「Excel(エクセル)で名前の読み仮名を管理したい」「名簿にふりがなを付けて並び替えしたい」「お客様の名前を正しく読めるようにしたい」
そんなとき、Excelには**ふりがな(ルビ)**を自動で表示・取得する便利な機能があります。でも意外と知られていなくて、「手で全部入力していた」という人も多いです。
実は、Excelのふりがな機能を使いこなせば、名簿管理や顧客管理がとても効率的になります。あいうえお順の並び替えや、読み方の統一管理も簡単にできるようになります。
この記事では、Excelでふりがなを表示する方法から、ふりがなだけを別セルに取り出す関数、編集方法、そしてうまくいかない場合の解決策まで、初心者でもすぐに実践できる内容をわかりやすく解説します。
Excelのふりがな機能とは?

ふりがな機能の基本概念
Excelでは、日本語入力時に自動的に**読み情報(ふりがな)**がセルに記録されます。この情報を使って、漢字の上にひらがなやカタカナを表示したり、並び替えに活用したりできます。
ふりがな機能の特徴
自動記録
- 日本語入力時に読み情報を自動保存
- IME(日本語入力システム)の変換候補から取得
- 入力時の読み方を記憶
表示の自由度
- ひらがな・カタカナの選択可能
- フォントサイズや配置の調整
- 表示・非表示の切り替え
データ処理での活用
- 並び替え(ソート)での利用
- 検索・フィルタリング
- 関数での読み取り
ふりがな機能が役立つ場面
名簿管理
顧客管理
- お客様の名前を正しく読める
- 電話応対時の読み間違い防止
- 名前でのあいうえお順管理
社員名簿
- 新入社員の名前確認
- 社内電話帳の作成
- 出席簿の読み上げ
住所録作成
宛名管理
- 年賀状の宛名印刷
- 郵便物の正確な配送
- 地域別の並び替え
学校関係
- 生徒名簿の管理
- 保護者連絡先の整理
- 卒業生リストの作成
ふりがなを表示する基本操作
画面上にふりがなを表示する
基本的な表示方法
手順
- ふりがなを表示したいセルを選択
- 「ホーム」タブをクリック
- 「ふりがなの表示/非表示」ボタンをクリック
結果
- 漢字の上に小さくふりがなが表示
- セルのサイズは自動調整
- 複数セルの一括表示も可能
範囲選択での一括表示
手順
- 表示したい範囲をドラッグ選択
- 「ホーム」タブ →「ふりがなの表示/非表示」
- 選択範囲全体にふりがなが表示
応用例
A1:A100の名前リスト全体
B1:B50の会社名リスト
選択した表の特定列のみ
ふりがなの表示設定
フォントと配置の調整
設定手順
- 対象セルを選択
- 「ホーム」タブ →「フォント」グループの右下矢印をクリック
- 「ふりがな」タブを選択
- 各種設定を調整
主要な設定項目
フォント設定
- フォントの種類:ゴシック、明朝など
- フォントサイズ:通常は8pt程度
- フォントスタイル:標準、太字、斜体
配置設定
- 左寄せ:漢字の左端に揃える
- 中央:漢字の中央に配置
- 右寄せ:漢字の右端に揃える
- 均等配置:漢字の幅に合わせて配置
種類設定
- ひらがな:「やまだ」
- カタカナ:「ヤマダ」
- 半角カタカナ:「ヤマダ」
実用的な設定例
名簿用の設定
フォント:MS Pゴシック
サイズ:8pt
配置:中央
種類:ひらがな
宛名用の設定
フォント:MS P明朝
サイズ:9pt
配置:均等配置
種類:カタカナ
PHONETIC関数の活用
基本的な使い方
関数の構文
=PHONETIC(参照セル)
使用例
=PHONETIC(A2) # A2セルのふりがなを取得
=PHONETIC(B1) # B1セルのふりがなを取得
実際の活用例
名簿での活用
A列(名前) | B列(ふりがな) |
---|---|
田中太郎 | =PHONETIC(A2) |
鈴木花子 | =PHONETIC(A3) |
佐藤次郎 | =PHONETIC(A4) |
結果
A列(名前) | B列(ふりがな) |
---|---|
田中太郎 | たなかたろう |
鈴木花子 | すずきはなこ |
佐藤次郎 | さとうじろう |
応用的な使い方
姓名の分離
姓のみ取得
=LEFT(PHONETIC(A2),FIND(" ",PHONETIC(A2)&" ")-1)
名のみ取得
