「売上やアンケート結果を円グラフにしたいけど、Excelでどう作ればいいの?」
そんな悩みを持つ人は多いです。
円グラフが必要になる場面
日常の仕事や学習でこんな場面に遭遇することがよくあります:
ビジネスシーン
- 売上分析:商品別・地域別の売上構成比を視覚化
- 市場調査:アンケート結果や顧客の傾向を分かりやすく表示
- 予算管理:部門別予算の配分状況を一目で把握
- プレゼンテーション:ステークホルダーへの報告資料作成
学習・研究シーン
- 統計レポート:調査結果の構成比を効果的に表現
- 実験報告書:データの分布を視覚的に示す
- 卒業論文:アンケート分析結果の提示
- 授業発表:クラスメートに分かりやすく説明
円グラフの特徴とメリット
視覚的な理解の促進
- 直感的な把握:全体に対する各部分の割合が一目で分かる
- 比較の容易さ:どの項目が大きいか瞬時に判断できる
- 印象に残りやすい:数字の羅列より記憶に残る
コミュニケーションの改善
- 説明不要:見るだけで内容が理解できる
- 国際的:言語に関係なく理解される
- 説得力向上:データに基づいた根拠を視覚的に提示
この記事で学べること
この記事では、以下について詳しく解説します:
- Excelでの円グラフ作成の基本手順
- データ準備から完成までの具体的な流れ
- 見やすく印象的なグラフにするカスタマイズ方法
- 円グラフに適したデータと避けるべきデータ
- よくあるトラブルとその解決方法
最後まで読めば、プロフェッショナルな円グラフを自信を持って作成できるようになります。
円グラフに適したデータの準備

円グラフに向いているデータ
円グラフは全体に対する各部分の割合を表現するのに最適です。
適切なデータの特徴
構成比を示すデータ
- 全体が100%として意味をなすもの
- 各項目が全体の一部を構成している
- 項目間に重複がない
具体例
データ種類 | 例 |
---|---|
アンケート結果 | 満足・普通・不満の割合 |
売上構成 | 商品A・B・Cの売上比率 |
予算配分 | 人件費・設備費・その他の構成 |
市場シェア | 自社・競合A・競合Bのシェア |
時間配分 | 会議・作業・移動時間の割合 |
データの整理方法
基本的なデータ形式
A列(項目名) | B列(数値) |
---|---|
項目 | 数量 |
商品A | 40 |
商品B | 30 |
商品C | 20 |
商品D | 10 |
データ準備のポイント
項目数の調整
- 3〜7項目:最も見やすい範囲
- 8項目以上:「その他」にまとめることを検討
- 2項目以下:円グラフより棒グラフが適している
データの質チェック
- 負の値:円グラフには使用不可
- ゼロ値:円グラフに表示されないが問題なし
- 空白:データ範囲から除外する
意味のある分類
- 目的に応じた適切な項目分け
- 読み手にとって理解しやすい分類基準
- 重要度の高い項目を前面に
実際のデータ例
例1:アンケート結果
顧客満足度調査
満足度 | 回答数 |
---|---|
非常に満足 | 45 |
満足 | 35 |
普通 | 15 |
不満 | 3 |
非常に不満 | 2 |
例2:売上構成分析
四半期売上実績
商品カテゴリ | 売上(万円) |
---|---|
ノートPC | 450 |
デスクトップPC | 300 |
プリンター | 150 |
アクセサリー | 100 |
例3:時間管理分析
1日の業務時間配分
作業内容 | 時間(分) |
---|---|
会議 | 180 |
資料作成 | 150 |
メール処理 | 90 |
電話対応 | 60 |
その他 | 120 |
円グラフ作成の基本手順
ステップ1:データ範囲の選択
正しい選択方法
- 項目名を含めて選択
- 例:A1:B5(ヘッダー行含む)
- ドラッグで範囲選択
- 連続したデータ範囲
- 空白行が含まれないよう注意
- 必要なデータのみを選択
選択時の注意点
ヘッダー行の重要性
- 項目名が円グラフの凡例に使用される
- 分かりやすい項目名を設定しておく
データの連続性
- 途中に空白行があるとグラフが正しく作成されない
- 不要な計算行(合計など)は選択範囲から除外
ステップ2:円グラフの挿入
基本的な挿入手順
- 「挿入」タブをクリック
