「特定の値だけ色を変えたい」 「数字が一定以上のところだけ目立たせたい」
そんなときに便利なのがExcelの条件付き書式です。
条件を満たしたセルだけ自動で塗りつぶしを変えられるので、大量のデータから必要な情報を一目で見つけやすくなります。
この記事では、Excelで条件付きに塗りつぶしを設定する基本のやり方や、ちょっとした応用テクニックをわかりやすく解説します。
条件付き書式をマスターして、見やすいデータを作成しましょう。
条件付き書式とは

基本的な機能
条件付き書式は、Excelの「特定の条件を満たしたときだけセルの見た目を変える」機能です。
色を変える(塗りつぶす)だけでなく、文字色を変えたり、アイコンを付けたりもできます。
どんなときに便利?
データ分析での活用
- 売上目標を達成した月だけ緑色にする
- 在庫が少なくなった商品を赤色で警告
- 平均以上のスコアを青色で強調
業務管理での活用
- 締切が近いタスクを黄色でマーク
- 完了した項目を薄いグレーにする
- 重要度の高い案件を太字+背景色で目立たせる
手動設定との違い
手動で色付け
- 値が変わっても色は変わらない
- 一つずつ設定する必要がある
条件付き書式
- 値が変わると自動で色も変わる
- 一度設定すれば全体に適用
基本的な塗りつぶし設定の方法
データ範囲を選択する
まず色を付けたい範囲をドラッグして選びます。
選択範囲のコツ
- 見出し行は含めない
- データがある部分だけを選択
- 後から範囲は変更可能
条件付き書式を開く
上のメニューから次の順番でクリックします:
- 「ホーム」タブ
- 「条件付き書式」ボタン
ルールを選ぶ
よく使うのは以下の2つです:
セルの強調表示ルール
指定の値より大きい・小さい 数値の比較に使用
特定の文字を含む テキストの検索に使用
指定の範囲内 最小値と最大値の間
等しい 完全に一致するもの
上位/下位ルール
上位10% 値の大きい順から10%
下位10項目 値の小さい順から10個
平均より上 平均値以上のもの
平均より下 平均値未満のもの
具体的な設定例
例1:50以上なら赤で塗りつぶす
- 「セルの強調表示ルール」をクリック
- 「指定の値より大きい」を選択
- 「50」と入力
- 書式で赤色を選択
- 「OK」をクリック
例2:平均以上を青で塗りつぶす
- 「上位/下位ルール」をクリック
- 「平均より上」を選択
- 書式で青色を選択
- 「OK」をクリック
塗りつぶしの色を選ぶ
条件を入れたら、右側で「書式」をクリックして色を選びます。
色選択のポイント
- 印刷時の見やすさも考慮
- 複数の条件で異なる色を使用
- 会社やチームの色ルールに従う
これで条件を満たすセルだけ自動で塗りつぶされます。
数式を使ったより柔軟な設定
いつ数式を使うか
「特定の列が○○で、別の列が△△のときだけ色を付けたい」など複雑な条件の場合に使用します。
数式ルールの作成手順
- 「条件付き書式」をクリック
- 「新しいルール」を選択
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択
- 数式を入力
- 書式を設定して「OK」
基本的な数式例
B列の値が100を超える行を塗りつぶす
=$B2>100
A列に「完了」と入力された行を塗りつぶす
=$A2="完了"
C列とD列の合計が1000以上の行を塗りつぶす
=$C2+$D2>=1000
数式作成のポイント
絶対参照と相対参照
列番号の前に$を付ける その列を固定($B2、$C2など)
行番号は$を付けない 行ごとに自動調整
よく使う関数
AND関数 複数条件をすべて満たす場合
=AND($B2>50, $C2<100)
OR関数 複数条件のいずれかを満たす場合
=OR($B2>100, $C2="重要")
COUNTIF関数 重複チェック
=COUNTIF($A$2:$A$100, $A2)>1
実際の活用例

