「売上は棒グラフで、利益率は折れ線グラフで見せたい」
「複数の指標をひとつのグラフにまとめて見やすくしたい」
そんなときに活躍するのが、Excelの「複合グラフ」機能です。ひとつのグラフで異なる種類のデータを可視化できるため、データの関係性や傾向がひと目でわかるようになります。
この記事でわかること
- 棒グラフと折れ線グラフを組み合わせる具体的な手順
- 実際のビジネスシーンでの活用例
- 失敗しやすいポイントとその対策
- グラフを見やすくするコツ
初心者の方でも迷わず作成できるよう、画面の操作方法まで詳しく解説します。
棒グラフ+折れ線グラフとは?

複合グラフの基本概念
異なる種類のデータを、ひとつのグラフで見やすく表現するために、棒グラフ(量)と折れ線グラフ(割合・推移)を組み合わせたグラフのことです。
使い分けのポイント
棒グラフに適したデータ
- 販売数、売上、件数など「ボリューム」を表すデータ
- 月別、地域別などのカテゴリー比較
- 具体的な数量や金額
折れ線グラフに適したデータ
- 推移、成長率、割合など「変化や傾向」を表すデータ
- 時系列での変化を見たいデータ
- パーセンテージや比率
なぜ複合グラフが効果的なのか
メリット
- 2つの異なる指標の関係性が一目でわかる
- データの因果関係を発見しやすい
- プレゼン資料がすっきりまとまる
- 資料の枚数を減らせる
作成手順(Excel 2016以降)
データを準備する
まず、グラフにしたいデータを整理します。
データの例
月 | 売上(万円) | 利益率(%) |
---|---|---|
1月 | 200 | 10 |
2月 | 300 | 12 |
3月 | 250 | 9 |
4月 | 400 | 8 |
5月 | 350 | 11 |
データ準備のコツ
- 系列名(列のタイトル)をわかりやすくする
- 数値データは同じ行に揃える
- 空白セルがないか確認する
グラフを挿入する
手順1:データ範囲を選択
- 表全体(見出しを含む)を選択する
- Ctrlキーを押しながらドラッグすると、離れた範囲も選択できる
手順2:組み合わせグラフを選ぶ
- 「挿入」タブをクリック
- 「グラフ」グループの「組み合わせグラフ」をクリック
- 「カスタムの組み合わせグラフを作成する」を選択
系列の種類を指定する
設定画面での操作
「売上」系列の設定
- グラフの種類:「集合縦棒」を選択
- 第2軸:チェックしない
「利益率」系列の設定
- グラフの種類:「折れ線」を選択
- 第2軸:必ずチェックを入れる
第2軸を設定する理由
売上(万円)と利益率(%)では数値の桁が大きく異なります。第2軸を使うことで、両方のデータが見やすく表示されます。
完成したグラフを確認する
正しく設定できていれば、以下のようなグラフが表示されます:
- 左側:棒グラフ(売上)
- 右側:折れ線グラフ(利益率)
- 左右それぞれに軸ラベルが表示される
実際の活用例
売上と利益率の比較
分析できること
- 売上が伸びている月でも、利益率が下がっていることがわかる
- コストが増加している時期を特定できる
- 効率的な売上戦略を考える材料になる
Webサイトのアクセス数とコンバージョン率
マーケティングでの活用
- 集客は多いが、成約が少ない時期を発見
- 広告効果の測定に活用
- サイト改善の優先順位を決める参考に
製造数と不良率の推移
品質管理での活用
- 生産量が増えたときに不良率が上がっていないかチェック
- 設備のメンテナンス時期を判断
- 品質向上の取り組み効果を測定
店舗の来客数と客単価
小売業での活用
- 来客数は多いが客単価が低い時期を特定
- 季節要因の分析
- 販促効果の測定
よくあるミスとその対策

折れ線が見えない・見づらい
原因
- 第2軸を設定し忘れている
- 数値の桁が大きく異なるため、棒グラフに埋もれてしまう
対策
- 折れ線の系列を右クリック
- 「データ系列の書式設定」を選択
- 「第2軸」にチェックを入れる
データの順序がおかしい
原因
- 列の順番やデータの並び順を間違えている
- 空白セルが混入している
対策
- 元データの並び順を確認する
- グラフの「データの選択」から系列を修正する
- 空白セルを削除または「0」で補完する
軸の数値が見づらい
原因
- 軸の最大値・最小値が適切でない
- 目盛りの間隔が細かすぎる、または粗すぎる
対策
- 軸を右クリック→「軸の書式設定」
- 「軸のオプション」で最大値・最小値を調整
- 主目盛り間隔を適切な値に設定
グラフの凡例がわかりにくい
原因
- 系列名が「系列1」「系列2」のままになっている
- 凡例の位置が適切でない
対策
- 元データの列見出しをわかりやすい名前に変更
- 凡例を右クリック→「凡例の書式設定」で位置を調整
見た目を整えるコツ
色の使い方
効果的な色分け
- 棒グラフ:落ち着いたカラー(青、グレーなど)
- 折れ線グラフ:目立つ色(赤、オレンジなど)
- 背景色は白やライトグレーで統一
具体的な設定方法
- 棒グラフを右クリック→「データ系列の書式設定」
- 「塗りつぶし」で色を選択
- 折れ線も同様に色を設定
タイトルと軸ラベルの設定
わかりやすいタイトルの例
- 「月別売上と利益率の推移」
- 「アクセス数とコンバージョン率の関係」
設定手順
- グラフタイトルをダブルクリック
- わかりやすいタイトルに変更
- 左軸・右軸それぞれにラベルを設定
データラベルの追加
表示する情報
- 重要なポイントの数値
- 特に注目してほしいデータ
追加方法
- 系列を右クリック
- 「データラベルの追加」を選択
- 表示位置を調整
トラブルシューティング
グラフが思うように表示されない
確認ポイント
- データ範囲は正しく選択されているか
- 系列の種類は適切に設定されているか
- 第2軸の設定は正しいか
Excel のバージョンによる違い
Excel 2013以前の場合
- まず棒グラフを作成
- 折れ線にしたい系列を右クリック
- 「グラフの種類の変更」で折れ線に変更
- 「第2軸」を設定
印刷時に見づらくなる
対策
- モノクロ印刷を考慮した線の種類(実線、破線など)
- 十分な線の太さを設定
- コントラストを強くする
まとめ
Excelで棒グラフと折れ線グラフを組み合わせることで、「量」と「傾向」を一つのグラフでわかりやすく可視化できます。ビジネス報告やプレゼン資料でも使い勝手がよく、視覚的な説得力が大幅に向上します。
実践のポイント
- データの種類に応じて棒グラフと折れ線グラフを使い分ける
- 第2軸の設定を忘れずに行う
- 色分けとラベルでわかりやすさを追求する
- 実際のデータで練習してコツを掴む
コメント