「エクセルでデータを管理しているけど、年度を自動で出したい…」そう思ったことはありませんか?
例えば日本では多くの企業や学校が4月始まりの年度を使っています。カレンダーの年(西暦)ではなく、年度を基準にしたデータ分析や資料作成をしたい場面がとても多いです。
売上管理や学籍管理、予算管理など、ビジネスシーンでは年度での集計が欠かせません。しかし、単純なYEAR関数では思うような結果が得られず、困っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、Excel(エクセル)で年度を関数で自動計算する方法を、具体例と一緒にわかりやすく紹介します。会計年度や学年度の計算、さらには任意の開始月にも対応できる方法を解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
Excelで年度を求める基本の考え方

年度とは?
年度とは、ある特定の目的のために定められた1年間の期間のことです。一般的な日本の会計年度(4月1日~翌年3月31日)を例にすると:
- 2025年4月1日 ~ 2026年3月31日 → 2025年度
- 2024年4月1日 ~ 2025年3月31日 → 2024年度
となります。
つまり、4月から翌年の3月までを1つの年度とみなすのがポイントです。
年度とカレンダー年の違い
カレンダー年(暦年): 1月1日~12月31日 年度(会計年度): 4月1日~翌年3月31日
この違いを理解することが、正しい年度計算の第一歩です。
年度計算の基本ルール
年度を正しく計算するには、以下のルールを覚えておきましょう:
- 4月~12月:その年がそのまま年度になる
- 1月~3月:前の年が年度になる
例:
- 2025年6月15日 → 2025年度
- 2025年2月15日 → 2024年度
年度を関数で計算する方法
YEAR関数だけだと年度にならない
まず、なぜ単純なYEAR関数では年度が計算できないのかを確認しましょう。
=YEAR(セル)
でその日付の「年」は求められますが、これだと単純に西暦(1月~12月)で計算されてしまいます。
例:
- 2025年2月15日 →
=YEAR(...)
は2025
- でも年度でいえば
2024年度
が正しい
基本的な年度計算式
4月始まりの年度を計算する方法
誕生日や取引日がA2セルに入っている場合、4月始まりの年度を求めるには次のようにします:
=YEAR(A2) - (MONTH(A2) < 4)
式の仕組みを詳しく解説
この式がどのように動作するのか、ステップごとに説明します:
1. MONTH(A2) < 4の部分:
MONTH(A2)
:日付の月を数字で取得(1~12)< 4
:4月より前(1月~3月)かどうかを判定- 1月~3月なら
TRUE
(数値では1) - 4月以降なら
FALSE
(数値では0)
2. YEAR(A2) – の部分:
- 1月~3月は
YEAR(A2) - 1
(前年が年度) - 4月以降は
YEAR(A2) - 0
(その年が年度)
具体的な計算例
日付 | YEAR(A2) | MONTH(A2) | MONTH(A2)<4 | 年度 |
---|---|---|---|---|
2025/2/15 | 2025 | 2 | TRUE(1) | 2024年度 |
2025/4/1 | 2025 | 4 | FALSE(0) | 2025年度 |
2025/12/31 | 2025 | 12 | FALSE(0) | 2025年度 |
任意の年度開始月に対応する方法
7月始まりの年度の場合
例えば「7月始まりの年度」にしたいときは:
=YEAR(A2) - (MONTH(A2) < 7)
10月始まりの年度の場合
「10月始まりの年度」なら:
=YEAR(A2) - (MONTH(A2) < 10)
汎用的な年度計算式
開始月を変更できる汎用的な式を作る場合は、B1セルに開始月を入力して:
=YEAR(A2) - (MONTH(A2) < B1)
このようにすることで、B1セルの値を変更するだけで異なる年度計算に対応できます。
応用的な年度計算テクニック
テキスト形式で「〇〇年度」と表示する方法
数字だけでなく「2025年度」という文字列で表示したい場合:
=(YEAR(A2) - (MONTH(A2) < 4)) & "年度"
&
は文字列をつなげる演算子です。
年度の開始日と終了日を求める方法
年度の開始日を求める
=DATE(YEAR(A2) - (MONTH(A2) < 4), 4, 1)
年度の終了日を求める
=DATE(YEAR(A2) - (MONTH(A2) < 4) + 1, 3, 31)
年度内の経過日数を計算
現在の日付から年度開始日までの日数を計算:
=A2 - DATE(YEAR(A2) - (MONTH(A2) < 4), 4, 1) + 1
実際のシーンでの活用例