売上管理表での活用
データ例
月 | 売上 | 目標 | 達成率 |
---|---|---|---|
1月 | 800 | 1000 | 80% |
2月 | 1200 | 1000 | 120% |
3月 | 950 | 1000 | 95% |
設定例
目標達成(100%以上)を緑色
=$D2>=100%
達成率90%未満を赤色
=$D2<90%
目標との差額が大きい場合を黄色
=ABS($B2-$C2)>200
在庫管理表での活用
データ例
商品名 | 在庫数 | 最小在庫 | ステータス |
---|---|---|---|
商品A | 15 | 20 | 不足 |
商品B | 50 | 30 | 適正 |
商品C | 5 | 10 | 警告 |
設定例
在庫不足(最小在庫未満)を赤色
=$B2<$C2
在庫がゼロの場合を濃い赤色
=$B2=0
適正在庫(最小在庫の1.5倍以上)を青色
=$B2>=$C2*1.5
条件付き書式の管理と編集
ルールの管理画面を開く
- 「条件付き書式」をクリック
- 「ルールの管理」を選択
管理画面でできること
ルールの編集
- 条件の変更
- 書式の変更
- 適用範囲の変更
ルールの削除
- 不要なルールを選択して「削除」
- すべてクリアも可能
優先順位の調整
複数の条件が重なったときの優先順位をここで調整できます。
上位のルールが優先されるため、順番が重要です。
ルール管理のコツ
わかりやすい名前を付ける
ルール作成時に説明的な名前を付けると後で管理しやすくなります。
定期的な見直し
不要になったルールは削除して、動作を軽くしましょう。
適用範囲の確認
ルールが意図した範囲に適用されているか定期的にチェックしましょう。
より高度な活用テクニック
データバーとカラースケール
データバー
数値の大きさを棒グラフのように表示
設定方法
- 範囲を選択
- 「条件付き書式」→「データバー」
- 色を選択
カラースケール
値に応じて色の濃淡を自動調整
設定方法
- 範囲を選択
- 「条件付き書式」→「カラースケール」
- 2色または3色スケールを選択
アイコンセット
3つのアイコンで分類
信号機アイコン 良好・注意・危険を色分け
矢印アイコン 上昇・横ばい・下降を表示
図形アイコン チェック・注意・×で状態表示
設定のカスタマイズ
- 境界値の調整
- アイコンの種類変更
- 数値の表示/非表示
複数条件の組み合わせ
条件の重ね合わせ
複数のルールを設定して、細かく書式を制御できます。
例:売上管理での複数条件
- 120%以上:濃い緑
- 100%以上:薄い緑
- 80%未満:赤
- 90%未満:黄
優先順位の重要性
より具体的な条件を上位に設定することで、期待通りの結果が得られます。
よくあるトラブルと解決方法

条件付き書式が効かない
原因と対処法
データ型の不一致 数値として認識されていない場合は、VALUE関数で変換
空白セルの扱い 空白を除外する条件を追加
範囲の設定ミス 適用範囲を確認し直す
思った通りの色にならない
原因と対処法
複数ルールの競合 ルールの管理画面で優先順位を確認
書式の設定ミス 塗りつぶしと文字色を混同していないか確認
条件の記述ミス 数式の構文を確認
動作が重くなった
原因と対処法
ルールが多すぎる 不要なルールを削除
適用範囲が広すぎる 必要な範囲だけに限定
複雑な数式 シンプルな条件に変更できないか検討
効率的な活用のコツ
テンプレート化
よく使う条件付き書式は、テンプレートファイルとして保存しておきましょう。
書式のコピー
書式のコピー機能を使って、他の範囲にも同じルールを適用できます。
チーム内での統一
色の使い方やルールをチーム内で統一すると、誰が見てもわかりやすくなります。
よくある質問
印刷時にも色は反映されますか?
はい、条件付き書式の色は印刷時にも反映されます。ただし、白黒印刷の場合は濃淡で表現されます。
条件付き書式は他のファイルにコピーできますか?
はい、セルをコピーして貼り付けることで、条件付き書式も一緒にコピーできます。
条件を後から変更できますか?
はい、「ルールの管理」から既存の条件を編集できます。
数式がわからない場合はどうすればよいですか?
まずは基本的な「セルの強調表示ルール」から始めて、慣れてきたら数式にチャレンジしてみてください。
まとめ
Excelの条件付き書式を使うと、条件に合ったセルだけを自動で塗りつぶせるので、大量のデータも一目で分析しやすくなります。
覚えておきたいポイント
- 基本は「セルの強調表示ルール」から
- 複雑な条件は数式を活用
- ルールの管理で優先順位を調整
- テンプレート化で作業効率アップ
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