- 「グラフ」グループ内の「円グラフ」をクリック
- 適切な円グラフの種類を選択
円グラフの種類と特徴
種類 | 特徴 | 適用場面 | 初心者推奨度 |
---|---|---|---|
2D円グラフ | シンプルで見やすい | 一般的な報告書 | ★★★ |
3D円グラフ | 立体的で目を引く | プレゼンテーション | ★★☆ |
ドーナツグラフ | 中央に情報追加可能 | 複数系列比較 | ★☆☆ |
補助円付き | 小項目を詳細表示 | 詳細分析 | ★☆☆ |
初心者には2D円グラフが最適
- 設定が簡単
- 見やすくて分かりやすい
- 印刷時も鮮明
ステップ3:基本設定の調整
グラフの配置とサイズ
配置の調整
- グラフをクリックして選択
- ドラッグして適切な位置に移動
- データと重ならない場所に配置
サイズの調整
- グラフの角にある■をドラッグ
- 縦横比を維持して拡大・縮小
- 読みやすいサイズに調整
グラフタイトルの設定
タイトルの変更
- 「グラフタイトル」部分をクリック
- 適切なタイトルを入力
- フォントサイズを調整
効果的なタイトル例
- ❌ 悪い例:「グラフ」「データ」
- ⭕ 良い例:「2024年第1四半期 商品別売上構成」
見やすい円グラフにするカスタマイズ

データラベルの追加と設定
基本的なデータラベル追加
- グラフを選択
- 「グラフ要素」ボタン(+マーク)をクリック
- 「データラベル」にチェック
データラベルの詳細設定
表示内容の選択
- データラベルを右クリック
- 「データラベルの書式設定」
- 表示したい内容にチェック
- ☑ カテゴリ名(項目名)
- ☑ パーセンテージ
- ☐ 値(必要に応じて)
ラベル位置の調整
位置 | 適用場面 | メリット |
---|---|---|
中央 | 大きなセクション | セクション内に収まる |
内部(端) | 中サイズセクション | 比較的読みやすい |
外部 | 小さなセクション | 確実に読める |
引き出し線 | 非常に小さなセクション | スペースを有効活用 |
色とデザインのカスタマイズ
全体的なスタイル変更
- グラフを選択
- 「デザイン」タブをクリック
- 「グラフのスタイル」から選択
個別色の変更
特定セクションの色変更
- 変更したいセクションをクリック
- 右クリック → 「データ系列の書式設定」
- 「塗りつぶし」で色を選択
効果的な色選択のコツ
- コントラスト重視:隣接するセクションとの区別
- 意味のある色:売上好調は緑、注意は赤など
- 企業カラー:ブランドイメージに合わせた色使い
スライスの強調(分離)
重要項目の強調方法
- 強調したいセクションをクリック
- マウスでゆっくり外側にドラッグ
- 適度な距離で離す
効果的な使用場面
- 最重要項目の強調
- 問題のある項目への注意喚起
- 新商品や新サービスのアピール
複数セクションの分離
全体的な分離(爆発)
- グラフ全体をクリック
- 右クリック → 「データ系列の書式設定」
- 「系列のオプション」で「スライスの分離」を調整
凡例の設定
凡例の表示・非表示
- グラフ要素(+)をクリック
- 「凡例」のチェックを切り替え
凡例の位置調整
位置オプション
- 右側:標準的な配置
- 下側:横長のレイアウトに適している
- 上側:タイトルとのバランスを考慮
- 左側:特殊なレイアウトで使用
円グラフの効果的な活用方法
業務での活用例
マーケティング分析
市場調査結果の表示
調査項目:購入決定要因
- 価格:40%
- 品質:30%
- ブランド:20%
- デザイン:10%
効果
- 重要要因が一目で分かる
- マーケティング戦略の方向性決定
- ステークホルダーへの分かりやすい報告
売上分析
商品別売上構成
2024年第1四半期実績
- 主力商品A:45%
- 新商品B:25%
- 従来商品C:20%
- その他:10%
活用メリット
- 売上バランスの把握
- 注力商品の明確化
- 商品戦略の見直し検討
プレゼンテーションでの活用
効果的な見せ方
ストーリー性のある構成
- 現状の提示:円グラフで現在の状況を示す
- 問題の指摘:特定のセクションを強調
- 解決策の提案:改善後の予想構成を別グラフで表示
聴衆の理解促進
- 大きなサイズ:後ろの席からも見える
