「Excel(エクセル)で印刷したら、どの資料かわからない…」
「ページ番号や会社名を入れたいけど、どこから設定するの?」
「印刷した資料がバラバラになって、順番がわからなくなった…」
そんな悩みを解決してくれるのがヘッダー(ページ上部の余白に入る情報)です。ヘッダーを設定しておけば、複数ページにわたる資料でも統一感があり、管理もしやすくなります。
ビジネス文書や報告書、データ分析資料など、プロフェッショナルな印象を与えたい資料には欠かせない機能です。
今回は、Excelでヘッダーを編集する基本の方法から応用テクニック、よく使われる設定例まで、初心者の方でもすぐに使えるように分かりやすく紹介します。
ヘッダーとフッターの基本知識

ヘッダーとは?
Excelのヘッダーは、印刷したときのページ上部に表示される領域です。画面上では通常表示されませんが、印刷時や印刷プレビューで確認できます。
ヘッダーとフッターの違い
- ヘッダー:ページ上部の余白
- フッター:ページ下部の余白
ヘッダーでできること
一般的な使用例
- 資料名(営業報告書 2025年7月版)
- ページ番号(1/3、ページ1など)
- 作成日や印刷日
- 会社名や部署名
- ファイル名やシート名
- 機密レベル(社外秘、重要など)
ヘッダーのメリット
- どの資料かひと目でわかる
- ページ番号が入って資料管理がしやすい
- 印刷時にプロフェッショナルな仕上がりになる
- 複数ページの資料でも統一感が保てる
- 資料の紛失や混同を防げる
【基本編】ヘッダーを編集する方法
方法1:ページレイアウト表示から編集
手順1:ページレイアウト表示に切り替える
- 「表示」タブをクリック
- 「ページレイアウト」をクリック
すると用紙のような見た目になり、ページの上に「ヘッダーを追加」と書かれた部分が表示されます。
手順2:ヘッダーを直接編集
「ヘッダーを追加」と表示されている場所をクリックすると、3つの入力欄が現れます:
- 左側(左寄せ):通常は会社名や部署名
- 中央(中央揃え):通常は資料名やタイトル
- 右側(右寄せ):通常はページ番号や日付
実際の入力例
- 左側:「○○株式会社 営業部」
- 中央:「月次売上報告書」
- 右側:「&[ページ番号]/&[総ページ数]」
手順3:クイック要素を活用
ヘッダー部分をクリックすると、リボンに「ヘッダーとフッターツール」が表示されます。
よく使うボタン
- ページ番号:現在のページ番号を挿入
- 総ページ数:全体のページ数を挿入
- 現在の日付:印刷日を挿入
- 現在の時刻:印刷時刻を挿入
- ファイル名:ファイル名を挿入
- シート名:シート名を挿入
方法2:ページ設定ダイアログから編集
より詳細な設定が可能
- 「ページレイアウト」タブをクリック
- 右下の小さい矢印をクリック(ページ設定ダイアログを開く)
- 「ヘッダー/フッター」タブを開く
- 「ヘッダーの編集」または「フッターの編集」をクリック
ページ設定ダイアログの特徴
既定のヘッダー
- プリセットされたヘッダー形式から選択可能
- よく使われるパターンが用意されている
カスタムヘッダー
- 自由にカスタマイズ可能
- フォントや書式も設定できる
- 画像の挿入も可能
【応用編】高度なヘッダー設定
特殊コードを使った設定
よく使われる特殊コード
コード | 内容 | 表示例 |
---|---|---|
&[ページ番号] | 現在のページ番号 | 1 |
&[総ページ数] | 全体のページ数 | 5 |
&[日付] | 印刷時の日付 | 2025/7/16 |
&[時刻] | 印刷時の時刻 | 14:30 |
&[ファイル名] | ファイル名 | 売上データ.xlsx |
&[パス] | ファイルの保存パス | C:\Documents\売上データ.xlsx |
&[シート名] | シート名 | Sheet1 |
&[タブ名] | タブ名 | 7月データ |
組み合わせの例
ページ番号の表示方法
&[ページ番号] / &[総ページ数]
表示例:「1 / 5」
日付と時刻を組み合わせ
&[日付] &[時刻] 印刷
表示例:「2025/7/16 14:30 印刷」
