN(A1)<3, "データが短すぎます", "OK")
電話番号や郵便番号など、最低限の桁数が必要なデータのチェックに使えます。
高度な活用方法
動的な文字数制限
セルで制限値を管理
F1セルに制限文字数(例:20)を入力し、その値を参照:
=IF(LEN(A1)>$F$1, "制限オーバー(" & LEN(A1) & "/" & $F$1 & ")", "OK")
F1セルの値を変更すれば、すべてのチェック結果が自動的に更新されます。
進捗表示
文字数の視覚的表示
=REPT("■", INT(LEN(A1)/5)) & REPT("□", 4-INT(LEN(A1)/5))
この式では、5文字ごとに■が表示され、20文字の制限に対する進捗が視覚的にわかります。
文字種別の簡易チェック
数字のみかどうかの確認
=IF(LEN(A1)=LEN(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(A1,"0",""),"1",""),"2",""),"3",""),"4",""),"5",""),"6",""),"7",""),"8",""),"9","")), "数字なし", "数字あり")
複雑ですが、セルに数字が含まれているかどうかをチェックできます。
エラー対処と注意点
よくあるエラー
#VALUE!エラー
原因:
- 参照先のセルにエラー値がある
- 数式の構文が間違っている
対処法:
=IF(ISERROR(A1), 0, LEN(A1))
エラーの場合は0を返すようにします。
予期しない結果
原因:
- セルの書式が「文字列」になっている
- 見えない文字が含まれている
対処法:
- セルの書式を確認
- TRIM関数で余分な空白を除去
パフォーマンスの考慮
大量データでの使用
大量のデータでLEN関数を使用する場合、計算に時間がかかることがあります。以下の点に注意:
- 不要な計算は避ける
- 必要な範囲のみに関数を適用
- 計算方法を「手動」に設定することを検討
まとめ
LEN関数の重要なポイント
ExcelのLEN関数は、文字数を正確にカウントする基本的で重要な関数です。以下のポイントを覚えておきましょう:
基本特性
- 全角も半角も1文字として数える
- 空白や改行も文字として扱う
- 数値も文字列として扱う
- エラー値は数えられない
活用のメリット
- データの品質管理:文字数制限のチェック
- 業務効率化:手動での文字数カウントが不要
- 自動化:条件付き書式や他の関数との組み合わせ
- 正確性:人為的なミスの防止
実践的な使い方
初心者向けの始め方
- 基本的なLEN関数を試す:まずは簡単なセルで文字数をカウント
- TRIM関数と組み合わせる:余分な空白を除去してから数える
- IF関数と組み合わせる:文字数によって条件を分岐
- 実際の業務データで活用:名簿や商品データなどで実践
段階的なスキルアップ
レベル1:基本使用
- 単純な文字数カウント
- 文字数制限のチェック
レベル2:組み合わせ使用
- 他の関数との組み合わせ
- 条件付き書式での活用
レベル3:応用活用
- 複雑な条件設定
- データ品質管理システムの構築
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