「Excelファイルをチームで同時に編集したい」
「メールで送るたびに最新版がどれかわからなくなる…」
そんな悩みを解決するのが、Excelの「ブックの共有」機能です。
特にMicrosoft 365を使っていれば、クラウドを通じてリアルタイムで共同編集が可能になります。
この記事では、Excelブックを他人と共有する具体的な方法、便利な活用例、注意点までをわかりやすく解説します。
Excelブックの共有とは?

共有機能の基本概念
ブックの共有とは: 複数人が同じExcelファイルを同時に編集・閲覧できる機能のことです。
主な共有方法:
- Microsoft 365を使ったリアルタイム共有(推奨)
- SharePointでの企業レベル共有
- 従来の「ブックの共有」機能(非推奨)
現代のビジネス環境では、Microsoft 365とOneDrive/SharePointを使ったリアルタイム共有が主流です。
共有機能のメリット
効率性の向上:
- 同時編集によるスピードアップ
- メールでのファイル送信が不要
- 常に最新版での作業が可能
- バージョン管理の自動化
コミュニケーションの改善:
- リアルタイムでの情報共有
- 編集者の確認が可能
- コメント機能での議論
- 編集履歴の透明性
共有が活躍する場面
プロジェクト管理:
- タスク進捗の同時更新
- メンバー間での情報共有
- スケジュール調整
- 会議資料の共同作成
営業・業績管理:
- 売上データの実時間入力
- 予算と実績の比較
- 地域別実績の統合
- 四半期レポートの作成
OneDrive経由で共有する方法(Microsoft 365)
ステップ1:ファイルをOneDriveに保存
保存手順:
- Excelを開いて「ファイル」をクリック
- 「名前を付けて保存」を選択
- 保存先として「OneDrive – 個人用」または「OneDrive – 会社名」を選択
- ファイル名を入力して「保存」
保存時の注意点:
- ファイル形式は「.xlsx」を推奨
- マクロがある場合は「.xlsm」を選択
- ファイル名は分かりやすく設定
- フォルダ構成を事前に整理
ステップ2:共有リンクを送信
共有設定の手順:
- 画面右上の「共有」ボタンをクリック
- 編集許可の設定を選択
- 共有相手の設定
- メッセージを追加(任意)
- 「送信」または「リンクのコピー」
権限設定の詳細:
編集可能:
- ファイルの変更・保存が可能
- 新しいシートの追加・削除
- 書式設定の変更
- 数式の編集
表示のみ:
- ファイルの閲覧のみ
- コピー・印刷は可能
- 編集・保存は不可
- コメントの追加は設定により可能
ステップ3:共同編集の開始
共同編集の特徴:
- 同時に同じファイルを編集可能
- 編集者の位置がリアルタイム表示
- 自動保存で変更が即座に反映
- 編集競合の自動解決
編集中の表示:
- 編集者の名前と色付きカーソル
- セル選択範囲の表示
- 入力中の内容をリアルタイム表示
- 保存状況の確認
SharePointでの企業レベル共有
SharePointサイトでの管理
企業向けの高度な共有:
- SharePointサイトにファイルをアップロード
- チームまたは部署単位での権限設定
- ワークフローとの連携
- より詳細なアクセス制御
SharePoint固有の機能:
- 承認プロセスの組み込み
- メタデータでの分類
- 検索機能の活用
- バックアップとセキュリティ
Microsoft Teamsとの連携
Teams内でのExcel編集:
- Teamsチャネルでファイルを開く
- ブラウザまたはデスクトップアプリで編集
- チャット機能との連携
- 会議中でのファイル共有
従来の「ブックの共有」機能について
旧機能の概要
Excel 2016以前では、「校閲」タブの「ブックの共有」ボタンで共有モードに切り替える方法もありました。
しかし現在は:
- 機能が非推奨化
- 新しいExcelでは非表示
- Microsoft公式も利用を推奨していない
旧機能の問題点
機能制限:
- 条件付き書式が一部使えない
- グラフ機能の制限
- テーブル機能が使用不可
- ピボットテーブルが作成できない
技術的問題:
- 同時編集中の競合発生
- データ整合性の問題
- パフォーマンスの低下
- 復旧の困難さ
代替方法: 可能な限り、Microsoft 365 + OneDriveでの共有を使いましょう。
共有ブックの実践的な活用例
プロジェクト進行管理シート
設定例:
タスク一覧:
A列: タスク名
B列: 担当者
C列: 開始日
D列: 終了予定日
E列: 進捗率
F列: ステータス
G列: 備考・コメント
効果:
- タスクや進捗を複数人で記入・更新
- 会議の準備が不要
- リアルタイムでの状況把握
- 遅延の早期発見