ファイル情報を詳しく
&[ファイル名] (&[シート名])
表示例:「売上データ.xlsx (7月データ)」
書式設定の詳細
フォントの変更
- ヘッダー編集モードで文字を選択
- 「ホーム」タブでフォント設定
- または右クリックで書式設定
設定可能な項目
- フォントの種類
- フォントサイズ
- 太字、斜体、下線
- 文字色
- 背景色
行の改行
ヘッダー内で改行したい場合:
- Alt + Enterで改行
- 2行以上の情報を表示可能
例:会社情報を2行で表示
○○株式会社
営業部 第1課
画像の挿入
ロゴマークの追加
- ヘッダー編集モードで挿入位置をクリック
- 「ヘッダーとフッターツール」から「図」をクリック
- 画像ファイルを選択
画像設定のポイント
適切な画像サイズ
- 高さ:1cm程度
- 解像度:150dpi以上推奨
- ファイル形式:PNG、JPG、GIF
注意点
- 画像が大きすぎるとヘッダー領域を超える
- 印刷時の画質を考慮してサイズ調整
- カラー印刷かモノクロ印刷かを考慮
【実践編】業務別ヘッダー設定例

ビジネス報告書
標準的な企業報告書
左側:会社名・部署名
○○株式会社 営業部
中央:報告書タイトル
月次売上報告書(&[日付]版)
右側:ページ情報
&[ページ番号] / &[総ページ数]
役員会議資料
左側:機密レベル
【社外秘】
中央:議題と日付
第&[ページ番号]号議案
&[日付]
右側:資料管理番号
資料No.&[ファイル名]
学校・教育関係
成績表・出席表
左側:学校名・学年
○○中学校 3年A組
中央:資料名
&[シート名] (&[日付])
右側:ページ番号
&[ページ番号]ページ
配布資料
左側:科目名
数学 関数の基礎
中央:授業日
&[日付] 授業資料
右側:資料番号
資料&[ページ番号]
データ分析・統計資料
売上分析レポート
左側:分析期間
2025年1月-6月分析
中央:レポートタイトル
売上推移分析レポート
右側:作成日とページ
作成日:&[日付]
&[ページ番号]/&[総ページ数]
顧客データ
左側:機密情報の注意
【個人情報取扱注意】
中央:データ名
&[シート名]データ
右側:更新情報
最終更新:&[日付]
&[ページ番号]
【カスタマイズ】条件によって変わるヘッダー
シートごとに異なるヘッダー
複数シートでの管理
各シートで異なるヘッダーを設定する方法:
- シートごとに個別設定
- 共通部分と個別部分を分ける
- マクロで一括設定
例:月別データシート
- 1月シート:「1月売上データ」
- 2月シート:「2月売上データ」
- 共通部分:会社名、ページ番号
印刷範囲によるヘッダー
部分印刷時の対応
特定の範囲だけ印刷する場合のヘッダー設定:
- 印刷範囲を設定
- その範囲に適したヘッダーを設定
- 印刷範囲名をヘッダーに含める
【トラブルシューティング】よくある問題と解決方法

ヘッダーが表示されない
症状
- 印刷プレビューでヘッダーが見えない
- 実際の印刷でヘッダーが出ない
原因と解決方法
原因1:表示モードの問題
- 解決方法:ページレイアウト表示に切り替える
- 確認方法:「ファイル」→「印刷」でプレビュー確認
原因2:余白設定の問題
- 解決方法:ヘッダー余白を適切に設定
- 設定箇所:ページ設定→余白→ヘッダー
原因3:印刷設定の問題
- 解決方法:「行と列の見出しを印刷」がオフか確認
- 設定箇所:ページレイアウト→印刷タイトル
ヘッダーが切れる・崩れる
長い文字列の対処
文字数制限
- 1行あたり約50文字程度が目安
- それ以上は改行や省略を検討
フォントサイズの調整
フォントサイズを小さくする(8-10pt推奨)
改行の活用
長いタイトル
(副題や詳細情報)
画像が表示されない
画像サイズの問題
- 推奨サイズ:幅3cm、高さ1cm以内
- 解像度:150dpi以上
ファイルパスの問題
- 画像ファイルが移動・削除されていないか確認
- ネットワークドライブの場合は注意
ページ番号がおかしい
総ページ数が正しくない
原因
- 改ページ設定の問題
- 印刷範囲設定の問題
解決方法