=MID(PHONETIC(A2),FIND(" ",PHONETIC(A2)&" ")+1,100)
条件付きの処理
ふりがなの有無チェック
=IF(PHONETIC(A2)="","ふりがななし",PHONETIC(A2))
カタカナ変換
=PHONETIC(A2) # セルの書式設定でカタカナに変更
ふりがなの編集とメンテナンス

手動でのふりがな編集
編集方法
基本手順
- 編集したいセルを選択
- 右クリック →「ふりがなの編集」
- ふりがな部分を直接編集
- Enterキーで確定
編集時の注意点
- 編集モードでは漢字部分は変更できない
- ふりがな部分のみ編集可能
- スペースや記号も入力可能
特殊な読み方の対応
人名の特殊読み
渡邊(わたなべ)
齋藤(さいとう)
神戸(こうべ、かんべ)
地名の特殊読み
御徒町(おかちまち)
神田(かんだ)
秋葉原(あきはばら)
一括編集の方法
複数セルの同時編集
手順
- 編集したいセル範囲を選択
- 「ホーム」タブ →「フォント」→「ふりがな設定」
- 「ふりがなの編集」から一括変更
置換機能の活用
ふりがなの一括置換
- Ctrl+Hで置換ダイアログを開く
- 「オプション」→「ふりがなを使用する」にチェック
- 検索・置換文字列を入力
- 「すべて置換」実行
実用例
検索:「株式会社」
置換:「かぶしきがいしゃ」
対象:ふりがな
並び替え(ソート)での活用
ふりがなでの並び替え
基本的な並び替え
手順
- 並び替えたいデータ範囲を選択
- 「データ」タブ →「並べ替え」
- 「オプション」ボタンをクリック
- 「ふりがなを使って並べ替える」にチェック
- 「OK」をクリック
複数条件での並び替え
設定例
第1キー:部署名(ふりがな順)
第2キー:氏名(ふりがな順)
第3キー:年齢(数値順)
フィルタリングでの活用
オートフィルタでの活用
設定手順
- データ範囲を選択
- 「データ」タブ →「フィルター」
- 各列のドロップダウンから条件選択
- ふりがなを基準とした検索が可能
高度なフィルタでの活用
条件例
氏名のふりがなが「あ」で始まる
会社名のふりがなに「システム」を含む
住所のふりがなが「とうきょう」で始まる
よくある問題と解決方法
ふりがなが正しく表示されない
原因と対処法
原因1:コピー&ペーストでの貼り付け
- 元のふりがな情報がそのまま残る
- 意図しない読み方が表示される
対処法
1. セルを選択
2. 右クリック →「ふりがなの編集」
3. 正しい読み方を入力
4. Enterで確定
原因2:直接漢字を入力
- 変換候補から選ばずに入力
- 読み情報が正しく記録されない
対処法
1. セルを一度クリア
2. 正しい読み方を入力
3. 変換候補から適切な漢字を選択
4. Enterで確定
原因3:外部データの取り込み
- CSVファイルやデータベースから取り込み
- ふりがな情報が含まれていない
対処法
1. 手動でふりがなを編集
2. 別途読み仮名データを準備
3. PHONETIC関数用の辞書データ作成
PHONETIC関数が機能しない
原因と対処法
原因1:セルにふりがな情報がない
- 外部からのデータ取り込み
- 直接入力ではない文字列
対処法
1. セルを選択して再入力
2. 「ふりがなの編集」で読み情報を追加
3. 別途読み仮名列を作成
原因2:数式の結果に対して使用
- 計算結果や関数の結果にはふりがな情報がない
- PHONETIC関数は元データのみ対応
対処法
1. 元データに対してPHONETIC関数を使用
2. 値として貼り付け後にふりがな編集
3. 別途対応表を作成
特殊文字・記号の処理
問題のあるパターン
数字混じりの文字列
山田1号店 → やまだ1ごうてん
鈴木2課 → すずき2か
英語混じりの文字列
田中IT → たなかIT
佐藤Auto → さとうAuto
解決方法
手動編集
1. 「ふりがなの編集」で修正
2. 数字・英語部分も含めて読み方を統一
3. 表記ルールを事前に決定
応用テクニック
条件付き書式との組み合わせ
ふりがなに基づく色分け
設定例
条件:PHONETIC(A1)が「あ」で始まる → 赤色
条件:PHONETIC(A1)が「か」で始まる → 青色
条件:PHONETIC(A1)が「さ」で始まる → 緑色
