「毎回フォントを変えるのが面倒…」
「資料の書式を統一したいのに、なぜか初期設定に戻ってしまう」
そんな悩みを解決するのが、Excelの”デフォルトフォント”設定です。
初期状態では「メイリオ」や「游ゴシック」などが使われていますが、これを自分の好みに一度設定しておけば、新しいブックすべてに反映されるようになります。
フォントの設定は、文書の見た目や読みやすさに大きく影響します。特にビジネス文書では、統一感のあるフォント使用が重要で、会社のブランドイメージや資料の品質向上にも直結します。毎回手動で変更する手間を省くことで、作業効率も大幅に向上します。
また、デフォルトフォントの設定は個人の作業環境を最適化するだけでなく、チーム全体での書式統一にも活用できます。印刷時の見やすさや、他のソフトウェアとの互換性も考慮した選択が重要です。
この記事では、その設定方法と注意点、さらにはフォント選択のコツや応用テクニックまで詳しくご紹介します。初心者でも安心して設定できるよう、画面操作の詳細も含めて解説します。
デフォルトフォントとは?基本概念

基本的な定義
デフォルトフォントの意味
Excelで新しいブックやシートを開いたときに最初から適用されるフォントの種類とサイズのことです。
主な特徴:
- 自動適用:新規作成時に自動で設定される
- 作業効率化:毎回手動で変更する必要がない
- 統一性:すべての新規ファイルで一貫した見た目
- カスタマイズ可能:ユーザーの好みに合わせて変更可能
システムでの役割
なぜデフォルト設定が重要か:
- 作業の標準化:同じ環境での一貫した作業
- 時間短縮:書式設定にかかる時間を削減
- 品質向上:統一された資料の見た目
- ミス防止:フォント変更忘れを防ぐ
現在のデフォルト設定の確認方法
設定状況の確認
現在の設定を知る方法:
- 新しいブックを作成
- 任意のセルを選択
- 「ホーム」タブでフォント情報を確認
- 表示されているフォントが現在のデフォルト
Excelバージョンごとの初期設定
Excelバージョン | デフォルトフォント | デフォルトサイズ |
---|---|---|
Excel 2019/365 | 游ゴシック | 11pt |
Excel 2016 | 游ゴシック | 11pt |
Excel 2013 | メイリオ | 11pt |
Excel 2010 | メイリオ | 11pt |
Excel 2007 | メイリオ | 11pt |
デフォルトフォントの変更手順
Windows版Excelでの設定方法
基本的な変更手順
詳細なステップ:
- Excelを開く
- ブックは開かなくてもOK
- スタート画面でも設定可能
- 「ファイル」タブをクリック
- 画面左上のファイルメニューを選択
- 左メニューから「オプション」を選択
- 一番下にある「オプション」をクリック
- 「基本設定」タブを確認
- 「Excelのオプション」ダイアログの左側メニュー
- 「新しいブックの作成時」セクションを探す
- 「次を既定のフォントとして使用する」の項目
- フォントとサイズを選択
- 「フォント」:希望するフォントを選択
- 「サイズ」:適切なサイズを設定
- 「OK」をクリックして確定
- Excelを再起動
- 重要:再起動しないと設定が反映されない
設定後の確認方法
正しく設定されたかの確認:
- Excelを完全に終了
- 再度Excelを起動
- 新しいブックを作成
- セルを選択してフォント情報を確認
Mac版Excelでの設定方法
Mac特有の手順
Mac版での操作:
- Excelを開く
- メニューバーから「Excel」→「環境設定」
- 「編集」カテゴリの「全般」を選択
- 「新規ブック」セクションでフォント設定
- 設定後、Excelを再起動
WindowsとMacの違い
主な相違点:
- メニューの場所:「ファイル」ではなく「Excel」メニュー
- 表示名:「オプション」ではなく「環境設定」
- カテゴリ名:「基本設定」ではなく「全般」
フォント選択のガイド
おすすめフォントの特徴
日本語フォントの選択肢
游ゴシック(Yu Gothic):
