「Excel(エクセル)の表に画像を入れたけど、大きさがバラバラで見づらい…」
「セルの大きさに画像をぴったり合わせたい!」
「商品カタログや社員名簿に写真を整然と配置したい」
そんな悩みを抱えたことはありませんか?Excelで画像を扱う際、多くの人が直面するのが「画像とセルのサイズが合わない」「表を編集すると画像がずれる」といった問題です。
実は、Excelには画像をセルに合わせてきれいに整列させる便利な機能があります。適切に設定すれば、プロフェッショナルな見た目の資料を効率的に作成できます。
この記事では、画像をセルにぴったり合わせて挿入・調整する方法から、画像の移動やサイズの固定テクニック、そして実際の業務で役立つ応用例まで、初心者でもすぐに実践できる内容をわかりやすく解説します。
画像とセルの関係について

Excelにおける画像の特性
画像の配置方式
フローティング(浮動)オブジェクト
- 画像はセルの上に「浮いた」状態で配置
- 初期状態ではセルとは独立して存在
- 自由に移動・リサイズが可能
セルとの関係性
- セルの内容ではなく、シート上のオブジェクト
- セルとは別レイヤーに配置される
- 適切な設定でセルと連動可能
画像配置の課題
よくある問題
- 画像サイズがセルサイズと一致しない
- 行・列の調整で画像がずれる
- 印刷時に画像の位置がおかしくなる
- 複数画像のサイズが統一されない
画像活用の場面
ビジネス文書
商品カタログ
- 商品写真と詳細情報の整列
- 統一されたレイアウト
- 印刷時の美しい仕上がり
社員名簿
- 顔写真と個人情報の対応
- 見やすい一覧表示
- 更新時の効率性
プレゼンテーション資料
比較表
- 商品・サービスの視覚的比較
- データと画像の統合表示
- 説得力のある資料作成
基本的な画像挿入と配置
画像の挿入方法
標準的な挿入手順
Step 1: 画像の挿入
- 「挿入」タブをクリック
- 「画像」グループから選択
- 「このデバイス」または「オンライン画像」を選択
- 画像ファイルを選択して「挿入」
Step 2: 初期配置の確認
- 画像はクリックした位置付近に配置
- セルとは独立した状態
- 自由移動・自由サイズ変更が可能
画像ソースの種類
ローカルファイル
- PC内の画像ファイル
- JPG、PNG、GIF、BMPなど対応
- 高解像度画像も挿入可能
オンライン画像
- Bing画像検索から選択
- ストック画像の利用
- ライセンスフリー素材
スクリーンショット
- 「挿入」→「スクリーンショット」
- 現在開いているウィンドウの撮影
- 部分選択も可能
セルへの配置調整
手動でのサイズ調整
基本的な調整方法
- 画像をクリックして選択
- 四隅のハンドルをドラッグ
- Shiftキーを押しながらドラッグで縦横比維持
- セルの境界に合わせて調整
より精密な調整
- 画像を右クリック
- 「サイズとプロパティ」を選択
- 「サイズ」タブで数値入力
- 高さ・幅を具体的に指定
セルサイズの確認方法
セルサイズの測定
行の高さ:行番号の境界をドラッグして確認
列の幅:列番号の境界をドラッグして確認
ポイント単位で表示される
単位の換算
1ポイント = 約1.33ピクセル
72ポイント = 約96ピクセル(1インチ)
画像とセルの連動設定
プロパティ設定の詳細
「サイズとプロパティ」ダイアログ
アクセス方法
- 画像を右クリック
- 「サイズとプロパティ」を選択
- プロパティダイアログが開く
3つの設定オプション
オプション1:セルに合わせて移動やサイズを変更する
特徴
- セル操作に画像が完全連動
- 行・列の挿入/削除で画像も移動
- セルサイズ変更で画像サイズも変更
適用場面
- 商品写真付きカタログ
- 可変レイアウトの資料
- データと画像が密接に関連する表
設定後の動作
行の高さ変更 → 画像の高さも連動して変更
列の幅変更 → 画像の幅も連動して変更
行の挿入 → 画像も一緒に下へ移動
オプション2:セルに合わせて移動するがサイズは変更しない
特徴
- 画像位置は連動するがサイズは固定
- 画像の縦横比とサイズを保持
- 表の構造変更に対応
適用場面
- 固定サイズの写真が必要
- 画質を優先したい場合
- ロゴや定型画像
設定後の動作
行の挿入/削除 → 画像も移動
セルサイズ変更 → 画像サイズは変わらず
画像の位置関係は維持される