- 明確な色分け:プロジェクターでも判別可能
- 簡潔なタイトル:一目で内容が分かる
時系列での比較
Before/After の比較
改善効果の可視化
- 左:改善前の構成
- 右:改善後の構成
- 変化が視覚的に理解できる
例:コスト削減の効果
改善前 改善後
人件費:60% → 人件費:50%
設備費:25% → 設備費:30%
その他:15% → その他:20%
よくあるトラブルと解決方法

グラフが正しく作成されない
原因1:データ選択の問題
症状
- グラフが表示されない
- 期待と異なるグラフになる
解決方法
- データ範囲の再選択
- ヘッダー行を含んでいるか確認
- 不要な行(合計行など)を除外
- データ型の確認
- 数値が文字列として認識されていないか
- 区切り位置機能で数値に変換
原因2:データの品質問題
症状
- 一部のデータが表示されない
- エラーメッセージが表示される
解決方法
- 負の値の除去:円グラフは正の値のみ
- 空白セルの処理:データ範囲から除外
- 文字列の除去:数値以外のデータを修正
円グラフが見にくい
問題1:項目が多すぎる
症状
- セクションが小さすぎて判別困難
- ラベルが重なって読めない
解決方法
- 項目の統合
- 小さい項目を「その他」にまとめる
- 5%未満の項目の統合を検討
- 補助円グラフの使用
- 小項目を別の円グラフで詳細表示
- 「挿入」→「補助円付き円グラフ」
問題2:色が似すぎている
症状
- セクション間の区別がつかない
- モノクロ印刷で判別不能
解決方法
- コントラストの強化
- 明暗の差を大きくする
- 暖色と寒色の組み合わせ
- パターンの使用
- 「塗りつぶし」→「パターン」
- ストライプやドットなどを使用
データラベルの問題
ラベルが読めない
症状
- 文字が小さすぎる
- 背景色と文字色が近い
解決方法
- フォントサイズの調整
- データラベル右クリック → 書式設定
- フォントサイズを大きくする
- 文字色の変更
- 背景色とのコントラストを高める
- 白文字や黒文字を効果的に使用
ラベルの位置が不適切
症状
- ラベルがセクションからはみ出す
- ラベル同士が重なる
解決方法
- 引き出し線の使用
- 「引き出し線」オプションを有効
- セクションから線で引き出して表示
- グラフサイズの調整
- より大きなスペースを確保
- ラベル用の余白を十分に取る
より高度な円グラフテクニック
動的な円グラフの作成
データ選択による自動更新
仕組みの構築
- プルダウンリストでデータ範囲を選択
- INDIRECT関数で動的にデータ参照
- グラフが自動的に更新
活用例
- 月別・四半期別の切り替え表示
- 部門別・商品別の選択表示
- 地域別・店舗別の比較分析
複数円グラフの比較
並列表示による比較
効果的な配置
- 左右に並べて時系列比較
- 上下に配置してカテゴリ比較
- 同じスケールで統一感を演出
統一された設定
一貫性の保持
- 同じ色設定を使用
- ラベル形式の統一
- サイズの統一
インタラクティブな要素
ハイパーリンクの追加
詳細データへのリンク
- セクションを右クリック
- 「ハイパーリンク」を選択
- 詳細シートや外部ファイルにリンク
コメント機能の活用
追加情報の提供
- セクションを右クリック
- 「コメントの挿入」
- 補足説明や注意点を記載
まとめ
Excelでの円グラフ作成について、重要なポイントをまとめます:
基本的な作成手順
データ準備
- 適切な項目数(3〜7項目)に整理
- 正の数値データのみ使用
- 意味のある分類と項目名設定
グラフ作成
- データ範囲選択(ヘッダー行含む)
- 挿入 → 円グラフ → 2D円グラフ
- 基本的なサイズ・位置調整
見やすさの向上
データラベルの設定
- パーセンテージとカテゴリ名の表示
- 適切な位置とフォントサイズ
- 引き出し線の効果的な使用
デザインの調整
- コントラストの高い色選択
- 重要項目のスライス分離
- 統一感のあるスタイル設定
効果的な活用方法
ビジネスでの応用
- 売上分析と市場調査結果
- 予算配分と時間管理
- マーケティング戦略の可視化
プレゼンテーションでの活用
- ストーリー性のある構成
- Before/After の比較
- 聴衆に分かりやすい表現
コメント