シフト表の作成
運用方法:
- 基本的なシフト表テンプレートを作成
- 各スタッフが希望シフトを入力
- 管理者が最終調整
- 確定版をチーム全体で共有
メリット:
- 各スタッフが自分の希望を直接入力
- 最新の勤務表が自動で完成
- 変更履歴の確認が可能
- 公平性の担保
売上集計表
リアルタイム売上管理:
日次売上入力:
A列: 日付
B列: 営業担当者
C列: 顧客名
D列: 商品名
E列: 売上金額
F列: 備考
分析機能:
- 営業メンバーがリアルタイムで売上を入力
- 全体状況をすぐに把握可能
- 自動集計とグラフ化
- 目標達成度の可視化
在庫管理システム
在庫の共同管理:
- 複数拠点での在庫状況共有
- 入出庫の即座の反映
- 安全在庫レベルの監視
- 発注タイミングの最適化
高度な共有設定と管理

詳細なアクセス制御
権限レベルの設定:
- 所有者: 全ての権限
- 編集者: 編集・コメント・共有
- 閲覧者: 表示とコメントのみ
- 制限付き閲覧: 表示のみ
期限付きアクセス:
- リンクの有効期限設定
- パスワード保護の追加
- ダウンロード禁止の設定
- 印刷制限の適用
バージョン管理と履歴
自動バージョン管理:
- 変更の自動保存
- 過去のバージョンへの復元
- 変更内容の比較
- 編集者の特定
履歴の活用:
編集履歴の確認方法:
1. ファイル名右の「履歴」をクリック
2. 過去のバージョンを選択
3. 変更内容を確認
4. 必要に応じて復元
セキュリティとプライバシー
情報漏洩対策
セキュリティのベストプラクティス:
- 最小権限の原則を適用
- 定期的なアクセス権限見直し
- 機密情報の別管理
- 退職者のアクセス削除
外部共有時の注意:
- 組織外への共有制限
- ゲストアクセスの管理
- 監査ログの確認
- データ分類の適用
GDPR・個人情報保護
法的要件への対応:
- 個人情報の取り扱い方針
- データの保存場所確認
- 削除権への対応
- 同意取得の記録
よくある質問と対策
共有相手が編集できない
原因と対処法:
OneDriveに保存していない:
- ローカルファイルは共有不可
- OneDriveまたはSharePointに保存
- 同期状況を確認
権限設定の問題:
- 「表示のみ」になっている可能性
- 編集権限に変更
- 組織のポリシー確認
ファイル形式の問題:
- 古い形式(.xls)では制限あり
- .xlsx形式に変換
- 互換性の確認
誰が編集したか履歴で見たい
編集履歴の確認方法:
- ファイル名横の「履歴」をクリック
- バージョン一覧で編集者を確認
- 特定のバージョンを選択して詳細確認
- 必要に応じてコメントで確認
詳細な追跡:
- Microsoft 365管理センターでの監査ログ
- SharePoint アクティビティレポート
- Power BIでの分析ダッシュボード
共有を解除したいとき
解除方法:
- 「共有」ボタンをクリック
- 「リンクを管理」を選択
- 特定のユーザーまたはリンクを削除
- 権限の変更または完全削除
段階的な解除:
- 編集権限を閲覧のみに変更
- 特定期間後の自動解除設定
- 緊急時の即座の全解除
トラブルシューティング
同期の問題
ファイルが同期されない:
- OneDriveクライアントの再起動
- ネットワーク接続の確認
- ストレージ容量の確認
- 同期設定の見直し
編集競合の解決
競合発生時の対処:
- 自動マージ機能の活用
- 手動での競合解決
- バックアップからの復元
- コミュニケーションでの調整
パフォーマンス問題
大きなファイルでの対策:
- データの分割
- 不要な書式の削除
- 外部リンクの見直し
- 定期的な最適化
最適化のコツ
ファイル設計のベストプラクティス
効率的な共有ファイル設計:
- シンプルな構造を維持
- 計算式の最適化
- 不要な書式の削除
- データ検証の活用
協働ルールの策定:
- 編集時間の調整
- 担当範囲の明確化
- バックアップのタイミング
- エラー対応の手順
まとめ
Excelブックの共有は、メール送信やファイル管理の手間を大幅に削減し、チーム作業を効率化する強力なツールです。
主要な共有方法:
- Microsoft 365 + OneDrive: リアルタイム共同編集(推奨)
- SharePoint: 企業レベルでの高度な管理
- 従来機能: 非推奨、新機能への移行を推奨
効果的な活用のポイント:
- 適切な権限設定
- セキュリティ対策の実施
- バージョン管理の活用
- チーム内でのルール策定
実務での価値:
- 作業効率の大幅向上
- コミュニケーション品質の改善
- データの一元管理
- 意思決定の迅速化
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