「Excel(エクセル)で2つのデータを比べたい!」「取引先からもらった表と、自分の持っている表が一致しているか確認したい」
こんなとき、目で一つ一つ見比べるのは時間がかかりますよね。
データ比較でよくある悩み
- 大量のデータを手動で確認するのが大変
- 微細な違いを見落としてしまう
- 2つのファイルの差分を効率的に見つけたい
- 在庫データや売上データの突き合わせが面倒
- 価格表や商品リストの更新確認に時間がかかる
実はExcelにはデータを比較するための方法がいくつも用意されていて、うまく使えば作業が一気に時短できます。
この記事では、以下の内容を初心者向けにわかりやすく解説します:
- 基本的なセル比較の方法
- 条件付き書式を使った視覚的な比較
- 関数を使った高度な比較テクニック
- 大量データの効率的な比較方法
基本的なセル比較方法

等しいかどうかを判定する
シンプルな比較式
最も基本的な比較方法は、等号(=)を使った比較です。
基本構文
=A1=B1
実例
A1セル:100
B1セル:100
C1セル:=A1=B1
結果:TRUE
A1セル:100
B1セル:150
C1セル:=A1=B1
結果:FALSE
文字列の比較
数値だけでなく文字列も比較できます。
例
A1セル:田中
B1セル:田中
C1セル:=A1=B1
結果:TRUE
A1セル:田中
B1セル:鈴木
C1セル:=A1=B1
結果:FALSE
数値の差を計算する
差額の計算
=A1-B1
活用例
- 予算と実績の差額
- 今月と前月の売上差
- 在庫の増減
結果の見方
- 0:同じ値
- 正の数:A1の方が大きい
- 負の数:B1の方が大きい
絶対値での差を計算
=ABS(A1-B1)
効果
- 常に正の数で差を表示
- 差の大きさだけを知りたい場合に便利
大小関係の比較
より大きい・小さいの判定
=A1>B1 ' A1がB1より大きい場合TRUE
=A1<B1 ' A1がB1より小さい場合TRUE
=A1>=B1 ' A1がB1以上の場合TRUE
=A1<=B1 ' A1がB1以下の場合TRUE
実用例:売上目標の達成判定
=IF(B1>=A1, "目標達成", "未達成")
条件付き書式による視覚的比較
基本的な設定方法
条件付き書式を使えば、違いがあるセルを自動で色付けできます。
手順
ステップ1:範囲選択
- 比較したいデータ範囲を選択(例:A1:B100)
ステップ2:条件付き書式の設定
- 「ホーム」タブ →「条件付き書式」→「新しいルール」
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択
- 数式欄に以下を入力:
=A1<>B1
ステップ3:書式の設定
- 「書式」ボタンをクリック
- 背景色を設定(例:薄い赤)
- 「OK」をクリック
結果
A列とB列で値が異なるセルが自動で色付けされます。
高度な条件付き書式
差額が一定以上の場合のみ色付け
=ABS(A1-B1)>1000
一方が空白の場合のみ色付け
=OR(AND(A1<>"",B1=""), AND(A1="",B1<>""))
文字列の部分一致をチェック
=ISERROR(SEARCH(A1,B1))
関数を使った高度な比較
VLOOKUP関数を使ったリスト比較
基本的な存在確認
例:A列のデータがB列に存在するかチェック
=IF(ISNA(VLOOKUP(A2,$B$2:$B$100,1,FALSE)),"B列にない","存在")
数式の解説
VLOOKUP(A2,$B$2:$B$100,1,FALSE)
:A2の値をB列で検索ISNA()
:検索結果が見つからない場合TRUEIF()
:条件に応じて結果を表示
COUNTIF関数を使った存在確認
より簡単な存在チェック
=IF(COUNTIF($B$2:$B$100,A2)>0,"存在","なし")
重複数の確認
=COUNTIF($B$2:$B$100,A2)
結果の見方
- 0:存在しない
- 1:1つ存在
- 2以上:重複して存在
INDEX+MATCH関数での柔軟な比較
基本構文
=INDEX(比較対象列, MATCH(検索値, 検索列, 0))
実用例:商品コードから価格を取得して比較
=INDEX(C:C, MATCH(A2, B:B, 0))
大量データの効率的な比較
複数条件での比較
商品コードと価格の両方をチェック
=IF(AND(COUNTIF($D$2:$D$100,A2)>0, COUNTIF($E$2:$E$100,B2)>0),"両方存在","不一致")
連結した値での比較
=COUNTIF($C$2:$C$100,A2&B2)
配列数式を使った一括比較
Excel 365での動的配列
=IF(A2:A100=B2:B100,"一致","不一致")
従来版での配列数式
=IF(A2:A100=B2:B100,"一致","不一致")
※Ctrl+Shift+Enterで入力
実用的な活用例