設定手順
- 対象範囲を選択
- 「ホーム」→「条件付き書式」→「新しいルール」
- 「数式を使用して書式設定するセルを決定」
- 数式を入力:
=LEFT(PHONETIC(A1),1)="あ"
- 書式を設定
データ検証との組み合わせ
読み仮名の入力制限
設定例
入力規則:ひらがなのみ許可
入力規則:カタカナのみ許可
入力規則:特定の文字数制限
設定手順
- 対象セルを選択
- 「データ」→「データの入力規則」
- 「ユーザー設定」を選択
- 数式を入力:
=EXACT(A1,PHONETIC(A1))
マクロでの自動化
一括ふりがな編集マクロ
Sub ふりがな一括編集()
Dim rng As Range
Dim cell As Range
Set rng = Selection
For Each cell In rng
If cell.Value <> "" Then
cell.SetPhonetic
End If
Next cell
End Sub
カタカナ変換マクロ
Sub カタカナ変換()
Dim rng As Range
Dim cell As Range
Set rng = Selection
For Each cell In rng
If cell.Value <> "" Then
cell.Phonetics(1).Text = StrConv(cell.Phonetics(1).Text, vbKatakana)
End If
Next cell
End Sub
実用的な活用事例

顧客管理システム
基本構成
テーブル構造
列 | 項目 | 設定 |
---|---|---|
A | 顧客ID | 数値 |
B | 会社名 | ふりがな表示 |
C | 担当者名 | ふりがな表示 |
D | 会社名読み | =PHONETIC(B1) |
E | 担当者名読み | =PHONETIC(C1) |
活用方法
50音順検索
1. 担当者名読みでソート
2. フィルタで「あ行」「か行」などで絞り込み
3. 電話応対時の迅速な検索
宛名印刷
1. 会社名・担当者名のふりがなを確認
2. 宛名ラベルに正しい読み方を表示
3. 郵便配達の確実性向上
学校での名簿管理
生徒名簿の作成
構成例
A列:生徒番号
B列:氏名(ふりがな表示)
C列:氏名読み(=PHONETIC(B1))
D列:クラス
E列:出席番号
活用場面
出席確認
- 読み方を確認しながら点呼
- 新任教師でも正確な読み上げ
- 保護者会での名前確認
成績管理
- 50音順での成績表作成
- 学年順位の算出
- 進路指導での活用
人事管理システム
社員マスタ
基本項目
社員番号、氏名、氏名読み、部署、役職
入社日、生年月日、住所、電話番号
人事業務での活用
辞令・通知書
- 正しい読み方での文書作成
- 人事異動の際の確認
- 社内報での氏名表記
電話応対
- 受付での氏名確認
- 外部からの問い合わせ対応
- 社内電話帳の作成
トラブルシューティング
パフォーマンスの問題
大量データでの処理
問題
- PHONETIC関数の処理が重い
- 表示更新に時間がかかる
- ファイルサイズが大きくなる
対処法
1. 必要な範囲のみに適用
2. 値貼り付けでの固定化
3. 段階的な処理実行
メモリ不足の対応
最適化方法
1. 不要なふりがな情報の削除
2. 計算方法を手動に変更
3. ファイルの分割処理
文字化けの問題
原因と対処
文字コードの問題
問題:CSVファイルの文字化け
対処:適切な文字コードでの保存
推奨:UTF-8(BOM付き)
フォントの問題
問題:特殊文字の表示エラー
対処:適切なフォントの設定
推奨:MS Pゴシック、MS P明朝
まとめ
Excelのふりがな機能は、日本語データの管理において非常に強力なツールです。適切に活用することで、名簿管理や顧客管理が飛躍的に効率化されます。
重要なポイント
基本機能の活用
- ふりがなの表示・非表示切り替え
- PHONETIC関数でのデータ取得
- 手動編集による読み方の修正
データ処理での活用
- 50音順での並び替え
- 読み仮名での検索・フィルタ
- 条件付き書式での視覚化
実用的な応用
- 顧客管理システムでの活用
- 名簿作成での効率化
- 宛名印刷での正確性向上
コメント