- 改ページプレビューで確認
- 印刷範囲を再設定
- 不要な改ページを削除
ページ番号が1から始まらない
原因
- 前のシートの設定が影響
- ページ番号の開始番号設定
解決方法
ページ設定→ページ→先頭ページ番号を「1」に設定
特殊文字が表示されない
文字化けの対処
日本語フォントの設定
- MS Pゴシック、メイリオなど
- Unicode対応フォントを使用
特殊記号の代替
- 機種依存文字は使用を避ける
- 標準的な記号を使用
【効率化】マクロでヘッダー設定を自動化
VBAコードの例
基本的なヘッダー設定
Sub SetCommonHeader()
With ActiveSheet.PageSetup
.LeftHeader = "○○株式会社"
.CenterHeader = "&""MS Pゴシック,標準""&14月次報告書"
.RightHeader = "&P / &N"
End With
End Sub
日付を含むヘッダー
Sub SetDateHeader()
Dim currentDate As String
currentDate = Format(Date, "yyyy年mm月dd日")
With ActiveSheet.PageSetup
.LeftHeader = "作成日:" & currentDate
.CenterHeader = "&""MS Pゴシック,太字""&16&U売上データ"
.RightHeader = "ページ &P"
End With
End Sub
全シートに一括設定
Sub SetHeaderAllSheets()
Dim ws As Worksheet
For Each ws In ActiveWorkbook.Worksheets
With ws.PageSetup
.LeftHeader = "○○株式会社"
.CenterHeader = ws.Name & " データ"
.RightHeader = "&P / &N"
End With
Next ws
MsgBox "全シートのヘッダー設定が完了しました"
End Sub
マクロ実行の手順
- Alt + F11でVBAエディタを開く
- 「挿入」→「標準モジュール」
- 上記コードを貼り付け
- F5で実行
【印刷設定】ヘッダーと連携する設定

余白設定の最適化
ヘッダー余白の調整
推奨設定
- ヘッダー余白:0.5cm以上
- 上余白:1.5cm以上
- 左右余白:1.0cm以上
設定手順
- ページレイアウト→余白→ユーザー設定の余白
- ヘッダー・フッター欄で調整
印刷品質の向上
解像度設定
印刷設定での調整
- 印刷品質:600dpi以上推奨
- 印刷の向き:縦・横の最適化
- 拡大縮小:1ページに収める場合の調整
カラー設定
モノクロ印刷の場合
- ヘッダーも白黒で見やすく設定
- コントラストを意識した色選択
カラー印刷の場合
- 企業カラーの活用
- 読みやすさを優先
まとめ
Excelでヘッダーを設定すると、以下のような効果が得られます:
主要なメリット
文書管理の向上
- どの資料かひと目でわかる
- ページ番号で順序が明確
- 作成日や更新日が記録される
プロフェッショナルな印象
- 統一感のある資料作成
- 企業ブランディングの向上
- 会議資料の品質向上
業務効率の改善
- 資料の紛失防止
- バージョン管理の簡素化
- 印刷作業の標準化
設定方法の使い分け
シンプルな設定
- ページレイアウト表示から直接編集
- 基本的な情報のみの場合
詳細な設定
- ページ設定ダイアログを活用
- 複雑な書式設定が必要な場合
大量ファイルの処理
- VBAマクロで自動化
- 定型的な設定作業の場合
今すぐ実践できるポイント
- まずは基本の3要素を設定
- 左:会社名・部署名
- 中央:資料名
- 右:ページ番号
- 印刷プレビューで必ず確認
- 実際の印刷前にチェック
- レイアウトの調整
- テンプレート化して効率化
- よく使う設定をテンプレート保存
- 標準化で品質向上
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