- 特徴:Windows 10以降の標準、やや細字
- メリット:モダンで読みやすい、画面表示がきれい
- デメリット:古いPCでは表示されない場合がある
- 適用場面:現代的なデザインの資料、プレゼンテーション
メイリオ(Meiryo):
- 特徴:読みやすさ重視、太字で視認性良し
- メリット:幅広いバージョンで対応、可読性が高い
- デメリット:やや太めで圧迫感がある場合も
- 適用場面:業務文書、長文の資料
MS Pゴシック/MS 明朝:
- 特徴:古い資料との互換性に強い
- メリット:どのWindowsでも確実に表示される
- デメリット:古い印象、解像度によっては読みにくい
- 適用場面:互換性重視の文書、公的文書
Yu Gothic UI:
- 特徴:デザイン性あり、画面表示がキレイ
- メリット:洗練された見た目、UI専用設計
- デメリット:印刷時の見た目が画面と異なる場合
- 適用場面:画面表示メインの資料、ダッシュボード
サイズ選択のポイント
適切なフォントサイズ
用途別の推奨サイズ:
- 一般的な業務文書:10pt~12pt
- プレゼンテーション:12pt~14pt
- 詳細データ表:9pt~10pt
- 見出し用:14pt~16pt
読みやすさとの関係
サイズ選択の考慮点:
- 画面表示:11pt以上が読みやすい
- 印刷時:10pt以上で十分な視認性
- 高齢者向け:12pt以上を推奨
- データ密度:情報量に応じて調整
業界・用途別の推奨設定
ビジネス文書
企業文書の標準:
- フォント:メイリオまたは游ゴシック
- サイズ:11pt
- 理由:読みやすさと情報密度のバランス
教育機関
学校・研修資料:
- フォント:メイリオ(太字で見やすい)
- サイズ:12pt
- 理由:幅広い年齢層への配慮
デザイン・クリエイティブ
デザイン重視の資料:
- フォント:游ゴシック、Yu Gothic UI
- サイズ:11pt~12pt
- 理由:モダンで洗練された印象
設定時の注意点とトラブル対処

よくある問題と解決法
設定が反映されない場合
問題1:Excelを再起動していない
- 原因:設定変更後の再起動忘れ
- 解決法:Excel を完全に終了してから再起動
問題2:既存ファイルへの期待
- 原因:デフォルト設定は新規ファイルのみ適用
- 解決法:既存ファイルは別途変更が必要
問題3:テンプレートの影響
- 原因:カスタムテンプレートが優先される
- 解決法:テンプレートの設定を確認・変更
設定の競合
Office全体の設定との関係:
- Officeテーマ:アプリケーション全体のテーマ設定
- システムフォント:Windows の表示設定
- プリンターフォント:印刷時の置き換え
解決のアプローチ:
- Excel固有の設定を優先
- Officeテーマとの整合性確認
- システム設定との調整
既存ファイルのフォント一括変更
効率的な変更方法
全シート一括変更の手順:
- すべてのシートを選択
- 最初のシートタブをクリック
- Shiftキーを押しながら最後のシートタブをクリック
- すべてのセルを選択
- Ctrl + A(全選択)
- または左上の四角をクリック
- フォント変更を実行
- 「ホーム」タブでフォント変更
- すべてのシートに一括適用
部分的な変更
特定の範囲のみ変更:
1. 変更したい範囲を選択
2. Ctrl + 1(セルの書式設定)
3. フォントタブで設定変更
4. 「OK」で適用
条件付きの変更:
- 検索と置換:特定の文字列のフォントのみ変更
- 条件付き書式:条件に応じたフォント設定
高度な設定とカスタマイズ
テンプレートの活用
カスタムテンプレートの作成
手順:
- 新しいブックでフォント設定
- その他の書式も設定(罫線、色など)
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイルの種類で「Excelテンプレート(.xltx)」を選択
- 適切な場所に保存
テンプレートの利用
使用方法:
- 「ファイル」→「新規」
- 「個人用」タブからテンプレート選択