オプション3:セルに合わせて移動やサイズ変更をしない
特徴
- 画像が完全独立
- 位置もサイズも固定
- 表の変更に影響されない
適用場面
- 背景画像として使用
- 位置固定が必要な場合
- ヘッダー・フッター的な使用
実際の設定手順
連動設定の実践
Step 1: 画像の配置
- 目的のセルに画像を配置
- 手動でセルサイズに調整
Step 2: プロパティ設定
- 画像を右クリック
- 「サイズとプロパティ」を選択
- 「プロパティ」タブを選択
- 適切なオプションを選択
Step 3: 動作確認
- 行の高さを変更してテスト
- 列の幅を変更してテスト
- 行の挿入/削除でテスト
精密なサイズ調整テクニック

数値での正確な調整
サイズタブでの設定
具体的な数値入力
高さ:セルの高さに合わせた数値
幅:セルの幅に合わせた数値
縦横比の固定:必要に応じてチェック
計算例
セルの高さ:30ポイント
画像の高さ:30ポイント(または約40ピクセル)
セルの幅:100ポイント
画像の幅:100ポイント(または約133ピクセル)
複数画像の統一
統一サイズの設定
- 1枚目の画像を理想的なサイズに調整
- 「サイズとプロパティ」で数値を確認
- 他の画像も同じ数値に設定
効率的な方法
- Ctrlキーで複数画像を選択
- 「図の書式」タブを使用
- 高さ・幅を一括設定
アスペクト比の調整
縦横比の考慮
原画像の比率維持
- 「縦横比を固定する」をチェック
- 画像の歪みを防止
- 自然な見た目を保持
セル比率に合わせる
- 縦横比固定を解除
- セルの形状に完全に合わせる
- 画像の歪みが生じる可能性
トリミングの活用
図の書式タブでトリミング
- 画像を選択
- 「図の書式」タブ
- 「トリミング」をクリック
- 不要部分を除去
効果
- 重要部分のみを表示
- セルサイズに最適化
- ファイルサイズの軽量化
実用的な応用例
商品カタログの作成
基本レイアウト設計
表構成の例
商品画像 | 商品名 | 価格 | 説明 |
---|---|---|---|
[画像A] | 商品A | ¥100 | 詳細… |
[画像B] | 商品B | ¥200 | 詳細… |
セル設定
画像列の幅:3cm(約85ポイント)
画像行の高さ:3cm(約85ポイント)
画像サイズ:セルに完全適合
統一感のある仕上がり
設定のポイント
- 全画像を同一サイズに統一
- 「セルに合わせて移動やサイズを変更」を選択
- 行の高さを統一(例:90ポイント)
- 画像の配置を中央揃えに設定
社員名簿の作成
顔写真付き名簿
レイアウト例
A列:顔写真(正方形)
B列:氏名
C列:部署
D列:役職
E列:連絡先
写真の標準化
サイズ:2cm × 2cm
解像度:72dpi以上
ファイル形式:JPGまたはPNG
ファイルサイズ:50KB以下(目安)
プレゼンテーション資料
Before/After比較表
効果的な配置
A列:Before画像
B列:矢印(図形)
C列:After画像
D列:改善ポイント
視覚的インパクト
- 同サイズの画像で統一感
- 配置の規則性で見やすさ向上
- 文字情報との適切なバランス
一括処理とマクロ活用
VBAでの自動調整
基本的な画像リサイズマクロ
Sub ResizeAllPictures()
Dim pic As Shape
Dim targetHeight As Double
Dim targetWidth As Double
' セルサイズに合わせた目標値(ポイント単位)
targetHeight = 60 ' 約2cm
targetWidth = 60 ' 約2cm
' 全ての画像に対して処理
For Each pic In ActiveSheet.Shapes
If pic.Type = msoPicture Then
pic.Height = targetHeight
pic.Width = targetWidth
End If
Next pic
End Sub
セル位置への自動配置
Sub AlignPicturesToCells()
Dim pic As Shape
Dim rng As Range
Dim i As Integer
i = 1
For Each pic In ActiveSheet.Shapes
If pic.Type = msoPicture Then
Set rng = Cells(i + 1, 1) ' A2, A3, A4...
