Excel(エクセル)のフィルター機能は、たくさんのデータから必要な情報だけをサッと取り出せる便利な機能です。
でも、単純に1つの条件で絞るだけでなく「複数の条件で一気に絞り込みたい」と思うことはありませんか?
例えば、「地域が東京で、売上が100万円以上」のように、複数の条件を組み合わせることで、さらに効率的に分析できます。
今回は、Excelのフィルターで複数条件を設定する方法と、その実例をわかりやすく解説します。
Excelの複数条件フィルターの基本

列ごとの条件を組み合わせる
Excelでは、異なる列にそれぞれフィルターをかけることで、複数条件をAND(かつ)で絞り込むことができます。
例
地域 | 売上 |
---|---|
東京 | 150万円 |
大阪 | 120万円 |
東京 | 90万円 |
このとき、次のように設定します:
- 地域 → 「東京」にチェック
- 売上 → 「100万円以上」に設定
これで「地域が東京かつ売上が100万円以上」のデータだけが表示されます。
複数条件フィルターの設定手順
基本的な手順
- フィルターを設定したい表全体を選択
- 「データ」タブ → 「フィルター」をクリック
- 各列の▼ボタンから条件を設定
- 設定した条件がすべて適用される
実際の業務での活用例
- 売上データ分析: 「担当者が田中さん」かつ「売上が50万円以上」
- 顧客管理: 「地域が関東」かつ「契約日が2024年以降」
- 在庫管理: 「商品カテゴリがPC」かつ「在庫数が10個以下」
数値や日付で複数条件を設定する
ユーザー設定フィルター
数値や日付の場合は、▼メニューから「数値フィルター」または「日付フィルター」で、さらに細かい条件を設定できます。
使い方
- ▼をクリック → 「数値フィルター」 → 「指定の値より大きい」などを選択
- さらに「AND」条件で別の基準も追加可能
実例
「100万円以上かつ200万円以下」の売上データだけ見たい場合:
100より大きい かつ 200より小さい
を選択すればOKです。
日付での複数条件設定
期間指定の例
- 今月のデータ: 「2025/7/1以降」かつ「2025/7/31以前」
- 四半期データ: 「2025/4/1以降」かつ「2025/6/30以前」
- 年度データ: 「2024/4/1以降」かつ「2025/3/31以前」
設定手順
- 日付列の▼をクリック
- 「日付フィルター」 → 「指定の範囲」
- 開始日と終了日を入力
- 「OK」をクリック
数値範囲での絞り込み応用
売上分析での活用
- 優良顧客: 売上が「月100万円以上」かつ「年間1000万円以下」
- 要注意顧客: 売上が「前年比80%以下」かつ「今月50万円以下」
在庫管理での活用
- 発注必要: 在庫数が「安全在庫以下」かつ「発注点以上」
- 過剰在庫: 在庫数が「標準在庫の2倍以上」かつ「回転率が0.5以下」
同じ列でOR条件を作りたいとき

例えば「地域が東京または大阪」のように、同じ列で複数項目を抽出したい場合は、フィルターのチェックボックスで「東京」と「大阪」の両方にチェックを入れます。
これで「東京or大阪」のデータが一覧に表示されます。
OR条件の実用例
地域での絞り込み
- 関東エリア: 東京、神奈川、埼玉、千葉にチェック
- 関西エリア: 大阪、京都、兵庫、奈良にチェック
商品カテゴリでの絞り込み
- 電子機器: スマホ、PC、タブレットにチェック
- 家電製品: テレビ、冷蔵庫、洗濯機にチェック
複数条件フィルターの実践テクニック
段階的な絞り込み
複雑な条件の場合は、段階的に絞り込むと効率的です。
手順例
- 第一段階: 期間で絞り込み(例:今年のデータ)
- 第二段階: 地域で絞り込み(例:関東エリア)
- 第三段階: 金額で絞り込み(例:100万円以上)
フィルター結果の確認方法
データ件数の確認
画面下部のステータスバーで、フィルター後のデータ件数を確認できます。
集計値の確認
フィルター後のデータを選択すると、合計値や平均値がステータスバーに表示されます。
複数条件での並べ替え
フィルター適用後に並べ替えをおこなうと、条件に合うデータだけが対象になります。
活用例
- 売上でフィルター → 高い順に並べ替え
- 地域でフィルター → 担当者名で並べ替え
よくあるQ&A

異なる列で「OR条件」にしたい場合
Q. 異なる列で「OR条件」にしたい場合は?
Excelの標準フィルターは、異なる列を「AND(かつ)」で絞る機能です。異なる列でOR条件を作りたいときは、「フィルターのコピーを別の場所に用意する」など工夫が必要です。
実例
- まず「地域=東京」でフィルター後コピー
- 次に「売上=100万円未満」でフィルター後コピー
- 別シートに貼り付けて統合
もしくは、高度な絞り込みが必要なら「詳細設定フィルター」を使う方法があります。
フィルターが思うように効かない場合
Q. 複数条件を設定しても期待通りの結果にならない…
以下の点を確認してください:
- データに空白行が含まれていないか
- 列のデータ形式が統一されているか(数値は数値、日付は日付形式)
- 結合セルがないか
- 余分なスペースが含まれていないか
もっと複雑に絞り込みたい場合は?
詳細設定フィルター
複数条件を「OR」や複合条件で絞り込みたいときは、詳細設定フィルターがおすすめです。
手順
- 条件範囲を別に作成
地域 | 売上 |
---|---|
東京 | |
>100 |
- 「データ」→「詳細設定」からリスト範囲と条件範囲を指定して実行
これなら「東京または売上が100万円超」のような複雑な条件も可能です。
詳細設定フィルターの応用例
複合OR条件の設定
条件表の例:
担当者 売上 地域
田中 東京
>100万円
この場合「担当者が田中」または「売上が100万円超」の条件になります。
複雑なAND/OR組み合わせ
条件表の例:
地域 売上 契約日
東京 >50万円 >2024/1/1
大阪 >30万円 >2024/1/1
この場合「(東京かつ売上50万円超)または(大阪かつ売上30万円超)」で、いずれも2024年以降の契約という条件になります。
フィルター結果の活用方法
データのコピーと保存
フィルター結果を別のシートや別ファイルに保存する方法:
- フィルター適用後のデータを全選択
Ctrl
+C
でコピー- 新しいシートに
Ctrl
+V
で貼り付け
グラフ作成への活用
フィルター後のデータでグラフを作成すると、条件に合うデータだけのグラフが作成できます。
活用例
- 特定地域の売上推移グラフ
- 上位商品のシェア円グラフ
- 期間限定キャンペーンの効果分析
印刷での活用
フィルター適用後に印刷すると、条件に合うデータだけを印刷できます。
便利な使い方
- 特定部署のデータだけを印刷
- 期間限定レポートの作成
- 顧客別の取引履歴印刷
まとめ
Excelのフィルターは次のような特徴があります:
- 異なる列にそれぞれ条件をかけると「AND条件」になる
- 同じ列で複数選ぶと「OR条件」になる
- さらに複雑な条件は「詳細設定フィルター」で対応可能
- 数値や日付では範囲指定による絞り込みができる
コメント