「売上やアンケート結果を円グラフにしたいけど、Excelでどう作ればいいの?」
そんな悩みを持つ人は多いです。Excelなら、簡単な操作で円グラフ(パイチャート)を作れます。この記事では、初心者の人にもわかりやすいように、Excelで円グラフを作る手順から、ちょっとした見栄えアップのポイントまでやさしく説明します。
資料やプレゼンをもっとわかりやすくしたい人はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 円グラフの基本的な作り方
- データの準備方法と注意点
- グラフを見やすくする設定方法
- 円グラフに適したデータの特徴
円グラフとは:データ可視化の基本ツール

円グラフの特徴
円グラフは、全体に対する各項目の割合を視覚的に表すグラフです。円全体を100%として、それぞれの項目がどれくらいの比率を占めているかをひと目で理解できます。
円グラフが適しているデータ
構成比を示すデータ:
- アンケートの回答分布
- 売上の商品別構成比
- 予算の項目別割合
- 時間の使い方の内訳
- 市場シェアの分析
効果的な表現ができる場面:
- 全体の中での各部分の重要度を示したい
- 一番大きな項目を直感的に理解してもらいたい
- パーセンテージでの比較を視覚化したい
円グラフが適さないデータ
時系列データ:時間の経過による変化を見せたい場合
項目数が多いデータ:7つ以上の項目があると見にくくなる
詳細な数値比較:正確な数値の大小関係を比べたい場合
負の値を含むデータ:円グラフは正の値のみ表現可能
Excelで円グラフを作る基本手順
ステップ1:データを準備する
まずはグラフにしたいデータをExcelに入力します。円グラフは全体に対する割合を見せるのに適しているので、項目とその数値を並べます。
データ準備の例
顧客満足度アンケート結果
回答項目 | 人数 |
---|---|
とても満足 | 30 |
満足 | 50 |
普通 | 20 |
不満 | 15 |
とても不満 | 5 |
この場合、全体(120人)に対して、各回答がどれくらいの割合かを見せられます。
データ準備のコツ
項目名は短くわかりやすく:長すぎるとグラフが見にくくなる
数値は正の数で入力:円グラフでは負の値は使えない
項目数は5〜6個以内におさめる:多すぎると判別が困難
データに空白行を作らない:グラフ作成時にエラーの原因になる
ステップ2:データ範囲を選択
グラフにしたい部分(上の表でいえば「回答項目」と「人数」)をドラッグして選びます。
選択のポイント
項目名と数値の両方を含める:ラベル表示に必要
見出し行も一緒に選択する:自動的にタイトルとして認識
空白セルは選択範囲に含めない:不要な項目の表示を防ぐ
連続したセル範囲を選択:飛び飛びの選択は避ける
ステップ3:挿入タブから円グラフを選択
画面上部のメニューから「挿入」→「グラフ」→「円(パイ)」をクリックします。
円グラフの種類
2-D 円グラフ:
- シンプルで見やすい(初心者におすすめ)
- 印刷や資料作成に最適
- 色の区別がしやすい
3-D 円グラフ:
- 立体的で見た目がカッコいい
- やや見にくい場合がある
- プレゼンテーション向け
ドーナツグラフ:
- 中央に空きがある円グラフ
- 複数系列のデータ表示が可能
- 中央部分にテキスト配置可能
補助円グラフ付き:
- 小さい項目を別の円で詳しく表示
- 複雑なデータの詳細分析に便利
初心者にはシンプルな「2-D 円グラフ」がおすすめです。これで基本の円グラフが完成します。
円グラフをもっと見やすくする設定
データラベルを追加する
基本的な追加方法
- グラフ上で右クリック
- 「データラベルの追加」を選ぶ
- 割合や数値が直接表示される
詳細な設定方法
- 「データラベルの書式設定」を開く
- 「パーセンテージ」を表示する設定にする
- 「項目名」も一緒に表示できる
- 「引き出し線」を追加して読みやすくする
効果的なラベル設定
パーセンテージ表示:全体に占める割合が一目でわかる 項目名表示:凡例がなくても理解できる 数値表示:具体的な数字も確認できる 引き出し線:小さなスライスでも読みやすくなる
グラフの色を変更する
個別の色変更
- 変更したいスライス(区画)をクリック
- 右クリック→「塗りつぶし」
- 好みの色を選択
全体の色テーマ変更
- グラフを選択
- 「グラフツール」→「デザイン」
- 「色の変更」からテーマを選択
色選択のポイント
コントラストを意識:隣接する項目は異なる明度の色を使用
色の意味を考慮:赤は注意、緑は安全など一般的な色の印象を活用
印刷時の配慮:白黒印刷でも区別できるパターンを併用
アクセシビリティ:色覚に配慮した色選択
スライスを強調する
スライスの爆発
一部の項目を強調したいときは、そのスライスをマウスで少し引っ張ると、グラフの中心から外側にずらせます。これを「スライスの爆発」といい、注目させたい項目がひと目でわかるようになります。
爆発の手順
- 強調したいスライスをクリック
- そのまま外側にドラッグ
- 適度な距離で離す
効果的な活用場面
最も重要な項目の強調:売上トップの商品など 問題のある項目の注意喚起:不満の回答など 新しく追加された項目:今期から始まった新事業など
グラフタイトルをわかりやすくする
タイトルの編集
- グラフタイトルをクリック
- 文字を直接編集
- 「〜の構成比」「〜の割合」など具体的に
効果的なタイトル例
「2024年度 売上構成比」:期間と内容が明確 「顧客満足度アンケート結果」:調査の目的がわかる 「部門別予算配分」:データの種類が明確