- 設定済みのフォントで新規ブック作成
会社全体での統一
組織レベルでの設定統一
IT管理者向けの方法:
- グループポリシー:Windows ドメイン環境での一括設定
- レジストリ設定:Excelの設定を統一
- Office展開ツール:インストール時の初期設定
標準化ガイドラインの作成
文書化すべき内容:
- 推奨フォント:第1候補、第2候補
- サイズ設定:用途別の標準サイズ
- 色設定:ブランドカラーとの整合性
- 使用禁止フォント:避けるべきフォント
パフォーマンスと互換性

フォント選択とパフォーマンス
処理速度への影響
軽量なフォント:
- MS Pゴシック、MS 明朝:高速処理
- Arial、Times New Roman:英語フォントは高速
重いフォント:
- デザインフォント:凝ったデザインのフォント
- 外部フォント:追加インストールしたフォント
大量データでの考慮点
最適化のポイント:
- シンプルなフォントを選択
- 不要な書式設定を避ける
- フォントサイズの統一
互換性の確保
他のソフトウェアとの連携
Officeアプリ間の互換性:
- Word、PowerPoint:同じフォント設定で統一感
- Outlook:メール添付時の表示確認
PDFエクスポート時の注意:
- フォントの埋め込み:正確な表示のため
- 代替フォント:指定フォントがない環境での表示
異なる環境での表示
考慮すべき環境:
- Mac環境:WindowsとMacでのフォント差異
- モバイル:スマートフォン、タブレットでの表示
- Web表示:ブラウザでの Excel Online 表示
トラブルシューティング
よくある質問と回答
Q:設定したフォントが表示されない
考えられる原因と対処:
- フォントがインストールされていない
- 対処:該当フォントをインストール
- 確認:Windowsのフォントフォルダで確認
- フォント名の指定ミス
- 対処:正確なフォント名で再設定
- 確認:フォント一覧で名称確認
- ライセンスの問題
- 対処:正規ライセンスのフォント使用
- 確認:商用利用可能なフォントか確認
Q:印刷時にフォントが変わってしまう
原因と解決法:
- プリンターフォント置換:プリンター設定の確認
- PDF化での解決:フォント埋め込みPDF作成
- プリンタードライバー更新:最新ドライバーの使用
Q:他の人のPCで見ると表示が変わる
対策方法:
- 標準フォント使用:どのPCにもあるフォント選択
- フォント配布:チーム内でのフォント統一
- 代替フォント設定:フォントがない場合の代替指定
エラー対処法
フォント関連のエラー
エラーメッセージと対処:
- 「フォントが見つかりません」:代替フォントの選択
- 「フォントを読み込めません」:フォントファイルの修復
- 「メモリ不足」:重いフォントの変更
効率化と応用テクニック
作業効率化のコツ
フォント設定の自動化
マクロでの自動設定:
Sub SetDefaultFont()
' セル全体のフォント設定
Cells.Font.Name = "メイリオ"
Cells.Font.Size = 11
End Sub
スタイル機能の活用
カスタムスタイルの作成:
- セルに理想的な書式設定
- 「ホーム」タブ→「スタイル」→「新しいセルスタイル」
- スタイル名を入力して保存
- ワンクリックで適用可能
品質管理
文書品質の統一
チェックポイント:
- フォントの一貫性:文書内での統一
- サイズの適切性:読みやすさの確保
- 印刷時の確認:画面表示との差異確認
標準化の推進
組織での取り組み:
- フォントガイドライン作成
- テンプレートの標準化
- 定期的な設定確認
まとめ

重要なポイントの再確認
Excelのデフォルトフォントを変えることで、資料作成がより快適に、見た目も自分好みに整います。
基本的な設定方法
- 設定場所:ファイル→オプション→基本設定
- 重要な手順:設定後のExcel再起動
- 対象範囲:新規作成ブックのみ
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