「売上が目標を超えたら”達成”と表示したい」「数値がマイナスのときだけ赤くしたい」
そんなとき、Excelの条件付き機能を使えば、自動で判定・表示・色分けしてくれます。
実はExcelでは、「条件」によって処理を変えるテクニックがいくつも存在します。
この記事では、初心者の方でもわかるように、以下のような内容をやさしく解説します:
- F関数の基本と応用
- 条件付き書式で自動で色を変える
- 複数条件を扱うテクニック(AND・OR)
- よくあるミスと注意点
まず覚えたい!IF関数の基本構文

IF関数とは?
IF関数は、条件によって表示内容や計算を変えるための代表的な関数です。
「もし〜なら」という判定をExcelで自動化できます。
基本の書き方
=IF(条件, 真の場合, 偽の場合)
構造の説明:
- 条件:判定したい内容(例:A1>=60)
- 真の場合:条件が正しいときの結果
- 偽の場合:条件が正しくないときの結果
例その1:点数が60以上なら「合格」、そうでなければ「不合格」
=IF(A1>=60, "合格", "不合格")
使用例:
- A1セルに80が入力 → 「合格」と表示
- A1セルに45が入力 → 「不合格」と表示
例その2:売上目標の達成判定
=IF(B2>=100000, "目標達成!", "もう少し")
説明: B2セルの売上が10万円以上なら「目標達成!」、そうでなければ「もう少し」と表示します。
例その3:数値による計算の分岐
=IF(C3>0, C3*1.1, C3*0.9)
説明: C3セルが正の数なら1.1倍、負の数なら0.9倍にして計算します。
ポイント: IF関数は「条件に応じて内容を切り替える」最も基本的な方法です。
条件付き書式でセルの色を自動で変える
条件付き書式とは?
特定の条件に当てはまるセルの色や文字の装飾を自動で変更する機能です。データの傾向や異常値がひと目でわかるようになります。
設定手順(Excel共通)
- ステップ1: 対象のセル範囲を選択します
- ステップ2: 「ホーム」タブの「条件付き書式」をクリック
- ステップ3: 「新しいルール」を選択
- ステップ4: 「セルの値が」などの条件を選択
- ステップ5: 条件と書式(色など)を設定して「OK」をクリック
実用例:売上が10万円以上なら緑、それ未満は赤
設定内容:
- 条件1:セルの値が「次の値以上」100000 → 緑色の背景
- 条件2:セルの値が「次の値未満」100000 → 赤色の背景
結果: 売上データを入力すると、自動で色分けされて見やすくなります。
その他の便利な条件付き書式
- データバー: 数値の大きさを棒グラフのように表示
- カラースケール: 値の大小を色のグラデーションで表現
- アイコンセット: 矢印や信号機のアイコンで状況を表示
- 覚えておこう: 条件付き書式は「見た目で異常や傾向がすぐわかる」便利な視覚化ツールです。
複数条件を扱うAND・OR関数

AND関数(すべての条件が真)
=IF(AND(A1>=60, B1>=60), "合格", "不合格")
説明: 国語(A1)と数学(B1)が両方とも60点以上なら「合格」と判定します。
使用例:
- A1=80、B1=70 → 「合格」
- A1=80、B1=50 → 「不合格」
- A1=50、B1=70 → 「不合格」
OR関数(どれか1つでも真)
=IF(OR(A1="未納", B1="未納"), "要確認", "OK")
説明: どちらかの列に「未納」があれば「要確認」と表示します。
使用例:
- A1=”完了”、B1=”未納” → 「要確認」
- A1=”未納”、B1=”完了” → 「要確認」
- A1=”完了”、B1=”完了” → 「OK」
3つ以上の条件も組み合わせ可能
=IF(AND(A1>=80, B1>=80, C1>=80), "優秀", "普通")
説明: 3科目すべてが80点以上なら「優秀」と判定します。
条件付き書式でも使用可能!
条件付き書式の「数式を使用して書式設定するセルを決定」を選ぶと、AND
やOR
を組み合わせた高度な条件も指定できます。
例: =AND($B2>=100000, $C2="達成")
のような複雑な条件で色分けが可能です。
テクニック: AND
とOR
を使えば、複雑な判定も1つの数式で可能になります。
条件式でよくあるミスと対策
よくあるミス その1:全角・半角の違い
=IF(A1="未納", "確認", "OK")
問題: セルに「未納(全角)」と入れていても、数式で「未納(半角)」と書くと一致しません!
解決策: データ入力時の文字種を統一するか、TRIM関数やTEXT関数を活用して文字を整える
よくあるミス その2:条件付き書式の範囲選択ミス
問題: 行ごとの条件判定なのに、列全体を選んでしまった!
解決策: 条件を適用する範囲をしっかり確認してから設定する
よくあるミス その3:関数が長すぎて読めない
=IF(AND(A1>=60, B1>=60, C1>=60), "合格", IF(OR(A1<30, B1<30, C1<30), "再試験", "不合格"))
問題: 複雑すぎて、後から見直すときに理解できない!
解決策:
- 関数を分けて複数のセルに分割する
- ヘルパー列を使って処理を簡素化する
- IFS関数(Excel 2016以降)を使って複数分岐を見やすくする
よくあるミス その4:相対参照と絶対参照の混同
=IF($A1>B$1, "大", "小")
注意: $
マークの位置によって、コピー時の動作が変わります。条件付き書式では特に重要です。
エラー防止のコツ: エラーは「条件の書き方」や「データの違い」が原因です。丁寧にチェックすれば防げます。
実践的な活用例
成績管理表での活用
=IF(AND(A2>=80, B2>=80, C2>=80), "A", IF(AND(A2>=70, B2>=70, C2>=70), "B", IF(AND(A2>=60, B2>=60, C2>=60), "C", "D")))
説明: 3科目の平均点に応じて成績を自動判定します。
在庫管理での活用
=IF(D2<=10, "発注必要", IF(D2<=30, "注意", "十分"))
説明: 在庫数に応じて発注の必要性を自動判定します。
売上分析での条件付き書式
設定例:
- 予算達成率100%以上 → 青色
- 90%以上100%未満 → 緑色
- 80%以上90%未満 → 黄色
- 80%未満 → 赤色
よくある質問と答え
Q: IF関数をいくつまで重ねられますか? A: 技術的には64レベルまで可能ですが、3〜4レベル程度にとどめることをおすすめします。
Q: 条件付き書式が思うように動きません A: まず適用範囲と条件式を確認しましょう。相対参照・絶対参照の設定も重要です。
Q: 文字列の比較がうまくいきません A: 全角・半角、大文字・小文字、前後のスペースが原因の可能性があります。
まとめ:Excelの「条件」で、あなたの作業をもっとスマートに!
重要ポイントまとめ:
- IF関数:基本の条件分岐
- 条件付き書式:色で視覚的に判断
- AND・OR:複数条件の判定が可能
- ミス防止にはデータ形式と構文のチェックが重要!
コメント