在庫管理での比較
データ構造例
A列:商品コード B列:理論在庫 C列:実在庫 D列:差異
ABC001 100 95 =C2-B2
ABC002 50 52 =C3-B3
差異の強調表示
条件付き書式の数式
=ABS(D2)>5
売上データの突き合わせ
2つの売上データの比較
A列:日付 B列:売上A C列:売上B D列:差異確認
7/1 100000 100000 =IF(B2=C2,"一致","差異")
7/2 150000 145000 =IF(B3=C3,"一致","差異")
差異のあるデータのみ抽出
=IF(B2<>C2, "差異:" & ABS(B2-C2), "")
価格表の更新確認
新旧価格の比較
=IF(新価格=旧価格, "変更なし", "変更あり:" & (新価格-旧価格))
値上げ・値下げの判定
=IF(新価格>旧価格, "値上げ", IF(新価格<旧価格, "値下げ", "据え置き"))
専用ツールの活用
Microsoft 365のSpreadsheet Compare
機能
- 2つのExcelファイルを比較
- 差異を自動でハイライト
- 詳細な比較レポートを生成
使用方法
- スタートメニューから「Spreadsheet Compare」を検索
- 比較したい2つのファイルを選択
- 「Compare」ボタンをクリック
- 差異が色分けされて表示される
Power Queryを使った高度な比較
大量データの比較に最適
手順
- 「データ」→「データの取得」
- 2つのテーブルを読み込み
- 「結合」機能で比較実行
- 差異のあるレコードのみ抽出
比較時の注意ポイント
データ形式の統一
よくある問題と対策
問題1:数値と文字列の混在
=VALUE(A1)=VALUE(B1) ' 文字列を数値に変換して比較
問題2:全角・半角の違い
=ASC(A1)=ASC(B1) ' 全角を半角に変換して比較
問題3:空白文字の混入
=TRIM(A1)=TRIM(B1) ' 前後の空白を除去して比較
大文字・小文字の扱い
大文字・小文字を区別しない比較
=UPPER(A1)=UPPER(B1)
完全一致の確認
=EXACT(A1,B1)
日付データの比較
日付形式の統一
=DATEVALUE(A1)=DATEVALUE(B1)
時刻を除いた日付のみ比較
=INT(A1)=INT(B1)
トラブルシューティング
よくあるエラーと対処法
#N/Aエラー
原因:VLOOKUP関数で検索値が見つからない 対処法:
=IFERROR(VLOOKUP(A1,B:B,1,FALSE),"見つかりません")
#VALUE!エラー
原因:データ型の不一致 対処法:
=IF(ISNUMBER(A1)*ISNUMBER(B1), A1=B1, "データ形式エラー")
FALSE/TRUEが表示される
原因:論理値がそのまま表示されている 対処法:
=IF(A1=B1, "同じ", "違う")
パフォーマンスの最適化

大量データでの処理改善
計算を軽くする方法
- 範囲を限定
=VLOOKUP(A1,B$1:B$1000,1,FALSE) ' 範囲を具体的に指定
- INDEX+MATCHの使用
=INDEX(B:B,MATCH(A1,B:B,0)) ' VLOOKUPより高速
- 計算方法の変更
- 「数式」→「計算方法の設定」→「手動」
- 処理完了後に「自動」に戻す
よくある質問(Q&A)
Q. 大量のデータでも比較できますか?
A. はい、以下の方法で効率化できます:
方法1:範囲を分割
- 1万行ずつに分けて処理
- 結果を統合
方法2:Power Queryの活用
- 大容量データに特化
- メモリ効率が良い
Q. 2つのファイルを比較したい
A. 複数の方法があります:
方法1:数式での参照
='[ファイル名.xlsx]シート名'!A1=A1
方法2:Spreadsheet Compareの活用
- Microsoft 365に付属
- ファイル全体を自動比較
Q. 結果をまとめて出力したい
A. フィルター機能を活用します:
手順
- 比較結果の列にフィルターを設定
- 「不一致」や「差異」のみを表示
- 表示されたデータをコピー
Q. 比較条件を複数設定したい
A. AND/OR関数を組み合わせます:
例:複数条件の比較
=IF(AND(A1=B1, C1=D1), "すべて一致", "差異あり")
まとめ
Excelでのデータ比較は、目的と状況に応じて適切な方法を選択することが重要です:
基本的な比較方法
- 単純比較:
=A1=B1
で真偽値を取得 - 差額計算:
=A1-B1
で数値の差を確認 - 条件付き書式:視覚的に差異を把握
高度な比較テクニック
- VLOOKUP/COUNTIF:リスト間の存在確認
- INDEX+MATCH:より柔軟な検索と比較
- 配列数式:大量データの一括処理
効率化のポイント
- データ形式の事前統一
- 適切な関数の選択
- 処理範囲の最適化
- 専用ツールの活用
実務での活用
- 在庫管理での理論値と実在庫の突き合わせ
- 売上データの複数ソース間比較
- 価格表の更新確認
- 顧客リストの整合性チェック
これらの方法をマスターすれば、請求書・在庫リスト・売上データの突き合わせも一気にラクになります。
段階的な習得方法
- 初心者:基本的な等号比較から始める
- 中級者:条件付き書式で視覚化を活用
- 上級者:関数を組み合わせた高度な比較システム
今後の発展
- Power Queryによる高度なデータ処理
- Power BIでのビジュアル比較
- VBAによる自動化システム
Excelの比較機能を活用して、正確で効率的なデータ管理を実現しましょう。
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