「Excel(エクセル)で入力したデータ、全角と半角がバラバラで困る…」
そんな経験はありませんか?
住所録や商品コードなどを扱うとき、全角と半角が混在していると見た目も悪いし、検索や並べ替えがうまくできないことがあります。
この記事では、Excelで半角と全角をスムーズに変換する方法をわかりやすく解説します。
さらに、あまり知られていない便利な変換方法や注意点も紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
半角・全角が混在する問題とは?

よくある困った状況
データ検索がうまくいかない
- 「123」と「123」が別のデータとして認識される
- 「ABC」と「ABC」で検索結果が変わる
- 郵便番号「1234567」と「1234567」がフィルターで引っかからない
見た目がバラバラになる
- 同じ列なのに文字幅が揃わない
- 表が読みにくくなる
- プロ感のない資料になってしまう
集計や分析に影響
- 同じ商品コードなのに別商品として計算される
- 重複チェックが正しく動作しない
- データベースとの連携でエラーが発生
Excelで半角・全角を変換する方法
ASC関数・JIS関数を使う
Excelには、文字コードを変換する便利な関数があります。
ASC関数(全角 → 半角)
日本語版Excelでは、ASC関数を使うと全角文字を半角に変換できます。
=ASC(A1)
このように入力すると、A1セルの全角英数字が半角に変わります。
実例
変換前 | 変換後 |
---|---|
1234567 | 1234567 |
ABCD | ABCD |
123-4567 | 123-4567 |
JIS関数(半角 → 全角)
逆にJIS関数は半角英数字を全角に変換します。
=JIS(A1)
実例
変換前 | 変換後 |
---|---|
1234567 | 1234567 |
ABCD | ABCD |
123-4567 | 123-4567 |
変換の手順を詳しく解説
基本的な変換手順
- 変換したいデータの隣の列に関数を入力
- 下までコピーして一括変換
- 変換結果をコピーして、元の列に「値の貼り付け」
- 補助列を削除
具体的な操作例
Step 1: 関数の入力
A列に変換したいデータがあるとき、B列に次の式を入力:
=ASC(A1) // 全角を半角に変換する場合
Step 2: 関数のコピー
B1セルを選択して、下にドラッグまたはCtrl + Shift + End
で一括コピー
Step 3: 値の貼り付け
- B列全体をコピー(
Ctrl + C
) - A列を選択
- 右クリック → 「形式を選択して貼り付け」 → 「値」
- B列を削除
複数列を一度に変換する方法
大量のデータがある場合は、複数列をまとめて処理することもできます。
手順
- 変換したい範囲をすべて選択
- 「検索と置換」機能を活用(ただし、これは英数字の一部変換のみ)
- 関数を使った一括変換スクリプトの活用
文字列操作関数と組み合わせて使う
ASC関数やJIS関数は英数字だけを変換し、ひらがなやカタカナはそのままです。
文字列を切り出すLEFTやMID、置換のSUBSTITUTEと組み合わせて処理すると、さらに細かい調整が可能です。
実践例:郵便番号の統一
問題のあるデータ
- 1234567(半角数字のみ)
- 1234567(全角数字のみ)
- 123-4567(半角ハイフンあり)
- 123-4567(全角ハイフンあり)
統一する方法
=SUBSTITUTE(ASC(A1),"-","")
この式で、全角を半角にしてからハイフンを削除できます。
電話番号の形式統一
多様な入力パターン
- 09012345678
- 09012345678
- 090-1234-5678
- 090-1234-5678
統一する式
=SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(ASC(A1),"-","")," ","")
ハイフンとスペースを削除して、半角数字のみにします。
知っておくと便利!意外な変換方法

カタカナの全角⇔半角は関数ではできない
ExcelのASC/JIS関数は、カタカナの全角・半角は変換できません。
カタカナを全角⇔半角に変換したい場合は、Excelだけでは難しく、Wordや他のツールを活用する方法があります。
Wordにコピーして変換
- ExcelのデータをコピーしてWordに貼り付け
- 文字を選択して右クリック → 「文字種の変換」
- 「全角カタカナ」「半角カタカナ」を選ぶ
これで簡単にカタカナも変換できます。
Wordでの変換後の処理
- 変換完了後、データをコピー
- Excelに戻って「テキスト」として貼り付け
- 元のデータと置き換え
メモ帳を使った変換方法
手順
- Excelからデータをコピー
- メモ帳に貼り付け
- IMEの変換機能を活用(F7キー:全角カタカナ、F8キー:半角カタカナ)
- 変換後、Excelに戻す
PowerQueryを使った高度な変換
Excel 2016以降では、PowerQueryという機能で複雑な文字変換もできます。
PowerQueryのメリット
- 複数の変換ルールを一度に適用
- カタカナの変換も可能
- 変換履歴が保存される
業種別の活用例
人事・総務での活用
社員名簿の統一
- 氏名のカタカナ統一(半角カタカナ → 全角カタカナ)
- 社員番号の統一(全角数字 → 半角数字)
- 電話番号の形式統一
具体的な変換例
// 社員番号を半角数字に統一
=ASC(A1)
// カタカナ氏名の統一(Wordで変換後に使用)
// 「ヤマダ タロウ」→「ヤマダ タロウ」
営業・販売での活用
顧客リストの整備
- 郵便番号の形式統一
- 電話番号の統一
- 商品コードの統一
売上データの分析
- 商品名の表記統一
- 店舗コードの統一
経理・会計での活用
会計データの処理
- 勘定科目コードの統一
- 取引先コードの統一
- 金額表示の統一
Excelでの変換時に注意したいポイント
関数の制限事項
- ASC関数やJIS関数は、英数字や記号だけにしか効かないことが多いです
- ひらがなには効果がありません
- カタカナは関数では変換できません
データの見た目の変化
- データの桁数が変わると見た目の調整が必要になることもあります
- 列幅の自動調整が必要になる場合があります
- セルの書式設定を確認する必要があります
重要データでの注意点
- 住所録や顧客データを扱う場合、郵便番号・電話番号などは特に注意しましょう
- 変換前にバックアップを取ることをおすすめします
- 変換後は必ずデータの確認をおこないましょう
よくあるミス
関数の残し忘れ
変換後、元のデータに「値の貼り付け」をし忘れて、関数のままにしてしまうケース
一部データの見落とし
大量データで、一部のセルが変換されていないことに気づかないケース
書式の不統一
変換後、数値のセルと文字列のセルが混在してしまうケース
データ整理の効率化テクニック

変換前の確認方法
データの状況を把握
// 全角文字が含まれているかチェック
=IF(A1=ASC(A1),"半角","全角文字あり")
この式で、どのセルに全角文字が含まれているかを一目で確認できます。
一括処理の方法
フィルター機能との組み合わせ
- 変換が必要なデータをフィルターで抽出
- 表示されているデータのみを一括変換
- 効率的に処理完了
品質チェックの方法
変換後の確認
// 文字数のチェック
=LEN(A1)
// 変換前後の比較
=IF(A1=B1,"変換なし","変換済み")
自動化のためのマクロ活用
簡単なマクロの例
頻繁に変換作業をおこなう場合は、マクロで自動化することもできます。
基本的なマクロ
Sub 半角変換()
Selection.Formula = "=ASC(" & Selection.Address & ")"
End Sub
マクロのメリット
- ワンクリックで変換完了
- 作業の標準化
- ミスの防止
まとめ
Excelでの半角・全角の変換は、次のような使い分けがおすすめです:
- 英数字ならASC/JIS関数
- カタカナならWordで変換
- 大量データならPowerQueryやマクロの活用
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