タイトルの書式設定
フォントサイズを大きく:グラフ全体とのバランスを考慮
太字で目立たせる:重要な情報として認識しやすく
色を変更してアクセント:ブランドカラーなどを活用
よくある問題と解決方法
Q:グラフがうまく表示されない
原因1:データに文字列が混じっている 解決策:数値列に文字や記号が入っていないか確認。「#N/A」や「-」などの表示も数値として認識されない
原因2:空白セルが含まれている 解決策:データ範囲を見直して空白を除く。連続したデータ範囲を選択する
原因3:負の数が含まれている 解決策:円グラフは正の数のみ使用可能。負の値は別の方法で表現を検討
Q:項目が多すぎて見にくい
解決策1:項目をまとめる 小さい項目を「その他」としてまとめる。例:5%未満の項目をすべて「その他」に集約
解決策2:上位項目のみ表示 重要な項目だけ抜き出してグラフ化。例:売上上位5商品のみでグラフ作成
解決策3:別のグラフ形式を検討 棒グラフや横棒グラフの方が適している場合も。項目数が多い場合は棒グラフがおすすめ
Q:パーセンテージが正しく表示されない
解決策:表示形式を確認
- データラベルを右クリック
- 「データラベルの書式設定」
- 「表示形式」で「パーセンテージ」を選択
- 小数点以下の桁数も調整可能
Q:印刷時に色が区別できない
解決策:パターンや線の活用
- スライスの書式設定で「パターン」を追加
- 境界線を太くして区別しやすく
- 白黒印刷対応の色テーマを選択
上級者向けテクニック
補助円グラフ付き円グラフ
小さい項目が多い場合、メインの円グラフと補助の円グラフを組み合わせて表示できます。
作成手順
- データを選択
- 「挿入」→「円」→「補助円グラフ付き円グラフ」
- 補助グラフに表示する項目を設定
- 「その他」の項目を詳細に分解
効果的な活用場面
売上分析:主要商品と小規模商品の詳細分析 アンケート分析:「その他」回答の詳細内訳 予算分析:大項目と小項目の階層表示
ドーナツグラフの活用
中央に合計値や重要な数値を表示できます。
中央へのテキスト追加
- ドーナツグラフを作成
- テキストボックスを中央に配置
- 合計値やタイトルを記入
- フォントサイズと色を調整
活用例
売上総額の表示:「総売上:1,000万円」 回答者数の表示:「回答者:500名」 期間の表示:「2024年度」
アニメーション効果
プレゼンで使う場合、スライスが順番に現れるアニメーションを追加できます(PowerPointなどで活用)。
Excelの円グラフが向いている場面
ビジネスシーン
売上分析:
- 商品別、地域別の売上構成比
- 顧客セグメント別の収益割合
- チャネル別の販売比率
マーケティング分析:
- 市場シェアの競合比較
- 広告媒体別の効果測定
- 顧客満足度調査の結果
財務分析:
- 部門別の予算配分
- 費用項目別の支出割合
- 収益源別の売上構成
日常生活での活用
家計管理:
- 月別支出の内訳(食費、光熱費など)
- 貯蓄目標と実績の比較
- 投資ポートフォリオの配分
時間管理:
- 1日の時間使用割合(勉強、睡眠、娯楽)
- プロジェクト別の作業時間配分
- 週間スケジュールの分析
調査・研究:
- アンケート結果の回答分布
- 選択肢別の人気度調査
- 地域別の人口構成
印刷や資料作成でのコツ
印刷時の注意点
グラフサイズの調整:
- A4用紙に適したサイズに設定
- 文字が小さくなりすぎないよう注意
- 余白を考慮したレイアウト
白黒印刷への対応:
- パターンや線の太さで区別
- コントラストの強い色の組み合わせ
- ハッチング(斜線)パターンの活用
データラベルの配慮:
- 文字サイズを印刷に適した大きさに
- 背景色とのコントラストを確認
- 引き出し線の長さを調整
プレゼン資料での活用
視覚的インパクト:
- 背景色を変更して見やすく
- 重要な項目を色で強調
- グラフサイズを大きめに設定
段階的な表示:
- アニメーション効果で順次表示
- 重要な項目から順番に説明
- スライスの爆発で注目を集める
ストーリー性の演出:
- グラフタイトルでメッセージを明確化
- 色使いで感情に訴える
- 数値とビジュアルの両方で説得力を高める
データ分析での円グラフ活用法
比較分析
時期別比較:
- 前年同期との構成比変化
- 四半期ごとの推移分析
- 月別トレンドの把握
セグメント別分析:
- 年齢層別の購買傾向
- 地域別の市場特性
- 顧客タイプ別の行動分析
意思決定支援
優先順位の明確化:
- リソース配分の最適化
- 重点施策の決定根拠
- 改善対象の特定
目標設定と評価:
- 理想的な構成比の設定
- 現状との差異分析
- 達成度の可視化
まとめ
Excelの円グラフは、データを選んで「挿入」からすぐに作れる便利なツールです。
重要なポイント
基本操作の習得:
- データ準備と範囲選択の正確性
- 適切なグラフタイプの選択
- 基本的な書式設定の方法
見やすさの向上:
- データラベルや色を調整することで、もっとわかりやすく印象に残るグラフにできる
- スライスの爆発で重要な項目を強調
- タイトルとレイアウトの最適化
適切な活用:
- 「比率」を見せたいときにぴったり
- 項目数は5〜6個以内におさえる
- 目的に応じたグラフタイプの選択
作成の流れ
- データを整理:項目名と数値をわかりやすく準備
- 範囲を選択:見出しも含めて正確に選択
- グラフを挿入:2-D円グラフがおすすめ
- 見た目を調整:色、ラベル、タイトルを効果的に設定
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