' セルの位置に配置
pic.Left = rng.Left
pic.Top = rng.Top
pic.Height = rng.Height
pic.Width = rng.Width
i = i + 1
End If
Next pic
End Sub
一括設定の効率化
複数選択での同時設定
選択方法
- 最初の画像をクリック
- Ctrlキーを押しながら他の画像をクリック
- 全て選択した状態で設定変更
一括適用可能な設定
- サイズ(高さ・幅)
- プロパティ設定
- 書式設定(枠線、効果など)
トラブルシューティング

よくある問題と解決方法
画像がセルからはみ出す
原因
- 画像サイズとセルサイズの不一致
- 縦横比の違い
- 配置位置のずれ
解決方法
1. 画像サイズを再調整
2. セルサイズを画像に合わせて調整
3. トリミングで画像をセルに最適化
行・列操作で画像がずれる
原因
- プロパティ設定が適切でない
- 画像の基準位置がずれている
解決方法
1. 「セルに合わせて移動やサイズを変更」に設定
2. 画像をセルの左上角に正確に配置
3. 行・列操作前に設定を確認
印刷時に画像が表示されない
原因
- 印刷設定で画像が除外されている
- 画像が印刷範囲外にある
解決方法
1. ファイル → オプション → 詳細設定
2. 「オブジェクトを印刷する」をチェック
3. 印刷プレビューで確認
パフォーマンスの問題
ファイルサイズが大きくなる
原因
- 高解像度画像の使用
- 不要な画像データの蓄積
- 圧縮されていない画像
解決方法
1. 画像の圧縮(図の書式 → 圧縮)
2. 適切な解像度での保存(72-96dpi)
3. 不要な画像の削除
動作が重くなる
対策
1. 画像数の適正化(1シート当たり50枚以下推奨)
2. ファイル形式の最適化(JPG推奨)
3. 定期的なファイルの最適化
高度なテクニック
動的画像リンク
外部ファイルとのリンク
設定方法
- 「挿入」→「オブジェクト」
- 「ファイルから作成」
- 「リンク」をチェック
- 画像ファイルを選択
メリット
- ファイルサイズの軽量化
- 画像更新の自動反映
- 一元管理の実現
条件付き画像表示
数式と画像の連携
VBAでの実装例
Sub ShowImageBasedOnValue()
Dim pic As Shape
Dim cellValue As String
cellValue = Range("B2").Value
For Each pic In ActiveSheet.Shapes
If pic.Type = msoPicture Then
If pic.Name = cellValue Then
pic.Visible = True
Else
pic.Visible = False
End If
End If
Next pic
End Sub
画像のデータベース化
画像とデータの統合管理
構造例
A列:ID
B列:商品名
C列:画像ファイル名
D列:画像(実際の画像オブジェクト)
自動化の実現
- ファイル名に基づく画像の自動挿入
- データベースとの連携
- 一括更新システム
まとめ
Excelで画像をセルに合わせて配置することは、プロフェッショナルな資料作成において重要なスキルです。適切な設定と技術を使いこなすことで、見た目の美しい実用的なドキュメントを効率的に作成できます。
重要なポイント
基本設定
- 画像のプロパティ設定を適切に選択
- セルサイズと画像サイズの調整
- 連動設定による自動調整
効率化テクニック
- 複数選択での一括設定
- VBAによる自動化
- テンプレート化による標準化
品質管理
- 統一されたサイズとレイアウト
- 適切な解像度とファイル形式
- パフォーマンスの最適化
活用シーン別の推奨設定
商品カタログ
- 「セルに合わせて移動やサイズを変更」
- 統一サイズでの画像配置
- トリミングによる最適化
名簿・リスト
- 固定サイズでの写真配置
- 「セルに合わせて移動するがサイズは変更しない」
- 標準的な写真サイズの採用
プレゼンテーション資料
- 視覚的インパクトを重視
- 画像とテキストのバランス
- 動的な表示機能の活用
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