売上データの年度別集計
売上データで年度別の集計を行う場合:
データ準備
A列(日付) | B列(売上金額) | C列(年度) |
---|---|---|
2024/3/15 | 100,000 | =YEAR(A2)-(MONTH(A2)<4) |
2024/4/20 | 150,000 | =YEAR(A3)-(MONTH(A3)<4) |
C列に年度計算式を入れることで、ピボットテーブルで年度別集計が簡単にできます。
学校の入学年度管理
生徒の誕生日から入学年度を計算する場合:
=YEAR(誕生日) - (MONTH(誕生日) < 4) + 6
4月2日生まれなら6歳で小学校入学となる計算です。
補助金などの年度単位レポート
申請日から該当年度を自動判定:
="申請年度:" & (YEAR(申請日) - (MONTH(申請日) < 4)) & "年度"
契約期間の年度管理
契約開始日と終了日から跨ぐ年度を計算:
=IF((YEAR(開始日)-(MONTH(開始日)<4))=(YEAR(終了日)-(MONTH(終了日)<4)),
(YEAR(開始日)-(MONTH(開始日)<4)) & "年度のみ",
(YEAR(開始日)-(MONTH(開始日)<4)) & "年度~" & (YEAR(終了日)-(MONTH(終了日)<4)) & "年度")
よくある質問とトラブルシューティング
「月が4月で変わるけど日付が月初で心配」
Q: 4月1日と3月31日で正しく年度が分かれるか不安です。
A: 大丈夫です。MONTH
関数は日付が何日であろうと、単純に「何月か」だけを見るので:
- 4月1日 →
MONTH=4
- 3月31日 →
MONTH=3
と正しく判定されます。
「エラーが出る場合の対処法」
Q: 式を入力するとエラーが出ます。
A: 以下を確認してください:
- セルに正しい日付が入力されているか
- 日付の書式が適切か(文字列になっていないか)
- 全角・半角の入力ミスがないか
「期間で年度をまたぐ場合の処理」
Q: 契約期間が年度をまたぐ場合はどうすればいいですか?
A: 開始日と終了日それぞれの年度を計算し、IF関数で処理を分岐させます:
=IF(年度開始=年度終了, "単年度", "複数年度")
「週単位や月単位での年度計算」
Q: 日付ではなく週番号や月から年度を計算したいです。
A: 月の場合は直接計算できます:
=年 - (月 < 4)
週番号の場合は一度日付に変換してから計算します。
高度な年度計算テクニック
INDIRECT関数と組み合わせた動的年度計算
=YEAR(INDIRECT("A" & ROW())) - (MONTH(INDIRECT("A" & ROW())) < 4)
配列数式を使った一括年度計算
Excel365なら配列数式で一気に計算できます:
=YEAR(A2:A100) - (MONTH(A2:A100) < 4)
VBAを使った自動年度更新
マクロを使って年度計算を自動化することも可能です。定期的にデータが更新される場合に便利です。
データ分析での年度活用法

ピボットテーブルでの年度集計
- 年度列を作成
- ピボットテーブルの行に年度を設定
- 値に集計したい項目を設定
グラフでの年度別比較
年度をX軸にしたグラフで、年度ごとの推移を視覚化できます。
条件付き書式での年度ハイライト
現在年度のデータだけをハイライト表示することで、データの見やすさが向上します。
まとめ
Excelで年度を関数で自動計算するには、
基本の式:
=YEAR(日付セル) - (MONTH(日付セル) < 開始月)
というシンプルな式で解決できます。
重要なポイント
- 4月始まりなら
< 4
、7月始まりなら< 7
- MONTH関数は日にち関係なく月だけを判定
- 文字列表示なら
& "年度"
を追加 - ピボットテーブルとの相性が抜群
こんな場面で活用
- 売上データの年度別分析
- 学校の学年度管理
- 予算管理と実績比較
- 契約期間の年度判定
- 補助金申請の年度区分
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